ピクシブ百科事典は2024年5月28日付でプライバシーポリシーを改定しました。改訂履歴

窓ぎわのトットちゃん

まどぎわのとっとちゃん

『窓ぎわのトットちゃん』とは、タレントの黒柳徹子氏の幼少期を綴ったエッセイである。
目次 [非表示]

きみは、ほんとうは、いい子なんだよ


概要編集

タレント女優黒柳徹子氏が、自らの小学校時代のエピソードを綴った自伝エッセイとして、1981年講談社から出版。日本国内で750万部の戦後最大のベストセラーを記録し、芸能人が著すいわゆる「タレント本」の先駆けとなった。これまで世界35カ国で発売され、この記録は一般書の記録として現在も破られていない。全世界での累計発行部数は2500万部を超えており、「最も多く発行された単一著者による自叙伝」として2023年にギネス世界記録に認定された。


タイトルの「トットちゃん」は、黒柳氏が舌足らずで「徹子」をうまく言えなかったので、自分のことを「トットちゃん」と呼んでいたことに由来する。また、「窓ぎわ」は出版当時、周囲から疎外されているサラリーマンを「窓際族」と呼んでいたのと、彼女が小学校時代にチンドン屋を呼ぶために、授業中に窓辺にいたことから名づけられた。物語は、黒柳氏が問題児とみなされて区立小学校を退学させられ、トモエ学園という私立校に転校したところから始まり、以降トモエ学園での様々なエピソードが、同級生実名とともに紹介されている。


続編編集

2023年10月3日に正続編となる『続 窓ぎわのトットちゃん』が出されている。

なお『続~』が出るまでは1984年10月に出された『トットチャンネル』が事実上の続編扱いであった。ただし『窓ぎわ~』から『~チャンネル』の間には大戦後期から社会人として放送劇団に所属するまでの間隙があり『続~』はそれを埋める内容(時系列として放送劇団所属以降の期間が『~チャンネル』と重複する)となっている。

また、さらに後の時代(『ザ・ベストテン』時代)の内容や本作や『~チャンネル』の内容の副読補足も交えた『トットひとり』も2015年に出版されている。


関連作品編集

黒柳徹子の母親(黒柳朝)もまた本作のヒットで沸き起こった「芸能人(有名人)本ブーム」に乗って自伝エッセイ『チョッちゃんが行くわよ』を出しており、一部、本作の内容を母親側から見た裏話的な内容になっている。

なお、この『チョッちゃんが行くわよ』は、NHK連続テレビ小説第38作『チョッちゃん』の原作となった。


ちなみに2017年に帯ドラマ劇場(テレビ朝日昼ドラ枠。当時の『徹子の部屋』の後続枠番組)にて放送された『トットちゃん!』は、本作(『窓ぎわのトットちゃん』)のみならず『チョッちゃんが行くわよ』(『チョッちゃん』)『トットチャンネル』『トットひとり』の全てを内包・再構成された作品として制作されている。

他のタレント本との違い編集

「窓ぎわの~」が発売されてから、数多くの芸能人やスポーツ選手が自伝などを綴った「タレント本」を出すようになったが、たいてい数か月や1年程で飽きられ見向きもされなくなるが、この本は30年近く経った現在でも読者を増やしている。


著者・黒柳徹子は幼少期の頃から、自他ともに認める注意欠陥・多動性障害(ADHD)学習障害(LD)を抱えており、小学校を退学させられたのもそのため、と現在は考えられている。(そもそも当時その概念すらなかったため周囲からすれば「問題児」以外の何物でもなかったと認識してしまうのも無理はない。)その個性ごと肯定した当時の特別支援教育が現在に通じるものがあり、当時の初等教育や発達障害を考える上でも非常に重要な資料という側面を持っていることも、この本が今尚多くの人から愛読されている要因であろう。


この本の主な舞台となるトモエ学園(旧自由が丘学園)は1937年から1945年までの8年間、自由が丘に実在した小学校であり、「リトミックと創造」を理念として現在の視点から見ても非常に自由闊達な教育が実践されていた。学校の存続した期間は10年にも満たなかったが、その短い間に輩出されたのが著者である。

