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F1jp

えふわんじぇーぴー

F1jpとは、主に日本でF1を視聴する人々がSNS(特にTwitter)上でつぶやくための専用ハッシュタグである。この記事ではF1における日本勢の活躍について記載する。
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主な日本勢の戦績編集

ホンダトヨタがチーム/エンジンメーカーとして、ヤマハ発動機SUBARUがエンジンサプライヤーとして参戦した経歴があり、トヨタとヤマハは最高2位、ホンダはチームとして3勝の実績がある。またホンダはエンジンメーカーとして、供給したコンストラクターのエンジンとして6連覇。ドライバーズタイトルを獲得したエンジンとしては5連覇を含む計6回を獲得する結果を残している。

自動車メーカー以外のチューナー・コンストラクターとしては、事実上のホンダ有志による活動となった無限が有名である(4勝)。


日本人ドライバーとしては鈴木亜久里佐藤琢磨小林可夢偉の3位が最高記録である。その次には中嶋悟角田裕毅の4位、片山右京の5位と並ぶが、2位以上とポールポジションは未だに無い。また、高木虎之介や山本左近、井出有治といった日本のトップカテゴリーで活躍したドライバーも参戦したが、目立った成績は残せなかった。しかし、中嶋悟は日本人初のフルタイムF1ドライバーとして日本人がドライバーとなる道を切り拓いたほか、雨天のレースに滅法強かったことから「雨のナカジマ」の異名を取っていた。また、角田は日本人初のデビュー戦入賞を果たし、右京はその速さから「1995年の注目ドライバーはウキョウ・カタヤマだ」と、かのアラン・プロストに言わしめるなど、光る活躍を見せたドライバーもいる。


タイヤメーカーではブリヂストンが参入し、フェラーリ×ミハエル・シューマッハとのコンビで黄金時代を経験。1999~2000年と2007〜2010年はワンメイク供給も担った。


21世紀のF1動向編集

チーム関連(00年台)編集

バブル崩壊後の2000年に、ホンダは初参戦から数えて第3期のF1活動を開始。2000年から2005年までのBARへのエンジン供給を経て、2006年に前述のBARを買収しワークスチームとして参戦。2008年にサブプライムローン問題に端を発する世界金融危機(リーマン・ショック)を理由に撤退するまで8年間活動した。

なお、ホンダはこの時自社チームを解散させず、コンストラクター所有権をある人物へ手放した…のだが、このチームは、後にF1復帰を果たしたホンダの最大のライバルとして立ちはだかることとなる(後述)。

2002年にはトヨタもF1に参戦するが2009年に撤退。トヨタのF1参戦はこれが最初で最後となっている。その後、2024年10月にアメリカのハースF1チームと車両開発・データ連携・人材育成分野での提携を発表したが、あくまでもそれらの分野での協力のみにとどまり、かつてのようにワークスチームとして参戦わけではない。この事について、トヨタの豊田章男会長は「日本の子ども達やスーパーフォーミュラで頑張る若者たちが、世界一速い車に乗る日を実現させるためにハースと提携を結んだ」「(一部の記事では15年ぶりにF1に復帰すると書かれている事から)『F1復帰』とは報道しないでほしい」とコメントしている。


また、2006年から2008年までは鈴木亜久里が立ち上げた、「オールジャパンチーム」の「スーパーアグリ」が参戦していた。資金難から型落ちのマシンを改良した車両で参戦せざるを得ず苦しい戦いを強いられた。それでも佐藤琢磨がしばしば格上のマシンを脅かす快走を見せ、世界中の度肝を抜いた。しかし、従来からの慢性的な資金難が深刻になり、2008年シーズンの序盤で止む無く撤退となった。


ドライバー関連編集

その後、琢磨はレッドブルの姉妹チームであるスクーデリア・トロ・ロッソでの(シーズンオフの)テスト走行に臨んだ。2日間に渡ってステアリングを握り、初日と2日目の午前で全体のトップタイムをマークするなどしたものの、レギュラーシートを獲得する事は無かった。琢磨はこの後インディーカーシリーズに転向し、47歳となった現在でも活躍している。


2009年のトヨタのF1撤退直前にデビューした小林可夢偉が、翌年の2010年、日本人初となる、持参金無しでF1チーム(ザウバー)に加入した。「オーバーテイク・キング」の異名を取った可夢偉は、日本メーカー不在のF1で孤軍奮闘。しばしばシューマッハ、アロンソ、ライコネン、ハミルトン、バトン、ベッテルらチャンピオン経験者たちとも互角に渡り合う活躍を見せ、日本人ファンは疎か世界中を沸かせた。

しかし、持参金の不足やチームメイトに勝る点も含め、特筆する成績を残せなかったことからシートを喪失。1年かけてクラウドファンディングやスポンサー活動で資金を得て2014年にケータハムから参戦するが、すでにオーナーのやる気のないこのチームで最下位争いに甘んじた。シーズン終了後にチームは解散し、以降可夢偉はF1に戻ることはなかった。


可夢偉の後を追って松下信治がF1直下のGP2(FIA F2)へ参戦。数回の優勝を飾るものの、スポンサー不足もありあと一歩届かず帰国。その後も伊沢拓也、佐藤公哉、牧野任祐、福住仁嶺といった日本人の若手ドライバーがF2に挑戦したものの、満足な結果は得られなかった。


2018年には山本尚貴がSUPER GTとスーパーフォーミュラの年間2冠を獲得し、F1参戦に必要なスーパーライセンス発給条件を満たした。国内では山本のF1参戦を熱望する声が多数上がり、まあ山本自身もF1挑戦に強い意欲を示し、翌年の日本グランプリで、トロ・ロッソ・ホンダから金曜の一回目のフリー走行に出走した。

しかし、これまで国内のレースを主戦場としていた山本には海外レースでの経験や実績が圧倒的に不足しており、加えて当時31歳という年齢もネックとなり、シート獲得には至らなかった。


また、その前年には石浦宏明がスーパーライセンス発給条件を満たしたものの、山本以上に高齢だったことや(当時36歳で、34歳でデビューした中嶋悟よりも上)、当の石浦自身が(既にF1から撤退していた)トヨタ系のドライバーでホンダとのコネクションが無かったこと、持参金が乏しかったことなどから実現には至らなかった。


2021年からはスクーデリア・アルファタウリ(前述のトロ・ロッソがリブランドされたチーム)に先述の可夢偉以来7年ぶりとなる日本人F1ドライバー・角田裕毅が参戦している。ホンダがF1活動終了(後述)した2022年以降も引き続きF1に参戦している

さらに、2024年からは(リザーブドライバーとしてではあるが)世界耐久選手権(WEC)やスーパーフォーミュラで活躍するTOYOTA GAZOO RACING所属のドライバー、平川亮がマクラーレンのリザーブドライバーに就任。同年4月の日本GPでは、VISA Cash App RB(前述のアルファタウリがリブランディングしたチーム)のフリープラクティスドライバーとして、F2で活躍する岩佐歩夢がテスト走行を行った。


