「力を得たからと言って、何故わざわざ危険を冒してまでモンスターと戦う必要があるんですか? それよりも力を楽しんだ方がずっといい……」
演:山崎裕太
概要
ドン21話に登場するゲストキャラ。青のアロハシャツを着ている。
かつてサルブラザーの変身者に選ばれるも、その力を私利私欲に用いた為にドンブラザーズに正規加入する事なく剥奪される結果で終わった男(その為、ドンブラザーズの管理人である介人とも面識はない。また、キビポイントのシステムを知らないことやヒトツ鬼をモンスターと呼んでいることから桃井陣との接触もないと思われる)。
当代の変身者たる猿原真一とはある意味先輩後輩の関係だが、直近か数代跨ぎなのかは判明していない。
元は「極ラーメン道 松井組」で真面目に働き、店長からも片腕扱いされていた誠実な人物だったが、常人には出来ない事が出来るサルブラザーの力へ次第に酔って増長。ヒトツ鬼と戦う為でなく自分の為(脳人レイヤーを女の子とのデートやアイドルの握手会への割り込み等に利用する、変身してスポーツ大会に出場して優勝する、等)に力をどんどん使い、性根が腐り出して私利私欲の鬼となった挙句、ドンブラザーズの力は消え、以前の職場から追い出されて、職無しの流れ者になってしまった模様。
当代のサルブラザーである真一に対しては、物腰低く接するが、性根は治り切っておらず、松井組を解雇された際に意趣返しに店長の宝物であった俳優・宇都宮テツ(演:妹尾青洸)のサインを盗んだ事で決定的な確執へと拗れさせた。
真一との接触後、一度は松井と譲歩しあう姿勢を見せるも、その真の目的は「サインと交換で、『松井組の店で出してるラーメンの秘伝のタレ』を手に入れ、それを使ってラーメン屋として再起する」事であり、真一から「(そんなものに頼るより)自分の味で勝負したらどうなんだ?」と尤もな指摘を受けても、「ごめんですよ、そんな面倒な(事は)…」と、完全に他力本願な怠け根性を披露する始末。
さらに、肝心の『宇都宮テツのサイン』はとうの昔に「金に困って」勝手に売却しており、松井にはでっち上げた偽物を返却していたという事実が発覚し、白井もまた松井から奪ったタレが『秘伝のタレ』ではない事を知り、双方、騙されたと激怒して再び小競り合いに発展。
そんな二人の不毛極まる諍いに、しびれを切らした真一から「お互いに欲望を捨てるべき」と諌められながら、松井共々秘孔を突かれることで空想の世界へと引き入れられ、そのままなりゆきで『空想の砂漠の中で我慢比べ』という奇妙な対決へと持ち込まれ、松井が先にギブアップして、サインを諦めた事で、目的の品であった『松井組の秘伝のタレ』は手に入れそこなったものの、一応諍いには決着がついた。
だが一連の騒動を通して、当代のサルブラザーたる真一の欲望に惑わされずに己の道をゆく姿や、力と上手く付き合っている姿を目の当たりにした事で、同じ力を得ながらも正反対の道をゆく彼に対し、疑問、羨望、嫉妬、そして治り切らない己の脆弱な性根に対する劣等感や葛藤といった様々な感情が徐々に活性化し、その結果侍鬼を引き寄せる事に。
しかしこれを逆に好機と見たか、あえてヒトツ鬼となって真一らドンブラザーズに挑み、自分の性根を叩き直し、答えを見出す選択を取った。そんな白井の覚悟を汲んだ真一も全力で戦う事でその決意に応え、彼の迷いを打ち払う事を決心した。
そしてドンブラザーズに倒されて救われると同時に心機一転した白井は、松井に掴まされたラーメンのタレを使ってラーメン屋台を開き、『自分の味』で再出発する道へと進んだ。
因みにメニューには真一に触発されて出来た『空想ラーメン』が並んでおり、これを求めて真一も常連客の一人になった様子。
余談
これまで、ドンブラザーズのメンバーは適当な市民の中からランダムに選ばれるシステムである事が言及されていたが、彼の登場とその事情が明かされた事で、現行メンバーになる以前のメンバーの存在や、彼らがどうして戦士を続けられなかったのか、その具体的な事情が明らかになった。
劇中ではサルブラザーの力を「くだらない」私利私欲に使ったという白井に呆れていた真一であったが、白井自身も当記事冒頭の台詞で問いかけている通り、誰だってある日突然、超常的な力や武器を手に入れて、それが自分の意志で自由に使える様になったりすれば、真一を始めとする現行のドンブラザーズメンバーのように他人の為に使おうと考えるよりも、白井の様に『楽しむ』為に使いたがる方向に行ってしまうであろうし、ましてや力を得たからといって、見返りもなく(一応、“ドンブラザーズとして戦い続ける事で代償を伴いながらも、どんな願いも叶える事ができる”という特典もあるのだが、それを教える管理人である介人と接触する事無く力を剥奪された白井は、それを知る由もなかった)いきなり得体の知れないモンスターと命懸けの戦いを求められると、割に合わないと拒絶するのが「“普通”の人間」としては当たり前と言える反応であろう。
そんな良くも悪くも『スーパーヒーローとしての力を手に入れた一般人』をリアルに反映した白井の人物像は、まさにこの手の風刺に関して一日の長がある井上敏樹先生の手腕が見事に光った物であると好評を博していた。
また、現行メンバーになるまでに約5000人もの人々が脱落し、その原因の多くは白井の様に『力の使い方を間違えてしまった』為であるとの事だが、白井はズルやかっこ付けといった(真一曰く)「くだらない」レベルで収まっていたものの、5000人という脱落者の多さ故に、中には「白井よりももっとたちの悪い私利私欲や、凶行を犯した者もいるのではないか?」と考察する意見も多い。
彼が握手会の列に割り込んで握手したアイドルはドン12話にて宇宙鬼が拉致したアイドルの一人であった『炭酸アイドル コーラちゃん』である(時系列的には今回の方が過去の話となる)。
関連人物
松井
演:殺陣剛太
ラーメン屋「極ラーメン道 松井組」の店長。周りからは組長と呼ばれる。
サルブラザーに変身出来る様になってから仕事そっちのけで遊び呆ける様になった白井をクビにしたが、その腹いせで自身が宝物としている俳優・宇都宮テツのサイン(滅多にサインをする事のないテツが自分の店のラーメンの味を気に入った事で特別に書いてくれた貴重なものとの事)を盗まれてしまい、現在、店の店員達と共に白井と抗争状態にある。
一度は『サインを返却する代わりに、松井組の店で出してるラーメンの秘伝のタレを譲る』という条件で手打ちにする話でまとまりかけるが、お互いに偽物を掴まされた事で決裂。
最終的に埒が明かない争いを見かねた真一によって、空想による我慢比べ対決で決着を着ける事となり、先にギブアップして、サインを諦めて退散した。
…が、一連の経緯を客観的に見れば、完全に白井の逆恨みであり、その為にサインを盗まれるだけでなく売却され、挙げ句にわけのわからない空想我慢比べに興じさせられて、強引にサインを諦めさせられた彼は、只々不幸な被害者としか言いようがない……
サインが入った映画のポスターに記された他の俳優の名前は侍戦隊シンケンジャーのレギュラー出演者の名前の捩り。