※国鉄キハ183系特急形気動車については、キハ183系を参照。
国鉄183系特急形電車
日本国有鉄道(国鉄)が設計・新製した車両と、JR西日本が485系から改造した車両の系列。番台により誕生の経過と運用に大きな違いがある。
0番台
1972年に内房線・外房線の電化に伴い運転開始された特急「しおさい 」・「あやめ」・「わかしお」・「さざなみ」に新製・投入された。分割併合運用や総武地下線への入線に伴う火災対策から前面に通路を設けた貫通形でデザインされた。
ドアが増設された以外485系電車(いわゆる「電気釜」車)とよく似ているが(直流電車としての性能は181系・485系共々同等)、車体断面がことなり183系のほうが窓が全体に下がっている。
近距離運用が前提であることから食堂車は当初から製造されず、国鉄特急形電車・気動車では初めて乗客用扉が片側2ヶ所設置となった。一部のグリーン車用のサロが、113系用のグリーン車に格下げ改造されている。
国鉄分割民営化に際してはJR東日本に承継された。ごく一部を除き2006年までに幕張車両センターで生涯を終える。
200番台・700番台・800番台
1990年より北近畿方面の特急に運用されていた485系の交流対応機器を、使用路線が全線直流電化だったことで交流機器が遊んでいたことと七尾線電化に伴う113系から415系への改造に用いるために、撤去した車両にこの番台が与えられた。性能が同等であることから183系を称しているが、JR東日本の0番台・1000番台とは全く別の車両である。485系の最晩年には、北陸筋から撤退した車両から交流機器を撤去せず機能を停止しただけのものを改番した車両も存在した。
制御引き通しが全く異なるため、性能は同じだが東日本のそれとは併結できない。(交流機能以外は485系のままであり予備車不足の際未改造の485系を組み込んでいたことがある。)
中には特急「スーパー雷鳥」の七尾線分割併合運転用に改造された切妻制御電動車であるクモハ485-200を種車としたグループも存在し、183系唯一のクモハ形式となっていた。JR西日本の福知山電車区に配置され、北近畿ビッグXネットワークを構成する特急「きのさき」・「はしだて」・「まいづる」・「こうのとり」に運用されていたが、2013年3月のダイヤ改正で「くろしお」への287系投入で捻出された381系に置き換えられ、運行終了・全廃。
1000番台
0番台をベースに上越線の特急「とき」での運用を前提に冬季の耐寒・耐雪対策が強化された車両。1973年の豪雪による雪害で181系の大半に寿命を縮めるほどの故障が多発し、それゆえ急遽1974年に新製・運用開始。設計経過としては碓氷峠通過対応車両である189系から同区間での協調運転機能を省いた形となっている。床下機器は耐雪強化のため密閉ユニット化を進め、またそのための機器配置に余裕を出すためパンタグラフと一部機器はモハ182へと設置車両を変更。前面は非貫通形になった。
元々置き換え対象の181系が充当されていた列車には食堂車が付いていたが、既に食堂車の退潮期であり、改造も含め食堂車が誂えられることはなかった。
上越新幹線開業に伴う転用で一部の制御車が総武快速線/京葉線への入線対策でATCを搭載し1500番台に改造されている。61.11改正に向け、485・489系のサハに運転台を取り付けクハ182・183に編入されたものがあり、細かい所に多数の差異がある。(クハ481になるべきところを需給関係で183系向けに廻された車が存在し、寸法面で奇妙なところがあったものもある。)国鉄分割民営化に際してはJR東日本に承継された。
2002年12月に、中央特急の運用を追われ、あずさ、かいじの運用についていたグレードアップ車の多くは、房総特急の置換え用に転属した。その後、2005年12月に房総特急用の新車E257系デビューに伴い房総特急の運用も終了。長野地区の快速・普通列車「妙高号」や、首都圏を中心とした団体・波動輸送に用いられていたが、2015年度中に全廃。183系として最後まで残ったグループは1000番台であり、1000番台の全廃によって形式消滅となった。