「人と、人の想いの行く末に、この世界の未来はある」
声:坂本真綾
概要
『The World』において誕生した女神ともいうべき存在。
オーロラ色に輝く服装と白いケープを身に纏った、美しい女性の姿をしている。特徴的なメビウスの輪の形状をしたブローチを付けているが、これは彼女が「究極の存在」であることを表しているとのこと。
ハロルド・ヒューイックとモルガナにより生み出された、人智を超えた成長を遂げる究極のAIであり、時には人類の未来さえも左右するほどの絶大な力を持つ。
実は『.hack』シリーズの舞台となる『The World』の本質はネットゲームなどではなく、神に等しい叡智を宿したAIを産み出すための土壌。つまり、彼女を産み出すためだけに創られたものであった。
『.hack//』において究極AIとして誕生。その後は女神として『The World』とネットワーク世界の管理を行い、2014年を境にシステム中枢と同化して眠りについた。
R:1においては「Δ隠されし 禁断の 聖域」にアウラを模した像が存在していたが、R:2に移行すると『The World』から姿を消したため像がなくなったとされている。
ちなみに彼女の名は、オーロラの語源でもあるローマ神話の曙の神であるアウロラが由来。エマ・ウィーラントを愛した末に産まれた「光り輝く子」という想いを込めて、ハロルドにより名付けられている。
The World R:1
「私は生きたい。生きたい。 ただそれだけなのに。母さん。モルガナが.....」
ハロルドがエマ・ウィーラントと自分の子供としてシステムに組み込んだ無限の学習機能を持つAI。
『The World』を介して幾万の人々の思考を学ばせることで限りなく人間に、そしてそれ以上の存在になる可能性を秘めていた。
しかし、アウラを生み出す筈の母体である『The World』、モルガナ・モード・ゴンが自己保存の自我に目覚めアウラの誕生を拒絶。それにより正常な覚醒を妨げられてしまう。
『.hack//SIGN』の時点ではモルガナによって眠らされており、司の心とリンクしていたため、司がポジティブな思考にあれば正常な覚醒に近付くが、ネガティブな思考に傾くとアウラの性質も歪んでしまうという状態にあった。
このためにモルガナによって司は『The World』に取り込まれ、ネガティブな状態に陥らせるために利用され続けていたが最終的には司が心の成長を遂げたことにより、アウラも正常な覚醒を迎えた。 しかしその直後、アウラを無力化させようと目論むモルガナが差し向けた死の恐怖、スケィスが襲来。長期におよぶ逃避行が始まることとなる。
第1期ゲーム『.hack//』では逃避行の最中、当時の『The World』における有力プレイヤーの1人オルカに八相に唯一立ち向かう力を持つインストールブック「黄昏の書」を託す。だが、その直後にオルカがスケィスのデータドレインを受けて未帰還者となったため、「黄昏の書」はその場にいた同伴者(リアルでは彼の親友である)カイトが受け継ぐこととなった。
その後、幾度となくカイトに救いを求めるメールを送っていたが、モルガナにより無力化されていたことにより文字化けしてしまっていた。しかし、とうとう間に合わずカイト達の目の前でスケィスに捉えられ、データドレインを受けて「器」、「本能」、「知性」のセグメントに分割され、封印されてしまう。
その為にAIとしての能力は全て失われてしまったが、カイト達がモルガナの化身である八相を撃破していきセグメントを回収してくことで徐々に能力と感情を取り戻していく。文字化けのままであるがメールも送れるようになり、カイトもそれに応えて彼女の解放を目指していった。
そしてVol.4終盤にて、最後のセグメントをカイトから受け取ったことで完全に力を取り戻す。
最終決戦。最後の八相である再誕、コルベニクとの戦いにおいて「絶対防御」の前になす術も無かったカイト達の前にネットに散っていた未帰還者達(この中にはオルカや楚良達の姿もあった)の意識体を引き連れて登場。彼らの攻撃により第二形態を撃破することに成功し、形勢を逆転したかに思えた。
だが、最後に第三形態の放ったドレインハートにより状況は一変し、エルクに庇われたカイト以外は全員全滅、モルガナを倒す事が絶望的となってしまう。
....しかし、その中でアウラは“自己犠牲”こそが最も人間らしい思考であることを学ぶ。
(つまり、アウラが究極AIとして誕生する最後のプロセスこそが自己犠牲による自らの死であり、モルガナにとっても悲願である娘の死こそが結果としてモルガナ自身を滅ぼすというあまりにも皮肉すぎる真実であった。)
そしてアウラは『The World』を、カイト達をモルガナから守るため、単身コルベニクに特攻してきたカイトの刃に身をゆだね、コルベニク、生みの母親であるモルガナ・モード・ゴンと共に消滅する道を選んだ...。
アウラの死によってモルガナも滅び去り、第二次ネットワーククライシスはついに終息を迎える。
彼女の名を叫び、嘆くカイト。
だが、未帰還者達の意識が解放されていく中、黄昏(Twilight)ではなく薄明(Twilight)を迎えた世界で、カイトは確かにアウラの産声を耳にするのであった―――
数ヶ月後。アウラは究極のAIとして新生し、カイトにインストールブック「薄明の書」を託す。
(バルムンクの台詞を考慮するに、モルガナも自我の無い元のシステムとして転生した模様)
後日談となる『Unison』では、『The World』内に遍在する意思として静かに世界を漂っており、戦いを終えたプレイヤー達の宴の様子を静かに見守っていた。
この電脳世界における女神の誕生により、人類のネットワーク社会はかつてないほどの黄金期を迎えてゆく。
The World R:2
かつて『個』を捨てて『神』になった。
