偵察から空中戦へ
飛行機が開発されたことは軍事の面にも大きな変化をもたらす、当初は飛行船の後継として偵察で使用されていたが、機銃の開発で武装する航空機も誕生した。
第一次世界大戦時、当初、レシプロ機は前線の偵察に使用されたが、やがて敵偵察との小競り合い(石の投げ合いだったり、偵察の妨害)だったのがいつしか乗員に拳銃を渡し、低レベルとはいえ武装化した。それから機関銃の搭載でまだ装甲板がなかったとはいえ、戦闘機が誕生した。
空の主役へ
マルチロール
その後も各国で開発は進められ、どの国もお互いに「負けない」戦闘機を目指してまさに一進一退の開発競争が繰り広げられた。第二次世界大戦は航空機が戦術に取り入れた初めての戦争となり、こうして航空勢力は重要性を増していった。
そんななか、戦闘機は小型・軽量で大出力なエンジンを積むことが定番となり、各国ともにエンジン開発に血道をあげていく事になる。また戦間期にはやや大柄な機体にエンジンを2基組み合わせ、軽快さと引き換えに出力を高めて多用途性に傾倒した『双発複座戦闘機』が流行し、目ぼしい国は揃って開発に勤しんだ。のちの実戦で多用途性は幻想となってしまうのだが
、出力の高さは戦闘機に新しい使い方を提案した。戦闘爆撃機の登場である。
戦闘機の本分へ
第二次世界大戦終結後、勝利に大きく貢献した戦闘爆撃機はとくに熱心に開発が続けられ、アメリカでは戦闘機の本分(=空戦)を置き去りにしたような戦闘機が肩を並べた。時代の流行は核兵器を使った開戦即核爆撃を目的にしていったのだ。
そして結局のところ、こうした戦闘爆撃機ブームも長くは無かった。ベトナム戦争ではこうした性質(爆弾満載=鈍重)を逆手に取られ、最新鋭だったはずのF-105が時代遅れのMiG-17に撃墜されてしまったのだ。終戦後、この手痛い敗北を教訓にF-15が開発され、時代はふたたび空戦を重視するようになっていくのだった。
空軍力の本分
航空勢力、つまり空軍力は現在、「火力を遠くに投射できるもの」つまり砲兵の一種として位置づけられるものになっている。もちろん砲兵をそのまま代替するものではなく、より射程は長いが、継続的な攻撃はできないものと認識されるものになっている。似た性質をもつ二者はこうして併存し続けているのである。
各国の主な戦闘機(記事のある戦闘機)
日本
陸軍航空隊
海軍航空隊
・三菱A6M 『零式艦上戦闘機』
・三菱J2M 『雷電』
・中島A6M-2N『二式水上戦闘機』
・川西N1K 『紫電改』
・九州J7W 『震電』
アメリカ
陸軍航空隊
・ロッキードP-38 『ライトニング』
・ベルP-39 『エアラコブラ』
・カーチスP-40 『トマホーク』『キティホーク』『ウォーホーク』
・リパブリックP-47 『サンダーボルト』
・ノースアメリカンP-51 『マスタング』(ムスタング)
・ノースロップP-61『ブラックウイドー』
海軍航空隊
・ブリュースターF2A 『バッファロー』
・グラマンF4F 『ワイルドキャット』
・ボートF4U 『コルセア』
・グラマンF6F 『ヘルキャット』
・グラマンF7F『タイガーキャット』
・グラマンF8F『ベアキャット』
ドイツ
ルフトヴァッヘ
・メッサーシュミットMe262
・フォッケウルフFw190
・フォッケウルフTa152
・ユンカースJu88
・ハインケルHe219
イギリス
RAF(ロイヤル・エアフォース:王立空軍)
・スーパーマリン スピットファイア
・ホーカー ハリケーン
・デ・ハビランド モスキート
イタリア
空軍
・マッキMC.200 『サエッタ』