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黄昏の碑文

えぴたふおぶざとわいらいと

「.hack」シリーズの舞台となるMMO「The world」の世界観の元となった長編叙事詩で、タイトルの原題は「Epitaph of the Twilight」。執筆者エマ・ウィーラントについても本項で説明。
目次 [非表示]

夕暮竜を求めて旅立ちし影持つ者 未だ帰らず

ダック(闇)の竈鳴動し、闇の女王ヘルバ、ついに挙兵す

リョース(光)の王アペイロン、呼応して

両者、虹のたもとにまみゆ

共に戦うは忌まわしき”波”

アルバの湖煮え立ち

リョースの大樹、倒る

すべての力、アルケ・ケルンの神殿に滴となり

影を持たざるものの世、虚無に帰す

夕暮竜を求めて旅立ちし影持つ者

永久に帰らず――


『黄昏の碑文』――エマ・ウィーラント


概要編集

21世紀初頭、二十歳の頃に南フランスで遭遇した神秘体験によりシュタイナー人智学に傾倒したエマ・ウィーラントが、世界の有りように想いをはせて綴った長編叙事詩

彼女の恋人であったハロルド・ヒューイックによってネットゲーム「The World」プロトタイプの世界観元にされている。


内容は世界を破滅へと導く”禍々しき波”と光と闇の連合軍の戦い。

そして、”波”により終わり逝く精霊の世界を救うために、主人公である人間の探索者サヤと闇の精霊であるリリス、大男のゲンドールの三人の”影持つ者”が夕暮竜(トワイライトドラゴン)を捜索するという壮大な旅路を描いたもの。

下記の理由で物語は未完ではあるが、終盤の顛末が絶望的であるため”波”に精霊の世界が破壊されるという”世界の黄昏”を描いた叙事詩であるとされている。


彼女の個人ホームページでごく短期間の間のみ発表された作品であり、一部のファンタジー作家やオカルティストが注目した時には、作者自身の死によってオリジナルのテキストも失われていた。

「The World」が数千万人のプレイヤー数突破という爆発的な人気を博した頃にハロルドが作成したプロトタイプ「fragment」のモデルにされていると噂され、多くのマニアによって散逸したデータを収集、復元が試みられたが今なおその全貌は明らかとなっていない。



判明している『黄昏の碑文』全体構成は以下の通り

1-1会談

  • 1-2麦畑に背を向けて

湖のへそ”にて行われる光の王アペイロンと闇の女王ヘルバの会談。”禍々しき波”の脅威の前に両者が同盟を結ぶ。白の精霊フィリ、黒の精霊ビト、そして最初の”影を持つ者”であるサヤ。--この三人が夕暮竜の捜索を開始する。

1-3リリス

1-4旅人たち

1-5分かつ森の果て

  • 1-6光る眼

闇の世界「ダック」を追われた夜の精霊リリスとの出会い。のっぽで気弱な大男ゲンドールが仲間に加わり、一同は迷いの森--”分かつ森”を越えてゆく。

湿地帯で”超古代生物”クビアに初接触。その危機をリリスが救い、ここに”夕暮竜”を探索する三人の影もつ者が揃う。

2-1悲しみのプレアド

2-2結晶丘陵

探索者の三人とビト、フィリがアルケ・ハオカーの街に至る。そこでフィリの幼馴染であるプレアドとの再会を通してフィリが「ダック」を憎む経緯が明らかになる。その後にプレアドの姿は消え失せ、”波”の先駆けが出現する。

”結晶丘陵”の反乱。”リョースの大樹”で眠れる麒麟ドリンに出会い、”夕暮竜”の居場所は”竜骨山脈”の向こう”地の果て”のさらに先”揺れる半島”に行けば分かるかもしれず、そこまでの道を知る者は”真の冥府”にいるタルタルガだけだろうと教えられるまでが語られる。

2-4スコンク

2-5再会

  • 2-6砂漠の妖霊

タルタルガの護衛・トーテツから身を守る為、臆病な獣であるスコンクの涙つぼを手に入れること。

ダックの砂漠で、”波”に追われてここまで逃げてきたゲンドールの仲間、旅人達との再会。

そして世界樹の夢を見る妖霊のことについて語られている。

3-1ダックの竈

  • 3-3タルタルガ

煮えたぎる地底湖”ダックの竈”に住まう先住民のこと。”真の冥府”でのタルタルガとの邂逅。”地の果て”へと至る道は”始まりの始まり国”にある”アルケ・ケルン大神殿”の奥にあると知らされるが、旅の一行はトーテツに追われ”冥府の隧道”へと迷い込むまでが語られる。

