女神異聞録ペルソナ
めがみいぶんろくぺるそな
「もしも僕が悪魔でも、友達でいてくれますか?」
「もしも私が悪魔でも、好きと言ってくれますか?」
概要
PS初の真・女神転生グループの作品であり、ペルソナシリーズの第1作でもある。
2006年携帯電話アプリとして外伝『異空の塔編』が配信。
2009年にはPSPで本作のリメイクとして『Persona』が発売。
2018年12月3日に発売されたプレイステーションクラシックに収録されている。
先行する関連作として1994年にSFCで発売された『真・女神転生if...』があり、その世界観やシステムの精神的後継作として作られたという経緯がある。
敵として出現する悪魔との会話交渉や悪魔合体の存在、魔法・アイテム名など女神転生シリーズの流れを汲みつつも、表題ともなっている「ペルソナ」等の新たな要素を多数搭載したジュブナイル型伝奇ロールプレイングゲームである。
従来の真・女神転生からシステムが大きく変更されたため「女神異聞録」となっている。
このタイトル冠は『ペルソナ2』以降では外されたが、ペルソナシリーズは真・女神転生シリーズの外伝である。(『女神異聞録デビルサバイバー』発表の際に「異聞録」は正統な女神シリーズの係累に含まれた外伝である事が語られている。)
「ペルソナ」は主人公達が使う特殊能力の名前であるがこの名称はストーリーやテーマにも大きく関わっている。
本作には物語の中核を担う「セベク篇」と学園内で起きた「雪の女王篇」の2つがあり「セベク篇」では園村麻希が中心となるが「雪の女王篇」では学園で起きたとある事件が中心となる。
ストーリー(セベク編)
主人公は御影町にある聖エルミン学園に通う、高校2年生の少年。
最近この街には「佐伯エレクトロニクス&バイオロジカル&エネルギー・コーポレーション」、通称「SEBEC(セベク)」と呼ばれる怪しい雰囲気を持つ会社が進出しており、住民達はその存在を不審に思っていた。
文化祭の準備中にクラスの仲間達と「ペルソナ様」と呼ばれる儀式を行った主人公は、噂の「白い服の少女」を見てしまい、その際起きた感電により意識を失ってしまう。
気付くと辺りは不思議な空間で、そこには少女の代わりに謎の男性フィレモンがいた。主人公は彼に自らの名前を名乗る。
しばらくして保健室で目を覚ました主人公は、養護教諭から念のため精密検査を受けるように言われ、クラスメイトの園村麻希の見舞いを兼ねて、仲間達と共に御影総合病院に赴く。
見舞いの最中、容態の急変した麻希がICUに運ばれた直後、突如として病院を巨大な揺れが襲った。
やがて地震が収まると、病院には大きな異変が起きていた。
ICUは扉の先から消失、通路は迷路のように変化し、霊安室の死体が蘇り襲いかかってきたのである。
攻撃を受けたその時、主人公達は体から不思議な力が湧き上がり、ペルソナ使いとして覚醒する。
戦闘の末に主人公達は何とか病院を脱出するも、異変が起きているのは病院だけではなかった。
街全体が不思議な力に覆われて外へ出る事も街に入る事も不可能となっており、その上、悪魔があちこちに出現していた。
主人公と仲間達は「ペルソナ」を使い、この異変に立ち向かっていくことになる…。
キャラクター
CVは 本編 / ドラマCD / ドラマCD版Personaの順
プレイヤーキャラクター
主人公
聖エルミン学園に通う高校2年生の少年。初期ペルソナは「EMPEROR セイメンコンゴウ」。
ペルソナ2では「ピアスの少年」、漫画版では「藤堂尚也」(通称「なおりん」)、ドラマCD版では「鳴海優也」、小説版『シャドウメイズ』では「朱雀院慈平」(通称「ジェイ」)とそれぞれ名前がついている。
通称「マキ」。初期ペルソナは「PRIESTESS マソ」。
セベク編のヒロインで本作の中心人物。お見舞いに行った時と行方不明になり再度出会った時とでは性格や雰囲気が別人のように変わる。
ペルソナ2にも登場しており髪型がショートになっている。
CV:山野井仁 / 森川智之(2に登場時も担当) / 近藤隆