第4期ホンダF1編集

可夢偉と入れ替わる形で、ホンダは第4期F1活動の一環として、かつての実績も含め、2015年よりマクラーレンとコンビを組み、パワーユニット(PU)サプライヤーとしてF1に復帰。当初は異例の長期契約と報じられていたが、後年に明かされた内容によれば、2017年までマクラーレンへワークスPUを供給する義務と2018年以降は契約の延長ができるオプションの権利があるというものであり、実は2018年以降の契約は未定であった。そのため、契約上では双方が合意すれば2017年をもって契約を終了することも可能であり、この契約終了の手段があったことが思わぬ展開を生むこととなった。


2015年、ホンダは正式に復帰したものの、この年のマクラーレン側の車体設計とホンダのパワーユニットの設計の両方(サイズゼロ)に無理があり、フェルナンド・アロンソ、ジェンソン・バトンという、チャンピオン経験者二人をもってしても最下位に近い成績しか残すことが出来なかった。

2016年、前年の反省点を生かしたPUとシャシーということもあり、成績こそ向上したものの、タイトルを争うどころかレースでの優勝争いからも遠かった。

2017年、F1復帰から2年間使用していたPUでは、性能向上の面でも限界が来ることがわかっていたため、ホンダはPUの戦闘力向上を目的として完全新設計のPUを投入。マクラーレンもこの年からシャシーに関するレギュレーションの変更も行われることもあり、(少なくとも表向きは)協調の意思を見せていた。しかし、内心ではこの状況に業を煮やしており、延長の権利を行使せずに2017年をもってホンダとの契約を終了する思惑が渦巻いていた。とはいえ新開発のエンジンは初期不良も含めたトラブルが頻発してしまい、また両者の溝を埋める手段もなく、両者の決別は避けられないと思われていた。それを示すかのようにマクラーレンが別のPUを搭載した場合の設計図を準備していたという情報がシーズン序盤に流出したり、シーズン後半になるとあからさまなホンダへのバッシングが目立つようになるなど、2017年に関しては負の相乗効果とも言うべき状況に陥っていた。


そのため、2015年からマクラーレンに復帰していたフェルナンド・アロンソが、マシンのあまりの戦闘力の無さに「GP2エンジン!」という罵声を無線で発したことは語り草となっている(この言葉と同時に、シャシーに対しても「GP2シャシー!」とも発言しているがあまり知られていない。この背景は「GP2エンジン!」の方だけメディアに切り取られ、その言葉だけが独り歩きした影響も大きい。さらにマクラーレンは政治的判断で自分たちの設計に欠陥がある事を公にならないようにするため、その発言だけ問題視することで他の問題に気付かれないようにしたかった事、ホンダはPUの性能面に対し負い目があったため、必要以上に反論しなかったこともある。このように火種を作ってしまったアロンソだったが、後年ホンダの山本MDに対し「絶対チャンピオンを取れ」と激励するなど、ある程度は修復された模様)。


そんな中で、ホンダの方は2018年以降はザウバーにもPUを供給する契約がまとまった。(表向きは課題はあるものの)仮にマクラーレンとの契約が終了しても、ザウバーへの供給を行う形でF1参戦を継続するのだろうと思われていた。しかし、ホンダ製のギアボックスの調達が難航していたからザウバー側がこれを白紙にすることを発表し、すぐにフェラーリPUの供給を継続することも発表された。これによってホンダはこの年でF1から撤退するのかと噂された。その水面下ではかなりの駆け引きが行われ、(結果だけ見れば)2018年以降のPUの供給先がマクラーレンとトロ・ロッソでスワップされる形で決着となり、とりあえず、ホンダが2017年でF1から撤退する事態は避けられることとなった。


マクラーレンと組んでいた頃のホンダの失敗の原因だが、ホンダは現代のパワーユニットの開発に対する不安点を軽視した点やシャシーに関する見識の少なさ、PUの完成度云々ではなく、それを行う開発体制を確立しないまま見切り発車となってしまった点も確かにあった。

だが、マクラーレンの方もシャシー性能を追求するあまり、自分たちの設計コンセプトを頑として曲げず、それにより、PUの方に悪影響を与えたと言われている。現にマクラーレン側の車体設計も当時は言及されていなかったが、この時期の設計は上手くいったとは言えなかった。また、ホンダはマクラーレンに対し、PU側からの要望や問題点の提起をしていたようだが、それを殆ど聞き入れなかったことも失敗の一因になったと言われている。他にも、マクラーレンを選んだのは第2期の再現やかつての実績を評価したものだが、この頃のマクラーレンはチーム力が低迷していた時期でもあり、その内情をホンダが把握しきれていなかった側面もある※。実際、ワークス供給と言うと無償供給だけをイメージしがちだが、大抵はその対価としてマシンのスポンサーのロゴの割合が大きめになったり、所属ドライバーをマーケティング活動に多用できるはずが、それができなかったうえ、チームの運営支援とロゴ掲載の権利の保障という名目でスポンサー料を要求されるなど、この時期のホンダは多額の支出を強いられたため、こういった金銭面の負担の大きさから、ホンダ内部ではマクラーレンとの契約が打ち切られたらそのまま撤退すべきと言われるほどの状況であった。


とはいえ、当初はホンダPUを使うチームが他にいなかったことやPUのトラブルのほうが目立ったため、PUに問題があるという風潮であった。実際2017年の新設計エンジンの不調が改善されず、恥を忍んでHondaJetの開発チームにPUを持ち込んで確認してもらったところ、内部を見たHondaJetの開発チームは「よくこれで動くね…」と呆れ、トラブルが頻発しているのも当然という反応であった。現在のF1のPUは理論がジェットエンジンに近く、HondaJetの開発チームはそれをすぐ見抜けるノウハウを持っていた一方で、ホンダF1はノウハウを持たないまま開発を行なっていたため原因を究明する能力すら持っていなかった。このような状況であったこともPUに問題があると言われてもやむなしであった。


だが、PU変更後となる2018年の開幕前の合同テストで起きたマクラーレンのマシントラブルを通じて、マクラーレンのシャシー設計にも問題があることが示唆され、マクラーレンの不振の原因がホンダだけではなかったのではという風に再検証され始めた。2018年は搭載PUメーカーがルノーとなった関係上、レッドブルやトロロッソなど、マクラーレンと同じルノーPUを搭載している他チームと比較されるようにななった。前年比で見れば、獲得ポイントではホンダ時代を上回ったものの、予選や決勝では見劣りする結果となったうえ、レッドブルなどの他のルノーPU搭載チームに大敗。これによって、従来の成績不振による責任はマクラーレン側にもあったという見解となり、過度なホンダバッシングは沈静化した。


