データ
英語版題名 | Enterprising Engines |
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日本版旧題名 | 機関車のぼうけん |
日本版新題名 | 機関車のぼうけん |
イギリス版初発行 | 1968年 |
日本版初発行 | 1980年11月 |
原作者 | ウィルバート・オードリー |
挿絵担当 | ガンバー&ピーター・エドワーズ |
概要
機関車のぼうけんは汽車のえほんの第23巻である。
本巻は、イギリス国鉄の無煙化された時期のノース・ウェスタン鉄道に起きたトラブルやハプニングを収めた絵本である。
本巻には、新キャラとしてくま(ベアー)・オリバー・イザベル・ダルシー・アリス・ミラベル・トードが登場し、ゲストとしてフライング・スコッツマン・D199が登場した。
各話の簡単なあらすじと登場キャラクター
以降の項目はネタバレが含まれています。ネタバレが問題ない方のみご閲覧ください。
ヘンリーと炭水車
題名 | |
英語版題名 | Tenders for Henry |
日本版旧題名 | ヘンリーと炭水車 |
日本版新題名 | ヘンリーと炭水車 |
登場キャラクター | |
主要キャラクター | ゴードン ヘンリー フライング・スコッツマン |
サブキャラ | ジェームス ダック 太っちょの局長 ドナルド ゴードンの機関士 |
モブキャラ | ダグラス 客車 貨車 |
ある日のゴードンは落ち込んでいて気分が悪いと言っていましたが、他の機関車達は悪い水を飲んだせいでボイラーにヘドロがたまって腹痛を起こしたんだと揶揄いました。しかし、ゴードンの機嫌が悪かったのは、嫌な世の中になった事で憂鬱になっていたのでした。太っちょの局長に出会ったゴードンは、ディーゼル機関車達が蒸気機関車をお払い箱にしたと言う話は本当かと尋ねました。太っちょの局長はその話が事実である事とゴードンの昔の仲間が1台を除いて同じ目にあった事を教えると、ゴードンは悲しそうに列車を引いていきました。ゴードンを可哀そうに思った太っちょの局長は、あることを思いつきました。
ある晩、ゴードンの弟のフライング・スコッツマンがやって来ました。彼を見たゴードンは大喜びしました。
翌日、ゴードンとフライング・スコッツマンが並んで写真を撮ってもらっている時、ゴードンはフライング・スコッツマンに炭水車が2台あるのは特別だからかと聞きました。フライング・スコッツマンは、イングランドでは石炭も水もほとんど使わないから2つ炭水車が付いている事と、ゴードンは太っちょの局長の下で働ける運の良い機関車だと教えました。
フライング・スコッツマンは他の機関車と仲良くなりましたが、ヘンリーは炭水車が2台繋いでいる事に焼餅を焼いていました。そこでダックとドナルドは耳打ちして、ヘンリーに悪戯をすることにしました。ダックはに6台の炭水車をあげる話をすると、初めは冗談だと思っていたヘンリーでしたが、自分の値打ちを見せようと貰うことにしました。話を聞いた機関車達が待っていると、ヘンリーがやって来ますが、彼が引く6台の炭水車は古ぼけた汚い物でした。それを見た誰かは、ヘンリーにヘドロを洗い出したからスッキリしたろうと揶揄ったのでした。
ヘンリーの大かつやく
題名 | |
英語版題名 | Super Rescue |
日本版旧題名 | ヘンリーの大かつやく |
日本版新題名 | ヘンリーの大かつやく |
登場キャラクター | |
主要キャラクター | ヘンリー D7101 D199 |
サブキャラ | ダック ドナルド フライング・スコッツマン 太っちょの局長 ヘンリーの機関士 信号係 |
モブキャラ | ジェームス 貨車 客車 ヘンリーの助手 お客 車掌 |
ノース・ウェスタン鉄道にD7101とD199というディーゼル機関車がやって来ました。D199は、ノース・ウェスタン鉄道の蒸気機関車時代も長くないと言ったため、ダックは言い返しましたが、D199は気にしませんでした。
