概要
近畿車輛が開発している非電化路線用蓄電池駆動型鉄道車両。愛称は「Smart BEST」。
主回路用蓄電池の充電をディーゼル発電機から行うため、饋電設備を必要としない。
大まかな構成
おおざっぱな構成はシリーズハイブリッド式気動車(電気式気動車)とおおよそ同じだが、蓄電池駆動のため主回路用蓄電池の容量が381kWh×4の計1,524kWhとハイブリッド気動車と比べると桁違いに大きい(※)こととディーゼル発電機からの電力は主回路用蓄電池充電にのみ供給され、蓄電池故障時以外は走行用電源として直接供給されない点が異なる。
本形式は主回路用蓄電池と主変換機(2レベルVVVF)を搭載したDGBC2A形(Mc車)と、ディーゼル発電機、補助回路用電源装置、空気圧縮機を搭載したDGBC2B形(Tc車)の1M1T構成となっている。
試運転に投入される路線の関係からATS-SW形とATS-P形を保安装置として搭載しており、運転台計器類配置もJR西日本所属車とおおよそ同じとなっている。また主幹制御器も同じく横軸ツインレバー式マスコンを採用している。
※・・・JR東日本のハイブリッド気動車(キハE200形、HB-E210系、HB-E300系)の主回路用蓄電池が1両あたり15.2kWh。JR西日本のトワイライトエクスプレス瑞風こと87系気動車では1ユニットあたり24kWh。
運行
2012年に山陰本線・境線・伯備線(JR西日本管轄内のみ)での試運転が行われ、翌年の2013年に高徳線(JR四国)で試運転が行われた。その次の年の2014年に、鳴門線で徳島県民限定の試乗会が行われ、同年9月から12月にかけて期間限定の観光列車として紀勢本線(JR西日本管轄区間)で運行。その後、近畿車輛に返却された。現在は試験終了。
発展形
本形式から発展したものと思われる試作車にHARMO(High-efficiency Advanced Railcar for Multi Operation)がある。
HARMOでは大容量蓄電池とディーゼル発電機に加えてパンタグラフも備えており電化区間では架線からの電力で走行し、非電化区間では蓄電池とディーゼル発電機からの電力で走行するようになっている。電化方式は直流1,500Vのみの対応となっており、Smart BESTでは2両編成だったものが、HARMOでは1両の単行編成となっている。
この試作車は2016年頃に登場しているのだが、単に「HARMO」で検索してもなかなか引っかからず近畿車輛のWebサイトか「近畿車輛 HARMO」で検索すると、ようやくWeb上の記事や車両外観の写真が見つかる位のマイナーな車両となっている。それゆえ内装や運転台機器などの詳細については不明となっている。