ただ、こうなったのにも理由があり、参戦時期も後年の取材にてホンダとマクラーレンが交渉を始めていた時点ではマクラーレンがメルセデスPUの契約終了(2015年で終了)と入れ替わるように参戦する計画を立てていたという説もあり、その場合、2016年から参戦するつもりであった。少なくとも、参戦時期の関係で開発期間が他のPUメーカーより短くなってしまったと言われており、もし2016年からであれば、フェラーリやルノーが行ったPU開発期間と同程度の期間を確保できたと言われている。また、2023年にアルファタウリの代表から退くこととなったフランツ・トスト氏がホンダの関係について回想した際、2014年頃の話を一部明かしている。2015年からのホンダ参戦決定受け、チーム代表として関係者に挨拶に行き、開発の状況を尋ねたところ、シーズン開幕まで半年の時点でありながら実車テストどころかダイノテストを(訪ねた日から見て)来週から開始すると答えた。それを受け、1年延期(2016年からの参戦)した方がよいと提言したが、ホンダ側は反発したという。トスト氏自身も、かつてラルフ・シューマッハのマネージャーとして日本のレースシーンに同行していた際にホンダの実力を知っていたため、ホンダの中長期的な成功は間違いないと思っていた反面、備不足とプロジェクトの過小評価で苦戦すると考えており、双方の準備が整い次第、契約に踏み切ろうと考えていたことを明かしている。


だが、マクラーレンはワークスエンジンを一刻も早く入手したいという思惑、ホンダは他メーカーより遅く参戦に踏み切っても規定に対応できるという自信により、2015年から参戦することに合意。一応、擁護するなら、2015年は双方準備期間になることは避けられないと考えていたうえ、2015年に関してはある程度割り切っていた。だが、この年のPU関連のルールの影響でホンダ側の開発は難航し、シャシーもチームの低迷期と重なったこともあり、シャシー性能も優れているとはいえなかった。そして、2016年も迷走し、2017年も上手く対応できず、結果だけ言見れば、マクラーレンとホンダの体制は失敗という結末となった。


※ただし、2013年シーズンにおけるマクラーレンの不振から、ホンダPUの供給前の段階でマシンの戦闘力を不安視する声もあった。また、チーム内の権力闘争といったマクラーレン自体の問題はF1専門のメディアからたびたび指摘されており、この時期のマクラーレンの状況に不安視する声やチームの問題も知る人ぞ知る状況であった。そのため、この時期のホンダPUの性能不足は弁明の余地がなかったのも事実だが、その観点からホンダに全ての責任があるのかと擁護する声もあった。


一方のレッドブル(と姉妹チームのトロ・ロッソ)は、「ホンダに対して言うべきことは言うが、私達がすべきことがあるならホンダ側からも遠慮なく言ってほしい。一緒にやっていこう」という言葉通り、トロ・ロッソはまずチーム内で日本文化についての講習会を開き、友好的な関係を築くことや双方の緊張を解すことから始めた。またレッドブルへの供給が始まった2019年以降、(終始お互いが協力的であった点もあるが)シャシーとPUの開発が深化したこと、PUの性能を追及しすぎて問題が発生するという事態を避けることを双方が理解していたこと、そして2018年からのトロ・ロッソへの供給に合わせ、ホンダ側も開発体制を見直したことが成功の大きな要因である。



Red Bull Hondaの挑戦編集

2018年からホンダとトロ・ロッソが供給の契約を結んだことに関して、関係者の間では驚くことではなかった。


1990年代後半からスポンサーとしてF1の世界に名を響かせていたレッドブルだが、2004年までフォードがジャガー名義でF1にワークス参戦していたが、そのチームをレッドブルが買収し、2005年からレッドブル・レーシングとして再出発する形で参戦を開始。2007年からルノーとのエンジン供給契約を結び、2009年中国GPでのチーム初優勝をきっかけに躍進。2010年から2013年までの間、ルノーはワークスチームの活動を2010年で終了し、2011年からエンジンサプライヤーとしてF1参戦を継続してきた。その際、レッドブルに関してはカスタマーでありながらワークス並みの待遇を提供し、レッドブル側もそれも武器にしてF1界を席巻した。だが、2014年のルノーエンジン(この年からパワーユニットという呼称(略称PU)になった)の戦闘力不足をきっかけに関係が段階的に悪化し、新たに戦えるエンジンを求めていた。

さらに姉妹チームのトロ・ロッソも2013年までフェラーリのエンジンを使用していたのだが、2014年からレッドブルと同じルノーに変更したため、トロ・ロッソもレッドブルほどではないがルノーPUの性能に不満を抱えていた。さらにそのルノーが2016年からワークスチームとして復帰することを表明。レッドブルの供給に関しては復帰以降はワークス並みの待遇が得られなくなる見込みであったことに加え、2015年のルノーPUの改善幅も小さく、同シーズンもそれを示すかのような成績となったことも不満の一因となっていた。


そのため、両チームは2016年もルノーとの契約期間が残っていたのものの、しびれを切らしてその契約の破棄を宣言。だが、フェラーリはライバルチームということもあり拒否。メルセデスの方は新たなチームに供給するだけの余力はあったものの、レッドブルに供給することで自チームの優位性を相対的に低下させることとなるため、反対意見も多く、チーム内の議論の末、こちらもフェラーリと同様の理由で供給を行わないことを通告。この年のホンダは後述の理由で使用できなかったため、代わりのPUが見つからず、2016年に関しては、レッドブルはルノーとの契約を存続するものの、PU名を別名義にするという苦肉の策で合意(このやり方をバッジネームと呼ぶ。このときはレッドブルのスポンサーの時計メーカーであるタグ・ホイヤーに変更した)。トロ・ロッソはフェラーリから前年型のPUを供給してもらうことで急場を乗り切った。その関係で両チームが2017年以降使用するPUは未定扱いとなっていたが、2016年のルノーの性能を評価し、レッドブルは2018年までルノーとの契約を結ぶことで合意。トロ・ロッソもルノーPUを再使用することで合意し、この問題は一旦決着がついた。だが、17年のトラブルにやはり苛立ちを隠せず、メディアを通じた批判が多数展開していた。


話はさかのぼり、ホンダはマクラーレンの1チームのみ供給では限界を感じ、2チーム目の供給をし、異なるチームによってシャシーの違いを得られる環境を作り、開発の効率化を目指したいという思惑があった。そこにレッドブルはその思惑を噂として聞きつけ、2016年時点では、とりあえずルノーPU以外のPUを使用したいという観点から、マシン開発ではホンダPUを搭載した場合の設計図も準備していた。しかし、この時はマクラーレンがホンダPUの供給に関する契約に干渉できる権利を持っていたため、マクラーレンへの独占供給を優先してほしいという思惑により実現しなかったものの、その計画の一端でトロ・ロッソにテスト的な役割も兼ねて供給してもらう案もあり、当時の段階でトロ・ロッソとホンダが契約するのではという噂は流れていた。また、トロ・ロッソとは立ち話程度ではあるものの、供給に関する話をしていた。


