美杉義彦
みすぎよしひこ
「自分に特別な力があるだなんて思わないことだ」
演:升毅
年齢45歳。城北大学心理学専攻の教授。風谷真魚の叔父だが、真魚の父・伸幸とは義理の兄弟である(美杉の妻の兄か、美杉の姉の夫)。
東京都豊島区雑司が谷に自宅がある。
劇中に登場しない妻は教職のために海外へ出張中であり、現在は息子の太一の他に、父親を亡くした姪の真魚、友人である国枝東経由で知り合った津上翔一の2人の居候と暮らしている。
実直な人柄だが、大変酒ぐせが悪く、酔っ払った様子は家族が引いてしまうほど。
子供っぽい性格も垣間見えており、真魚と太一の悪ノリに同調したり、太一らが国枝の話題で盛り上がったときには拗ねたような態度を取っている。
時間にルーズな一面もあり、翔一いわく「カップラーメンをお湯を入れてから3時間後に食べた」ことがあるようだ。
超能力の存在については懐疑的(その理由は後述)で、元教え子である小沢澄子のつてで知り合った氷川誠とは幾度と議論を交わしている。
翔一と真魚の2人を居候させている他、翔一に免許取得やバイクを買い与えたり(小説版)、劇場版ではピアノを購入、素性を明かさない紗綾香を真魚に頼まれて居候させるなど、経済能力での高さが窺える。
家事や自炊は壊滅的で翔一に頼りきりとなっているが、翔一が不調の際には自ら率先して家事を行っている。
視聴者からは、「翔一が居候する前にはどうしていたのか?」と疑問に思われることも少なくない。これに関しては、妻の海外出張とほぼ同時期に翔一が居候に来たと考えれば一応辻褄は合う。
大学の教授ということもあり、自宅に教え子を招いて講義や検証を行うこともある。出張の機会も多く家を翔一らに任せており、榊亜紀が家政婦と偽り潜入したこともある。
第13話・第14話では、河野浩司が風谷伸幸殺人事件の重要人物と考えている伸幸が殺害される前に喫茶店で議論を交わしていた男性だと視聴者に明かされている。本人も、当時の喫茶店の周年記念でもらったマグカップを苦い表情で見つめていたが…。
劇場版では小沢と再会している。彼女に対しては、他の学生を先導して講義をボイコットされた過去を根に持っていた。
「人には思い出したくないこと…忘れてしまいたい記憶というものがある。でもそれは無理な話だ。忘れようとすればするほど、そういう記憶は何度も何度も甦ってくる」
実は本編開始の2年前、義彦は義兄の伸幸から超能力の実在や真魚がその超能力の持ち主である事、そして超能力者から生まれるアギトの存在について聞かされていた。
終盤にて、北條透が伸幸の死の真相について気付き、それを真魚に語ったのを機に、自らの抱え込んでいた秘密を翔一に打ち明けることになる。
超能力が扱える娘の真魚の存在もあってか、超能力の実在を信じて疑わなかった伸幸は、翔一(本物の沢木哲也)の実姉である沢木雪菜を被験体とした研究を行い続け、その成果は元々超能力に懐疑的であった義彦ですらも「超能力は本当に実在していた」と確信させるだけの実用レベルにまで達していた。
だが、伸幸は科学的に実を結んだ例が皆無である超能力の研究開発に没頭し続けるあまり、次第に人間が侵してはならない領域に踏み込んでいくようになる。そのことを危惧していた義彦は何度も否定的な態度を取っていたのだが、伸幸は一向に考えを変えようとせず、最後に会った日には「自らの手で超人を生み出してみせる」とまで宣言する等、もはや異様とも言える執念に取り憑かれるまでに至っていた。
その後、伸幸が不可解な死を遂げ、さらに雪菜が自殺して恋人の沢木哲也(本当の津上翔一)も後追い自殺した知らせを聞いた義彦は、伸幸が研究を続行し続けた事でアギトに覚醒してしまった雪菜の暴走で殺され、それによって彼女が罪の意識から自殺するに至ったという真相を薄々ながらも察してしまうことになる。
しかし、信幸を殺してしまった雪菜も、彼の野心に振り回された犠牲者であったことを理解し、また伸幸を止められなかった自身にも責任があると感じていた事から、せめて雪菜と同じ超能力者であった真魚に二の舞を踏ませない様にしようと全てを忘れる事を決意。超能力の実在を知りながらも、懐疑的な姿勢を貫いていたのであった。
翔一がアギトであることは長らく知らなかった。また、彼を居候として引き取ったのが沢木(津上)と同じ名前だったのが関係しているかは明かされていない。
ただ、翔一に雪菜に関する真相を語った際の様子からも、彼と雪菜が姉弟であった事実については兼ねてより知っていた事が窺われる。