涙に意味を、与えてあげて
概要
「CRYSTAR -クライスタ-」とは2018年10月18日にPlayStation4ソフトとしてフリューより発売されたARPG。開発はジェムドロップ。2019年8月29日よりPC(Steam)でも配信。2022年2月24日にNintendo Switchでも発売された。
固有ジャンルは「泣いて戦うアクションRPG」である。
タイトルは「cry」(泣く)と「star」(星)を組み合わせた造語。
電撃PlayStationにて著・六塚光、イラスト・倉田理音による外伝小説「CRYSTAR -クライスタ- ストレンジテイル」が連載された。
ゲームシステム
現実と異世界「辺獄」を行き来して、辺獄の中で「シレン」と呼ばれるクエストをクリアし、メインストーリーを進める。現実の自室では、辺獄で戦うための準備や集めた収集物の確認、仲間との通話などができる。
アクションパートでは攻撃をしたり、ダメージを受けると、「涙ゲージ」が上昇する。MAXになると「守護者」を一定時間出現させることができ、共に戦い強力な必殺技が使えるようになる。
辺獄で戦う「幽鬼」を倒すと、悲痛な叫び「断末魔の思念」がこびり付く。断末魔は現実の自室に戻り、泣いて浄化することで、装備品を生み出すことができる。さらに断末魔の思念を得ることで対象の幽鬼の記憶の一部が分かるようになっており、獲得した記憶は自室の「死者回想録」で確認することができる。
ストーリー
何者かの手により、死後の世界「辺獄」に生きたまま引き込まれた零とみらい。2人は得体の知れない異形に襲われるなか、零は「祝福」という特別な力に目覚めるが、暴走し誤って妹のみらいを殺してしまう。
自身の過ちに絶望する零。だが、辺獄を管理する悪魔が現れ、理念(イデア)を集めればみらいを『ヨミガエリ』出来ると囁き「代行者」の契約を持ち掛ける。
妹のために契約した零は代行者となり、悪魔の代わりに魂を狩る業を背負い戦うことになる。
登場人物
キャラクター
本作の主人公。事故で両親を亡くしており、妹のみらいと二人暮らし。武器は片手剣で、守護者は「ヘラクレイトス」。高校1年生。15歳、身長145cm。
みらいと共に辺獄に迷い込み、異形に襲われ祝福の力に覚醒するが、暴走し誤ってみらいを殺してしまう。みらいをヨミガエリさせるため、双子の悪魔と契約して代行者となり、現実と辺獄を行き来できる半死半生の状態になる。
テーマの宝石はアクアマリン、アメジスト原石。シンボルはユニコーン。紋章の位置は手首。紋章文は「万物は流転す、人は再び流れに身を入れるを得ず」。
零の最愛の妹。暴走した零に殺されてしまう。中学1年生。13歳、身長139cm。
双子の悪魔によりヨミガエリまでの間は存在自体が『無かった』ことになっている。
魂となって辺獄を彷徨っており、ヨミガエリに成功しなければ辺獄の最奥にある、再生の歯車へと飲み込まれて消滅してしまう。
辺獄を管理する悪魔でフェレスとは双子。身長138㎝。
眼鏡をかけ、少女の外見とは裏腹に古風な話し方をする。
辺獄が魂の浄化装置として正常に機能するように管理をし、「理念(イデア)」という、辺獄で涙が結晶化したものを回収することを使命としている。基本的に人間と契約を結び、代行者として手足のように働かせる。
テーマの宝石は瑪瑙、サンストーン。紋章の位置は手のひら。紋章文は「常に悪を望み」。
辺獄を管理する悪魔でメフィスとは双子。身長138㎝。
ゴスロリファッションで情緒不安定なブキミ系ボクっ娘。
管理者としての仕事はメフィス以上にいい加減。ふらふら辺獄を彷徨っては、気に入った魂を見つけておもちゃにすることが大好きで、特に可愛い女の子に目がない。今は零のことがお気に入り。
テーマの宝石は翡翠、ペリドット。紋章の位置は手のひら。紋章文は「常に善を為す」。
零より以前から代行者として戦う女性。武器はナックルで、守護者は「ディオゲネス」。大学生で空手サークルに入っていたが、現在は休学中。21歳、身長167㎝。
恋人と胎内の子供の魂を喰らったアナムネシスへの復讐を果たすために代行者となっている。
普段は関西弁の優しく愉快なお姉さんだが、年下の女の子が好き過ぎて残念な姿を見せることが多い。
テーマの宝石はサファイア、アメトリン。シンボルは犬。紋章の位置はお腹。紋章文は「常に死ぬ覚悟でいる者のみが真に自由な人間である」。