話は戻り、2017年、レッドブルはこの年でマクラーレンとの契約が終わるかもしれないというホンダに目をつけた。レッドブルはホンダのワークスエンジン供給の権利とルノー以上の性能があるかもしれないという可能性に賭けることを決断。奇遇にもかつての案を実現する形となり、2018年はトロ・ロッソはホンダからPUの供給を受ける計画を承認した。この時点でホンダPUの採用に舵を切ったものの、後年の取材によれば、ホンダPUの採用が実現できるかは半信半疑だったという。というのも、マクラーレンがホンダPUに不満があったとはいえ、ホンダからのワークス供給が受けられなくなることに加えて、(当時のマクラーレンの状況を考慮しても)ホンダはスポンサーとして少なくない額を支援しており、金銭面からホンダとの契約を放棄するとは考えられないという一面もあった。

しかし、実際は2017年でマクラーレンはホンダとの契約を終了する事を決断し、翌年の2018年からはホンダPUが(姉妹チームの)トロ・ロッソに供給されることが決まった。そして2018年のシーズン中、シニアチームのレッドブルも、翌2019年からホンダPUの供給を受けることも正式に決定した。また、ホンダとしてもザウバーの契約が白紙になったことと2チーム体制による開発の効率化という計画から、ホンダPUの供給を受け入れてくれるかもしれないレッドブルとトロ・ロッソに注目。同時にレッドブルへの供給によって勝利へ近づける可能性に賭けることにした。


結果として、レッドブルとホンダのタッグは大正解であったと言え、彼らは年を追うごとに成績を向上させていく。トロ・ロッソのみの供給となった2018年は、第2戦で若手のピエール・ガスリーがいきなり第4期最高位となる4位入賞を記録。……が、前述のレッドブル系チームとエンジンをスワップする形でルノーPUに変更していたマクラーレンに対して、個々のレースでは上回ったがシーズン全体としては上回ることはできず、またPUのトラブルも解消しきれず、レース前のPU交換が多かった。だが、レッドブルにもパワーユニット供給することとなった2019年からは万全の体制となり、開幕戦でレッドブルのエースドライバーのマックス・フェルスタッペンがホンダにとって11年ぶりの表彰台(3位)を獲得。その後、レッドブルのホームサーキットであるレッドブル・リンクでのオーストリアGPにてフェルスタッペンがホンダに実に13年ぶりの優勝をもたらし、2020年シーズン終了までに計5勝する。


しかしホンダは2020年10月に、2050年でのカーボンニュートラル社会の実現に向けて経営資源を集中することを理由に、2021年シーズンを最後にF1参戦を終了すると宣言。このニュースに全世界の衝撃が走った。


悲願のチャンピオンへ編集

そして訪れた2021年、ホンダは2022年に投入予定だった新技術を前倒しする形で投入。前年の2020年まで7連覇していたメルセデスAMG(このチームこそが、冒頭で述べた第三期ホンダF1の系譜にあるチームである)と互角に戦えるまでになった。フェルスタッペンは、メルセデスのルイス・ハミルトンと激しいタイトル争いを展開。そして、ドライバーズタイトルのポイントにおいて全くの同点という47年ぶりの状況で、2021年12月12日の最終戦、運命のアブダビグランプリを迎える。


レース序盤、スタートダッシュで遅れを取ったフェルスタッペンはトップのハミルトンに徐々に離されていくも、チームはセルジオ・ペレスのピットストップを遅らせる判断を下し、フェルスタッペンがハミルトンに追いつくための時間を稼ぐために、ペレスより先にタイヤ交換を終えて出てきたハミルトンをブロックする作戦に出た。このペレスの活躍により、フェルスタッペンは一時はハミルトンの約1秒後方まで追いすがる。このとき、フェルスタッペンはペレスに対して「チェコ(ペレスの愛称)はレジェンドだよ!」と最大限の感謝と賛辞を送った。

Checo is a legend!

しかし、その後は突き放される展開となり、誰もが諦めかけた最終盤、下位を走っていたウィリアムズのニコラス・ラティフィのクラッシュによってセーフティカーが入り、フェルスタッペンとハミルトンの差は無くなる。

フェルスタッペンはセーフティカーが入ったタイミングですぐさまピットストップを敢行、最後のチャンスに賭けた。一方のハミルトンはピットストップを行う事で順位を落とす可能性が非常に高かった為、中古のハードタイヤで走ることを余儀なくされていた。そしてファイナルラップ突入時にセーフティカーは終了しレースが再開。フェルスタッペンは新品のソフトタイヤのトラクションとグリップというアドバンテージを活かし、ハミルトンのスキを突いてオーバーテイクをかけてトップとなり、そのまま劇的なチェッカーを受けてワールドチャンピオンとなった。コンストラクターズこそメルセデスに譲ったものの、ホンダは1991年のアイルトン・セナ以来、実に30年ぶりのワールドチャンピオンという有終の美を飾り、第4期F1活動に終止符を打ったのであった。

レッドブルホンダF1チャンピオン記念せつ菜ちゃん

この日、ホンダは最後のF1レースにあたり1つの広告を出していた。

そこには、これまでホンダを応援してきたファン、一緒に戦ってきたレッドブルとアルファタウリだけではなく、共に競い合ってきたライバルにさえも感謝するメッセージが刻まれ、多くの人々を感動させた。

(同じ日本の自動車メーカーとして)長年のライバル関係でもあり、かつてはチームとしてF1に参戦していたトヨタも、公式ツイッターで「行ってらっしゃい!」とエールを送り、フェルスタッペンがワールドチャンピオンに決まった後には「感動をありがとう!」と、「#ありがとうホンダ」のハッシュタグを付けて、ホンダの健闘を称えた。


ありがとうフェラーリ

ありがとうロータス

ありがとうブラバム

ありがとうマクラーレン

ありがとうウィリアムズ

ありがとうルノー

ありがとうメルセデス

ありがとうトヨタ


初めてF1に挑戦した

1964年のあの日から今日までの、

すべてのライバルに感謝します。

すべての応援してくれた人、

すべてのドライバー、

厳しい戦いをともにくぐり抜けてきた、

レッドブル、アルファタウリ、

すべての仲間に感謝します。


じゃ、最後、行ってきます。



レッドブル・パワートレインズへのバトンタッチ編集

2022年以降だが、当初はホンダPUに関する権利はレッドブルが新設したパワーユニット開発のための新会社「レッドブル・パワートレインズ(RBPT)」に引き継がれ、その年以降ホンダPUはRBPTが生産し、RBPT製ホンダPUとしてレッドブル・アルファタウリの両チームに供給され、ホンダは必要に応じてサポートするという計画であった。

