概要
製造はロッキード(現:ロッキード・マーティン)であるが、同社は(当時は)艦載機に関しての経験が浅く、LTV(リング・テムコ・ヴォート)社との共作となっている。うち機体の設計・製作はLTV、搭載する兵装システムの設計や最終組立はロッキードが担当した。
派生型として、電子機器を取っ払って貨物スペースにしたタイプ(US-3A)や、対潜装備を外して電子機器に載せ替えた信号情報収集型(ES-3A)もある。また、バディポッドを搭載すれば空中給油機としても使うことができる。万能すぎる。
(一応専門型も開発されたが、結局S-3Aにバディポッドを積めば済むのでボツになった)
仕様
設計
機体の断面は四角形となっている。主翼は高翼式となっており、ここにゼネラル・エレクトリックTF-34(民間仕様はCF-34)ターボファンエンジンを搭載する。艦載機という性格上、主翼や垂直尾翼は搭載スペース確保の為に折り畳む事ができる。ちなみに主翼は上に、垂直尾翼は横に折り畳める。
TF-34エンジン
ちなみにCF(TF)-34はS-3以外にも、みんな大好きA-10や各種のリージョナルジェットなどにも採用されている。こいつもS-3並に万能すぎるエンジンだ。これは初期のターボファンエンジンだが、それまでのターボジェットエンジンよりも効率に優れている。
装備
潜水艦探知用の地磁気センサー「MAD」は機体尾部に搭載。通常は機内に格納されており、使用時に後方に突き出す。また、機首の左下には赤外線カメラを搭載している。
乗員は機長・副操縦士・音響センサ担当・戦術調整士の4人。副操縦士はセンサ担当も兼ねている。
大量の電子機器の発熱に対処するため機内はエアコン完備で快適。もちろん与圧もされている。射出座席は4名分確保されている。紳士の爆撃機もこのへんは見習うべきだと思うが…(件の機体は操縦士以外は二酸化炭素のカプセルを爆発させることにより作動する、補助脱出装置を使って脱出する)。
日本も(空母共々)導入していたかもしれない?
海上自衛隊はS-2の後継機として本機の導入を真面目に検討していたと言われ、調査のために海自幹部がこっそり訪米していたとも言われている。
しかし、オイルショックの影響でお流れになったとか。
また、この話には続きがある。
こいつはそもそも艦載機。
つまり空母にも積める。
……。
軍事評論家の田岡俊次氏曰く、「海自はジェット機と、更には空母までも導入したかったのではないか」と語っており、海自の関係者に「S-3導入後に米空母を使っての着艦訓練を行う計画を立てており、その件について相談された」らしい。
余談
- 掃除機のようなエンジン音から、「フーバー」という愛称でも呼ばれていた(ちなみにフーバーとはアメリカの家電メーカーであり、同国に於ける掃除機の代名詞となっている)。
- 現在では退役しているが、退役した機体をNASAが買い取って実験用に使っている。
- 電子機器を稼働させるための補助電源は機体後部に装備されたラムエアタービン(風力発電機)で賄われている。RATの作動用空気を取り入れるため、垂直尾翼の付け根には空気取り入れ口を設けてある。
- 本機は海軍航空機隊で初めて「ネイビーワン」の称号(コールサイン)をもらった機種でもある。「~ワン」とはアメリカ大統領座乗の機に与えられるコールサインで、これは2003年5月1日、ジョージ・W・ブッシュ大統領がこの機で空母「エイブラハム・リンカーン」に着艦した際に与えられた。
関連イラスト
関連タグ
- アメリカ合衆国 アメリカ海軍 ネイビーワン
- 航空機 飛行機 軍用機 哨戒機 艦載機 空中給油機
- ロッキード(ロッキード・マーティン) LTV
- 空母
- 掃除機 しっぽ(MADブーム的な意味で)
- 海上自衛隊 - 一時期、本機の導入を検討していたと言われている。
- A-10 - 同系列のエンジンを使っている。