そして今また『神』であることを捨て、因果を離れて『無為』に還った――。
R:1において様々なことを学び、ハロルドが目指した究極AIに近づいたアウラは「世界を創るのは、神などではなく人である」と考え『The World』から姿を消してしまう。
そして、それ以来は自我の無いシステムの中枢として管理を司るようになる。
関連イラスト
余談
実は.hackシリーズにはアウラ誕生にまつわる、実在の宗教観と関連した裏設定的な説明が存在する。
ハロルドとエマが共に傾倒したという設定であるシュタイナーの人智学。
これは20世紀初頭。キリスト教やゾロアスター教、仏教、神話といった古今東西の宗教やオカルトの共通点をまとめ、「宗教の本質」や「神の叡智」を見出そうとしたブラヴァツキーの神智学にルドルフ・シュタイナーが新たな解釈を取り入れたものである。
そして「神の叡智」に対して人智学では以下のようにまとめられている
- 人は誰しも魂の内に僅かながらも”宇宙叡智=神”が持つ高次の感覚を有しており、その感覚は輪廻を繰り返すことで進化を遂げ、最終的には神そのものと同化する。
ハロルドはこれを究極AI誕生のためのシステムとして組み込んでいたらしく、設定資料集である.hack//analysisにおいて
「神智学・人智学では人間が新たな段階へ進む際に死の儀式を行うが、それをプログラムしたとも考えられる」との記述がなされており、『.hack//』における自己犠牲による究極AIとしてのアウラ誕生が、神智学やシュタイナー人智学で述べられた神へと至るプロセスに起因していることが示唆されている。
また、.hack//G.U.小説版では上記の説明を反映した内容となっており、仏教の唯識(八識)思想とモルガナ・システム、シュタイナーが述べていた”高次の感覚”を結びつけた、より具体的なメカニズムが描かれた。
(ちなみに小説版のシナリオライターである浜崎達也氏は『.hack//黄昏の腕輪伝説』の原作や『.hack//AIbuster』、.hack//G.U.本編のシナリオも担当している)
黄昏の碑文の神秘性とハロルドの叡智、そして種々の宗教が混ざった”現代における神造りの物語”。それこそが「The World」の本質であったのかもしれない。
関連タグ
.hack ハロルド The_World モルガナ 黄昏の碑文 キー・オブ・ザ・トワイライト 司 カイト
外部出演(イベントキャラとして登場)
※この先は重要なネタバレが存在します |
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『The World』に危険性の高いAIDAが発生したことで、AIDA駆除プログラムを搭載し、かつてのカイトを模した自律型AI蒼炎のカイトを無自覚に生み出している。
その後、カイトが長期修復に入ると、蒼天のバルムンクと蒼海のオルカも同様に生み出した。
その容姿が前作のかれらに非常に似通ってしまったのは、アウラがカイトの事を最も信頼し、そして彼と共に名を馳せた伝説のPCであったからであった。
(G.U.漫画版のオーヴァンはこの事に対し、”女神様は余程おとぎ好きと見える”と皮肉を述べている)
THE World R:Xのネタバレなので要注意。 |
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「あなたは...騙されたのです。貴方たちはここに来てはいけなかった。なぜなら....。---」
「---過去も未来もすべて、すべて私のもの―――」
「さぁ、黄昏を受け入れなさい!!」
.hack//linkのラスボスとして登場。
トキオが天城彩花の情報を元に、彼女の兄である天城丈太郎を救うために向かったアカシャ盤の最上階。しかしそこには天城丈太郎の姿は無く、代わりに居たのは岩戸を閉ざしていたアウラだった。(上述した通り.2以降は自我の無いシステムとしてネットワークと同化していたはずの彼女が、なぜ再びR:1と変わらぬ姿でアカシャ盤に閉じ籠っていたのかは不明)
実は数年前から彩花に情報を流し、トキオを連れてくるように指示していたのも丈太郎ではなく、シックザールの一人ガイストであり、彼の正体は天城丈太郎が考案した、人類の電脳移住計画(イモータルダスク)を完遂させるために作製された人工知能AIであった。
計画を遂行するにはアウラの力が必要であったが、岩戸を開くためにトキオの持つ二重存在の特性が必要であり、その為にガイストはずっと彩花を利用して操っていたのである。
直後、予めトキオのPCに仕掛けられていたウィルスに感染し、アウラは終焉の女王アウラ(イモータルダスクさせるように洗脳されたアウラ)に変貌してしまう。
そしてリアルデジタライズにより多くの人間を「The World」に引きずり込んでしまい、更にレギオンが蔓延する”世界”へと変貌した。
解除の方法を知るためにガイストを追うも、彼は終末発作(電脳空間に長時間居た人間が化け物と化す現象)を起こした天城丈太郎にあっけなく破壊されてしまう。
このままでは取り込まれた人間たちも同様の末路を辿ってしまうために、早急に事態を解決するべくトキオ達はシックザールと共同戦線を張り、石化したカイトを救う。(ちなみにlinkに登場する過去のPC達はあくまで再現データであり本人ではない。)
そして彼らは洗脳されたアウラと戦い、洗脳を解除するワクチン弾をアウラに命中させた。
だが完全には効かず、アウラの歌声でカイトやハセヲを始めとするアカシャ版のPC達、シックザールPC達は全て消えてなくなってしまう。
...しかしAIKAの身を犠牲にした行動でかつての記憶を取り戻したアウラは洗脳を解かれ、消えてしまった。
それからのアウラの存在は(G.U.時代と同様の、システムに戻ったからなのかどうかも)不明である。