零と同じく辺獄へ引き込まれて代行者となった少女。武器は双剣で、守護者は「ソクラテス」。高校2年生。16歳、身長158㎝。
ある大事故の唯一の生存者でそのときに母親を亡くしている。検事を生業とする父親の影響で、ルールを重んじ「正義」という言葉に固執する性格をしており、自分が信じる「正義」のために戦う。
ずっと女子校に通っており、同性から好意を伝えられることが多かったらしい。学校では生徒会に入っているほか、二郎系ラーメンが好き。
テーマの宝石はガーネット、スターガーネット。シンボルはライオン。紋章の位置は右肩。紋章文は「大切なのは単に生きることではなく善く生きること」。
零とみらいを辺獄に引きずり込み、零がみらいを殺す原因を作り出した人型の幽鬼。身長162㎝。
強大な力を持ち、辺獄の管理者であるメフィスとフェレスからも一目置かれている。他者の魂を吸い、死んで不完全になった己の魂を補完することで、「ヨミガエリ」をして忘れてしまった大切な存在を取り戻すため、そしてある復讐のために暗躍する。
理念を解放することで、「プラトン」に異形化することも可能としている。
テーマの宝石はアメジスト、アイオライト。シンボルはコウモリ。紋章の位置は左肩。紋章文は「時は未来永劫の幻影なり」。
零に好意を寄せる少女の幽鬼。武器は文房具など。身長135㎝。
アナムネシスと同様に人型をしており、強力な力を持つ。辺獄で不意に出会った零を不思議と気に入り、零に遊んでもらおうと執拗に絡んできて、辺獄のあるエリアの構造を変え、結果的に零の進行を妨害する。
しかし、零と一緒にいたいという思いから、幽鬼ではあるが代行者となり零たちに協力する。
幽鬼であるため、守護者は使えないが、自身を「エピクロス」に異形化することが出来る。
「えんじょいでえきさいてぃんぐ」が口癖。
テーマの宝石はトパーズ、イエローオパール。シンボルは鳥。紋章の位置は首。紋章文は「快こそ第一の生得的な善であり快が浄福なる生の始めであり終わりなり」。
零の守護者。彼女の魂、理念が具現化した存在。
背に天使のような翼を持ち、青い刀身の大剣を持った白い騎士の姿をしている。
他の守護者とは異なり、人語を解するが、その声は零にしか聞こえない。
零が中学生のときの友人。故人。身長148㎝。
千だけが生き残った、1年前のある大事故に巻き込まれて命を落としている。
論理性を重んじ、非合理的な物事へ嫌悪感を抱いている。
零によると、大人びていつも落ち着いているが、本当は寂しがり屋で、誰よりも周りに気遣いができる優しい子だったらしい。
辺獄の奥深くで、零は彼女の魂と出会う。
テーマの宝石はペリドット。シンボルはケンタウロス。紋章文は「有るものは有り、有らぬものは有らぬ」。
零と瓜二つの外見をした漆黒の少女。
零を見守り、彼女を支えるような行動をとる。理念(イデア)が再結晶して生まれる「真理念(アレセイア)」を集めている。
テーマの宝石はルチルクォーツ。紋章文は「存在するものは無限なものから生成しまたそこへと消滅する」。
行商(CV:空見ゆき)
辺獄で魂の欠片「スピリット」を集めており、これを彼女に渡すことでさまざまなアイテムが入手できる。
ゲームでは行商としか表記されないが、アートブックによると「アストリア」という名前があり、ゲーム内でも単語だけはある場面で登場している。
CRYSTAR -クライスタ- ストレンジテイルのキャラクター
高井野完星
幡田家の近所にある大型ショッピングモールの「エーディーモール」で数ヵ月前に起きた通り魔事件の犯人。駆けつけた警官によって射殺され、辺獄にて幽鬼となった。
幽鬼としての名前は「オルフェウス」。その姿は首から上は存在せず、腹部に巨大な口があり、腕が六本生えた真っ白い異形の巨人の姿をしており、うち左の三つの手で、ハープのように弦の数が多い一つの巨大な弓を持っている。
高い戦闘能力を有しており、零からその辺をさまよう幽鬼とは格が違うと評されている。
右手の中から生えてくる矢を、それぞれの右手から4本ずつ、合計12本の矢を一息につがえて矢を放つほか、一度に4本ずつの時間差攻撃も行う。その矢の威力は、避けても衝撃波が切り傷を刻み、零が剣で弾き損ねた矢が肩をかすめただけで、体を軽々と吹き飛ばすほど。
さらに辺獄で再現されたショッピングモールの天井を無数の矢で穿つことで、天井を円形に切り落として破壊したり、大きく直上に飛んで吹き抜けの手すりなどを蹴りつつ、自身で空けた天井の穴まで跳躍するなど見かけより身軽であり身体能力も高い。