3-4ラゼスの夢

3-5大瀑布

  • 3-6さまよう迷宮

隧道を抜け、最悪の場所”常闇の森”に出た一行はラゼスの夢に飲みこまれ、クビアと再び遭遇。激戦の末にサヤの使い魔ヴェスパがクビアと共に消滅してしまう。

その後は大瀑布の封印を解き”アルケ・ケルン大神殿”に至ること。

”生きている迷宮”にてゲンドールの眠っていた力の発現について描かれる。

4-1地の果ての門

4-2波来たる

  • 4-3竜骨山脈

旅の一行が”地の果て”の門番と出会うこと。

同じ頃、ヘルバの”闇の宮殿”が”禍々しき波”により陥落し、アペイロンの軍が”光の宮殿”から出陣。サヤ達の旅が世界に投じた波紋に対する不安と容赦なく迫る”波”―--闇と光の軍勢は”夕暮竜”の発見を待たず、”波”に対してついに挙兵する。

4-5竜を見た

4-6前夜

  • 5-1夕暮竜

帽子をかぶった人語を解するサルとの出会いと、”虹”のたもとに布陣する「ダック」と「リョース」の軍勢のこと。

謎かける竜シェラタンと、戦いのために死んでゆく”アルバ湖”。ようやく”揺れる半島”に至った旅の一行はここまで旅をサポートしてくれた黒のビトと白のフィリと別れることになること。

”禍々しき波”により光と闇の両軍は退却。ヘルバとアペイロンの元へ、ビトとフィリが帰還するまでの決戦前夜のようすが語られる。

  • 5-2一つの終焉(未完)

夕暮竜の発見と最後の戦いを告げる鐘。竜が語る意外な言葉。白のフィリが”禍々しき波”により光の滴なって消える。その存在を賭けた精霊達と”波”との絶望的な戦い。そして、サヤ達と竜との対話――

確認されている原稿はこの会話の途中までであり、作者の死をもって未完である。


主要キャラクター編集

登場人物

サヤ

『黄昏の碑文』の主人公。

魔法使い見習いである人間の少女。ほうきで空を飛ぶことが出来る他、動植物との会話や傷の治癒が出来る能力を持つ。

生まれながらにして”影”を持つ希有な存在であり、博識な猫の使い魔である黒猫ヴェスパと共に”禍々しき波”から世界を救うための旅に出る。


黒のビト

老成した賢者であり「黒帽子のビト」の呼び名を持つ闇の精霊。闇の女王に仕える忠実な側近であり夕暮竜を探すべく、サヤの旅をサポートする。


白のフィリ

若き賢者で光の王の腹心である光の精霊。友人である水の精霊プレアドが闇の精霊に騙されて”影”を落としてしまったため闇の精霊を毛嫌いしている。”禍々しき波”から世界を救うべくサヤの旅に加わるが、最終決戦において”波”の攻撃により死亡した。


リリス

”影”持つ者の一人である闇の半精霊。仲間のいたずらにより”影”を落としてしまい、それを助けようとした黒のビトの行動が原因で闇の世界を追われてしまった。当初は仲間になることを拒絶していたがサヤの言葉により目を覚まし、旅の一行に加わることになる。


ゲンドール

”影”持つ者の一人である巨漢の半精霊。2メートルにもなる大男だが気が小さい。超能力者の集落の出身だが能力には目覚めていなかった。”禍々しき波”から世界を救うため、サヤの旅に加わる。


光の王 アペイロン

秩序の維持者。光の世界「リョース」を総べる精霊の王。


闇の女王 ヘルバ

秩序の破壊者。闇の世界「ダック」を総べる精霊の女王。


災厄

禍々しき波

”分かつ森”の果ての地より襲来した、世界そのものを侵食してゆく災厄

膨大な力の塊のような存在であるらしく、記述によれば”天まで到達するほどの高さと、視界を覆ってもまだ十分でない”と形容される、とてつもなく巨大で世界を覆う””の様な姿をしている。

実はその膨大な力の”波”の中に八つの役割をもった相が存在しているが、”波”の中に溶け込むように遍在しているため戦いようが無い。

作中でも一方的に精霊たちの世界を蹂躙してゆき、アペイロンとヘルバの連合軍でさえも大した反撃も出来ずに飲み込まれていった。


超古代生物 クビア

大洪水以前から存在していた怪物。”波”とは全く異なる存在だがサヤ達の前に幾度も現れては襲撃を繰り返す”隠されて在りしもの”。


夕暮竜(トワイライトドラゴン)

”禍々しき波”に世界が飲まれた時、それに唯一対抗し、世界を救うと予言されている希望の存在。しかし伝説でのみ語られる存在であったためにその所在と容姿も不明であり、サヤを含めた三人の”影”持つ者達は、世界を救うべく夕暮竜を探索する壮大な旅に出る事になる。


