概要
踏切に隣接する形で設置される警報装置。対象の接近を踏切の通行者に知らせる役割を持つ。
一般的には警報音と、霧やスモッグなどによって散乱しにくい赤色灯を点滅させ、接近を報知することが多い。
詳細
日本の踏切警報機
日本では踏切警報機を取り付ける柱「警報柱」は、概ね黄色と黒の警戒色に塗られ、道路から良く見える箇所に踏切を示す「×」型の警告板を掲出する場合が殆どである。踏切警報機がない踏切は「第四種踏切」に分類される。
柱をさらに高くして、道路の上にキャンティレバーないし角ばったアーチ状にせり出す形状の警報機もある。道路の横に設置するものより遠くからの視認性が良く、街路樹や植え込み、電柱や看板などの構造物によって警告が遮られることが少ないという長所がある。一方で梁の高さが低いと通過できる車両や構築物の高さに制限がかかる、メンテナンスの手間がかかる、という短所がある。
警報灯または閃光灯の色は赤色と決められている。多く警報柱に取り付けられるが、一部では遮断機にも小型の警報灯を取り付けている事業者もある。
歩行者専用の踏切では対象が来る旨の表示をする表示機や電光掲示板が使用されたり、公道で見かける歩行者信号に似た(下の「すすめ」の青灯を、「とまれ」の赤灯に置き換えた形状で、上下が交互に点滅する仕様。例えば江ノ島電鉄で見られる)物も存在する。
警報音は発振器で生成した音をスピーカーから発する電子音式が主流である。音量を下げれば騒音を抑えられ、大きくすれば警告を遠くまで届けられる柔軟性の高さが長所。これを活用して住宅街に設置される踏切は、遮断機が下りるまでは大音量で警告し、通行遮断が完了したら音を小さくして近隣住人へ配慮している。事業者によって電子音の音色が異なるため、事業者や路線ごとの警報音の聞き分けを愉しむ愛好家もある。
かつてはスチールやアルミニウムといった金属製の鐘(やや小さいものは鈴と呼ばれることがある)を叩いて音を出す「電鐘式(でんしょうしき)」「電鈴式(でんれいしき)」または「打鐘式(だしょうしき)」が使われていた。三岐鉄道や嵐電、名古屋臨海鉄道、江ノ島電鉄は21世紀でもなお打鍾式の警報音装置を使用している事業者として、鉄道ファンの間でもよく知られている。アルピコ交通も打鍾式踏切が有名だったが、鐘の打ち子を取り除いた「電鐘モドキ」の過渡期を経て上高地線にある北新踏切が2016年11月に電子音式に更新され絶滅となった。
二つ以上の線路をまたがる踏切では、列車が左右どこから来るかを矢印で表す指示器が設置される。例えば大津里道踏切のような、複数の事業者が共用する踏切ではどの事業者側の車両が通過するか表示する機器を追設していることがある。
厳密には踏切ではなく交差点だが、宇部興産専用道路や大船渡線のように、一般道から来た車両がそれらの車両進入禁止の私道に進入してしまわないよう、平面交差箇所に踏切警報機(と遮断機)を設置、一般車両の誤進入を防ぐ工夫を施す事例も存在する。
日本以外
- リスト
- 作動中に常時点灯する赤色灯をはめ込んだ「+」マーク(静止時)標識をアームに装着、警報装置が発動するとアームを振り子のように左右に振る機構の踏切警報機が、黎明期から使われており「WigWag(ウィグワグ)」の通称で親しまれる。交通機関の高速化でデメリットが目立ち撤去が進んでいる。鉄道関連の保存活動を行っている個人や団体の中にはウィグワグの保存に努めている者もある。
- 一定周波数の音を交互に発し、サイレンの様な音を出すタイプが多いのが特徴。そしてなぜか青色の灯火を使用した踏切がごく一部に存在する。(Youtubeの出典動画は削除済み)