次の日、加減弁が壊れたヘンリーが機関庫に帰っている最中、石油輸送列車を引くD199に出会います。ヘンリーは馬鹿にされると思っていましたが、D199は故障して動けなくなっていたのです。信号係がD199の事を肉の缶詰(スパム缶)と揶揄して、ヘンリーに後続の特急列車の邪魔にならない所へ移動させるように言いました。ヘンリーがD199と石油輸送列車を邪魔にならない場所まで移動させると、D7101が引く特急列車が走り抜けましたが、D7101の排出機も故障してしまい、ブレーキが勝手に掛かって止まってしまいました。D7101もヘンリーが助けることになりましたが、列車にブレーキが掛からないようにすれば、D7101は走行可能で、重しになるのはD199だけで済むことが判明します。D7101とヘンリーは協力してD199・客車・貨車を駅まで引っ張りました。駅に着くとお客は怒って飛び出しましたが、事情を知るとヘンリーに感謝しました。特急列車はD7101に代わり、フライング・スコッツマンが引く事になってお客は興奮しました。石油輸送列車はドナルドが引き受けることになりました。太っちょの局長は多大な迷惑をかけたD199をイングランドの鉄道に送り返すことを命令しました。
ヘンリーと一緒に帰ることになったD7101は、排出機の故障で迷惑を掛けてしまった事を謝りましたが、ヘンリーは排出機の故障はよくあることだし、自分も加減弁が壊れていたことを教えると、D7101は感心して黙ってしまいました。
大脱走
題名 | |
英語版題名 | Escape |
日本版旧題名 | 大だっそう |
日本版新題名 | 大脱走 |
登場キャラクター | |
主要キャラクター | ダグラス オリバー イザベル トード |
サブキャラ | ダグラスの機関士・助手 オリバーの機関士・助手 作業長 夜勤の作業長 |
モブキャラ | 貨車 通りかかったディーゼル機関車 クラス08 D5701 |
イングランドの駅まで夜行の貨物列車を引いてきたダグラスは、帰り支度をしていると悲しそうな蒸気の音を聞き、声をかけてみました。すると太っちょの局長の機関車かと聞かれたので、ダグラスは誇らしく肯定すると相手は安心しました。ダグラスと会話した機関車はオリバーと言う名のタンク式蒸気機関車で客車のイザベルとブレーキ車のトードと一緒にノース・ウェスタン鉄道に逃げて来たのですが、石炭が切れてしまったのでした。スクラップにされそうになっているオリバー達をダグラス達は助けることにしました。オリバーのピストン棒を外したり、輸送中の札やSCRAP(スクラップ)とチョークで書いたりすると、ダグラスは連結して後ろ向きに出発しました。ディーゼル機関車に逃げ出したと叫ばれ、挙句の果てには作業長に止められてしまいました。作業長は、オリバー達を見て連れてっていけないと言いますが、ダグラスの車掌が様々な書類を見せる事で怪しまれつつも通してもらうことに成功しました。オリバーはダグラスに、親切な信号係が逃がそうとしてくれたけど管制室に噂が流れて捕まえにかかり、信号係が使われていない支線に隠してくれて、機関士達が入り口をガラクタで隠したことを語りました。
ノース・ウェスタン鉄道に着いたことをダグラスがオリバー達に伝えると、嬉しそうなベルの音が鳴ったのでダグラスは驚きました。音の正体はイザベルのベルで、イザベルを押して走るときに何かがあると鳴らすのだとオリバーは教えました。ダグラスがトードの事を聞こうとすると、工場が近いから静かにして隠れ場所を見つけようと言いました。しかし夜勤の工場長に聞こえてしまい、事の顛末を話すと人目に付かない待避線を教えてくれました。ダグラスはオリバーと別れると、ドナルドのお陰で救われた自分と比較して、オリバーは勇敢な機関車だと思いました。
小西部鉄道
題名 | |
英語版題名 | Little Western |
日本版旧題名 | 小西部鉄道 |
日本版新題名 | 小西部鉄道 |
登場キャラクター | |
主要キャラクター | ダグラス 太っちょの局長 |
サブキャラ | ドナルド ジェームス ゴードン ダック オリバー くま フライング・スコッツマン イザベル ダルシー アリス ミラベル トード フライング・スコッツマンの持ち主 |
モブキャラ | 客車 |
ダグラスが機関庫に戻ると丁度フライング・スコッツマンが帰るところでした。太っちょの局長はフライング・スコッツマンとフライング・スコッツマンの持ち主にお礼・ノース・ウェスタン鉄道はいつまでも蒸気機関車を走らせ続ける事・蒸気機関車が好きな人を大歓迎する事を伝え、皆は大歓声をあげました。こうしてフライング・スコッツマンは皆に見送られながら帰っていきました。
その後、ダグラスは他の機関車達にオリバー達の事を話し、機関車達はオリバー達を助けようと決めました。機関車達が話し合っていると、太っちょの局長がやって来ました。ダックがもう1台機関車が必要なことを言うと、太っちょの局長は肯定しD7101にもう1度やらせてみることを言いました。機関車達は慌てて蒸気機関車が欲しいことを言うと、太っちょの局長に今は滅多に手に入らない事を言われ、ダグラスが逃げて来た機関車の事を話そうとすると、太っちょの局長は知っていました。それもその筈。オリバーの機関士達が太っちょの局長にダグラスの活躍をすっかり話していたのでした。太っちょの局長はダグラスを褒め、オリバー達がノース・ウェスタン鉄道で働けることを言うと、機関車達は大歓声をあげました。