校舎が東京大空襲で焼失したのち再建はされず、現在は自由が丘の地名と記念碑にその名前を残す限りとなっている。


何よりもトモエ学園自体が前述の大空襲で(戦後に幼稚園は再建されたが初等教育課程の再建は成らなかった上、幼稚園も小林の死去で廃園に至った事から)記録ごと抹消してしまったと見られていたこと(ただし、のちには研究者と小林の遺族の手によってある程度の史料は見つかっている)また校長・設立運営者の小林先生も過去は振り返らない前向きな人物であったがゆえに、それを戦後に得た教え子たちに語らず記述にもそう残さなかった事、などから黒柳が本作を著すまでトモエ学園の存在は凡百の私立と思われていた上、日本の幼児・児童教育の歴史におけるエアーポケット、ミッシングリンクと認識されていた謎の学校だったのである。

黒柳が本書を書いた頃の徹子の部屋のテレビプロデューサーも、彼女とは関係ないところでトモエ学園と小林先生を自らのライクワークとして私的に調査研究し追跡取材をしていたが、黒柳が本書を著した事で「こんな身近に自分が求めていた『答え』を持っていた人がいたとは!」と驚愕したという。

そのため本書は児童教育史学上のトモエ学園研究における超一級の史料でもあるのだ。


また余談だが、愛知県では発売された当時、「芸能人が書いた本は子供の教育に相応しくない」と言う理由から、窓ぎわのトットちゃんが学校の図書館に置かれなかったことがあった。



アニメ映画編集

2023年3月20日、劇場アニメ化されることが発表された。2023年12月8日公開。

アニメーション制作をシンエイ動画、監督を八鍬新之介、キャラクターデザインを金子志津枝が担当。

主題歌は、あいみょんの「あのね」。


キャスト編集

トットちゃん - 大野りりあな

小林先生 - 役所広司

パパ - 小栗旬

ママ -

大石先生 - 滝沢カレン

泰明ちゃん - 松野晃士

ローゼンシュトック - ダニエル・ケルン

斎藤秀雄 - 駒田航

赤松小学校の先生 - 園崎未恵

泰明ちゃんの母 - 加納千秋


関連イラスト編集

窓ぎわのトットちゃん公開記念!


余談(アニメ映画)編集

本作で小林先生を演じた役所広司は『チョッちゃん』では主人公・北山蝶子(黒柳朝)の恩師を演じている。


pixivでは編集

近年のpixivでは(ある意味、当然だが)アニメ映画版のファンアートが投稿される傾向にある。それ以前は本作の原作となるエッセイの内容をイメージ(作者の想像)で視覚化した画像が投稿されていた。


ただし、ここでひとつ気に置いて貰いたいのは「この作品の原作は、あくまでも黒柳氏のエッセイであり史実が原典である」という事。ゆえに学園の校長である小林先生を筆頭にほとんどの登場人物には実在するモデルがいる(例:山内泰二。仁科賞も受賞した事のある著名な物理学者)。もちろん、登場人物たちの(モデルとなった人の)血縁だって現代に生きている(例:中川翔子。彼女はトットちゃんの友だちとなった山本泰明の従姪孫(従姉妹の孫娘)にあたる)。


要は本作は同人用語に言うところのナマモノ作品(そのものではなくとも、それにより近い位置にある作品)なのである。


なので本作のファンジン作品を制作・投稿する場合には実在の人間をネタにしている事実を重々ご承知置きの上で人としての敬意を忘れぬよう行動していただきたい所ではある。



関連項目編集

黒柳徹子 エッセイ


いわさきちひろ - 挿絵を担当。ただし本作のために描き下ろされたものではなく、他の目的のために描かれたものの転用が多い。

和田誠 - 表紙デザインを担当。ちなみに和田は本作の仕事が縁となって徹子の部屋に出るようになった(それ以前はオファーがあっても拒否していた)。

関連記事

親記事

黒柳徹子 くろやなぎてつこ

pixivに投稿されたイラスト pixivでイラストを見る

このタグがついたpixivの作品閲覧データ 総閲覧数: 70976

コメント

問題を報告

0/3000

編集可能な部分に問題がある場合について 記事本文などに問題がある場合、ご自身での調整をお願いいたします。
問題のある行動が繰り返される場合、対象ユーザーのプロフィールページ内の「問題を報告」からご連絡ください。

報告を送信しました

見出し単位で編集できるようになりました