「ね〜え、ボッコワウス? このしぶとい世界はトジルギアにせずにストレートに侵略したらどう? 領地も増やせると思うんだ」
「君たちはこれからも、自分のやりたい事を試してごらんよ? また僕が機嫌を取ってあげるからさぁ」
CV:鈴木達央(~第21カイ!まで)→福西勝也(第25カイ!以降)
概要
立場としてはペットにあたり、普段はボッコワウスの左肩に当たる巨大な穴に鎮座している。
セッちゃんに酷似した容姿の紫に近い色相の烏型ロボットのように見えるが(五色田夫妻が作ったものなのか、キカイノイドのようにキカイトピアに生息している鳥なのかは不明)、普段はボッコワウスが圧倒的に巨大なので目立たないものの、その大きさは公式で『巨大メカ怪鳥』と称される程の大きさである(成人男性を優に超える程の巨体を持つ)。
この手のマスコット的な敵幹部にしては珍しいタイプだと言える。というか戦隊でこの手の悪の組織側のマスコットキャラが登場する事自体が随分と久しぶりである。
鳥型ロボットという点はセッちゃんと同じだが、頭部の形状は鳥というよりはプテラノドン等の翼竜に似ている為に印象はかなり異なり、加えて背中にはもう一対の羽があるのが確認できる(羽ばたく際には使用はされない)。
人物像
大王の威を借る怪しげな怪鳥
一人称は「僕」で、非常にねっとりとした不気味な声と口調で喋る。
ポジションとしては側近やペットよりも、最早孫のような存在に近く、幹部内では唯一ボッコワウスからの無条件の寵愛を受けており、作中では唯一ボッコワウスに対してタメ口かつ呼び捨てで接しているが、それでも一切怒られないなかりか、むしろボッコワウスは怒っている最中でもゲゲに話しかけられると一転してご機嫌になる程に溺愛している。
彼自身も自分の立場を理解しており、ボッコワウスの前では猫撫で声で甘えながら、彼にさり気なく様々な事を吹き込んで作戦を誘導する事もあり、その甘い声と相まってボッコワウスに悪事を吹き込む姿は、まるで家族に欲しい物をねだる子供か、相手の耳元で甘言を吹き込む悪魔のようでもある。こうした事情からトジテンドにおける実質的な参謀格にあたる存在でもある模様(というか他が様々な理由から指揮官としてはアレな人材ばかりなので、必然的にそうなる)。
しかし、それはあくまで猫を被っているだけで、普段はむしろドスの効いた低く不気味な声をしており、イジルデに代表される幹部達の事は見下していて、ボッコワウス同様に幹部達の前では威圧的に接している。その為に、彼等からは疎ましい存在と思われており、内心では「所詮はボッコワウスのペット」として見下されているのだが、ゲゲの方はそんな彼等の態度などどこ吹く風で、虎の威を借る狐の如くあくまで高圧的に接するので、彼等からは無茶苦茶嫌われている。
ちなみに公式サイトによると、ゲゲはボッコワウスのペットという立場だが、ゲゲの方はむしろボッコワウスをペットのようなものと認識しているらしい。この辺りからもゲゲの本性が窺える。
初期はボッコワウスの威光を笠に着て幹部達に高圧的な物言いをするだけだったが、連敗続きでボッコワウスの機嫌が悪くなったのを受けてか、自身もトジルギアでワルドを生み出す様になる。そのチョイスも「レトロ」や「磁石」等、自身に甘いボッコワウスの色眼鏡を抜きにしてもイジルデの作る純粋に殺傷力の高いワルドと、バラシタラの作る精神攻撃など搦め手に長けたワルドの中間やその複合の極めて戦略的なものであり、実行された作戦もいずれも、不測の事態さえなければゼンカイジャーが全滅していたのは確定的なものばかりである(特に磁石に関してはゾックスがステイシーを脅迫して、無理矢理協力させていなければ確実に詰んでいた)。
イジルデのような詰めの甘さもなく、バラシタラのように感情や権力争いに引きずられて自分で作戦を破綻させる指揮官としての致命的な欠点もなく、実際に参謀と呼ぶに相応しい高い能力があると言える。この点に関しては、戦略眼で劣るボッコワウスのそれを彼が補っているのだろう。
各話の動向
第1カイ!
