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鉄道車両において使用されている形式のひとつ。

2500「」に関しては2500形を参照。

2500「」を名乗る形式は、2024年現在長野電鉄2500系しか存在しないため、本項ではそれについて解説する。

長野電鉄2500/2600系編集

概要編集

かつて長野電鉄が所有した通勤形電車。元東京急行電鉄旧5000系


導入の経緯編集

長野電鉄長野線1981年初頭まで、長野-善光寺下間が地上を走行しており、これが長野市々街地を分断していたことから、昭和通り(国道19号)との踏切を中心に渋滞がひどく、交通の混乱に拍車をかける存在であった。そこで当区間を高架線として連続立体交差化することで、軌道敷跡地を幹線道路とすることで渋滞の解消を行う計画が立てられた。

しかし、高架化を行うと相変わらず市街地が分断される状態になるとともに、沿線の騒音問題や景観問題が浮上したため、長野市としては地下化を強く希望した。だが、そうすると今度は長野電鉄が在籍車両の大半を不燃化改造しなければならず、この計画に難色を示しだした。そこで長野市が地下化に伴うトンネル建設などの費用の大半を負担する案を出したことで、長野電鉄側もこの計画を飲むこととなり、当区間は地下化することに決定した。

ここで、先述の車両代替に関する問題が浮上し、短期間で大半の車両を更新する必要があることから、すべてを新造するのは費用面から現実的ではないため、他社から中古車両を譲受する、あるいは中古の機器類を流用した新造車を製造する方針で決定した。


さまざまな車両を検討する中で、最初に候補に挙がったのは、3450系に代表される東急旧3000系であった。これらはほとんどが戦前に造られた旧式の吊り掛け駆動車であったが、車体などは当時の防火基準のひとつであるA基準を満たしていたことから選ばれたものであった。しかし、旧弊な電車では短いスパンで代替せざるを得ない状況が見込まれ、少しでも長い期間で使用するには不足していたことから却下された。

続いてとある車両メーカーから国鉄157系の足回りを流用した新造車両が提案されたものの、使用しているDT-24形台車が長野電鉄の車両定規をオーバーすることなどが判明したため、これも却下された。

そうした末に行き着いたのが、「青ガエル」こと東急旧5000系であった。軽量車体をもつ直角カルダン駆動車で、ある程度の手直しを行えば長野電鉄の路線環境でも使用が可能であったことから、長野駅前に店舗を構えるながの東急百貨店に仲介してもらい、これを譲渡してもらうこととした。


車両概要編集

本形式は東急旧5000系が初めて譲渡されるケースであったほか、路線環境が豪雪地帯かつ急勾配を擁するという複雑なものであることから、はじめに改造先行車にあたる仮編成を1977年に長野へ搬入し、しばらく試運転と一部の営業運転を行ってデータを集め、それを量産改造車へ反映することとした。

仮編成として最初に入線したのは、次の2両であった。

クハ2550形モハ2610形
クハ2551(クハ5155)モハ2611(デハ5033)

この車両を用いた試験結果を反映する形で、以降に入線した車両にも次の主な改造が施された。

  • ベニヤ製の内装の車両はアルミデコラへ張り替えなどの不燃化改造
  • ベンチレータの交換と、それに伴う屋根板の張り替え
  • 戸袋の密閉化や主電動機の絶縁強化(防雪対策)
  • 暖房装置の強化
  • 抵抗器の自然冷却式化と、一部機器類を制御付随車または付随車へ移設
  • 前面の強化ならびに尾灯位置の変更(踏切事故対策)
  • 警笛の位置の変更
  • 乗務員室の拡張
  • 台車を改造し、車高を30mm下げる
  • 2連を組成する制御電動車は主電動機の出力増強と4連用ジャンパ線の取付

これらの改造を行った車両は、2両編成が2500系(C編成)、3両編成が2600系(T編成)とされ、長野電鉄の主力車として運用を開始した。当初計画では2500系を7編成、2600系を4編成導入し、不足する2両編成×2編成分はOSカーの新造で補填するものだったが、最終的に2500系10編成と2600系3編成に加え、OSカー1編成の新造となった。

塗装は国鉄特急色と同じ赤2号とクリーム4号の「長電カラー」とされたが、前面形状が2000系と同じ2枚窓の湘南顔であったため、塗り分けを変更することで誤乗防止を図った。前面上部の塗装はクリーム色であったが、これだとパンタグラフのスリ板などから発せられる汚れが目立ってしまうことから、C1、C10、T2、T3の4編成のみ後年は赤で塗りつぶしている。

