SEALs
しーるず
The only easy day was yesterday(楽に過ごしたのは昨日まで / ここからが正念場)
Navy SEALs(ネイビーシールズ、英語:United States Navy SEALs)は、アメリカ海軍の特殊部隊。海軍・沿岸警備隊から志願者を募っている。名前にSEA(海)が入っているからといって、水上だけで活動していると思ってはいけない。海・河川・ジャングル・都市などの場所でも作戦を遂行できる(軍艦も含む)戦闘のプロフェッショナルであり、名称はSEA(海)・AIR(空)・LAND(陸)の頭文字から取られ、アザラシ(Seal)もかけている。
海軍つながりで似たような感じだからなのか、ミリタリー初心者にアメリカ海兵隊と間違えられることがあるが、れっきとした海軍の部隊である。
歴史はアメリカ軍の特殊部隊のなかでもっとも古く、バージニア州バージニアビーチのリトルクリークに本部が設置されている。
1962年1月に南ベトナム解放民族戦線の掃討を目的として結成されたが、その前身は1942年8月に結成された水中破壊工作部隊である。1955年11月に開始したベトナム戦争で初めて動員され、この戦争ではメコンデルタへの潜入・数々の極秘作戦を成功させている。この部隊は味方の被害が1人・敵に対する損害が200人の割合という、もはや伝説的な記録を打ち立てており、現在でもその記録は破られていない。アメリカの『ディスカバリーチャンネル』で放送された『ミリタリー大百科』にて、アメリカ海軍特殊部隊特集のなかで紹介された。
ネイビーシールズにはチーム1からチーム10までの9チームが存在し(チーム9は欠番)、それぞれ担当する地域が違っている。現在、チーム6が「DEVGRU」という独立した部隊になっているが、アメリカ政府はこの部隊の存在を否定している。
また、常設のチームのほかにSDV(小型潜航艇)での輸送を担当する輸送チームが2つ存在する。
- チーム1:極東アジアを除くアジア太平洋全域
- チーム2:ヨーロッパ・地中海
- チーム3:中東地域
- チーム4:アメリカ本土
- チーム5:極東アジア
- チーム6:戦術・技術の試験・評価・開発(現在は欠番)
- チーム7:アメリカ西海岸
- チーム8:アフリカ・地中海
- チーム10:アメリカ東海岸
SEALsの選抜訓練の名称であり、略称はバッズ(BUD/S)。課程名からすると「水中に潜って何かしらの戦艦を模したものを爆破すればいい」と思いがちだが、ここで爆破されるのは訓練生の心身である。全世界の特殊部隊の訓練のなかで一番過酷ともいわれており、SEALs志願者のおよそ7割はこの訓練を受ける過程で脱落する。
高度な戦闘技術と卓越した品格を備えたSEALs隊員は、時として比類なき伝説のごとき活躍を打ち立てている。
彼らの活躍は、多くのメディア作品の題材や、見習うべき手本となって世界中に周知されている。
ウィリアム・H・マクレイヴン
1955年生まれ。ノースカロライナ州出身。
1977年に少尉に任官後、選抜課程を経てSEALsの一員となる。その後は現場での活動や参謀勤務などを経て、2003年に准将に昇任する。
2008年からは米軍統合特殊作戦コマンドの司令官となり、2011年に行われたウサマ・ビンラディンの暗殺作戦「ネプチューンの槍作戦」を指揮している。
2014年には、自身が経験したSEALsの選抜課程での教訓を基にしたスピーチ「世界を変えるために必要な10のこと」を行い、同スピーチはスティーブ・ジョブズに並ぶ伝説の講演として世界中で高く評されている。
ジョッコ・ウィリンク
1971年生まれ。コネチカット州出身。
19歳で海軍に入隊したのち、選抜課程を経てSEALsの一員となる。2003年から始まったイラク戦争では、SEALsチーム3の「ブルーザー」ユニットの指揮官として目覚ましい活躍を遂げている。
2010年に除隊したあとは、自身の経験を基にコンサルタント事業を始め、リーダーシップなどの多くの資質に関する講演を行っている。
クリス・カイル
1974年生まれ。テキサス州出身。
2003年から始まったイラク戦争では、2009年に除隊するまで4回にわたって従軍し、イラク軍およびアルカーイダ系武装勢力の戦闘員160名以上を狙撃により殺害するという目覚ましい戦果を打ち立てている。これにより、イラク武装勢力からは「ラマーディーの悪魔」、アメリカ側では「伝説の狙撃手」という異名で呼ばれている。2013年にテキサス州の射撃場内でPTSDを患う元海兵隊員に撃たれたことにより死亡。
彼の活躍は、2014年に公開された映画『アメリカン・スナイパー』の題材となっている。
マーカス・ラトレル
1975年生まれ。テキサス州出身。
2005年にSEALsチーム10の一員としてアフガニスタンにおける「レッド・ウィング作戦」に参加。現地の武装勢力からの熾烈な撤退戦や救援に駆けつけた味方部隊の全滅などを乗り越え、作戦の6日後にたったひとりの生存者として無事救出されている。
彼の活躍は、2013年に公開された映画『ローン・サバイバー』の題材となっている。
ジョニー・キム
1984年生まれ。カリフォルニア州出身。
2002年に地元のサンタモニカ高校を卒業後、選抜課程を経てSEALsチーム3に配置。2012年にサンディエゴ大学を卒業して医療隊に配置されるまでのあいだ、中東地域に2度派遣され、100以上もの任務に従事している。
サンディエゴ大学では、数学分野の最優秀者として学業を修めたのち、ハーバード大学医学大学院に進学。2016年に医学博士号を取得し、翌年の2017年にはNASAの宇宙飛行士のひとりに選出されている。
- 1983年10月に実行されたグレナダ侵攻では、夜間装備を持たないままで荒れ狂う海に降下することになったチーム6の隊員が4名溺死している。この事態は1980年4月に実行したイーグルクロー作戦と同様に、各軍の縄張り争い・相互連絡の不備によってこのような事態が引き起こされている。
- 2017年10月にグリーンベレーの隊員を、SEALsの隊員2人が誤って絞殺してしまったという不祥事を起こした。
- 1987年6月に公開されたアメリカ映画の『プレデター』で、M134をぶっ放していた元プロレスラーのジェシー・ベンチュラはこの部隊の前身であるUDTに所属していた。ベトナム戦争のときに実際に最前線で活動しており、自伝でUDTにおける訓練を人生でもっとも苛酷な経験だったと回想している。
- 宇宙飛行士のウィリアム・シェパードはこの部隊にかつて所属しており、その経験はチャレンジャーの引き揚げ作業の際に活かされることとなった。
- SEALsの話は大量に映画化されているため、「SEALsは宣伝され過ぎ」などとほかの部隊の隊員から愚痴を言われたりもする。
- 米軍のほかの特殊部隊からも「jock(体育会系)気質にもほどがある」と揶揄されることもあるほど訓練が厳しいが、長距離の行軍に関しては米軍のほかの特殊部隊より苦手とされている。
- チーム9:漫画『ヨルムンガンド』に登場する、欠番の9を有する夜戦専門の極秘部隊。
- デッドセル:ゲーム『メタルギアソリッド2』に登場する対テロ演習対抗部隊。
- ネイビーシールズ(1990)
- ザ・ロック(1996)
- ティアーズ・オブ・ザ・サン(2003)
- ネイビーシールズ(Act of Valor)(2012)
- ゼロ・ダーク・サーティ(2012)
- ローン・サバイバー(2013)
- アメリカン・スナイパー(2014)
- ロボシャークvsネイビーシールズ(2015)