概要
歌島は、金田一少年の事件簿に登場する南伊豆沖合の島。作中にて歌島を舞台として起きた殺人事件は、20年後の殺人事件も含めると計4回に及ぶ(各事件は後述)。金田一少年の世界においては最多に人が死んでいる島となっており、金田一にとっても因縁のある島。
もともとは人っ子一人いない無人島だったが、明治時代にとある資産家がオペラ座に影響を受けた劇場や別荘を建て、のちに演出家の黒沢和馬が島を買い取ってその別荘をホテルに改築、「オペラ座館」として開業する。
島を行き来するためには一隻以上の船が必要。そのため何かしらの理由で船が出せなくなったり来られなくなったりすると脱出不可能な孤島と化し、実際それが原因で警察や助けが来れず連続殺人事件発生にまで至るという某アガサ推理小説のような展開になった。
事件
オペラ座館殺人事件、オペラ座館・新たなる殺人、オペラ座館・第三の殺人を合わせて「オペラ座館3部作」と呼ばれることがある。
オペラ座館殺人事件
金田一少年の事件簿原作における最初の事件。なので金田一や美雪ちゃんは当然だが、剣持のオッサンの初登場回であり、オッサンが金田一を気に入るきっかけを作った事件といえる。
黒沢和馬によって開業されたホテル、オペラ座館にて「オペラ座の怪人・ファントム」を名乗る犯人によって起こされる連続殺人事件。この事件以降、オペラ座館では犠牲者1人が劇場にて落とされたシャンデリアに潰される事件がお約束に(ただし原作のオペラ座館殺人事件では照明機材となっている)。
ちなみにアニメ版では学園七不思議殺人事件が最初に放送されており、オペラ座館殺人事件が放送されたのは21話~23話。照明機材はしっかりシャンデリアに変わり、登場人物の一部や犯人なども原作からチョチョイと変えられている。ドラマ版では3話で放送。
オペラ座館・新たなる殺人
その名の通り、金田一がまた歌島に行き、また起こった殺人事件の謎を解く羽目になった。
オペラ座館が取り壊しの後に新築されたということで、黒沢和馬が金田一たちを新築記念公演に招待した挙げ句、歌島の呪いか、あるいは歩く死神・金田一の能力か、案の定殺人事件が発生してしまう。
TV放送ではなく、劇場版1作目としてアニメ映画化された。金田一はいつもの松野太紀氏ではなく、同業者のバーロー演じる山口勝平氏が声を当てている。
オペラ座館・第三の殺人
二度あることは三度あるッ!!懲りていないのか馬鹿なのか、弟子たちが亡くなった黒沢和馬を偲ぶ公演にまたまた金田一たちをご招待。この先の展開はもう言わずもがな…。
今回の事件で、事件の全貌を明かされてヤケクソになった犯人がオペラ座館の劇場に放火し、骨組み残して焼け死んだ模様。この後綺麗に取り壊されたと思われる。
TVアニメスペシャル第1弾として2007年11月12日に放送、ドラマ版では第5シリーズFile.7として2022年6月26日から7月3日にかけて放送された。
歌島リゾート殺人事件
金田一37歳の事件簿最初の事件。音羽ブラックPR社に勤める金田一は、死人が出ている曰く付きのくせして「ステキなラブクルージング」などとなぜかリゾート化されている歌島の案内を発見。過去の因縁から当然行く気はなかったが、部下の葉山まりんの半ば独断の立候補で、仕事という理不尽を以てイヤイヤ歌島に行くことになった。そして当然のように起こる殺人事件。謎を解きたくなかった金田一は再びじっちゃんの名のもとに、事件を解き明かすに至る。実はこの事件の犯人にはとある人物が関係していて…?
この事件では上記の通り金田一少年の事件簿の原作では最初の事件であるオペラ座館殺人事件の舞台である歌島が舞台にされていたり、最初の犠牲者の名前と殺され方がなんかあの人に似ているなど原作のリスペクトが見られる。しかし劇場はもちろんオペラ座館がすでに取り壊されていたため誰かがシャンデリアに潰されるお約束は見られなかった…かと思いきや、二人目の犠牲者を部屋の比較的小さなシャンデリアを使って殺すという形でお約束を果たして見せた。
犯人たちの事件簿では
やはり最初の事件ということで初代ファントムが一番目に登場、その後もちょくちょくゲスト出演で顔を見せている。
また6巻の巻末に連載されている「金田一少年の事件簿外伝オーナーの事件簿」では、オペラ座館のオーナーだった黒沢和馬が登場、37歳の事件簿を読みながら「また歌島!!」「燃えたのにまだ行くか!!」など怒涛のツッコミを入れて、大量のイブニングと自分の衣服に攻撃を加える姿が描かれた。そのせいで破かれたり叩きつけられたイブニングを毎度毎度スタッフが後で楽しく読まなければならない事態に陥り、また衣服も楽しく縫合することとなった。前述のツッコミは黒沢曰くすべて「演技」だったらしいが、楽しくイブニングを読み、衣服を楽しく縫合しなければならないスタッフの気持ちを考えてほしいところである。
島の建物
オペラ座館本館
ジョージアン・スタイルという建築様式で建てられた荘厳な佇まいの洋館。
周囲は手入れが行き届いた洋風庭園で囲まれているが、裏側は絶壁に面している。崖下は海であり、落ちたらまず助からない。
元は資産家の別荘だったが、黒沢和馬が6年かけてホテルに改装した。
劇場
演劇好きだった資産家の男が建てた小さな劇場。
古びているが設備はしっかりしており、独特の風情があるため『オペラ座の怪人』を演じるには絶好の場所。
オペラ座館殺人事件の後、老朽化に伴い取り壊されるが新しい劇場が建てられた。
地下には迷宮が張り巡らされており、劇場の真下からは幾つもの光の筋が漏れるようになっている。
離れの塔
本館の食堂から見る事が出来る塔。
中には螺旋階段があり、毎晩螺旋階段に蝋燭の火が灯される。
ここには資産家の男が隠れ住んでいた小部屋があり、中には何枚ものファントムの仮面と男が綴っていた日記があった。
黒沢美歌の墓
4年前にオペラ座館の劇場で自殺した黒沢美歌が葬られている墓。
黒沢の計らいで、見晴らしのいい岬の上に立てられた。
間久部青次のアトリエ
オペラ座館の常連である画家・間久部青次が使っているアトリエ。
中には美歌の肖像画が何枚も飾られている。
呪いの歌島
作中での殺人事件の他にも、歌島、及びオペラ座館では謎が残る後味の悪い奇妙な事件が起きている(連続性と奇怪さで言えば某村の神様の祟りにも引けを取らないレベル)。
最初に所有者だった資産家が行方不明となり、続いて館を手に入れた華族の白神家にも立て続けによくない事が起きたらしく、果てに白神家は没落。前述の黒沢和馬も車ごと崖から海にダイブし、行方不明。遺体が引き上げられていないためこの扱いだが、おそらく自殺したと思われる。