ところが、RBPTがPUの生産を行うには準備もノウハウも足りないことはもとより、ホンダPUに関する知的財産権が一時的にレットブルの権利となることで、場合によってはレットブルが許可すれば別メーカーにホンダPUの情報を開示できるという不安要素が生まれることとなった。そこで計画は変更され、ホンダPUに関する知的財産権は譲渡ではなく、使用許可の契約という形へ変更され、エンジンの生産、PUの開発や分析、重整備も2021年までと同様、栃木県さくら市にある「Honda Research and Development(通称:HRD Sakura)」で行うものの、そこの管理は新たに再編された「HRC」(ホンダ・レーシング・コーポレーション。ホンダがレース事業を分離した別会社)が担うこととなり、現場の保守点検に関してはRBPT側が行うことで合意した。


その結果、新たなレギュレーションが適用されデザインが一新されたレッドブル、アルファタウリのマシンには「HRC」のロゴが刻まれているほか、レッドブル・アルファタウリの両チームの制服には、HONDAのロゴが引き続き入れられている。

名義はRBPTに変わったものの、RBPTにホンダの開発者が数名移籍して協力しており、実質的にはホンダ製エンジンといえる。そうした事情もあり、2022年に発表された新型アキュラ・インテグラのプロモーション映像に、アルファタウリのエースドライバーであるピエール・ガスリーが出演する、本田技研工業の公式Twitterが普通にレッドブルやアルファタウリの活躍についてツイートする、鈴鹿サーキットで行われる2022年日本グランプリの冠スポンサーをホンダが務めるなど、ホンダとは引き続き蜜月関係にある。

肝心の戦績も非常に好調で、最初期こそトラブルによるリタイヤがあったものの即座に問題を解決。日本GP終了時点で18戦中14勝・勝率77%・残り4戦にしてフェルスタッペンのドライバーズタイトルV2決定と、2022年シーズンを支配した。2023年も圧倒的な強さを見せ、序盤4戦はフェルスタッペンとペレスが2勝ずつ分け合った後、第5戦からはフェルスタッペンが連勝街道を突っ走り歴代最高10連勝を記録。最終戦績は22戦中21勝・勝率は驚異の95.45%を記録し、1988年のマクラーレンホンダの最高勝率記録を35年ぶりに更新。優勝を逃したのも第16戦シンガポールGPのみ(このGPはフェラーリのカルロス・サインツJr.が優勝)というほぼ完全無双状態となった。他チームのドライバーからも「次元が違う」「別カテゴリー」と、半ば諦め気味のコメントが飛び出すまでに至った。また、アルファタウリの角田裕毅についても、ベテランのチームメイトであるダニエル・リカルドを上回ってチームにポイントをもたらし、一時はシーズン最下位で終わるかと思われたアルファタウリのコントラクターズランキングを8位まで押し上げる立役者となったことで「全チーム中最悪と言われるマシンでよくやっている」「ミスや感情の爆発が無くなり、一貫性のある走りができている」と高く評価され、レッドブルに昇格させるべきだという意見がレース関係のマスコミや元F1ドライバーからも多く上がるようになっていた。


2026年以降のレッドブル陣営との関係は?編集

一方、こうした関係からSNS上で「撤退したとは()」「公式の活動終了は株主を納得させるための方便だったのでは?」と好悪の印象問わず言われており、HRCとして活動していることから、一部のファンやモータースポーツ関係者からは「ホンダは撤退を撤回して電撃復帰するのではないか」という予測が囁かれていた。当初、レッドブルは2026年からはポルシェとタッグを組むことを企図して交渉を進めていたが、レッドブルの本社(チームを所有しスポンサーでもあるレッドブルの方)はポルシェへの売却ないし移管に肯定的であったが、レッドブルレーシング(いわゆるミルトンキーンズの現場組織)はあくまでも自社が決定権を持つチーム運営をしていきたいと考えていた。それに対し、ポルシェは将来的にレッドブルレーシングをポルシェのワークスチームとして吸収もしくは再編することを計画していたため、双方の見解の相違によりこの交渉は決裂することになった。


そうした経緯もあり、ハンガリーGP終了後、HRCとレッドブルのパートナーシップは2025年まで延長されることとなり、これにより現行レギュレーション終了までレッドブルとアルファタウリにホンダPUを搭載することが決まった。その後、通称サマーブレイク期間にて2026年からのPUの新レギュレーションの方針が決定する。

そこで発表された2026年のエンジンサプライヤーの登録者リストで、RBPTの項目にホンダの名が記載され、ホンダRBPTとして登録されていることが判明。このことが「2026年以降のホンダ復帰の伏線では?」という見方もあり、レッドブルとの再提携、HRCの活動を発展させてHRCとして参戦する可能性、ホンダとして2026年以降に復帰することが噂されていた。


だが、2023年2月、レッドブルが2023年型のマシンのカラーリングも含めた体制発表会にて衝撃が走ることとなった。2026年からRBPTはフォードと提携することを発表。内容としてはRBPTのPUにバッチネームとしてフォードをつける権利とRBPTが未開拓の分野に関してフォードが協力することで合意。また、アルファタウリもフォードPU(RBPT製PU)を積むことも明言され、ホンダとの関係は2025年で終わることが内定することとなった。

一応、ホンダ側も理由があってレッドブルとの交渉に失敗し、2025年で関係終了することが内定してしまったのだが、長期参戦という視点を欠いたことや株主の動向に左右されすぎたという批判は避けられない事態となってしまった。


ホンダとレッドブル陣営との関係終了とその背景編集

そもそも、フォード自体はコスワースDFVエンジンを筆頭にF1との関係は深く、2004年で会社としてF1との関係をいったん終了したものの、エンジンレギュレーションに変化がある時期になると復帰するのではという噂をゴシップ記事という形で書かれていた。そのため、2026年の新PUに合わせて参戦するのではという噂だけは存在していた。

それに、レッドブルのF1参戦の歴史を紐解くと、レッドブルが1995年にザウバーのタイトルスポンサーという形でF1に関わる際、当時搭載していたザウバーのエンジンはフォード・コスワースであり、F1にチームとして参戦するために買収したのがフォードがジャガー名義で参戦していたワークスチームであった。そしてそれの始祖となったのが、ジャッキー・スチュワート、ポール・スチュワート親子とフォードがタッグを組んで設立したスチュワート・グランプリである。


