概要
正式なタイトルは『とめはねっ! 鈴里高校書道部』。作者は、柔道、競艇に続きニッチジャンルの漫画を描かせたら右に出る者はいないと評判の河合克敏。
2007年より週刊ヤングサンデーにて連載。その後休刊によりビッグコミックスピリッツに移動して連載を継続している。丁寧で綿密な取材と精緻な画風には定評があるが、それゆえ極度の遅筆による隔週連載のため、非常に展開が遅い。2010年にはNHKでドラマ化された。
神奈川県鎌倉市にある高校の廃部寸前だった鈴里高校書道部が舞台となっている。タイトルこそ、ユルい学園コメディを連想させるが、その中身はかなり本格的で濃厚な書道漫画である。同作者がこれまで描いてきた『帯をギュッとね!』や『モンキーターン』などと比較すると、ラブコメ要素が強い。
登場する作品について
作中に登場する書道作品は、誌面の募集事項から一般公募により寄せられたものであり、それぞれ採用者には名前が載せられ、記念品が贈呈される。
主な登場人物
書道部が舞台だけあって、女性キャラばかりであるのは仕方無いところだろう。
演者は2010年のドラマ版の出演者。
主人公。神奈川県鎌倉市の鈴里高校に通う1年生。ガ●ャピン似。女性らしい名前だが、れっきとした男である。あるきっかけから書道部に入部し、書の楽しさに目覚めていく。
カナダからの帰国子女で英語はペラペラ。影が薄く、サエない風貌のため、周りからは『残念帰国子女』と言われてるが、書道部の女性たちとは仲が良く、宮田から熱い視線が送られ、なぜか異性嫌いの大槻からも特別な目で見られている。まさに主人公の役得である。作者曰く、字の上手な男子部員なんて想像できないという現役女子書道部員の感想から、ならば逆に字の上手な男子部員を主人公にするという発想が生まれたらしい。
実質主人公。縁のクラスメイト。女らしい綺麗な字を書きたい一心で書道部に入部。飾らない天真爛漫な性格。大江や一条、勅使河原から好意を持たれているが、当の本人は恋愛音痴。
男である縁が、自分よりも繊細な書を得意とすることが悔しく、ライバル視している。柔道部と書道部を掛け持ちしており、柔道の実力はインターハイをあっさり制するほど卓越したものである。
鈴里高校2年。書道部の部長。ツインテールの眼鏡っ子。書道の腕は確か。真面目な性格だが、根は典型的な乙女キャラであり、恋愛話に目がなく、自分のプライベートを余所に他人の話に首を突っ込む癖がある。一方で、書道に興味もなく、ただ部員として籍を置こうとしたオタク連中を冷たくあしらう点も。
鈴里高校2年。書道部の副部長。細目の元ヤンで、スタイルが良い。がさつな性格でかなり気分屋。幼馴染の男の子とデートするために女らしくなろうと ひろみに相談した事をきっかけに書道を始めたという女の子らしい一面がある。勉強はそこそこでき、卒業後は看護学校に進学した。
鈴里高校2年。書道部の会計。渋谷系。美人だが性格は黒く、徹底した合理主義。モテそうな割にはほとんど男性と接しない、いわば『同性に好かれるタイプ』。非常に頭はよく、現役で慶應大学経済学部に入学している。
主人公・大江縁の祖母。おっとりした性格だが、息子・義之の前では厳しい面も覗かせる。旧姓は神林。縁の眠そうな三白眼は彼女譲り。女学生時代はかなりイタズラ好きだったようだ。かな書きの名手。
縁の父。英子にとっては放蕩息子。天才肌の料理人だが、上司と喧嘩したりして長続きせず、いつも大江家の経済事情を揺るがせている。隠れた書の名手でもあるが、作中で本人が揮毫した場面はない。
神奈川県きっての書家。厳格そうな外見とは裏腹に性格は柔軟・軟派・スケベ。『書家は儲からん』とか言っておきながら、鎌倉に使用人を随えるほどの邸を構える。縁の祖母・英子の女学校時代の恩師。女学校で教鞭をとっていた経験があるだけに、女性に対する扱いは上手い。書道歴は60年。
ひろみの双子の妹で鵠沼高校書道部部長。ひろみに激しい敵対心を抱いている。『ブラック日野ちゃん』と呼ばれ、色々と暴走と暴言を繰り返す、煮ても焼いても食えない存在で、他の部員も扱いに困っている。
鵠沼高校書道部ただ一人の男性部員。隠し事のできない、ストレートな性格のせいか、慇懃無礼な男といわれている。大江や一条とは対照的に運動神経はかなり良い。
見城美弥子(けんじょうみやこ)
ひろみより信奉を集める書道部の副部長。実力も確かだが、至って謙虚な性格。クビレもくっきりしたグラマラスな体型で、勅使河原曰く『書道部の栗山千明』。
宮田麻衣(みやたまい)
鵠沼高校書道部の部員。そば屋の娘で、今時の女子高校生。英語ペラペラな縁に魅せられ好意を抱くが、全く報われず空回りばかりしている。
笠置奈津子(かさおきなつこ) … 演:篠原真衣
鵠沼高校書道部顧問。良家のお嬢様で、テニスなどのスポーツが得意。愛犬家。スポーツカーに乗っている彼氏がいる。
笠置亜紀子(かさおきあきこ)
笠置奈津子の伯母で、鵠沼高校書道部の特別顧問。かなの書の名手。縁の祖母・英子とは女学校時代からの知り合いで、ある種腐れ縁。女学校時代の恩師・三浦清風にあこがれていた過去があり、今でも彼の前では初々しい態度を執る。
一条毅(いちじょうたけし)
書道部の名門、大分県豊後高校のエース。高校1年生。『書の甲子園』で文部科学大臣賞(創作作品)を受賞し、母校を優勝させた。小学生時代は神奈川県藤沢市に在住しており、望月とは旧知の仲で彼女に片想い中。イケメンだが根っからの文化系で、意外にも運動は苦手。それもあって、柔道全国トップレベルの望月と釣り合おうと書道でトップを目指している。
大槻藍子(おおつきあいこ)
京都青蓮女学院書道部に所属する女子高生。一見控えめだが、「もっと崇めろオメーラ」と言わんばかりの示威的な態度をとる。かな書部門の書の甲子園覇者であり、かな書を書かせたら右に出る者はいないほどの実力の持ち主。他人の書の批評もできるほどの確かな審美眼を持つ。男性恐怖症だが、自分に肉薄した達筆を披露した大江に不思議な感情を抱く。
鈴里高校の書道部顧問。世界史教師。中国史オタクで三国志愛読者。頭髪が寂しくなってきており、よく『ハゲ山』と罵られている。鈴里高校随一の祐筆であり、漢書や篆刻を得意とする。
羽生翔子(はぶしょうこ)
鈴里高校の新1年生。望月の追っかけで、柔道部と書道部を掛け持ちしている。噂話や恋話が大好きで、大江と望月らの関係を島と一緒に探っていた。
島奏恵(しまかなえ)
鈴里高校の新1年生。書道部顧問である影山とは歳離れの従妹。三つ編みと眼鏡が特徴の、真面目オーラ漂う今時らしからぬ高校生だが一度スイッチが入れば、周りが見えなくなり感情の赴くままに突っ走る、典型的な文化系オタク少女。見かけによらず前衛書を得意とする。