「しかも、その最後の世界にキカイトピアの一部を持って行かれたらしいな?」
トジテンドパレスの謁見の間にてイジルデから近況報告を受けるが、一向に最後の並行世界となった人間界をトジルギアに閉じ込められない上に、何故かキカイトピアの一部と融合してしまった事態を責め立てる。
すると、機嫌を損ねたボッコワウスに甘い声で「人間界はトジルギアにせずに領地を増やす為に武力で制圧すべき」と吹き込み、それをすぐに了承したボッコワウスによってトジテンドの人間界制圧が開始される。つまり本作の戦いはゲゲの提案から始まったものである。
第2カイ!
「『スーパー戦隊』、トジルギアに閉じ込めた他の並行世界にもいた、世界を守るヒーローだな」
ゼンカイジャーと交戦したバラシタラからの報告を聞き、ゼンカイジャーが何者か訝しむボッコワウスの横で、彼らがこれまでトジルギアに閉じ込めてきた他の並行世界にも存在した、スーパー戦隊と呼ばれる世界を守るヒーローである事実に気づく。
第3カイ!
初めてトジルギアを実戦使用、コオリワルドのコオリパワーを用いた人間界制圧から一時的に帰還し、「あのようなものが無くとも、小生の力があれば十分」と豪語するバラシタラに対して。「じっくり見極めるんだな。ゲッゲゲ……」と小馬鹿にしたように上から目線で宣う。そんな不遜な態度にバラシタラから「ペットの分際で…!」と苛立たしげに呟かれた。
第9カイ!
イジルデがギアトジンガーの実験体となったバラシタラの息子であるステイシー/ステイシーザーの前に現れたゾックス・ゴールドツイカー/ツーカイザーについて、かつて武力侵攻を行った海賊の世界「カイゾクトピア」にて、トジテンドパレスに潜入してイジルデが保管していたデータを強奪する事件を引き起こしたゴールドツイカー一家である事を確信、それについて言及する。
第10カイ!
後日、双子の弟を元に戻す為に人間界に留まるゴールドツイカー一家に癇癪を起こすボッコワウスに、「落ち着きなよボッコワウス。そう簡単にはいかないものさ。イジルデもまた何か考えてるみたいだし、少し様子を見よう」とボッコワウスを宥めた事で、ボッコワウスの機嫌も持ち直した。
第15カイ!
「僕も試して見たかったんだ。トジルギアとゼンカイジャーの力をさ」
ゼンカイジャーの実力とトジルギアも力を再度測るべく、無断でトジルギアを使ってレトロワルドを誕生。人間界を昔懐かしいレトロの世界へと変え、順応した頃を見計らって人々を昔の楽しい過去に浸れさせて思考を停止、世界をそのまま滅ぼそうと目論む。
案の定、ボッコワウスは例によって咎めず、終始ゲゲの作戦をベタ褒めしていた。
作戦は実際、ゲゲの指揮下でバラシタラやイジルデが余計な介入をせず、レトロワルドに作戦の全権を任せたおかげでゼンカイジャーを含めた、人間やキカイノイド達をノスタルジックな思いに浸れさせる状況に陥れるのに成功。
そのまま人間界を滅ぼす手前まできたものも、トジテンドの圧政・迫害からまともな生活を送れなかったり、辛い境遇にあってきた過去等、思い出したくもない嫌な思い出が浮かんだジュラン達4人を初めとしたキカイノイド達には洗脳が効かず、レトロワルドを撃破された事で作戦は破綻してしまった。
第16カイ!