それはさておき、フォードとの提携が合意に至った理由とそこにはホンダが交渉に失敗した理由も含まれており、その内容は以下の通りである。

  • フォード自体、F1に関与するようになったのはフェラーリに対抗するためという面もあったが、時期によって差異はあるものの、モータースポーツに関与すること自体は前向きであり、特にラリー(現WRC)への関与は長い歴史を誇る。実際、WRCにおいてイギリスのラリーチーム・Mスポーツに対し、1996年からフォードのワークス参戦を委託し、一時期ワークス活動の委託をしていなかった時期もあるが、その時期でも縮小しつつも技術支援を続け、一度も提携終了をしていない歴史もある。また、F1の方もコスワースDFVエンジンの歴史で言えば、技術支援や資金をコスワースに提供する条件としてフォードのバッチネームをつけることを求め、DFVは本来ロータス用のワークス供給のエンジンであったにもかかわらず、ロータス以外の供給を解禁したように自社のワークス参戦という実績より、モータースポーツに参戦している事実を重視する傾向があった。
  • また、フォードは撤退したとはいえ、F1復帰を考えているメーカーの一つとして度々噂になることはあった。そんななか、ポルシェとの交渉破綻後、ホンダ以外の協力先としてフォードが噂されたものの、この時点では噂話の一つと思われていた。しかし、ホンダとレッドブルの交渉が難航していることが判明するとフォードと交渉しているという噂が熱を帯び始め、その結果、レッドブル・フォードの誕生となった。
  • フォードが選ばれたのは、RBPTはICE(内燃機関)の部分に関しては開発のめどが立っていたが、ハイブリッド関連の電気系統については外部の協力は必須と言われており、その関係で自動車メーカーという意味でフォードの名前が挙がっていた。一方でその要因がホンダがレッドブルとの関係を続けられる可能性があるという根拠にもなっていた。
  • しかし、RBPTはPUに関してはハイブリッド分野の協業や技術支援なら受け入れるものの、それ以外の分野で協業することには難色を占めつつあった。しかし、ホンダとしては、理想はワークスチームの発足、少なくともPU一式を供給するPUメーカーとしての復帰を意識しており、バッチネームとしてホンダをつけてもらうことを条件に技術支援という形でF1へ復帰するというのは受け入れがたい面もあった。それに技術支援だけとなれば、ホンダ関連の比率が2025年までのHRCとして供給している内容より少なくなるため、それをもってF1に参戦しているという主張は多少無理が生じてきてしまう(バッチネームの契約の有無という定義はをあったとしても、特定の分野のみの協力となれば、F1チーム用に特殊な部品を製作し納品しているメーカーとの違いは何という話となる)。仮にその判断を保留にしても、ホンダが2026年から復帰する計画どころか、PUの開発計画すら不明な状況であり、RBPTとしても開発計画の観点から遅延すればするほど不利になるため、この状況のせいでフォードの方に流れが傾いてしまった。
  • フォードとの提携は内定したものの、その内容はバッチネームの権利の獲得やRBPTが求める分野の技術協力という方針であって、PUメーカーとして活動しているとは言いがたいものであった。とはいえ、フォード側も新PUを開発するための時間がないため、その点でF1復帰は難しいだろうと思われていたが、かつてのコスワースDFVエンジン時に行っていたフォードの活動と類似のやり方でF1復帰を果たすこととなった。一言で言えば、フォードとRBPTが求める条件が合致したことに加え、いわばフォードがレッドブル側の主張を受け入れたも同然であったことが決め手となったと言われている。

これにより、2026年以降、ホンダはレッドブルとの関係がなくなることが内定。しかし、関係を続けるにしてもハードルが多く、エントリーしている関係でF1側からは参戦予定のメーカーとして登録されているものの、関係終了自体は避けられなかった可能性のほうが高い。実際、考えられるハードルは以下の通りである。