通称「なんじょうくん」。初期ペルソナは「HIEROPHANT アイゼンミョウオウ」。
南条財閥の御曹司で徹底した合理主義者。
ペルソナ2にも罰に操作キャラで登場しエリーとの分岐選択で操作可能。
ペルソナ3では「南条」というワードが登場しており美鶴が『桐条は南条の分家』と言っている。
CV:半場友恵(2罰ではCV:麻見順子) / 野上ゆかな(現:ゆかな) / 池澤春菜
通称「エリー」。初期ペルソナは「JUDGEMENT ニケー」。
帰国子女なお嬢様で英語と日本語を交えて話すオカルト好き。
ペルソナ2の罰に操作キャラで登場しておりなんじょうくんとの分岐選択で操作可能。
CV:石塚堅 / 上田祐司(現:うえだゆうじ) / 吉野裕行
通称「マーク」。初期ペルソナは「CHARIOT オグン」。
ダンスチームを組んでおり、お調子者だが人望もあり責任感が強い。園村麻希に好意を寄せている。
2には未登場。
通称「ブラウン」。初期ペルソナは「JUSTICE ネヴァン」。
元祖テレッテでムードメーカーの1人。学園内外問わず人気者。
ペルソナ2にも登場しておりブラウンという芸名で芸能界デビューをしている。
『PS版 罰』に付属されているファンディスクではTV番組の司会をしている。
通称「アヤセ」。初期ペルソナは「MAGICIAN フーリー」。
今時(PS版発売当時)のコギャルで言動が感情的で時としてトラブルを引き起こす。
2には未登場。
通称「ゆきのさん」。初期ペルソナは「EMPRESS ヴェスタ」。
姉御肌なクラスメイトで雪の女王編では中心人物の1人。
ペルソナ2にも登場しており罪では前半は操作キャラだが後半はとあるキャラと交代する。罰ではスタート直後に罰の主人公である天野舞耶とのコンビを解消させられ操作キャラではなくなった。
通称「レイジ」。初期ペルソナは「DEVIL ブレス」。
無口で無愛想な裸番長で隠しキャラ的存在。セベクの支社長でもある神取鷹久とは何かしらの因縁がある模様。
ペルソナ2にも登場しており普通の服装&さっぱりした髪型で額の傷跡はなくなっており、横内健太と同じ通販会社に勤務、営業成績は芳しくない。
聖エルミン学園関係
大石校長
眼鏡をかけた女性校長で聖エルミン学園の個性的な生徒を認める自由な校風は彼女の方針によるもの。しかし過去に起こったある出来事に心を痛めている。
反谷教頭
生徒の話を聞かず何事に対しても上から押しつけるために反感を買っており、生徒たちからはあだ名のハンニャと呼ばれている。
ペルソナ2にも登場したがその時は何故か性格が変わっていた……。
高見冴子
個性的な生徒が特に多い主人公たちのクラス2-4の担任。さばさばとした性格で生徒たちには信頼されておりエルミン学園のOGでもある。
ペルソナ2では七姉妹学園で働いている。
吉野夏美
保健室の先生。美人だが料理などの家庭的なことは苦手。
横内健太
CV:太田真一郎(ドラマCD版)
通称「トロ」。ペルソナ使いだがアヤセに振られたことが元で暴走を引き起こした。
そのペルソナは『ペルソナ倶楽部』や『コミカライズ』によるとかつて飼っていた亀で名称は不明。
ペルソナ2ではレイジと同じ会社のセールスマンになりペルソナの恩恵で営業成績トップとなった。
黒瓜勉
通称「あくまくん」。顔色が悪い丸眼鏡のオカルト研究部員でエリーとは別系統のオカルトマニアだが間違った知識も多い。実はデビルサマナーに登場した磯野刑事の甥っ子である。
モデルはATLUS社員の磯貝正吾氏。
通称「たまきちゃん」。フェンシング部に所属し軽子坂高校から転校してきた。
ペルソナ2でも登場しており轟探偵事務所で働いておりifの一件で悪魔召喚師となっているのか、2罰ではネコマタを仲魔にしている。
ただしくん
御影町発祥の薬局チェーン「サトミタダシ」の御曹司。たまきちゃんとはことあるごとに言い争いをしているのだが…ペルソナ2罪ではたまきちゃんと一緒に働いている。
モデルはシナリオの里見正氏。
内藤陽介
園村麻希が片思いをしている2年生男子。2か月前から行方不明になっている。
