概要
『蒼穹のファフナーEXODUS』で登場した巨大なフェストゥム。アニメ一期終盤の第一次蒼穹作戦(=ヘブンズドア作戦)において、竜宮島部隊によって砕かれた北極海ミールの欠片が変容したフェストゥムで、世界中で6体しか確認されていない。
それぞれが独自の派閥を形成し、異なる思想で配下のフェストゥムを統括して行動している。仲間意識も特に見受けられず、場合によっては襲い掛かって共食いする程度には仲が悪い。また、対話の力を持つ全ての存在を敵視し、滅ぼそうとしている。
個々がヴェルシールド並みの個体防壁を持ち、天候すらも操って自身に有利なバトルフィールドを形成するなど、一対一ではリミッターを解除したザルヴァートル・モデルすらも苦戦するレベルの戦闘能力を持つ。
上記の学習能力や戦闘能力を保有していながら、最も厄介なのは逃げ足の速さである(逃げる際は小さなワームスフィアーを無数に展開し、最後に本体を包み込めるほどの巨大なワームスフィアーを展開する)。
この先は『蒼穹のファフナーEXODUS』以降のネタばれを含みます
種類
- アザゼルA型種 ウォーカー
第2話で登場したアザゼル型。エメリー・アーモンド一行を追って竜宮島に接近し、以後執拗に付け回す。
周囲を飛んでいたマークジーベンと比較すると馬鹿みたいに巨大だが、後にこれはどこかに隠れた本体の影と判明した。
ミールから生まれたフェストゥムと言われるだけに学習能力は高いが、ウォーカーの場合は特に対策・作戦を立ててから攻撃する事が多い。
一回目はスフィンクスB型一体のみで戦力を測り、二回目の戦闘では竜宮島のヴェルシールドが容易に解除できない事を利用して陣地形成を行い、三回目は各々のファフナーの弱点を突く特化型を宛がっているなど、他のアザゼル型とは異なる戦略的、戦術的な戦いを展開している。
しかし、SDP(超次元現象)の新同化現象の発現に怯えるパイロット達を嘲笑う、その後島への奇襲を図るも部隊を返り討ちにされて怒りのあまり咆哮するなど、感情的な面も見せる。
鏑木家の灯籠流しがきっかけで、本体が島を包む海流そのものでありコアも海水と化していると判明。初めは海に入れなかったフェストゥムにとって、「この40年で最大の進化」と評された。一方でミールとエネルギーを共有している事から、片方がエネルギーを使用しているともう一方は弱体化してしまう欠点を持つ(もっとも、そう簡単に突ける欠点ではないが…)。
第三次蒼穹作戦で鏑木彗のSDPによって剥き出しにされたコアを必死に手で庇っていたところを、マークフィアーに背中から斬り裂かれて消滅。…したかに思えたが、21話の人類軍のモニターでちゃっかり生存が確認され、22話ではアビエイターとクロウラーの挟撃にさらっと混じっている。
しかし第三次蒼穹作戦での傷が治りきっていなかったようで(24話にてコアのダメージがそのままであることが分かる)何もできないままエウロス型に押さえられ最終的に撤退した。
第24話でベイグラントにコアを砕かれて同化され、ベイグラントの手先として海神島に現れるが、アマテラスとゼロファフナーの連携で再びコアを撃破された。
なお同化の際、一かけらだけ辛うじて逃れたようにも見えたため「実は生きているのでは?」という予想もあったが、結局再登場する事はなかった。
ところが、新作『THE BEYOND』の先行PVにて登場、生存している事が明らかになった。
『TB』では前作でベイグラントに回収されたかけらか先述の一欠けらかは不明だが、かけらから「フロロ」という個体が生み出されてベイグラントの元コア・プロメテウス(マレスペロ)の群れに加わり、亡き皆城乙姫に擬態している。戦闘時には額から赤い結晶を生やし、ウォーカーへと変じる。
しかし、以前よりも能力はかなり衰えており、(皆城総士の奪取=迂闊に破壊できない状態とはいえ)真壁一騎が駆るマークツェン改単機にフェストゥム体を砕かれ、フロロも一騎の能力で消滅した。
なおPVのスサノオを握り締めている場面は放映されておらず、没になったのかそうでないのかは定かではない。
群れの特徴は、E型種を除いたスフィンクス型、スカラベR・J型種、ウーシア型、シーモータルB型種、アルヘノテルス型、グレンデル型、リヴァイアサン型等。
群れ固有の特徴としてウォーカーの指揮によって高度な戦術を展開し、特化型スフィンクスB型種と言った個体のカスタマイズも可能。
- アザゼルB型種 ロードランナー
第1話で登場したアザゼル型。半人半馬に近い体格で歪な顔をしている。