生前の人間の姿を取ることも可能としており、その状態でもミハナが振り下ろしたハルバードの刃を素手で受け止めている。しかし、戦闘時の知恵は回るが理性はほぼ存在しておらず、会話らしい会話は出来ない。
加賀津ミハナ
辺獄で零と出会った女性。長い黒髪に黄色と黒の二色を基調としたドレスを身にまとい、ハルバードを得物としている。
自身を完星の婚約者と称しているが、罪を犯した完星のヨミガエリを阻止して、浄化されて一緒に生まれ変わることが目的と話して零との共闘を申し出る。
実は幽鬼であり、幽鬼としての名前は「マイナデス」。その真の姿は西洋兜をした2メートルほどの騎士の姿をしており、腕は四本となる。うち二本でハルバードを握り、下の右手にはサバイバルナイフ、下の左手には手斧を持つ。
関連作品
ノベル
CRYSTAR -クライスタ- ストレンジテイル
電撃PlayStationVol.667~670にて連載された。
著・六塚光、イラスト・倉田理音による外伝小説。全4話。
代行者となった零のゲーム以前の活躍を描くサイドストーリー。
用語
辺獄
現実と重なりあう形で存在する、概念的な異世界。管理者であるメフィスとフェレスが命名をした。
死者の魂が彷徨う死後の世界で、いくつもの層に分かれており、それぞれ全く異なる様相をしている。最下層にある再生の歯車という機構の力で、死者の魂から記憶をリセットし、輪廻転生させるための世界。
魂たちの生前の記憶の中から印象に残ってるものやトラウマの抽象的記憶からエリアを形成しているほか、記憶浄化の力がある巨大な剣が各層に存在している。世界に刺さっている剣はその記憶を浄化するために存在しており、記憶浄化が進んだ所は幾何学モザイク状になって消滅する。また、幽鬼が現世から生者を辺獄に引きずり込むと、その周辺物質も概念的情報として辺獄へ流れ込むことで、物質界の風景が再現される。
精神的な世界である為か、違う国籍の人間や生きていた時代が異なる相手でも意思の疎通が可能であり、魂同士の会話には言語の壁が存在しない。
理念(イデア)
すべての人間の魂に宿っていて自意識を与えているものであり、人の魂のうちにある特別な因子。
精神世界である辺獄においては、自意識のある存在が激情を伴って流した体液に極稀に含まれ、それが結晶化したもののことを言う。
結晶化したものは、辺獄の管理者であるメフィスとフェレスが求め、集めている。
その正体は、かつて神が世界を創造した際、誤って被造物である魂に混入してしまった神の力そのもの。
守護者
辺獄において生者の理念が具現化し、個別に姿形をもった存在。
主人の魂と同一の存在のため、別個の自我を持たず、例外であるヘラクレイトスを除いて喋ることはない。
この力の片鱗を借りて変身することを祝福と呼ぶ。
祝福
生者が辺獄において己の理念の具現存在である、守護者から力の一部を借りて変身し、戦う力を得ること。
代行者
各々様々な理由から悪魔と契約したものたち。身体に契約した証として紋章が刻まれている。
契約の対価として理念(イデア)を集めたり、代行者であるための責務としてシレンという名目で、辺獄で幽鬼や幽者といった異形たちを狩る存在。
代行者に狩られた魂は粉々に砕けてスピリットとなり、輪廻転生すら不可能になる。
紋章
死者の身体に浮きあがる紋章。
代行者の場合は悪魔との契約に伴い、辺獄を行き来できる半死半生となっているため発生する。現実世界の鏡の前で紋章を指で切ることにより、辺獄へと移動する。
死者の死因に係る部位か、契約者のトラウマなど関連の深い部位に発生し、死者の紋章は赤く、代行者の紋章は黒い。幽鬼が悪魔と契約する場合は、元からあった死者の紋章に、契約の文言を書き加える形になる。
契約の紋章自体は悪魔による辺獄で戦うための許可証のようなものだが、契約する際に悪魔が力を引き出す手助けをすることは可能であり、本人次第だが祝福や守護者の力が扱えるようになる場合もある。
魂
辺獄を彷徨う自意識のない死者の魂。
その全てが蝶の姿をしており、幽鬼や一部の特別な存在も蝶の姿になれるが、基本的にこの姿にしかなれない自意識のない無害な魂のことをそう呼ぶ。
幽者と違い魂に欠損がないため喋ることはできるが、自意識が目覚めていないため、まっとうなコミュニケーションは取れない。
理念が強いと自意識が芽生え始めることもあり、強い意志をもつ存在の場合は本来の姿が視えることもある。