事はすべて上手く収まりました。
D7101はヘンリーが褒めたことで皆の仲間になりました。D7101が出すディーゼル機関車特有の唸り声に皆は熊のようだと揶揄いましたが、これがキッカケで「くま(本来は読み方そのままのベアーが正しいが、日本語版では直訳となっている)」と言うあだ名が付き、D7101も気に入っています。
トードはダグラスのブレーキ車に名乗りを上げ、ダグラスは喜びました。
太っちょの局長は3両のグレート・ウェスタン鉄道の客車も助け、その内アリス・ミラベルはダックの、ダルシーはオリバーの客車になりました。
ダックとオリバーが働く支線を皆は「小西部鉄道(リトル・ウェスタン鉄道)」と読んで笑っていましたが、この呼び方をダックとオリバーも気に入って、誰も他の呼び方をしようと思わなくなりました。
本巻の映像作品
きかんしゃトーマス版
きかんしゃトーマス第3シリーズの『たんすいしゃがほしい』『オリバーのだっしゅつ』の2話で3話分映像化された。ただし、映像化されたすべての話が、かなり改変が行われている。
2020年1月現在「ヘンリーの大かつやく」は映像化されていない。
たんすいしゃがほしい
『ヘンリーと炭水車』の映像作品。
大まかな話の流れは原作に忠実だが、予算や権利関係の都合上フライング・スコッツマンが出演できない制約などがあり、その周辺では大きく変更が加えられている。
- 原作の大まかな流れは、嫌な世の中で憂鬱になったゴードンに昔の仲間が1台を除いてお払い箱にされたと聞いて悲しくなっている時にフライング・スコッツマンがやって来て、彼を見たヘンリーが炭水車を欲しがった挙句に汚い炭水車を引かされるものだったが、こちらでは、皆ががぶ飲みしているゴードンを注意した後、2台の炭水車を見て炭水車が欲しいと思うゴードンにディーゼルが蒸気機関車に代わって走ってやると言ったために腹を立て、翌日、トップハム・ハット卿に蒸気機関車をお払い箱にしない事と2台の炭水車を付けた機関車は補給する場所が少ないから多く付けていると聞き、少し元気になった。しかし、今度はヘンリーが炭水車を欲しがった挙句に汚い炭水車を引かされるというものに変更された。
- 予算不足の影響でフライング・スコッツマンは登場しなかった。
- トップハム・ハット卿の話を聞いたゴードンは、原作では悲しくなったが、こちらでは少し元気になっている。
- ヘンリーが炭水車を欲しがった理由が、原作ではフライング・スコッツマンへの焼餅だったが、こちらは働き通しという理由だった。
- 炭水車を付けたヘンリー>を一目見ようと集まった機関車の一部(原作ではダグラス、フライング・スコッツマンがTV版ではトーマス、エドワード、パーシーに)が変更されている。
- 終盤にヘンリーを揶揄ったのは、原作ではヘンリーの推測でゴードンだと思われるが、こちらは確定してゴードンであった。
オリバーのだっしゅつ
『大脱走』『小西部鉄道』の映像作品。
基本的に原作に忠実だが、以下の変更が加えられている。
- 原作の大まかな流れは、オリバーに出会ったダグラスが脱出に協力し、道中で脱出時の出来事や解説をしつつ工場に到着、ダグラスが帰るとフライング・スコッツマンのお別れ会をして見送ると、仲間にオリバーの事を話して助けることを決め、トップハム・ハット卿にそのことを話すと、既にオリバー達は助けられるものだったが、こちらでは、お喋りしているエドワードをダグラスが注意し、その後エドワードがダグラスとトレバーはスクラップにされそうになった点で似ている点とトップハム・ハット卿がもう1台機関車を欲しがっている事を話し、その晩オリバーに出会ったダグラスが脱出に協力し、仲間にオリバーの事を話して助けることを決め、トップハム・ハット卿にそのことを話すと、既にオリバー達は助けられるものに変更された。
- 脱出メンバーは、原作ではオリバー・イザベル・トードだったが、こちらではオリバー・トードに変更された。
- 脱出時、原作ではダグラスがオリバー達と貨車を引いていたが、こちらでは貨車を引いていない。
- 上述の変更などの影響でフライング・スコッツマン・D7101・イザベル・ダルシー・アリス・ミラベルが登場しない。