概要
JR東日本が設計・新製し運用していた新幹線電車。12両編成で営業最高速度は240km/h。
当時増加していた新幹線通勤客の着席定員確保を目的として開発され、6編成72両が製造された。
特徴
通勤・通学輸送に特化するため速度よりも大量輸送に重点を置いており、全ての車両が2階建てとなっているのが最大の特徴。
これによって稼いだ定員は1235名、これは200系12両編成と比べて約4割増しとなる。また混雑時の着席率を高めるため、1号車から4号車の普通車2階席は3人掛け+3人掛けシート、デッキには2人分のジャンプシートを設置している。
また、2階建て構造としたことで車両強度が不安視されたため、車体は新幹線車両としては2024年現在最後の採用例となる普通鋼製を採用している。
2階席の3+3席はリクライニング機能のない回転クロスシートであり、それでもなおシートピッチ980mmというのは3人掛け座席としてはかなり切り詰めた部類になる。ただ「通勤に徹する」といいつつも0系初期車のような転換クロスシートの導入でシートピッチを850~910mmに詰めるとかまでは至らなかった。ちなみにこの席のリクライニング機能がないもう一つの理由は、閑散時に3人がけ席を2人席として使う前提もあったためである。
後に2003年から2006年のリニューアルに際して、座席はグリーン車はE2系1000番台のものに、普通車はE4系のものにそれぞれ変更された。
2階建てであることからワゴンによる車内販売が困難であり、その対策としてバスケットによる社内販売が行われた他、売店や飲み物・弁当の自動販売機が設置されていた。ただ弁当の自動販売機については利用状況が悪かったらしく、出し入れの面倒さもあって後に撤去されている。
なお弟分のE4系では、ワゴン用のエレベータ設置によりこの問題は解決された。
車両愛称のMaxは「Multi Amenity Express」の略だが試運転の時はDDS 「Double Decker Shinkansen」だった。JR東日本の新幹線電車では初めてEナンバーとVVVFインバータ制御と回生ブレーキが採用されている。
新幹線電車のEナンバーについて
本形式は設計当初600系の形式番号が付与される予定だったが、形式番号の取り合いになることを避けるべく形式番号付与規則を変更し、本形式はE1系が付与されることとなった。
そのため、現時点では新幹線の「600系」は未使用による欠番となっている。
経歴
1994年から東北新幹線Maxやまびこ・Maxあおば、上越新幹線Maxあさひ・Maxときに投入された。しかし東北新幹線では途中駅での分割・併合を行う列車が登場したため、12両固定編成である本系列は柔軟性に欠ける面が出てきた。
そのため、全車2階建てを維持しつつ分割併合機能を備えた8両編成としてより柔軟な運用が可能となったE4系に置き換えられ、1999年から上越新幹線のみの運用となった。
ただし、代走運用にて東北新幹線内での運用が行われるケースもあった。
上越新幹線転属後はMaxときやMaxたにがわとして活躍していたが、2012年9月28日にE4系が東北新幹線から撤退し全編成が上越新幹線へ転属されたことに伴い引退となった。JR東日本の系列でEナンバーを冠する系列で最初の引退形式となった。
また、本系列の引退によって普通鋼製の新幹線電車は全廃されることとなった。
引退後
M4編成(E153-104)が長らく新潟新幹線車両センターに留置されていたが、さいたま市大宮区にある鉄道博物館の2018年7月の新館開業に先立つ形で、同年春から屋外展示されている。
関連イラスト
登場時の塗装は関連イラスト上のようなグレー基調のもので(上半分をスカイグレー・下半分がシルバーグレーとして車体側面にピーコックグリーンの帯を巻くもの)、2003年からのリニューアルでE2系、E4系と同様の白と青の2色を中心に境目に「朱鷺(とき)色」と称されるピンクの帯を配したメイン画像のような塗装に変更された。