核の爆風にも耐えきるほどの異常な耐久力を持つ他、それを学習した結果(と公式ブックレットに書かれている)膨大な熱波を操り、マークザインとマークニヒトのコンビと正面から渡り合う戦闘力を持つ。
ナレイン・ワイズマン・ボース達の部隊とはハワイにて交戦しており、現在はインドのシュリーナガルミールこと世界樹アショーカを付け狙っている。個体として感情を示す事は無かったが、シュリーナガルへの侵攻、人間に対する憎悪の現れであるディアブロ型を自分の群れに加えていた(ただし後述する理由から本来ロードランナーの群れでない可能性がある)所から、少なくとも好意的ではない事が窺える。
第10話でマークザインとマークニヒトの合体技からコア周辺部はすんでのところで逃げ帰ったが、その直後にアビエイターに喰われてしまった。
群れの特徴はスフィンクス型、デルフィネ型、スカラベJ型種、ディアブロ型、グレンデル型、リヴァイアサン型、アケロス型、シーモータルB型種など、群れの規模・種類に関してはアザゼル型でも随一で、陸海空のバランスが取れている。
- アザゼルC型種 アビエイター
第10話で登場した、二足歩行ロボットのような姿をしたアザゼル型。目玉の付いた球状の胸部、尾ひれを持つ長い尻尾、巻貝状の背負い物を持つ等、ウォーカーよりも異形寄り。実は『EXODUS』一期OPのフェストゥムのデータが出るシーンでサラッと出ている。
ロードランナーを喰らって強大化したと作中で明言されており、次いでアショーカを獲物と定める。
アザゼル型においても特に人間への侮蔑心が強く、フェンリルによる自爆特攻を誘発した上でパイロットだけを殺害(しかもその光景をエメリーに見せつけている)、一騎と対峙した時は予期していた通りに同士討ちを始めた人類を嘲笑うかのように肩で笑う仕草を見せた。
ワームで形成された雲を操る事で紫色の雷や暴風を起こす能力を持ち、背負い物から巨大な角を展開し、それに紫電を圧縮した光球を放つ事も可能(全力ではないとは言えマークザインのビームを一方的に圧殺する威力を持つ)。更には胸部から同化したロードランナーを出現させて炎を操ることも可能で、実質的にアザゼル型二体分の戦闘能力を保有している。
また、12話の通信部隊や同12話で第2キャンプからはぐれた一団、20話ラストシーンで広域通信の罠にかかったアルゴス小隊及びダッカ基地部隊といった襲うことのできる一団を察知すると、逃がす暇もなく襲来、上空より飛来していることからアザゼル型達のなかでも突出した移動速度を誇っていると思われる。
21話にてマークザインと一対一の状況となり、パイロットの一騎ごと追いつめたかに見えたが、続く22話にてマークザインに同化され敗北した(余談になるがマークニヒトには同化は無理と判断された、ロードランナーを含む二体分をマークザインは同化したと言える)。あと、さりげなく復活したマークザインはアビエイターの雷を使えるようになっている。
群れの特徴はスフィンクスA型種、シーモータルB型種と種類は少ない。
恐らくアビエイターが単体でも非常に強力で、積極的に前線に出てくる事に起因しているのかもしれない。比率としてはシーモータルB型が群れの殆どを占めており、スフィンクスA型の数はそれほど多くなかった。
- アザゼルD型種 ベイグラント
第15話で登場した、衛星軌道上の飛行型アザゼル型。
新国連がヘブンズドア作戦を経て密かに入手したアザゼル型であり、唯一の宇宙ステーションでもある。コアとなっているのは、ダーウィン基地の「プロメテウスの岩戸」に幽閉されている、第三アルヴィス『アトランティス』(海神島)のコアだった少年・通称プロメテウスである。
新国連事務総長ヘスター・ギャロップの真の目的である「赤い靴作戦」遂行のため他のアザゼル型を誘導し、フェストゥムとその因子を持つ20億の人間を殺し合わせるべく利用されていた。
しかし、竜宮島ミールより先に力の源泉と思われるゴルディアス結晶を育んでおり、コアの少年が自らの分身「パペット」の一人であるジョナサン・ミツヒロ・バートランドの人格が消去されたことをきっかけに、ベイグラントを管理していたヘスターに反旗を翻す。
基地にクロウラーを呼び寄せヘスターらを逃走させる一方でジョナサンをマークレゾンに乗せ、これをもってクロウラーを光で同化することで撃破。
マッチポンプに近い形で基地に残った人類軍の人心を掌握、支配した後はその憎しみの矛先をアルタイルを奪い合う竜宮島へと向ける。
