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概要

シュメール語の表記のためにシュメール人が生み出した文字体系であり、漢字のような表意文字と仮名文字の組み合わせで表記される。これ以外に発音されない置き字が存在し、直後にくる文字列がの名前であることを示すものが有名。


その後、アッカド語ヒッタイト語、古代ペルシャ語エラム語ウガリット語などの周辺言語に借用された。

時代を経るごとに表意文字はその数を減らし、もしくは万葉仮名のような形で不足する表音文字を補うために使用された。また、形も簡略化し、画数を減らしていく傾向があったとされる。とりわけペルシャ語とウガリット語のものは音素さえ崩してアルファベットとして用いられており、形も単純化されている。


利点

前述のように、シュメール語が消滅言語と化してからも、多言語に借用された楔形文字は長く使用された。これは、シュメールの持っていた文化的影響力の強さだけでなく、のなかった時代には以下のような利点があったからである。


粘土板にペン先を押し付けるだけで簡単に書ける。

②描き間違えたら、その部分を指で押し付けて潰すだけで簡単に修正できる

③粘土を捏ね直すことで、封印したい文書も即時抹消できる。

④逆に永久保存したい場合は粘土板ごとで焼けば良い。


一体どこを突っ込めば良いのかわからないほど、出来過ぎた利便性をもつ文字体系である。


衰退

しかし、楔形文字は、日本語インドネシア語のように語幹の変化しない膠着語であるシュメール語の筆記のために開発された文字であり、ひらがなのような音節文字であるために、格に応じた語形変化を行う印欧語セム語に属する借用先の言語の筆記には言語学的に不向きであった。やがて、紙が普及するとともにギリシャ文字ラテン文字のようなアルファベットアラビア文字のようなアブシャドの優位性が際立ち始め、ユダヤ教及びそれから派生した一神教の台頭によりシュメール人の文化の基礎であった多神教が否定された時期とも重なったため、楔形文字は急速に使用されなくなっていった。最後に公式に使用されたのは西暦75年であり、以降は既存の記録文書に残るのみとなった。西暦600年以降は(キリスト教からさらに派生した)イスラム教の成立によりそれらの記録文書の多くを占めていた多神教に関する資料が同教に反するものとして廃棄されたと言われる。現在出土する文献資料の多くが正規の釜焼きで保存されたものではなく、戦乱焼却処分によって、書きかけであったものが不本意にも焼かれて永久保存されてしまったと思われるものが多々見受けられ、楔形文字で書かれた多神教に関する文書を抹消するつもりで行われた古の一神教徒の行為は、彼らの思惑とは裏腹にこれらを地上に永久保存せしめる効果をもたらした側面も大きい。そのため、出土品の大半を占めるのは歴史学的にどうでもいい落書きであったりするが、こういった落書きのおかげで基礎的な文法や語彙の解明が迅速に進んだ面もいなめない。


解読

現代でも普及しているペルシャ語の表記に用いられたことから、比較検討の容易な古代ペルシャ語をツールに解読が行われ、その後複数言語が併記された資料の逆引きなどにより、アッカド語やウガリット語などの解読が進んだ。

解読が進むにつれ、音節文字であることが判明するが、前述の通り屈折語である印欧語やセム語は元来音節文字による表記に向いていないという重大な疑問が生じた。言語学者はこのことを楔形文字が印欧語でもセム語でもない、アジア系の膠着語からの借用文字である証拠と考えたが、該当する言語は不存在であった。ゆえに、考古学界隈では、膠着語を国語とする未知・未発掘の古代文明が存在する有力な証拠と考えられるようになり、発掘作業に関する予算の申請が通りやすくなった。これにより、シュメール遺跡の早期発見につながったと言われる。


発掘された辞書のアッカド語からの逆引きにより、シュメール語が解読されると、シュメール語は膠着語であり、使用されている文字数もその他の言語よりもはるかに多いこと、表音文字の使用割合も明らかに高いことから、シュメール語こそがこの文字の起源であることが判明した。現在ではタミル語などと同じトラヴィダ語族に属すると推測されるエラム語を除き、この文字を使用するすべての言語の解読が完全に、もしくは概ね文意を推測できる程度の精度で解読が完了している。

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