GS美神
ごーすとすいーぱーみかみ
概要
椎名高志による漫画、およびそれを原作としたアニメ作品。
週刊少年サンデーで1991年20・21合併号に掲載。その後1991年30号から1999年41号まで連載されていた。
また前身として「週刊少年サンデー増刊号」(月刊増刊誌)に連載した『(有) 椎名百貨店』の一編『極楽亡者』が存在する。
1993年度小学館漫画賞受賞。
単行本全39巻、ワイド版全20巻。
話数カウントは「リポート◯」。
依頼を受けて悪霊や妖怪を退治する霊能者ゴーストスイーパーを生業とする美神令子。
彼女の助手で薄給で働く横島忠夫と幽霊のおキヌの3人の活躍を描くオカルトコメディ。
同一世界を舞台とした物語
GSホームズ 極楽大作戦‼︎
- GSホームズ 極楽大作戦‼︎(2002年)
(有)椎名百貨店(超)/(有)椎名百貨店本館 収録
- GSホームズ 極楽大作戦‼︎ 血を吸う探偵(2005年)
(有)椎名大百貨店/(有)椎名百貨店別館 収録
GS美神 極楽大作戦‼︎ スペシャルリポート
- 「トゥモロー・ネバー・ダイ!!」(2005年)
(有)椎名百貨店新館 収録
- 「ブレイク・ユア・ディスティニー!!」(2013年)
ヒーローズ・カムバック 収録
世界観
現実と同じく科学が社会の基盤だが、呪術や魔法も広く認知され、霊や妖怪、神や悪魔などの存在も認められている世界。
霊能力を持つ者や退魔師は怪しい存在ではなく国家資格を要する職業の一つである。また国際警察ICPOにも対悪霊・妖怪専門の「超常犯罪課」が存在している。
その一方、人間社会で生活する妖怪も少なくなく、人間のルールを守る限り広く受け入れられている。
神界と魔界もデタント状態にあり、上層部同士は親睦が深いようである。
しかし宇宙のバランスを維持するために、悪魔はあくまでも悪しき存在として在り続けねばならず、それに不満や疑念を抱いている者も多い。
主な登場人物
アニメ
1993年4月11日から1994年3月6日まで全45話が朝日放送ホスト局・テレビ朝日系列(一部系列局除く)にて放送された。アニメ製作は東映動画(現在の東映アニメーション)。
放送時間:毎週日曜日 午前8:30~9:00(ただし一部系列局では1時間繰り下げ。しかも、別途新規テレビ朝日系列局が開局することになったため同年9月いっぱいで打ち切り)
なお、日本テレビ系列局・TBS系列局いずれも約3局ずつでも朝日放送(あるいは東映動画)からの番組購入という形で放送している。
平均視聴率:13.7%、最高視聴率:18.0%、最低視聴率:9.1%。
単に視聴率のみ言えば、同じ年に放送されたかの美少女戦士の最盛期の最高視聴率を超えており大成功と言って良いだろう。さらに言えば、日曜朝8時台後半の朝日放送・東映アニメーション枠の歴代2位の高視聴率をマークしている。
ただ、放送枠のメインスポンサー様は某玩具メーカーであり、幼児を対象とした関連グッズの売れ行きの悪さゆえ放送の延長はされず…予定通り1年で終了した。
結果本作以降、この枠で男子向けアニメの放送は行われていない。
当時、原作者の椎名高志は忙しい週間連載を抱えながらも、自ら脚本原案の筆を取ったエピソードも有り、ページ数の都合などで原作では描ききれなかったアイデアもアニメには盛り込まれている。さらに番組スタッフや声優陣の軽井沢への慰安旅行にも参加するなど、時間の許す限りアニメの制作に積極的に関わっていた。
そのため、この事は相当恨んでいた様で、原作の作中で登場人物に抗議の血の涙を流させた。
その一方で、制作会社や担当声優陣とは良好な関係が続き、番組終了後にはスタッフ全員にイタ飯をご馳走して慰労した。
また登場人物に、担当声優が主役を演じていた後番組の主題歌(の替歌)を歌わせエールを送っている。
主題歌
オープニングテーマ
「GHOST SWEEPER」
作詞 :有森聡美 /作曲 :大森俊之 /編曲 :岩本正樹 /歌:原田千栄
エンディングテーマ
「BELIEVE ME」
作詞 :有森聡美 /作曲 :西岡治彦 /編曲 :岩本正樹/ 歌:小坂由美子
劇場版『GS美神 極楽大作戦‼︎』
TV放送終了後、1994年8月20日より東映系で公開された。
関連動画
ラジオドラマ
TBSラジオなどで放送されていた「林原めぐみのTokyo Boogie Night」内の『熱血電波倶楽部』にて放送された。
第1期の「囚われのおキヌ」は映画版の公開を記念して1994年7月10日から8月14日まで放送され、同番組で数ヶ月ごとに合計4期放送された。
椎名高志も脚本原案として全作参加し、収録CDのコメントを読むと…当時、これら一連のドラマが、いかにノリノリで作られていたかが察せられる。
今で言うメタ発言が頻繁に登場し、おそらく今日では放送不可能な発言を多発するエピソードも存在する。
囚われのおキヌ
(収録CD 「GS美神 極楽大作戦!!」)
おキヌが突然姿を消した。心配する美神たちだったが、そこへGS協会から無数の悪霊が出現したと連絡が入る。
除霊におもむいた美神と横島の前に立ちはだかったのは、ネクロマンサーの力を持つ妖怪カマスの傀儡と化したおキヌだった。
ACT.1 迷宮のメロディ
ACT.2 引き裂かれたメロディ
ACT.3 策略のメロディ
ACT.4 聖なる解放のメロディ
愛は時を越えて…
(収録CD 「GS美神 リポート1 愛は時を越えて…」)
滞った家賃を払う為、国会図書館に籠り自伝の執筆に勤しみながら全盛期を回想するドクター・カオス。
ところが彼の前に、書物に込められた知識と情念を食い荒らす妖怪ビブロスが現れ図書館を占拠した。
カオスをかばい書物の中に閉じ込められてしまうマリア。
ヒブロスとの数百年にわたる因縁に決着を付けるべく、駆け付けた美神たちの助けも得て、かつてヨーロッパの魔王と呼ばれた男が復活する!……のか?