幽者
死んだときに魂に欠落が生まれ、そのエラーによって自意識が芽生えかけている死者の魂。
通常の蝶の姿をした魂たちとは異なり、各々の理念が具現化した異形の姿形をしている。
魂の欠落により言葉等は介せず、攻撃的な振る舞いをする。
幽鬼
完全に自意識が芽生えた幽者たちで、特徴として頭上に輪っかがある。
幽者とは違い言葉を介し、その多くがヨミガエリを望む。そのため自身の魂の欠損を埋めるために、他の死者の魂や生者の魂の吸魂を率先して行おうとする。まれに、人型の姿をした強大な力を持つ個体も存在する。
中には大昔から存在している幽鬼もおり、生前より幽鬼として過ごした時間のほうが長い者もいる。
異形化
人型の幽鬼が、魂の本質や理念を具象化した形状へと異形化すること。
そもそも幽鬼が人の形であることは稀であり、吸魂による魂の修繕が終わりかけの個体や元々の理念が特別な少数の個体だけが得られる姿。
そこから更に異形の姿に当人の意思でなれるのは、強力な力に特別な自我と才能をもつ、より少数の個体に限られている。
幽鬼として異形と化した姿と守護者は、どちらも本質としては同じものである。
吸魂
幽鬼がヨミガエリを行うために他の魂の一部、または全てを奪うことで、欠損した自分の魂を修繕する行為。基本的には他の死者の魂に対して行われるが、幽鬼などの欠損している魂より生者の魂を使う方が効率が良いとされる。
強力な力を持つ幽鬼に限り、現世に干渉して生者を辺獄に引き込むことができ、引き込んだ生者の魂を吸魂することで効率よく魂の修繕ができる。
一度吸魂されてもヨミガエリのコストとして消費させられない限り、撃破することで吸収した魂を解放することができる。
ヨミガエリ
死者がヨミガエリすること。
悪魔との契約によって叶えられる他、幽鬼などの死者が、吸魂によって欠損した魂を完全に修繕することで行うこともできる。
ヨミガエリした存在は、魂の繋がりを通じて周囲の生者の記憶や認識が改変され、最初から死んでいなかったことになる。
断末魔の思念
自意識をもつ魂を破壊したときに、相手の魂の欠片にふれることで発生するもの。相手の感情や記憶の一部を知ることができる。
記憶の残滓
触れると記憶が再生されるもの。記憶溜まりとも呼ばれる。
辺獄においては、発光する本の形として存在する。
生者死者問わず、辺獄内で魂に衝撃を受け、記憶が欠如することで生まれるが、主に生者が幽鬼によって辺獄に引きずり込まれることで生まれる場合が多い。
記憶が欠損すると、その記憶を忘れてしまったり、その記憶があやふやなものになってしまう。
愚門愚塔
辺獄の上層と下層の間にある門とそれを支える塔。
辺獄を管理するための機構であり、元来は死者の魂だけが門を通過できるが、門を支えるふたつの塔の門番を倒すことで、生者でも門の先に進むことができる。倒された門番はいずれ再び現れ、愚門は閉じられる。
再生の歯車
辺獄の最下層にある機構。
魂のうちにある記憶や自意識をすべて取り除かれ、新たな生物の魂として再誕させる。
蝶の姿をした死者の魂たちは、辺獄を上層から下層へとさまよいながら落ちてここに到達する。
また生者や魂の欠損がほぼない幽鬼なら問題ないが、通常の幽鬼などは近づくだけでも浄化の影響を受けるため、自我を失ってしまう。
流石に直接接触すればどれほど強力な幽鬼であっても転生するが、例外的に魂に欠陥を抱えている場合は記憶消去できないケースが存在する。曰く、世界は気が遠くなるほどの時間を刻んでいるらしい。
自意識を芽生えさせた幽鬼や、自意識が芽生えかけている幽者たちの多くは、再生の歯車での輪廻転生を拒む。
真理念(アレセイア)
理念(イデア)が高純度に再結晶化した理念。
理念単体には特別な力はないが、それが濃縮されたことで、神性を増したものであり、世界、時間、すべての境界を越え、照らす存在。
世界を創造した存在の力を極微小ながら再現し、世界に干渉する奇跡を起こせる。
スタッフ
シナリオ:久弥直樹
BGM:削除
プロデューサー/ディレクター:林風肖
開発:ジェムドロップ
OPアニメーション:シャフト
インサートイラストレーション:ウエダハジメ
ロゴデザイン:WINFANWORKS
主題歌:『can cry』
歌:やなぎなぎ
エンディングテーマ:『re-live』
歌:やなぎなぎ
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