「どうだ、ワシの可愛いゲゲ? トジルギアを使ってみて楽しかったか? ん~?」
「面白かったよ、ボッコワウス。鳥の僕にも使えるなんて、とてもいい発明だねぇ」
イジルデやバラシタラと同じように作戦に失敗したにも関わらず、当然ながら無罪放免。更に「ねえ~ボッコワウス~。もう一回、別のトジルギアを試してみてもいいかな~?」と甘い声で、トジルギアの使用を懇願し、ボッコワウスも勿論二つ返事で快諾。
イジルデが選んだトジルギアからジシャクワルドを誕生、ジシャクパワーで民間人を人間磁石へと変え、貴金属をくっ付かせて行動を制限しようとする。
侵略作戦はゼンカイジャーの動きを封じ、更に磁力が強くなり易いジュラン達キカイノイド達が次々とダウン、ゼンカイジャーをスクラップにするあと一歩の所までいったものも、ゾックスに弱みを握られたステイシーが「ゼンカイジャーが能力を破った」とウソを吐いて再出撃を命じ、ジシャクワルドがそれに従ってゼンカイジャーとツーカイザーによって倒されてしまう。
イジルデ「ゲゲ、お前の作戦も失敗したようだな」
バラシタラ「ペットの分際で、あまり偉そうな口を利かん事である」
作戦が失敗した事で、ここぞとばかりにバラシタラとイジルデに二人揃って嫌味を言われるも、余裕な態度を一切崩さず逆に「でも僕が(トジルギアの使用に)手を出した事で、ボッコワウスの機嫌が直ったと思わない?」とあっさりと論破した挙句、さらに記事冒頭二番目の台詞で二人に対してさらなるマウントを取って、二人をまとめて黙らせる。
加えてステイシーが邪魔をした事にも既に気づいており、「“今は”、黙っておいてあげるよ」と牽制する。
そして何も反論できず黙るしかない幹部二人とステイシーの目の前で、「トジテンドが回っているのは自分のお陰」と勝ち誇るかのように、大きく高笑いしながら王宮を飛び回るのだった。
第17カイ!
バラシタラが新たに生み出したトウメイワルドが展開する侵略作戦に、ボッコワウスがイライラして気を損ねそうになった所でゲゲが機嫌を取って持ち直させている。
「今度のギアも面白そうだねぇ。せっかくの侵略だもん、楽しまなくちゃ」
「おぉ、そうだなゲゲ! ワシもお前を見習わんと。という事だ、バラシタラ。楽しみにしているぞ」
「本当にボッコワウス様の機嫌が持ち直したな」
幹部陣が自由に活動出来る場をゲゲが維持している状況に、バラシタラは「気に食わん鳥だが、こうなればこちらも上手いこと利用するまでである」とほくそ笑んでいた。
第18カイ!
ゲゲが作戦指揮を執って機嫌が直ったボッコワウスから水を向けられたが、レンアイワルドのレンアイパワーの効果が自分の予想を超えていたらしく、レンアイワルドが引き起こしたカオス展開にドン引き。
いつもの猫なで声ではなく素で「あっ…そ、そうかもな…」と困惑していた。
第23カイ!
イジルデから新たにバトルシーザーロボ2世を授けられ、今度こそ介人/ゼンカイザーの決着を付けようとするも、仲間に助けられた介人に大敗したステイシーをわざわざ人間界に赴いて捜索。瀕死の重傷を負って何処かの川のほとりで倒れていたステイシーを回収して、そのままトジテンドパレスに連れ帰ると、イジルデにステイシーを治療して助けるように要請する。
ボッコワウスの命令かとイジルデに問われるも、笑いながらその場を去って行き、ボッコワウスの命令だと勘違いしたイジルデは渋々ながらステイシーの治療を始めた。
第30カイ!
新たに製作した実験兵士「ハカイザー」を伴い、ボッコワウスに謁見したイジルデが、ハカイザーについて「イチから作り上げた機械の兵士」と応えたが、ゲゲは「…イチからねぇ?」と怪しんでいた(そして、ゲゲの読み通りイジルデのそれは虚言だった)。
第32カイ!