ACT.1 追憶の訪問者
ACT.2 遠い記憶
ACT.3 夢の扉
ACT.4 決着の時
GS美神 美しき逃亡者
TVアニメ放送中の1994年1月21日に発売された全5枚のキャラクターソングに収録された椎名高志脚本原案のミニドラマ。
とある幽霊屋敷の除霊を請け負った美神。その除霊作業は難無く終わったものの…おキヌは不思議な体験をする。
古びてはいるが美しい鏡を見つけ、その美しさを美神に話しかけた。しかし気がつくと側には誰も居ない。
今まで美神は、自分と一緒に鏡に映っていたはずなのに……
数日後、美神の元へGS協会の調査員が訪れた。彼は、美神と思われる人物が銀行を次々と襲い、しかも事件現場に美神の霊気が残されていたと言う。
任意同行を求められた美神は調査員を拘束し、身の潔白を示すべく横島とおキヌを連れ逃亡した。
すぐに手配状が回され、あっさり敵に回るいつもの面々……
無理矢理巻き込まれた横島の悲痛な叫びが街にひびく。
「何で俺まで逃げなきゃならんのだぁ~っ?!
分け前も貰ってないのにぃ~~っ!!」
エスケープ1「逃亡者美神・消されたライセンス」 (収録CD 地上最強のGS)
エスケープ2「駆け抜ける逃亡者」 (収録CD 仲良し式神たち)
エスケープ3「逃亡者への道」 (収録CD 呪いのクイーン)
エスケープ4「裏切りの逃亡者」 (収録CD プライド)
エスケープ5「逆転サヨナラの逃亡者」 (収録CD 悲しいギャップはDESTINY)
GS美神!うしとらギュッとね大作戦!! 『野郎のいねえ大水泳大会』
『月光条例』、『からくりサーカス』の藤田和日郎、『とめはねっ!』、『モンキーターン』の河合克敏とのカラー3ページの合作。
1993年の週刊少年サンデー3・4合併号に新春特別企画として掲載された。
GSと『うしおととら』、『帯をギュッとね!』の女性キャラがセクシーな水着姿で熱戦を繰り広げる芸能人水泳大会のパロディ。
当然、起こるべくして起こるハプニングシーンも有り、おキヌの着物を剥ぎ取ろうと美神が襲いかかるカットも有った。
さらに、作中には若き日の作者3人自身も登場しているのだが……
河「わしゃあ、さわやか路線で売ってんじゃけん
やりとーないんじゃあ!」
藤「こんなんじゃねえんだ
うしおととらはようう!!
女房の御両親も見てるというのにィィ」
椎「言いだしっぺは俺じゃないぞっ!!
藤田さんと河合さんが無理矢理に………!!」
などと、激しい責任転嫁をやらかす始末。
どうやら合作のイニシアチブは、椎名がとったらしい。
ともあれ、内容が内容のためか、いずれの作者の単行本にも掲載されず…
この作品は、熱心なファンの間で長く幻のコラボ漫画と呼ばれ惜しまれていた。
しかし、2017年4月に刊行された『GS美文庫版』第9巻に収録された。
巻末の寄稿文は河合克敏が担当、しかも河合が描いた美神やおキヌ、『うしおととら』のヒロイン中村麻子や井上真由子、そして『帯をギュッとね!』のヒロイン海老塚桜子と近藤保奈美のイラストまで収録という、連載当時からのファンにもたまらないオマケまで付いている。