概要
架空の私立探偵金田一耕助を主人公とした横溝正史の推理小説のシリーズで長編と短編合わせて数多くの作品が発表されている。華やかな東京や旧態依然とした田舎を舞台に、奇怪かつ妖美な連続殺人事件を描いており、1976年の『犬神家の一族』以降、多数の作品が映像化されている。
主な登場人物
シリーズ作品
※作品名五十音順。
長編
短編
よくある誤解
主に市川崑監督による映画の影響もあり、このシリーズには多くの誤解が存在している。
役にたたない名探偵編
金田一耕助のステレオタイプなイメージから、「飄々とした、どこか頼りない探偵」あるいは「役にたたない探偵」という風評があるが、原作を読むとそのイメージとは真逆の金田一がたびたび現れる。
- 常に犯人に同情的で決して罪を責め立てる事をしない
- 唯一愛した女性、鬼頭早苗
- 被害者を出して「しまった」と叫ぶ
- 原作で「しまった」と叫んだのはわずか2回。
- 1回目は犯人の自殺を止められなかった時、2回目は容疑者が暴漢に殺された時。犯人に先を超されて「しまった」と叫んだ事は一度もない。
- 犯人は必ず自殺する
- 現行の角川文庫に収録されている作品のうち、長編作17作では自殺5、病死2、事故死1、逮捕6、殺害3。必ずしも自殺する訳ではなく、無論逮捕が一番多い。
- 防御率4.2
- 事件発生から解決までの間に平均して4.2人殺されるという意味。
- しかしこの数字は某本の雑誌編集部が独断で代表作を10作選出し、自責点(事件解決のために呼ばれてから解決までの間に犯人と共犯者によって殺された人数)を10で割ったもので、はっきり言ってしまうと選出に悪意が感じられる。
- ちなみに前述の17作での防御率は3.0、全77作での防御率は1.5となる。
市川崑監督編
市川崑監督、石坂浩二主演による一連の映画(特に「獄門島」と「女王蜂」)は大人の事情により原作を大幅に改変する事を余儀なくされているにもかかわらず、「石坂金田一シリーズは原作に忠実」という誤った共通認識が存在しており、より原作に忠実に作られた他の監督、主演による金田一耕助シリーズを原作無視と叩く構図が見られる。
ただしフォローしておくと、石坂金田一シリーズは先行の諸作品や古谷一行や片岡鶴太郎の金田一耕助シリーズと比べれば、比較的原作に忠実である。
- 犬神家の一族
犬神製薬 | 原作では犬神製糸。ケシの栽培もしていない。 |
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湖に浮かぶ生足 | スケキヨを参照。 |
- 悪魔の手毬唄
放庵さん | 原作では犯人を脅迫していない。それどころか犯人に養われている現状に屈辱を感じていた。 |
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娘が殺される度に歌詞の続きを思い出す | 原作では最初から全部の歌詞を思い出しているが、唄の途中で邪魔が入ってしまい、結局二人目の娘が殺された時点で全部の歌詞を伝えている。見ようによってはあえて手がかりとなる歌詞を出し渋ったとも取れる為、これについては原作の方がより悪辣とも言える。 |
ワイン樽の中に死体 | 原作では樽の影に死体が置かれている。市川監督によるスプラッター演出。 |
- 獄門島
お勝(勝野)さん | 映画では事件の根幹に関わる最重要人物なのだが、原作ではトリックに使われた猫を飼っているだけのモブキャラである。 |
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釣鐘による首切断 | 原作には存在しない描写。市川監督による(ry |
- 女王蜂
大道寺と日下部の因縁 | 映画では親の代から因縁があるが、原作では学生になってからの親友。 |
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時計の動作機構による人体切断 | 原作には存在しない。はっきり言って切断は映像化にあたっての宿命である。 |
- 病院坂の首縊りの家
作品全般 | ほぼ同タイトルのオリジナル作品と言ってもいい。 |
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