  • 費用の問題
    • 現実的な問題として、参戦費用の問題がある。そもそも、費用の問題も撤退した間接的な理由として挙げられるため、はたして会社がそれに耐えうる資金を用意できるのかという点や株主がそれに同意するのかという壁もある。
    • その一方で2021年から参戦チームに対し予算制限の導入されたが、これがエンジンメーカーにも導入される予定であり、すでに2026年用PUに関しては一定の制限下で開発することが命じられており、エンジン側も予算制限が導入される予定であるため、莫大な費用が必要という見解に反論する見方もある。また、ワークスチームを発足した場合でも、シーズン終了時の分配金の額が増額されている点、F1全体で見れば、スポンサーの参入が増えているため、参戦チームがスポンサーの獲得をできるかはともかく、年間としての支出額は以前に比べれば減っているため、あくまで金銭面の負担に関して低減していると言われている。
  • 開発面の問題
    • 費用の問題はクリアできても、ホンダが再参戦することも容易ではない。そもそも撤退した理由は、カーボンニュートラル社会に会社として対応することとそれに伴う開発部門の再編を実施したかったからであり、F1用の人員も使わないと対応できないぐらいひっ迫していた面もある。現にモータースポーツ部門をHRCへ一本化したのは、分散していた人員を一つにまとめることで開発の効率化を目指したことや少人数でも対応できるようにしたという面もある。また、2025年までHRCによる供給で大きな問題が発生しない見込みがあるのは、開発凍結により信頼性に関する研究以外のコストがかかっていないこと、信頼性の改善に伴いPUが発揮できる性能の上限に近づくことが結果的に性能向上という形で現れる可能性はあるが、凍結前のような、PUの性能の上限が向上するという純粋な性能アップが理論上起きないことも背景にある。また、2025年までは対応可能ではあるが、2026年から新形式のPUになるため、再参戦にはそのPUを開発する必要があるうえ、ヨーロッパのF1部門も閉鎖したうえ、F1に割り当てられている人員も縮小しているため、F1用の人員を再度確保できるのかという疑問もあり、それらの点から懐疑的な意見もある。
  • 再参戦を決断した場合に起きる問題
    • 仮に費用の問題の解消とPUの開発が完了しても、どのように参戦するかも問題となる。PUサプライヤーのみの活動となる場合、基本的にPUを購入してもらった際の費用しか手に入らないため、それだけでF1の活動費を賄うのは困難であり、ホンダが否応なく資金の持ち出しを強いられることとなる。
    • そこで分配金の権利も得られるワークスチームとしての参戦することが噂されていたが、むしろ、ホンダが再参戦する場合、こちらを選ばないと長期的な参戦は困難と言われることが増え、現にホンダの関係者からもPUサプライヤーとして復帰することに関しては否定し、再参戦をする場合ワークスチームの発足を目指すべきという内容のコメントを異口同音に発している。しかし、買収するにおいて忘れがちな問題としてギアボックスの製造がある。というのも、ホンダがギアボックスも製造して供給しない場合、ギアボックスを製造できるチームしか候補できないため、そうなるとワークスチーム以外で参戦しているチームにてその能力が確実にあるのはレッドブル、マクラーレンの2チームしかなく、次点でウィリアムズとなるが、そのウィリアムズは2022年で同部門が解体されているため、急遽再編する必要があることが課題となる。
    • そういったことから、当初はレッドブルの買収案がホンダ側にとっては理想的と言われていたが、RBPTの活動をスタートしている関係で、レッドブル側はホンダのワークスチーム化に対し以前に比べれば積極的ではないのでは、という懸念もあり、その懸念がフォード提携時に発表された内容という形で的中することとなってしまった。
    • とはいえ、レッドブル買収は容易ではないため、F1復帰を優先する観点からアルファタウリを買収してホンダのワークス参戦するという見方もあった。ただし、RBPTのPUの搭載を明言した関係で買収の可能性は低くなりつつあるが、仮にできたとしても課題が多い。アルファタウリはレッドブルに比べれば売却の噂が目立つため、チームの購入に対するハードルという点ではいくらか低い可能性はある。しかし、2019年から開発方針が変化し、親チームでもあるレッドブルとの関係強化をした影響でギアボックスの製造部門を解体されているため、その点が最初の課題となる。もし2026年からホンダの供給を受ける体制となった場合、その人員を再配置して別分野に振り分けて数年経過しているうえ、マシン開発ではレッドブルに依存している分野が存在している以上、それを脱却ないし縮小しすべて自前にする必要に迫られるため、開発部門の課題もある。
    • それらを解消できても身もふたもない言い方をすれば、アルファタウリ自体、前身も含め、シーズン終了時のチームのランキングの成績としては、野球で言えば、ずっとBクラスのチームであり、チームの価値としては厳しい評価となる。さらに入賞に関しては好不調の差が激しいチームなうえ、下位チームや小規模チームという点を差し引いても、開発面はホンダの支援で改善できる可能性はあるものの、レースという実戦の能力は一朝一夕で改善できるものではなく、成績向上のためには相当な投資リスクを背負うこととなる。それゆえに、売却の噂が燻っているが、その背景はチームを売却することによってレッドブル本社からの支出を削ることが目的であり、成績不振を理由に見切る可能性もゼロではないものの、F1ドライバーの育成枠を抱えている関係で売却に踏み切るとは考えにくい。とはいえ、本社がいつまでアルファタウリの不振を受け入れるかどうかがカギとなる。そのため、単に買収するだけでも相当な資金が必要になる可能性もある。
      • 実際、前述のザウバーはBMWのワークス時代、資金面以外の支援も受けていたが、それらによってAクラスに加わり、シーズン中に表彰台を複数記録するなどの歴史がある。また、その時期以外にも表彰台を獲得したことがあるシーズンがあったり、入賞範囲の規定の違い(当時は6位までだった)はあるものの、2001年と2002年にAクラスの成績を記録したこともある。
    • 現にホンダのワークス供給によるアルファタウリ(トロ・ロッソ)の時期の成績は、ワークス供給されていない時期に比べれば優位な環境でありながら、Aクラスの成績を記録できなかったという歴史もある。また、同チームで特筆した成績を記録したドライバーもいるが、チームの能力というより該当するドライバーの能力がとびぬけていた面が強い。
      • セバスチャン・ベッテルとマックス・フェルスタッペンは、前者はトロ・ロッソ時代にチームに勝利をもたらし、後者はトロ・ロッソ時代のドライバーとしては獲得ポイントでは最多を記録しており、二人ともレッドブル移籍後にワールドチャンピオンを獲得。ピエール・ガスリーはアルファタウリ時代にチームに勝利をもたらす活躍を見せ、同チームのドライバーとしてみれば特筆すべき成績を記録。カルロス・サインツJr.はトロ・ロッソ時代は決勝の不運もあり特筆する成績とまではいかなかったが、別チーム移籍後に活躍し、後にレースで優勝する結果を残している。
    • そのようなチームのワークス供給ないし買収はそれ自体にリスクがあり、第3期のような乱高下の激しい成績や2015年~2017年のマクラーレン時代のような状況が起きる可能性もある。仮にマクラーレン時代の迷走劇の再来はなかったとしても、成績不振が続き資金の持ち出しだけ続くような状況になれば、ホンダ第5期(仮)は活動期間は今までの中で最小の期間になり本末転倒、という事態も起きかねない。
    • 他の選択肢として、ギアボックスの製造能力が確立しているウィリアムズとマクラーレンだが、どちらも嘗ての名門チームで、過去にホンダがエンジンを供給していた過去はあるものの、前者は最下位に近い成績が続いており、逆説的に見れば目に見える形で成績向上がしやすいという一面もあるが、ワークスチームが最下位続きのレースやシーズンとなればホンダ側の評価を下げることになってしまうため、投資リスクが大きいという問題がある。むしろ、後者は買収で生じる問題がなく、感情面の問題を割り切ることができれば、レッドブル以外で結果を残せそうなチームという点では有力な選択肢となりうる。ただ、マクラーレンに関しては、自動車部門との兼ね合いをどうするのか、仮にレース部門だけホンダが買収ないし株式を取得してホンダのワークスチーム化ないし分配金の権利を得られるようにするにしても、マクラーレンの株式をどう取得するかの問題、チームの歴史を見ると好不調の波の幅が大きいチームという一面もあるうえ、チームの財政問題の影響で設備投資が進まなかった影響もあり、マシンの開発能力が万全とは言えず、マクラーレンとの関係を確保できたとしても再び低迷期と重なる可能性もあることが不安要素となる。
    • また、ギアボックスの製造能力の有無を一旦無視すれば、ハースとアストンマーティンも候補にはあげられる。ハースは中長期的にはフェラーリからの独立を目指している計画や親会社も長期的に参戦する意思があり、一見良い候補のように見えるが、ハース自体の開発能力はフェラーリの敷地にハースの出張所という形で開発部門を設置し協力関係を確立している状況やダラーラの委託のように外注部品に依存傾向の体制など、チーム体制が不安材料となる。また、シーズン成績も2018年に結果的にAクラスの記録となったものの、獲得ポイントで言えば本来はBクラスであり、それ以外のシーズンもBクラスが続くなど、チームの実績を基に購入するという魅力も欠けている。そのため、ハースの課題解消に応じた投資コストがかかる可能性があるうえ、上手くいくか保証されない点が不安要素となる。むしろ、ハースとアルファタウリの2択となった場合、不安要素や投資リスクという点ではほぼ同じなため、逆説的ではあるがアルファタウリのほうがトータルのコストではまだマシな可能性すらある。
    • アストンマーティンの方はチームオーナーによる投資によってチームとしての開発能力の向上や人員が充実しつつあるうえ、ギアボックスの製造能力も2026年以降という条件であれば準備することも不可能ではないため、マクラーレンの条件と類似する点もある。また、アストンマーティンの場合、マクラーレンに比べ財政面の不安がなく、現体制の方針としては持続的な投資を行う見込みであるため、設備の陳腐化で衰退する可能性も低く(ウィリアムズとマクラーレンが衰退した一因は資金不足によって設備投資が上手くいかなかったうえ、最低限の投資すら行わなかった結果でもある)、提携も上手くいく可能性もある。しかし、運営チームとしてメルセデスとの関係が深いうえ、ホンダの参戦と撤退を繰り返すという歴史的観点から、メルセデスとの関係を終了してまでホンダの買収ないし提携を受け入れるかという疑問もある。
    • ウルトラC的な選択肢として、既存のF1チームとの関与ではなく、自前でワークスチームを立ち上げて参戦するという選択肢もある。ただ、それを選んでいたのなら、準備期間に使用できる時間を確保する観点(設備を新設するだけでも年単位の時間がかかるうえ、ある程度の人員も必要)からすでに発表していない間に合わなくなってしまう。そのため、ゴシップ記事などで謎の設備建設みたいな情報すらないことから、この選択肢はチーム発足に生じる問題に対応している様子がないことからありえないと思われる。