バラシタラが新たに送り込んだサカサマワルドが展開する作戦と共に、トジテンドパレスに何者かが侵入したとの報告をボッコワウスと共にバラシタラから受けるが、その能力の影響でステイシーの身体と入れ替わった介人が謁見の間に現れた事で、それこそが件の侵入者であると瞬時に見破って追及する。
その後、並行世界間ゲートを探して逃走するステイシー(in介人)の前に突然現れるや、今度は何故か「自分の現れた奥にゲートが有る」と教えて、笑いながら去って行った。
第38カイ!~第39カイ!
第38カイ!終了の間際、何時も通りボッコワウスの肩に留まって、彼とイジルデのやり取りを聞いていた。
その後の第39カイ!では「ハカイザーが姿を見せない」事態に戸惑うステイシーと、イジルデが何かボッコワウスの作戦を任せられたという事を気にするバラシタラの前に、ボッコワウスと共に現れて「余計な詮索をするな」「お前達は今まで通りにしていれ良い」等と高圧的に命令し、それ以上は応じなかった。
しかし、その後イジルデのラボに向かおうとするステイシーの前に現れるや否や、「ハカイザーは格納庫にいるよ」「覗き見るなら構わないけど…君はトジテンドでどうなりたいのか?じっくり考えるといい。ゲッゲッゲッ…」と、先程とは正反対にハカイザーの動向を教えて飛び去った。
これにはステイシー自身は勿論、イジルデがボッコワウス肝入りの作戦任せられた事が気に入らず、影から話を聞いていたバラシタラも「あの鳥先程とは真逆の事を…」と不審に思っていた。
その言い回しは「知ってしまった以上、後戻りは赦されない」という空気を醸し出しており、その様はまさに悪魔との取り引きのようであった。
第40カイ!
物語前半はボッコワウスと共に、ハカイジュウオーが世界を蹂躙していく様を面白そうに観戦していた。
しかし、物語後半でハカイジュウオーが破壊された上、更にハカイザー=五色田功まで奪還される事態に至り、怒りに震えるボッコワウスを横目にゲゲは「“ここ”もそろそろ潮時かな?」と不気味に笑いながら漏らすのだった。
第41カイ!
前回の件の怒りがまだ冷めず、ひたすらトジテンドパレス全体を揺るがす程の床ドンをしているボッコワウスに代わって、謁見の間でバラシタラからメンワルドの作戦によって人間達を対立させられたというを報告を受ける。ボッコワウスの怒りがまだ収まらない事を危惧するバラシタラに対して「苦情はイジルデに言うんだね」「最も奴には既に責任を負わせているけど」と告げる。
第42カイ!
前回の話でボッコワウスの粛清を受け、反逆者として投獄されたステイシーの前に現れ、世間話でもするかのような軽い調子で話しかける。それに対してステイシーからは「笑いに来たのか?」自嘲気味に返されるが、その直後にゲゲの目がステイシーと同期するかのように輝く。
次の瞬間、ボロボロだったステイシーが立ち上がり、「うん、この体も悪くないねぇ」とゲゲそのものの口調で呟くのだった。
第43カイ!