海神島上陸作戦では同化したウォーカーを尖兵として送り込むと、自身は宇宙からゲートを経由してアショーカに直接干渉し、ついにコアを破壊した。
第四次蒼穹作戦時にはウォーカーの作り出したカスタム仕様フェストゥム(特化型スフィンクスB型種や特大リヴァイアサン型など)及びクロウラーを送り込んだがいずれも撃破される。さらに自身も第四次蒼穹作戦にてヘスターの命じた核攻撃に人工衛星部分を破壊され、そのままゼロファフナーのSDPによって地上に引きずり落とされてシールドをも破られた。
それでも尚少年の命令で、人命と引き換えに再生中のアショーカに向け直接進撃するも、残された命の力を振り絞ったマークニヒトの攻撃で遂に結晶核を破壊された。しかし、少年は消滅に至らず、ベイグラントのゴルディアス結晶も宇宙に残ったままである。
群れの特徴はディアブロ型。支配と戦いをもたらす場所で生まれ憎しみを力とするベイグラントの性質を体現した存在と言える。
またハワイ、シュリーナガルの襲撃がベイグラントの誘導に依るものであることと、人類に対する悪意で満ちたアビエイターがロードランナーを同化したにもかかわらずディアブロ型を出さなかったことを考えると、ロードランナーの群れと共闘していたディアブロ型は実はベイグラントが送り出したものである可能性がある。(ベイグラントの群れにいた個体が先の戦闘でディアブロ型が使用していた「ワームチャクラム」を使用しなかった点等を見て、「アビエイターがディアブロ型を見たことがなかったからコピーしなかっただけで、本来はロードランナーの固有種。ベイグラントは外見と同化能力だけ模倣した劣化コピーを作っていたのでは」という見解もある。)
さらに上記のように同化したウォーカーやクロウラー及びそれぞれの使用した群れも使役できる。
- アザゼルE型種 フローター
第21話で登場した、シャンデリアもしくはUFOにしか見えない非人型のアザゼル型。
正体は劇場版で竜宮島と和解したミールの根城である空母ボレアリオスが擬態したもの。他のアザゼル型のような人類に対する憎悪や執着性は見られない分、敵と見なした相手には容赦なく襲い掛かる。
赤い体色が特徴のエウロス型を配下として使役しており、人類の武器と戦術を模した高度な組織戦と、ワームスフィアや同化攻撃だけに頼らない豊富な攻撃手段と大火力を有している。
人類と他のアザゼル型の戦いには当初関わりを持たない中立の立場を貫いていたが、後に日野美羽の要請に応え竜宮島勢力への協力を約束、ついに満を持して参戦する。
劇場版当時はまだ赤ん坊だったミールのコアが成長しており、このコアが劇場版で関わりの深かったとある人物の容姿となって、竜宮島の面々の前に代表として姿を現すこととなる。
- アザゼルF型種 クロウラー
第21話で登場した、長い四肢と嘴を有する虫のような形をしたアザゼル型。
普段は北極圏をテリトリーとして徘徊している。北海すらも凍結させる能力を持ち、凍らせた場所をフィールドにして配下のフェストゥムを出現させられる。ウォーカーとは別の方向で海を克服したフェストゥムである。
この個体の同化は凍結を介して行われ、従来のよりもスピードこそ劣るものの同化範囲はバトルフィールド全域であり、更には強固な個体防壁があるので破るのに手間取ればそのまま同化される恐れがあるなど、他のフェストゥムやザルヴァートル・モデルよりも同化のアドバンテージが優れている。
第23話ではアビエイターの電撃を模倣し、それを組み合わせる事で凍結する電撃(当然同化能力付き)を放つ事も可能となった。
また、自らの敵意を隠すというファフナーの思考防壁を模倣したような能力も持つ。これは恐らく、高度な読心能力を持つ同じフェストゥム(特にお互い仲が悪いと言われる他のアザゼル型)と戦うために身に付けた能力だと思われる。
第23話でベイグラントにコアを同化される。その後、第四次蒼穹作戦時にウォーカー同様の状態でベイグラントの手先として現れるが、ニヒト、フィアー、ドライツェンのコンビネーションにより再びコアを撃破された。
しかし『THE BEYOND』にてウォーカー同様再登場。「セレノア」を名乗り日野弓子に擬態していた。
群れの特徴はプレアデス型のみ。プレアデス型は単体でも強い種な上に無尽蔵に子を生み出せる厄介な性質を持つからであろう。
関連タグ
よんでますよ、アザゼルさん。:単純に名前繋がりなのだが、こちらの個体は登場する度に何らかの災害を振り撒くため、某笑顔動画では「よんでませんよ、アザゼルさん」とコメントされている。