物語終盤にサヤ達によって”揺れる半島”にて発見されることになるが、実際は”揺れる半島”そのものが身体であったという、とてつもなく巨大な竜

高度な知性と計り知れない力を有し、世界そのものを司る存在であった。


”禍々しき波”から世界を救うためにサヤ達は夕暮竜との対話を試みる。だが、夕暮竜はサヤ達に対し、予想だにしない言葉を投げかけた――-。


エマ・ウィーラント編集

エマ・ウィーラント

「”波”に蹂躙されし麦畑に背を向けて影持つ少女のつぶやける。”きっと、きっと帰るゆえ”――。」


CV:冬馬由美

.hack」シリーズを通して重要な鍵となる叙事詩『Epitaph of the Twilight』の執筆者であるドイツ人の女性。

1972年、ライン川にほど近いワイナリーで生誕。並外れた美貌と洗練された感性を持ち、気ままで贅沢な暮らしに慣れた女性であった。母とは幼くして死別、父は18歳の時に急逝してしまい伯父から養女にしたいとの申し入れを受けるも、金銭目的の行動であったためにエマはこれを断わる。そして、看護婦学校に入学して自活の道を歩んでゆく。


だが20歳の誕生日の朝に今までの無理がたたって吐血。幸いにも順調に回復したものの医師の勧めもあり、しばらく南フランスの保養地で時を過ごした。ここで彼女は後の人生を左右することになる神秘体験を得る。

この体験を通して彼女はシュタイナー人智学に傾倒し『Epitaph of the Twilight』の執筆を開始することになった。


のちに24歳の秋にハロルド・ヒューイックと出会い、彼に一目惚れされて恋人同士になる。

しかし、彼女の方は才能を高く賞賛してはいたが彼を純粋に愛していたわけではなく、20歳以上も年の離れた愛人が存在した。(彼がこの事実を知りながら、彼女を愛していたのかは定かではない。)


そして2004年、叙事詩の完成をみることなくエマは交通事故により他界する。享年28歳であった。


「The World」R:1編集

「旅人よ、心せよ。夜明け前が最も暗いのだと――。」


.hack//」の最重要キーワードとして登場。vol.1の本編開始時に上記の導入部分が映され、後のストーリーもその内容に準えて進行してゆく。その為にある種の予言書のような役割を果たしていた。

重要アイテムとして「ハロルドの部屋」にて『黄昏の碑文』の断片が回収できる。



物語の終盤。カイトは「すべての力」である腕輪の力をクビアとの戦闘で失ってしまったために、「禍々しき波」モルガナ・モード・ゴンを倒す唯一の手段を無くす。

現実世界でもモルガナにより世界規模の電子災害が引き起こされ、多くの死傷者と深刻な経済ダメージが発生。"世界的な大恐慌"や"軍事施設の誤作動"が危ぶまれ、まさに叙事詩が示す通り現実世界が黄昏を迎えるような様相を見せていた。


だが、カイトはクビアと戦う直前に聞いた上述のハロルドの言葉から、『黄昏の碑文』の原題『Epitaph of the Twilight』の「Twilight」には「黄昏」のほかに「もう一つの解釈」が存在し、そうであればエマ・ウィーラントの描いた叙事詩は終わりの物語ではなく始まりの物語であった可能性に気づく。

そして、もしハロルドが”もう一つの解釈”で「The World」をデザインしたのならば、その象徴たるアウラはモルガナを止め、”世界”に夜明けをもたらすはずであると確信し、カイト達は彼女と共に本来敵うはずもない相手に対して最終決戦を挑んでゆく。


「The World」R:2編集

「『黄昏の碑文』、か――。」


.hack//G.U.」において「アルケ・ケルン大瀑布」や”リョースの大樹”と思わしき光を放つ大樹が存在する「死世所_エルディ・ルー」など、『黄昏の碑文』に登場した地名がロスト・グラウンドとして登場する。(唯一グリーマ・レーヴ大聖堂は前作にも登場する。)

「The World」R:2の世界観にも上手く組み込まれているものの、実際のところシステム管理者でさえも実態を把握しきれていない。


そして散逸し、失われたとされていた『黄昏の碑文』の原文。

実はある人物が「創造主の部屋」で回収、所持していたことがG.U.で明かされた。

(見た目はカイトがアウラから受け取った腕輪のインストールブック「黄昏の書」と同じ)


関連タグ編集

.hack .hack// .hack//G.U. 八相 クビア ハロルド・ヒューイック The_World


















「私が望んでいたのは、系の改変ではなく、個の変化である」


長い旅路の果てに自身の元に辿りついたサヤ達。そんな彼女達に対して夕暮竜は「何度もお前たちに合ってきた」と言い放ち、衝撃的な言葉を告げる。


世界を破滅させた”禍々しき波”とは、夕暮竜が己の願いにより産み出した存在だったのだ。


世界を愛し、世界を司る存在であった夕暮竜は「輪廻による永続的な世界」を望んでいた。それゆえに”禍々しき波”により世界を破壊し尽くしたのちに、”禍々しき波”の「再誕」による世界の創生を幾度となく繰り返すことで、精霊の世界をループさせていたのである。


その真実を知ったサヤ達は、夕暮竜との最後の対話を試みる―-―-。



無限の輪廻を繰り返すため、"波"により世界は再び破滅したのか。

それとも夕暮竜の心を動かし、"波"が消えた新しい世界へと創生したのか。

叙事詩の物語はここで未完となってしまったため、どのような結末となったのかを知る術はない。



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