東急5000系(初代)
1954年から1986年まで、東京急行電鉄(東急)東横線などで運用された5000系通勤形電車のこと。同社初の高性能車である。塗装とその前面の形から「青ガエル」とも呼ばれた。全盛期は105両が在籍していた。
構造
東急車輛が戦後の技術導入や研究の成果を見せた車両。車体はモノコック構造と高抗張力鋼で徹底した軽量化を行った。側面が傾いている。
また当時としては比較的大馬力のモーターを使い、制御車や付随車を連結する固定編成としている。
当初からの車体色のグリーンだが、初期はかなりビビットな黄緑色(JRのグリーン車マークの色に近似)だったと往時のファンは証言するのだが、後年に顕著な褪色対策から彩度と明度を落としていき、地味なよもぎ色のような色調に徐々に変化していった。
譲渡
東急8000系導入に伴って東急から引退した後は、長野電鉄(2500/2600系)、福島交通(5000形)、岳南鉄道(5000系)、熊本電気鉄道(5000形)、上田交通(クハ290形、5000系)、松本電気鉄道(5000形)へ移籍したが、非冷房だったこともあって現在はすべて引退し、松本電気鉄道を改称したアルピコ交通と、熊本電気鉄道で車両が保存されている。
渋谷駅のハチ公口でもカットボディがあったが、2020年に秋田県大館市に移転。唐突かもしれないが、おそらく渋谷駅前に秋田犬のハチ公像がある縁からだろう。
最後まで残っていた熊電5000形は、2016年2月14日に最終運行。2012年秋より1両がアニメ「ケロロ軍曹」とタイアップした「青ガエル電車」を2年間の期間限定で走らせていた。引退後は動態保存。
ちなみに福島交通には、もと東急車譲受の時点で既に自社発注の連接車5012+5013が存在していたが、もと東急車である5020〜5023も、非連接車にも拘らず同じ5000形に組み入れられた。ただし5012+5013を1次車、5020〜5023を2次車とする資料もある。
東急5200系
1958年には、この初代5000系をもとに車体をステンレス化した5200系車両が4両1編成のみ製造され、こちらは「湯タンポ」、「ステンレスガエル」、「銀ガエル」などとも呼ばれていた。
1986年に先頭車のみ上田交通(→上田電鉄)へ譲渡され、モハ5201+クハ5251(後者はデハ5202の電装を解除したもの)を組成していたが、7200系の導入に伴い1993年に引退した。その7200系も1000系・6000系に置き換えられて今は亡い。
デハ5201号は東急に返還され、長津田検車区に保存されていたが、現在は総合車両製作所横浜事業所の構内に保存され、「東急車輛産業遺産制度」の第1号として永久保存されている。
その他の車体は先頭車クハ5251号と中間車1両(最初にデハ5211号が、後釜にサハ5251号が→サハ5202に改番)ずつ計2両が上田電鉄の下之郷電車庫で倉庫として使用されていたが、のちに中間車は解体され、先頭車のみが倉庫として使用・静態保存されている。その後、この先頭車は2006年にイベント用として松本電気鉄道(→アルピコ交通)からパンタグラフを譲り受けて装着し、東急時代の状態に復元された。