香西千里
園村麻希の親友で同じ美術部所属の女子生徒。2か月前から陽介とともに行方不明になっている。
セベク関係
CV:小杉十郎太(全シリーズ担当)
セベクの支社長。ペルソナは「ニャルラトホテプ」。
「デヴァ・システム」の責任者で元エルミン学園のOB。
武多
CV:今村直樹(ドラマCD版)
神取の腹心。ペルソナ使いだがワールドガイダンスにも掲載されておらずペルソナは不明。
設定では歌手になりたい夢を持っていたが挫折しており、製品版ではリサイタルを開くイベントが没になっている。
園村節子
園村麻希の母。「デヴァ・システム」の開発に関わっていたため、麻希の元に帰れずそれがすれ違いの原因になっていた。
ニコライ博士
「デヴァ・システム」の開発者。平和利用のための研究だったが神取の野望を知り、装置を暴走させ破壊しようとするが…ペルソナ2のコミック「罪と罰」では…
その他
山岡
CV:麻生智久(ドラマCD版)
南条家の執事で南条の心の支えになっているが序盤に異世界化した影響で現れたゾンビの群れに襲われていた看護婦を庇い死亡したがその後とある形で登場する。
まい
謎の白い服の少女。主人公たちが「ペルソナ様」をおこなったときに現れ、何かを伝えようとする。その後出会った時の受け答えによっては…
あき
神取を慕っている黒い服の少女。魔法のコンタクトで生み出した悪魔で主人公たちの行く手を妨害をする。
ダンジョン内にある回復の泉で登場するナース服を身にまとった妖精。オベロン王により妖精界を追放された為、回復の泉で人間たちを癒し善行を積んでいる……がとんでもないぼったくり商売をする守銭奴で断ると罵倒してくる。
CV:山野井仁(2) / 堀内賢雄(Persona)
意識と無意識の狭間に住まう、蝶をかたどった仮面をつけた謎の人物で主人公たちにペルソナ能力を目覚めさせるきっかけを与えた。人間界に現れる時は金色の蝶の姿をとる。
フィレモンの従者でベルベットルームの管理者。イビルホンを使用し二つのスペルカードを使いペルソナを作成する、作成したペルソナを降魔する、成長しきったペルソナを帰還しアイテムを生み出すなどが出来る。
関連作品
漫画版:上田信舟氏によるコミカライズ。基本的には「セベク篇」だが「雪の女王篇」も描かれており独自の展開が盛り込まれている。他にも「カードではなく成長によって新たなるペルソナが覚醒していく」「園村麻希とは幼馴染」「幼い頃に死んだ双子の兄がいる」と漫画オリジナル設定がある。
小説版:『女神異聞録ペルソナ シャドウメイズ』、『女神異聞録ペルソナ 神取の野望』、『ペルソナ・アナザービジョン 明日出会う自分へ』、『Persona スノークイーン』とありそれぞれで主人公は違うがゲーム本編の設定やキャラはそのまま。
ドラマCD版:『女神異聞録ペルソナ』(全2巻)、『Persona』(全1巻)のタイトルで発売。
トリビア
- テレビCMの女生徒編(=マキと思われる)で山口もえが出演している。
- PS版OPには、荘子の胡蝶の夢の一文が表示される。(Personaでは表示されない)
- PS版の作曲担当の一人であり、悪魔のボイスや「サトミタダシ薬局店のうた」で美声を披露した青木秀仁は、ATLUSを退社しSONYに移籍したが2002年に事故(自身で車を運転中に路面凍結した山道でスリップ事故を起こし崖下に転落)で亡くなっている。
- ペルソナのデザインコンセプトはヒーローと仮面。この作品のみの解釈の姿の悪魔も多い。女神転生と同じような姿でも、ペルソナ化したものは仮面をつけている。
- 現在では一ジャンルとして普及しているが、当時は珍しかった分身を召喚して戦うという設定を使用するにあたり、ATLUSスタッフは失礼にあたらないようスタンドの考案者荒木飛呂彦の元に訪問し内容を説明している。
- 本タイトルの略称として広く使用されている女神異聞録だが、これは本来、正統な女神シリーズの係累に含まれた外伝を指す為の言葉である事が、同じ女神異聞録を冠するゲーム、女神異聞録デビルサバイバー発表の際に語られている。