東急時代の愛称「青ガエル」を捩って「赤ガエル」という愛称で親しまれたが、最後に増備されたT3編成が東急線内で試運転を行った際の姿は、本当に赤2号単色塗装の赤ガエルだったのは有名な話。

2500系はジャンパ線の関係で4連を組成する際の位置が固定されており、編成番号が奇数なら長野方、偶数なら湯田中木島方に必ず連結されていた(ただし、編成番号が偶数のものは制御車にもジャンパ線受けがあるため、それ同士で4連を組成することも可能であった模様)。

駆動装置は長野電鉄に在籍する新性能車はすべてWN駆動であったため、東急から担当者が出張のうえで技術の研修を行い、整備のノウハウを伝授している。


編成表編集

2500系編集

編成番号クハ2550形モハ2500形
C1クハ2551(クハ5155)モハ2501(デハ5035)
C2クハ2552(クハ5153)モハ2502(デハ5029)
C3クハ2553(デハ5022)モハ2503(デハ5037)
C4クハ2554(クハ5151)モハ2504(デハ5023)
C5クハ2555(クハ5152)モハ2505(デハ5019)
C6クハ2556(デハ5020)モハ2506(デハ5021)
C7クハ2557(クハ5154)モハ2507(デハ5039)
C8クハ2558(デハ5012)モハ2508(デハ5011)
C9クハ2559(デハ5046)モハ2509(デハ5045)
C10クハ2560(クハ5016)モハ2510(デハ5015)

旧5000系のクハ5150形は5両しか在籍しておらず、長野電鉄へすべて譲渡されたことから、他社には付随車の先頭車化や制御電動車の電装解除で対応した。長野電鉄も同様に不足分は制御電動車の電装解除で対応しており、そのさいに種車の旧番号をC3編成から順にクハ5156、クハ5157…と、クハ5150形へ改番のうえで改造を行ったらしい。

2600系編集

編成番号モハ2600形サハ2650形モハ2610形
T1モハ2601(デハ5036)サハ2651(サハ5367)モハ2611(デハ5033)
T2モハ2602(デハ5014)サハ2652(サハ5357)モハ2612(デハ5013)
T3モハ2603(デハ5041)サハ2653(サハ5375)モハ2613(デハ5042)

運用編集

上述のとおり、数が揃い次第長野線・河東線山ノ内線の全線で使用され、当時の主力車両として活躍した。

これに伴い、朝ラッシュ時の4連運用も0系OSカーから本形式へと代替されている。

しかし、本形式は軽量車体であったことから老朽化が早く進行しており、それに加えて直角カルダン駆動の整備は手慣れたWN駆動に比して大変・かつ予備部品の価格も高価であったことから、年を追うごとに持て余す存在となり、来る長野オリンピックに合わせた列車の増発と同時に本形式を淘汰することとした。

次なる車両を選定した結果、18m級のセミステンレス車体でメンテナンスの手間が少なく、2000系同様の三菱電機製75kW主電動機を備えたWN駆動車である、営団地下鉄3000系を導入することとし、これで本形式を逐次淘汰していった。

オリンピックの増発ダイヤの関係で残されたT2編成を最後に本形式はすべて廃車され、ほとんどは信濃川田駅の側線で解体された。

このうち綿内駅に留置されていたC1編成と廃車後のT2編成は一般への譲渡が検討され、当時の長野電鉄公式サイトで送料負担で無償譲渡する旨が告知されたが、譲渡先は見つからず解体処分されてしまった。

C10編成は須坂市内の鉄道模型展示施設兼飲食店の「トレインギャラリーNAGANO」にて静態保存されていたが、2021年3月で当館の閉館が発表されると、モハ2610号は製造元である東急車輛製造の後身にあたる総合車両製作所に引き取られて東急時代の姿へ復元され、クハ2560号は前頭部のみ新たな引き取り手へ譲渡された。


余談編集

鉄道グッズ販売店の「赤い電車」が販売したディスプレイモデル「AN-RAIL」の「青ガエル型電車シリーズ」から本形式も製品化されている。しかし、付属する車番はC2編成のものであり、製品と形態がまったく一致しない(正しくは前面上部の塗装がクリーム色で、かつ制御付随車の扉窓が原型の大きいもの)ものであるため、正しい形態の編成を再現する場合は他社製インレタなどを用いる必要があるほか、戸袋窓の桟も赤で塗る必要があるなど、実物を研究のうえで再現する必要がある。


関連項目編集

長野電鉄 青ガエル

長野電鉄2000系 OSカー…1980年代の長野電鉄で活躍した仲間

2500形 2600系

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