長野線
ながのせん
長野県長野市にある長野駅から、同県須坂市の須坂駅、同県中野市の信州中野駅を経由して同県下高井郡山ノ内町の湯田中駅を結ぶ路線。営業キロ33.2km。
長野電鉄で唯一現存する路線。地方私鉄としては珍しい地下区間(長野駅から本郷駅までの区間)があり、また長野駅から朝陽駅間は複線区間となっており、このうち長野-信濃吉田間は開業当時から複線であった。以前は長野駅から須坂駅までの区間の事を指していた(須坂-信州中野間は河東線、信州中野-湯田中間は山ノ内線であった)が、2002年の河東線信州中野-木島間(通称、木島線)の廃止に伴い、運行形態に合わせて現在の名称へ変更された。
地下化について
長野線は地方私鉄にしては珍しく、長野―善光寺下間の4駅約㎞間が地下区間という非常に珍しい特徴をもつ。
これは地上時代の長野線が長野市街地を分断する格好で走行しており、特に昭和通り(国道19号)との踏切(2024年現在の市役所前駅交差点)の渋滞がひどく、これをいち早く改善することが望まれていたためである。
そこで長野線の市街地区間を高架化し、跡地を幹線道路として整備することで市内の渋滞をも解消させるプロジェクトが立ち上がったのだ。しかし、高架化すると市街地に電車の走行に起因する騒音が響くことになったり、市内の景観を悪化させたりする懸念があったことから、長野市としてはこのことは避けたかったことから、地下化を強く推していた。だが、今度は地下化を行うと車両の大改修が必要であり、それには莫大な費用が必要なため、長電側が難色を示してきた。そこで長野市が地下化に伴う大半の費用を負担することで地下化を行うことになり、全国的にも珍しい地方都市の地下線が誕生することとなった。
車両に関しても在来車をほとんど更新するにあたり、他社の中古車を購入することとなり、ながの東急百貨店の仲介もあって、東京急行の旧5000系を不燃化・耐寒耐雪改造のうえで導入したほか、不足分をOSカーの新造で補った。
長野線の跡地は長野大通りと称する片側3車線の幹線道路として整備され、長野市街地の渋滞緩和に一役買っている。
現在、地下鉄乗り入れ用だった車両や元地下鉄電車が走ったりしているため紛らわしいが、長野-善光寺下間のトンネルは建築限界にゆとりが取られているため地下鉄扱いではない(ただし、かつて車内に掲載されていた路線図では、地下鉄区間の名称が使用されていた)。難燃化処理やヒューズ設置場所の変更だけの改造で、貫通扉を持たない中古車両(東急旧5000系)を導入できたのはこのためである。
長野-須坂・信州中野間は毎時2-4本、信州中野-湯田中間は毎時0.5-1本の列車が運行されている。長野オリンピックの前後では、日中は毎時1本の特急と毎時4本の各駅停車を組み合わせたパターンダイヤによる高頻度運転を行っていたこともある。信州中野-湯田中間は40パーミルの急こう配が存在し、抑速ブレーキ搭載車でないと入線できないため、8500系は長野-信州中野間のみの区間運用限定となっている。普通列車の大多数は信州中野駅で乗り換えとなる。
特急列車は停車駅の違いで定期列車2種類・不定期列車1種類の計3種があり、座席は指定席と自由席が存在する。特急料金は自由席利用の場合1人100円である。座席指定制度(指定席)は2000系導入当時に行われていたが、一旦中止されたのち2021年6月から復活した(ただし2024年9月から3か月ほど休止)。対象となる車両は、9時から17時代の間に運転される列車における1000系「ゆけむり」の進行方向一番前の車両と、2100系「スノーモンキー」の湯田中方先頭車(1号車:クハ2150形)で、これまでどおり2100系の個室も対象である。座席指定券は乗車日の31日前からインターネットなどで予約することが可能。
A特急
長野線の最速達列車。主に日中に運行。2100系「スノーモンキー」導入までは1000系「ゆけむり」による運行であったが、2100系導入後は両方使用されている。
●:停車、|:通過、普通列車は各駅に停まるため省略。
※1:黒塗りは地下区間。
※2:太字は複線区間。