前回のラストでステイシーの身体を乗っ取ったゲゲだが、これは完全に意識を移しての乗っ取りというより、あくまでステイシーを遠隔操作端末にしたような状態であるらしく、ゲゲ本体の方は引き続きトジテンドパレスにて、何食わぬ顔でボッコワウスの元で活動している。
幹部陣やムカイカゼワルドからステイシーが脱走し、作戦を妨害したという報告を聞いて激怒するボッコワウスに対して、何故か「ステイシーが自力で逃げたとは考え難い、内部に手引きをした者がいるかもしれない」と、わざわざ吹き込んでボッコワウスをさらに怒らせている。
しかし、第39カイ!の件でゲゲとステイシーのやり取りを目撃して以降、ゲゲに対して不信感を抱いていたバラシタラは内通者の存在を示唆され、一人ゲゲに対して疑いの目を向けていた。
ゲゲに身体を乗っ取られたステイシーの動向はゲゲイシーを参照。
余談
声を担当する鈴木氏は『特命戦隊ゴーバスターズ』にてウサダ・レタスの声を担当しており、前作のガルザに引き続きバディロイドの声優が演じる敵キャラクターとなる(鈴木氏は過去作のドラマCDでチュウネンシャチューを演じている)。
また鈴木氏は、「ゲゲが女幹部のようなポジションに見えてきた」とツイートしていた。
戦隊における悪のマスコットキャラクターは『獣拳戦隊ゲキレンジャー』のバエ以来約14年ぶりの登場になる。但し、完全な悪の一員であるこちらとは違い、あちらは厳密には捕虜になった戦隊側のキャラクターである。
また、この手の悪のマスコットキャラクターは、大抵は組織内での立場もあくまでマスコット程度であり、ゲゲのように首領に取り入って幹部以上の地位にまでいる者はかなり珍しい。
名前の由来は『下の下』を捩ったと思われる他、ボディの色合いから蓮華の古い呼び方の『ゲンゲ』を捩ったのも有り得るかも知れない。
声優関連の影響
上記の通り、自分以外の幹部を挑発・愚弄する、首魁であるボッコワウスさえも甘言で手玉に取る等、本編の動向が最も気になるキャラクターであるが、演じる鈴木達央氏が体調不良を理由に休業を発表。
そして、休業発表の後に放送された第22カイ!ではゲゲが登場していたものの、台詞を一言も喋らずに不自然にクチバシをパクパク動かしていただけだった(キャスト欄にもゲゲは不在)。
続く第23カイ!でもキャスト欄に不在であったが、画面内では「ゲッゲッゲッ」等の笑い声のみを発していた(事の次第はイジルデに話していた為、作品内ではちゃんと会話をしていた模様)。鈴木氏の声かどうかは検証不能だが、普段の声とは違って聞こえており、流石に今回は無声でごまかせない程に長く、目立つ場面だった故と思われる
いずれも鈴木氏が休業で収録が不可能になったか、使用を差し止めたかした為の措置と想定される。
そして2021年8月20日未明、鈴木氏のゼンカイジャー降板を伝える記事がネットニュースから発信され、第25カイ!以降は福西氏に変更された。尚、同話では違和感が出るどころかヒドケイワルドによる歴史改変(?)により声変わりした(もしくは、それによって最初から福西氏の声にした)のではないかと視聴者からネタにされる事態になった。
なお、福西氏はスーパー戦隊での起用はこれが初となる。
なお、上記の笑い声のみ演出については「ゲゲの不気味さが際立ってむしろ良い」「このまま喋らなくても問題ない」と、意外にも好意的に捉えるファンも少なくなかった。
そして、懸念されていた後続の福西氏は声質が鈴木氏とかなり近く、実際に聞き比べてみても違和感は殆どない為にファンからはかなり好評である。むしろ福西氏の声の方が若干低い為に「ドスを効かせた時の声が鈴木氏より迫力がある」と評価しているファンもいる。
推測(ステイシーとの関係と多くの謎)
ゲゲは本作でも最も多くの謎に包まれた不気味なキャラである。
その一つが混血児である為に、トジテンド内では被差別対象として軽んじられているステイシーの事を、何故かトジテンドの構成員の中で唯一気に掛けており、ステイシーと個人的に二人で話す場面では、ボッコワウスと話す時に近い柔らかく優しい口調で話しかけている。
