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退廃芸術

たいはいげいじゅつ

退廃芸術は近代芸術を身体的および精神的な病気の表れである「退廃」であるとする理論であり、ナチスドイツにより焚書政策として実行されることになった。
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概要編集

第三帝国ロマン主義的写実主義に即した英雄的健康的芸術、より分かりやすく因習的なスタイルの芸術を公認する一方、前衛芸術などの現代アートに連なる近代美術身体的および精神的な病気の表れである「退廃」であるとする理論であり、ナチスドイツにより焚書政策として実行されることになった。

概要編集

第三帝国ロマン主義的写実主義に即した英雄的健康的芸術、より分かりやすく因習的なスタイルの芸術を公認する一方、前衛芸術などの現代アートにつながるような作品、これは絵画彫刻に限らず音楽も含む、等を都市生活の悪影響や劣等人種に由来する道徳的・人種的に堕落したものであるとして排除を行った政策をいう。

退廃と芸術編集

この「退廃( :Entartete:degenerate )」という言葉が芸術に対し利用されていたのは18世紀より行われ、「規範に外れたや絵画など」を批判するために使われていたいわばレッテルであり、これを近代芸術に適応したのは皮肉にも、あるユダヤ人評論家であったが、この批判はヨーロッパを中心として広まり、特にドイツ右翼に支持される考えとなった。

近代芸術への批判編集

この批判において近代芸術は「過密化した都市」や「過度の工業化」など、近代生活の弊害による、いわば近代犠牲者創作である、というものであり、この考えは「犯罪人論」、すなわち「生まれながらの犯罪者が一定数存在する」という考えをベースとしており現代においては疑似科学とみなされるものである。

ナチスの受容編集

この考えはナチス賛同し、彼らはさらにこの考えに「劣化した民族の影響」を付け加え、さらに過激なものとなったものの、勘違いしてはいけないのはこれはファシズム的思考によるものではなく、その証左としてイタリアではこのような政策は行われておらず、モダニズムの流れを、むしろソ連社会主義リアリズムに類似しており、これらと保守的な流れが結びついた結果とも思われる。

ドイツの美術の流れ編集

この焚書運動の説明を行うため、前後の状況も踏まえ説明を年代順に記述する。

近代美術の目覚め編集

ドイツにおいては19世紀末にはすでに近代美術の目覚めがみられ、これは第一次世界大戦に顕著にみられるようになり、さらにはモダニズム的な美術学校であるバウハウスが国により作られたりもしたものの、一般市民の中にはそれを不快と思うものが存在し、特に保守派民族主義者の傾向があるものには不評であり、批判の対象であったとされる。

1930年編集

ナチスが政権に侵入した1930年、「絵画嵐( Bildersturm )」と呼ばれる「近代美術の公共の場からの追放」政策がとられ、作品の撤去、近代音楽の演奏禁止などが行われたが、これらは政権の他の人物により一部は止められたとされる。

1933年編集

その後政権を奪取独裁となったナチスを止めるものはなく、さらにこの政策は推し進められ、近代美術にかかわる人々の追放なども始まり、さらには著作物の焚書なども行われるようになった。

1934年編集

さらに撤去された近代美術作品を誹謗中傷的に展示されるようになり、これらの作品の「悪質性」を一般市民にあおる行為を行い、さらに同時にナチスが公認する「純粋ドイツ美術」の展示会を行うなどの行為が行われるようになった。

作品のその後編集

これらの運動により撤去された作品は当初は第三国に売却されるものも存在したが、その後残された作品は人々の目の前で焼却されたと信じられていたが、実際にはかなりの作品がその後も存在していたと思われるが、空襲等で失われたり、連合国による占領時に略奪されたものが存在し、存在が公然の秘密状態の作品も存在するといわれる。

戦後編集

第二次世界大戦の終了後、これらの代償は非常に大きなものであった。

  • ドイツ内に存在した近代美術作品の消滅
  • 芸術家の追放による人材の欠乏
  • 芸術作品への焚書を行ったという国自体に対する汚名

などがあげられた。

pixiv編集

pixivタグとしては利用が少なく、これよりも「退廃」「退廃的」のタグが利用されている。


関連項目編集

レッテル貼り 焚書

ナチス 表現弾圧

退廃 退廃的 ゲルニカ(パブロ・ピカソの作品でナチスに退廃芸術と罵られた)

参照編集

wikipedia:同項目

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