そのため、提携する候補はあるが、それぞれ一長一短なため、結局話はまとまらず時間切れとなってしまい、2025年をもって終了になるだろうと思われていた。だが、2023年5月に驚くべき発表がなされた。


アストンマーティン・ホンダの誕生編集

2026年から、ホンダはアストンマーティンとタッグを組み、再びF1に参戦することを公式発表。HRC名義ではなくホンダとして復活することは、モータースポーツファンに大きな驚きをもって迎え入れられた。ただし、会見ではホンダ本社も関与するものの、レース部門として一本化されたHRCを中心に長期的な参戦を目指すとしており、復帰と撤退を繰り返すような事態を避けることも意識しているとコメントしている。


アストンマーティンとしては、2022年後半戦から時折速さを見せ、2023年のマシンに関しては、体制を刷新して開発された初年度のマシンであり、前年より速いマシンになると思われていたところ、3位表彰台ではあるが上位争いに加わるほどの速さを持つマシンとなり(ただし、これはフェラーリとメルセデスが上手く戦闘力を上げられず、各チームの戦力の相対的な変化も影響している)、チームはこの年大きな躍進を遂げていた。また、チームとしては(というよりチームオーナーの野望でもあるが)、短期的にはレースでの優勝争い、長期的にはタイトル争いにも参戦したいという思惑もあり、それゆえに多額の投資を行っていた。その過程にてマシンの性能を突き詰める上でPUを刷新する思惑があった模様(23年現在はメルセデスとカスタマー契約を結んでおり、カスタマーはワークス供給に比べれば不利な要素があるとされる)。そこで、2025年シーズン終了をもってレッドブルとの関係が途絶、空席になるホンダに目をつけた。


ホンダとしては、レッドブル以外のチーム-主にウィリアムズやマクラーレンと交渉していたが、この年の戦績から魅力が減っており、候補から外れつつあった。そんな中、この年躍進したアストンマーティンに注目。同チームが行っている多額の設備投資の実績に加え、チーム側もワークス供給の権利を得るものの、ホンダの方針にも配慮するなど、お互い納得できる条件を見つけられたために契約したと言われている。少なくとも発表時の会見では、ホンダは「F1が持続可能な環境維持に向けての取り組みを強化したことで再参戦の意味が出た」としており、アストンマーティンも「ホンダのパワーユニットは優勝を掴むための最後のピースだ」として円満な契約に至ったようである。


一方でネット上では、参戦終了と宣言、復帰は困難な意向を見せておきながら、2026年に再参戦を決定したことに関しては複雑な心境を窺わせる声もある。とはいえ、結果的にUターンすることとなった決断の影響は、金銭面だけ見れば、継続していた方がホンダとレットブルにとって少なくない額の支出を避けたり、先延ばしにできた可能性があったことも事実である。


ホンダからすれば、規模を縮小して参戦を継続するという決断をした影響でヨーロッパの拠点の閉鎖を招いている。というのも、バッテリーの輸送には特別な許可が必要であるため、電気系統の開発生産を輸送の効率化も兼ねてヨーロッパの拠点で行っていた。2023年時点は、RBPTと共同作業となっているため、問題は起きていないものの、その組織を2022年からは事実上RBPTに移管してしまった状況なため、2026年からはホンダ単体で行う必要があり、再びヨーロッパの拠点の新設か日本の施設を拡充しなくてなならないため、結果だけ見れば、閉鎖せずに続けていた方が参戦のハードルがさらに下がり、拠点の新設のための費用と人員確保をしなくてもよかったという面もある(この点もホンダとレッドブルの提携が続くだろうと推測する一因でもあった)。


レッドブルとしては、以前からエンジン供給に翻弄されたくないことから、自社製エンジンの開発生産を行う構想はあったが、多額の支出が発生するため、保留扱いとなっていた。そのため、ホンダ撤退の影響でパワーユニットの内製化の計画を推進せざる負えなくなり、無用な支出を強いられたという解釈もできるものの、ホンダ撤退の影響でその構想を実施するきっかけとなったのも事実であり、エンジンのレギュレーション変更のタイミングでそれをスタートできるため、レッドブル側も悪い話ではなかった面もある。


会見を受け、レッドブルのフェルスタッペンが「2025年限りでホンダにさよならを言わなくていいのは嬉しいけれど、一緒に仕事ができなくなるのは寂しい。彼らとの仕事は本当に楽しいからね」と述べ、同チームのクリスチャン・ホーナー代表も「ホンダがF1を続けるならRBPTを設立することはしなかった。だが、RBPTの設立は、レッドブルグループが将来パワーユニットを内製していくために有益だし、その後押しをしてくれたことに感謝する」と、感謝と惜別の入り混じったコメントを発表している。


その他、ドライバーは誰になるのかなど、今後の行く末も含めて目が離せないトピックとして注目を集めている中で、アストンマーティンに所属するフェルナンド・アロンソが少なくとも2026年までアストンマーティンに残留する契約を結んだことを発表した。

アロンソは過去のマクラーレン・ホンダ時代について言及し「あの時はうまくいかなかったけれど、今のホンダは問題を解決して非常に強力なパワーユニットでF1を支配しているし、今度はうまく行くと思う」と前向きな姿勢を示した。

その後、ランス・ストロールも2025年以降の残留を発表し、ドライバーは2024年と同じラインナップとなることがひとまず確定した。しかし、F1は契約内容が急遽変更されたり無かったことになったりということがままある世界のため「とりあえず2024年段階ではそのようになっている」という状態である。ただ、ストロールに関しては、アロンソと比較されるようになった直近の成績は低迷していると言われるのが避けられないことに加えて、ストロールに非があると審判団が判定したインシデントを引き起こしても謝罪せず、逆に自身の正当性を主張するなどの行為を度々引き起こしている。そうした行為を重ねつつもチームに残留していられるのは、チームオーナーの息子という「ドラ息子」扱いをされており、悪印象を持つF1ファンや業界関係者も多い。一応擁護するならシーズンごとの状況とそれに伴う成績を考慮すれば、課題はあっても酷評されるほどの人物ではなく、時期によってはシートを得るだけの活躍はしていたため、ドラ息子呼ばわりされていなかった時期もある。とはいえ、いつかスポンサーの怒りを買い電撃解雇もあり得るのではないかという噂も流れており、引き続き注目すべきトピックであることは間違いない。

ドライバー関連以外では、これまで多数のF1マシンのデザインに関わり、レッドブルの勝利を支えた「空力の鬼才」ことエイドリアン・ニューウェイのヘッドハンティングに成功。ファンの間では、レッドブル・ホンダのような強力なマシンが出来るのではないかという期待が高まっており、メカニック面でも注目度が高まっている。


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