概要
剣を使ったプリキュアは、以下の3例に大別される。
剣の名を冠したアイテムを有するプリキュア
キュアルージュ、キュアレモネード、キュアミントは共通の武器としてキュアフルーレを有す(少々馴染みが薄いが、フルーレとはフェンシングにて用いられる細剣である)。
キュアエール、キュアアンジュ、キュアエトワールの3名は共通武器としてメロディソードを所持しているが、こちらはエール=はなが「自分のなりたいプリキュア」は相手を剣で斬るべきではないと判断したため、剣が変形して「ソード(剣)の名を冠すロッド」になった経緯がある。
いずれもメインターゲットの小さい子供が真似しないように基本的に剣戟は行わず、「アイテムから浄化技を放つ」のが通例となっている。
剣モチーフの技を持つプリキュア
キュアサニーは第36話にてスポーツデコルで飛び出した竹刀を利用し炎の剣を作り出して戦っており、キュアビューティは第23話、第43話で氷の剣を生成して剣戟に用いている。
キュアソードは自らの名前そのものであり戦闘時の技も剣を模したものが多い(こちらの項目も参照のこと)。
キュアラブリーは決め技でこそないもののラブリーライジングソードという技を有している。
こちらはエネルギー状のものを主流としており、子供達が真似しないような配慮がされている。
両方の要素を有すプリキュア
剣の名を冠したアイテムを持ちながら、それとは別のアイテムを用いて剣モチーフの技を使用したプリキュア。
キュアドリームは『Yes!プリキュア5GoGo!お菓子の国のハッピーバースディ♪』の終盤にてシャイニングドリームにパワーアップし、特別仕様のスターライトフルーレを用いてムシバーンと剣戟した。
キュアアクアは『Yes!プリキュア5』第34話ではハデーニャ、5劇場版ではダークアクアと、自分の戦闘アイテム・アクアリボンを剣型にして一騎打ちをしたことがある。
ただ、ドリームの使用したスターライトフルーレは事実上キュアフルーレの上位互換であり、アクアもアクアリボンを使っていた当時は「5gogo」に登場したキュアフルーレを所持していない。両方の要素を有すのは特例中の特例と言えよう。
プリキュアと剣戟
上記で示しているように「剣をモチーフとするアイテムや技を持つプリキュア」はそれなりにいるが、そのようなプリキュアの多くは剣を使って敵を斬るのではなく「刀身から不思議なエネルギーが照射されて敵を浄化する」という形で剣を使う。
実際にチャンバラ的な剣戟アクションを行ったプリキュアはわずかであり、2018年までの例で言えば、「常時」戦闘時の剣戟アクションを行ったプリキュアはキュアラブリーの一人のみ。
特別なエピソードでのみ剣戟アクションを行ったプリキュアならば、前述の通りキュアアクア、シャイニングドリーム、キュアビューティが該当する。
プリキュアシリーズで剣戟アクションが避けられがちな理由は、「プリキュアシリーズは徒手空拳の肉弾戦が基本」というある種の伝統ゆえというのが大きい。剣での白兵戦を目立たせてしまうと、パンチやキックでの肉弾戦の存在感が薄くなるからである。
もう一つの理由として、プリキュアシリーズが玩具販促アニメだからというのがある。
プリキュアシリーズで印象的な演出がされるアイテムは「玩具」として発売もされるものである。
そして、本来の視聴者層である子供達はその玩具を使ってプリキュアごっこをするため「プリキュアが当たり前に剣で敵を斬る」となった場合、玩具として発売された剣で友達を傷つけてしまいかねない。そうなると玩具会社の責任は免れなくなる。
プリキュアの製作体制にまで影響を与えると言われる財団Bはそのリスクを避けるために、「剣で敵を傷つける描写」を抑制しているのである。
じゃあそもそもキュアフルーレだのベリーソードだのといった「剣をモチーフとした玩具」自体を作らなければいいんじゃないのという話になるが、剣をモチーフとしたアイテム玩具は女の子にもわりと受けるという実績があるため、「それはそれ、これはこれ」という大人の事情が存在するのである。
ただこれは逆に言えば、プリキュアが剣を手にしたとしても、それが玩具販促と関係ないアイテムだった場合は、実はあまり気にされないということでもある。
上述のシャイニングドリームは「スターライトフルーレ」という聖剣を用いてすさまじい剣戟を行いファンを驚かせたが、これも規制の緩い劇場版かつ、スターライトフル-レが玩具展開する予定がなかったからできたことである。
ちなみにプリキュア5のメンバーはTV本編でも剣状のアイテムキュアフルーレを使っているが、こちらはやはり必殺技発動用であり、剣戟に使われたことはなかった。
キュアラブリーやキュアビューティも「エネルギー状の剣」を作成して剣戟を行っていたので、これは「現実の商品でもなく、視聴者の子供が真似できない剣」として、玩具販促に無関係なため規制が緩かったのである。
(左:キュアビューティ『氷の剣』 右:キュアラブリー『ラブリーライジングソード』)
また、指揮棒、ウエディングキャンドル、口紅、板チョコ等々の「細長いアイテム」を持つプリキュアが、それらのアイテムを剣のように振り回してチャンバラめいたアクションを行うこともある。
これは剣戟とは言い難いが、厳しい規制の中から「それっぽい格好よさ」を実現しようとした演出の結果といえよう。
これらのアイテムは普段は剣として使うものではないため、特別な戦闘で「例外的な使い方」をしたことは児童にもわかるような演出にされている。
『HUGっと!プリキュア』には剣モチーフの玩具アイテム「メロディソード」が出てくるが、当然ながら剣戟アクションには使われない。
しかしメロディソードが画期的なのは、剣をモチーフとしたアイテムなのに剣戟をしないことを作中できちんと説明したことがある。
その後の作品でも同じような説明が繰り返せる訳ではないだろうが、当作で「剣」を使わないことの背景思想とされている「”敵を力でねじ伏せること”は手段であっても目的ではない」ということは、初代作以来ずっと続いているもので、これからも続いていくものだろう。
このようにいろいろと縛りが強いのはプリキュアシリーズの宿命だが、キャラクターが女の子でもプリキュアになることがなければ、あからさまな刃物を振り回しても許容される傾向もある。女児向け番組としてはやはり珍しい方だろう。
共闘劇
歴代のプリキュアが史上初めてTV本編で集結した『HUGっと!プリキュア』第37話において、上記のうちベリー、ビューティ、ソードの3人がチームを組んで共闘。ベリーが投げたベリーソードで敵の注意を引きつけ、その隙をついてビューティの氷の剣とソードの手刀でオシマイダーの大群を一掃する見事な連携プレイを披露した。だが、一部では、これ関連のために集まったのではないかと推測する者もいる。
関連タグ
盾キュア:こちらは防御技を特徴とするプリキュア
スーパーヒーロータイム:逆にこちらは剣や銃の武器が当たり前のシリーズ。自らの肉体で戦い武器を持たないことを意味する徒手空拳をどう商品にすればいいのかという問題の解決が一つの課題となっている。