概要
2004年の映画『ULTRAMAN』の続編として公開予定だった作品。
前作に引き続き監督は小中和哉氏、脚本は長谷川圭一氏が担当。
当時阪神淡路大震災から復興10年目を迎えた神戸が舞台となる予定であり、神戸市の全面協力のもと制作が進められていた。後年の証言によると既にクランクインしており、キャラクターのスーツも新造されていたとのこと。
しかし前作の劇場公開当時に「2005年冬公開」という特報が流れたものの、その後正式な発表はなく立ち消えとなり本作は事実上の製作中止となった。
原因としては前作の興行収入が惨敗であったこと、また同時期に放送されていた『ウルトラマンネクサス』の評価及び興行収入の低迷によるものであり、『ネクサス』の放送期間短縮と同時に決定したという。
公にはアナウンスされなかったものの、制作に関わっていた小中氏や演出の板野一郎氏は後に自身のトークショーにて制作中止になった旨を語っている。長谷川氏は中止決定後も何度かアプローチをかけていた模様。
結果的に本作は「ULTRA N PROJECT」の失敗と当時の円谷プロの凋落を示す証拠の一つとして知れ渡り、闇に葬り去られる事となってしまった。
2006年公開の『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』では再び神戸でロケが敢行されているが、これは本作が製作中止になった事に対する神戸市への謝罪の面もある。
幻の内容について
現在、本作についての公式情報は殆ど残っていないが、一時期ネットオークションにて準備稿が流出した事があり、落札したネットユーザーがサイト上で内容を公開していた(現在は記事毎消滅している。なお準備稿の存在そのものは現在こちらで確認出来る)。
https://www.bilibili.com/read/cv8276893 ここでも内容が確認できる。
また、2016年に行われた日本映画監督協会上映会にて小中氏は断片的に本作の内容について触れている。
曰く「怪獣の殺人者ウルトラマンへの疑問提示を行い、戦い以外で決着をつける」という趣旨だったとのこと。
上述の準備稿ではウルトラマンノアやスペースビーストなどNプロジェクトの根幹をなす存在は全く登場せず、「主人公は4人の少年少女」「怪獣は“~エレメント”という名称」「怪獣はミミズや犬や人間の変異体」などと記載されていたという証言が多数残っている。このため『2』と銘打ってはいるが世界観は全く別物のストーリーだった模様。
また、阪神淡路大震災がテーマの一つとなっており、脚本上でも“震災”という単語が登場している。実現していれば実際の震災に絡んだウルトラシリーズ史上極めて異質な作品となっていた可能性が高い。
そして、10数年後…
2017年、本作が思わぬ形でファンに再注目されることとなった。
その原因は『ウルトラファイトオーブ』に登場した新キャラクター、レイバトス。
『ファイトオーブ』Blu-layの特典の小冊子にて彼のデザイン元が「2000年代に映像作品として不成立となった別作品のために用意されたもの」であり「ベースデザインが板野一郎氏、デザインが酉澤安施氏」で「既に完成していたスーツをそのまま流用したもの」であると判明したのである。
明確な作品名は明かされていないが、上記の条件に当てはまる作品は本作が最有力候補である。
また、レイバトスと思わしきキャラが商標登録された際の初期名称が「レクイエム」であることも単なる偶然とは考え難い。
闇に葬られた本作だが、その遺産は10年以上も形として残り、復活を遂げていたのである。
更にほぼ同時期に登場したショー限定キャラクター宇宙恐魔人ゼットもウルトラマン・ザ・ネクストやレイバトスを彷彿とさせるボディデザインであり、ネクストのスーツも未だに健在である事から、本作で使用されるはずだったスーツが改造されたものなのでは?という説が根強い。
その他にも本映画には複数のキャラクターが登場予定であり既にスーツも製作されていた事から、他のキャラクターも既に我々のよく知る他のキャラクターへと流用・もしくは改造されたものと思われる。