ジシャクワルドの回では、前述通りステイシーがゼンカイジャー側に協力したせいで自身の作戦が失敗した事を察していながら、その事をボッコワウスにも幹部達にも何故か報告せず「“今”は黙っておいてあげる」と告げており、さらにはステイシーが介人との戦いに敗れて瀕死の重傷を負った際には、わざわざ人間界にまで赴いて彼を助け出してトジテンドパレスまで運んだ上に、イジルデにボッコワウスの命令と偽ってまで治療を行わせている。
さらには、サカサマワルドの力でステイシーの身体と入れ替わってトジテンドパレスに潜入した介人が謁見の間に現れた際には、瞬時に彼の中身が別人で侵入者だと見抜いて追及し、その後はトジテンドパレスを逃げ回る事になった彼の前に再び現れて、今度はこっそり並行世界間ゲートの場所を教えて、彼が人間界に無事に帰れるように立ち回わるという、明らかにボッコワウスやトジテンドの益にはならない反逆に等しい行動をし、助けられた介人からも戸惑われていた。
これについては、この時の介人は本物のステイシーの身体だったので、ステイシーの身体を傷付けないように元に戻すのが目的だったと考えれば、それまでの彼の行動を考えれば辻褄は合うが(一度侵入者だと追及したのは、介人が諦めて人間界に帰ろうとせざるを得ない状況を作る為だった思われる)、やはり何故そこまでステイシーに拘って助けようとするのかは不明である。
そしてイジルデが、ボッコワウスの指揮下でハカイザーの強化改造計画に入った際には、謁見の間ではその事を気にするステイシーとバラシタラに高圧的な口調で「余計な詮索をするな」と告げていたにも関わらず、後でステイシーの前に現れるとこっそりハカイザーとイジルデの居場所を教えて、訝しむステイシーに「君はトジテンドでどうなりたいのかじっくり考えるといい」というアドバイスまで残して飛び去った。
これには、イジルデがボッコワウス肝入りの作戦を任せられた事が気に入らず、こっそり様子を探ろうと影から話を聞いていたバラシタラも「あの鳥先程とは真逆の事を…」と不審に思っていた。
これらの事から「ゲゲはステイシーを利用して下剋上を企てているのでは?」と考察する視聴者が多く、あるいはボッコワウスはただのハリボテで、ゲゲが真の黒幕である可能性もある…とも思われていたが、ボッコワウスと二人しかいない時にも普通に会話していた為、この線は薄いと思われる。
また、「ゲゲの正体は実は生きていたステイシーの母親のリセなのではないか?」という考察も当初はあったが、これはボンワルド回でリセが幽霊として召喚された事で否定された。
いずれにせよゲゲの正体や目的については、既に物語が終盤にさしかかっても一向に謎が多く底が知れない為、多くのファンの間で熱心に考察が行われており、高い注目と関心を集めている。
ゲゲについては、その溢れ出る黒幕感やラスボス感に加えて、ゼンカイジャーの登場キャラでは珍しくゼンカイ脳に一切染まっていない、完全なるシリアスキャラである点も注目を集めていると言える。
加えてそのゼンカイ脳に染まっていない点や、メインカラーが紫で一人称が「僕」である点、そして選民思想の塊である幹部陣などからは見下されている点など、物語的にステイシーとゲゲは共通点がかなり多い(尤もボッコワウスに取り入って、幹部以上の立場について巧に渡り歩いているゲゲとステイシーでは、立ち回りの上手さもそれによる扱いも雲泥の差だが)。
さらに、ゼンカイジャーの尽力によって遂にハカイザー奪還に成功した回では、怒り狂うボッコワウスを尻目に、「“ここ”もそろそろ潮時かな?」と呟いており、「トジテンドが潮時」という発言の意味のみならず、そもそも元々トジテンドやキカイトピアの住人ではなく、様々な世界を渡り歩いてきた存在である可能性が高まった。
そしてその説を裏付けるかのように、第42カイ!の終盤ではイジルデに告発されて今までの情報流出がバレて、反逆者として拷問され拘束されたステイシーの牢獄に現れ、そのままステイシーの身体に意識を転送して乗っ取ってしまうという衝撃的な幕引きとなった。
この描写から、そもそも現在の鳥の身体すら乗っ取ったものである可能性も高まった。
ちなみにファンからは、ゲゲがステイシーに憑依している状態はゲゲイシーと呼称されている。