「妖怪王国軍師・白面郎。カクレンジャー、もはや大魔王様の復活を止める事はできぬ。諦めて引き下がるのだ」(第30話)
概要
初登場の際にはカクレンジャーを軽く一蹴し、さらに(大魔王の助力を得ていたとはいえ)超忍獣をも退けてみせるなど、並々ならぬ強さの持ち主でもあり、大魔王からも厚い信頼を寄せられている。得物である刀は先端から光のムチを伸ばすことが可能で、これ以外にも弓矢を用いたこともある。
その正体は、鶴姫が7歳の頃に病で他界したはずの実父・義輝である。当初は骸骨を模した面頬で顔を隠していたが、サスケからの一撃でこれを割られたことで、以降はそのまま素顔を晒した状態で行動するようになる。
百地三太夫が語るところによれば、物語開始から遡ること10年前に大魔王の存在を知った義輝は、息子同然に育ててきた太郎・次郎の兄弟を伴って大魔王退治に旅立ったが、その途上で妖怪達に捕まって太郎・次郎兄弟は行方不明となり、そして義輝は命と引き換えに妖怪の仲間になることを迫られ、それを呑んで大魔王の軍門に降ったとされる。
このような経緯ゆえに、大魔王の息子である貴公子ジュニアからは「本当はまだ人間の味方であろう」と警戒視されており、さらには「白面郎が三太夫と裏で内通して父の復活を阻止し、自らがこれに取って代わって妖怪世界に君臨しようとしている」と睨まれていた。
真の狙い
結果的には、ジュニアの疑念は「半分は」的を射たものであった。
大魔王の軍門に降ったのは、犬に姿を変えられてしまった太郎・次郎兄弟の命を助ける見返りとしてであり、表向きは大魔王に忠実に仕えながらもその裏では隠流忍者の使い手として、これを討伐し人間世界を守るべく大魔王の弱点を探り続けていたのである。
三太夫もこのことは承知ずくであり、その最期の時まで白面郎の真意を明かさずにいたが、それでも鶴姫は父が人間を裏切ったとは思えないとして、あくまで何らかの意図があって妖怪の側についたのではないかと考えていた。
そんな鶴姫の思いを裏付けるかのように、白面郎は以降もニンジャマン再来の際等に、折に触れてカクレンジャーを陰ながら手助けするような行動に及んでいるが、その行動によって大魔王に薄々裏切りを見抜かれているとも感付いており、物語終盤ではダラダラの誕生でカクレンジャーに危機が迫る中、太郎・次郎兄弟とブンを通じてカクレンジャーに接触を図り、自らが突き止めたダラダラの弱点を伝えようとする。
が、大魔王はその行動すらも利用してカクレンジャーを一網打尽にせんと罠を仕掛けており、そのための手駒にされていたことを知った白面郎もまた、大魔王によって敢え無く消し飛ばされてしまうのであった。しかしこの時、ダラダラの弱点についての情報を兜の前立てに収めて飛ばしており、後にこれがサスケの手に渡ったことで、彼に逆転の糸口を掴ませることともなった。
翻弄される運命
こうして白面郎は裏切り者として散ったかに見えたが、実はまだ生かされており、まだ利用価値があると嘯く大魔王の妖術によって石化され、しばらくの間その姿で過ごすことを余儀なくされた。
そして物語最終盤では大魔王によって魂を抜かれ、操り人形として人々を襲うよう仕向けられてしまう。さらに大魔王はそのことによって精神的に追い詰められた鶴姫に、彼女自身の手で白面郎の命を断たせることで、再起不能へと追い込むように仕向けている。
しかし、その目論見はサスケの乱入もあってすんでのところで頓挫し、白面郎もまた太郎・次郎兄弟の命と引き換えに魔力を解かれて元の姿へと戻った結果、鶴姫とも無事再会を果たすこととなる。そして大魔王が封印され妖怪軍団との戦いが終わった後、再び新たな旅に出た鶴姫達をブンと共に見送った。
余談
演者の五代高之氏は、過去のスーパー戦隊シリーズにおいても『太陽戦隊サンバルカン』で2代目バルイーグルこと飛羽高之を演じており、シリーズにはこれが2度目の出演となる。
甲冑のデザインは岡本英郎氏が担当。デザイン作業の段階ではそのバックボーンについては固まっていなかったようで、「和風の鎧でカクレンジャーを助ける」「続柄とかは分からないけど助ける」といったポイントを制作サイドから提示された上で、顔に骸骨っぽいイメージを持ってきてまとめたものとなっている。デザイン画稿には腰に帯びた刀の他、長刀状の武器と旗指物も装備品として描かれているが、刀以外はいずれも没とされている。
また岡本氏は後年のインタビューの際、デザイン的には過去に自身が参加したアニメ作品(※)の作中に登場した鎧を実写化したらどうなるのか、といったテイストであることも指摘している。
(※ 具体的な作品名については触れられていないが、恐らくはこの作品であろうと考えられる)