ふたりはプリキュアMaxHeart
ふたりはぷりきゅあまっくすはーと
概要
プリキュアシリーズの第二作目であり、第一作『ふたりはプリキュア』の直接的続編。
2005年2月6日から2006年1月29日まで、東映アニメーションと朝日放送が制作しテレビ朝日系列で放送された。全47話。
物語に準じ新キャラを加えながら殆どの登場人物が前年から続けて登場する。テーマやコンセプトも前年から突き詰めていく姿勢を見せており、座組も変わっていない。
キャッチコピーは「女の子だって暴れたい」。
市街戦中心で、カンフーや総合格闘技のように肉弾戦主体で戦うこと。まるで少年漫画のようなコンセプトだがこの斬新さが人気を集め、当時の少女アニメにおいて異例のヒット作となった。トイホビー売上では前作『ふたりはプリキュア』をさらに超えた123億を叩き出しており、他作品を軒並み抑えながらバンダイの前線に躍り出た。
本作が当時の少女アニメにおいて異質な作風になったのは、プロデューサーの鷲尾天が報道から転職し門外漢であったことに加え、女児向け作品のノウハウがないまま仕事を任されたのが一因である。
当初、玩具スポンサーのバンダイが持ちかけた時点では、白黒という色の指定と『ブラックハート』というタイトル案でゴスロリの魔法ものがイメージとしてあった。しかし鷲尾は「やりたいことをやろう」と腹をくくり、彼が小さい頃から魅了されてきた「バディ(相棒)系の刑事ドラマ」から作品を着想。西尾大介監督の意向によりカンフー物のトラックスーツと西部劇のガンベルトを取り入れた戦闘服を纏い、肉弾戦を中心とした主体性のあるキャラクター像と、他者との相容れ無さを前提とした人間ドラマを活写した。
『ふたり』というタイトルがつけられているのは刑事ドラマのバディ・相棒の構図を意識していたためと、物語上必要のないヒロインを出さないという宣言である。今作の妖精の多さと、シャイニールミナスが既存キャラの派生で考えられている事からもその姿勢が窺える。(なお、プリキュアの参考にした刑事モノとして鷲尾天は、映画「48時間」・「ダーティハリー」・テレビドラマの「トミーとマツ」、西尾大介は白バイ野郎ジョン&パンチを挙げている。)
『Max Heart』の由来は、締切ギリギリまでタイトルを決められなかった鷲尾Pと西尾SDが「もういっぱいいっぱいだね」と話したことが由来している。
スタッフ
『ふたりはプリキュア』という作品は元々は望まれて生まれたのではなかったというのはファンならよく知る逸話である。元々、2004年のこの枠で放映されるのは『明日のナージャ』の二年目の予定であった。しかしそれがギリギリになってキャンセルされてしまい、空いてしまった枠を埋めるために何か作られなくてはならなくなった。
スポンサーのバンダイからの要望もあり「とりあえずは女児向けのアニメで」ということにはなったが、時間的余裕がなかったので、女児アニメが得意かどうかは脇においておき「スケジュール的に空いていて、やる気がある人」という基準でスタッフが集められることになった。
鷲尾天は『金田一少年の事件簿』で世話になったという西尾大介に真っ先に監督を依頼。作画演出共に『明日のナージャ』から継続で入っている者も多く、西尾大介を初めとした『エアマスター』のスタッフ、山田起生といった東映アニメでの仕事が珍しい凄腕アニメーターらが化学反応を起こしながら、それまでの少女向けには無い斬新なレイアウトや類まれなアクションを生んでいった。
『ドラゴンボール』『エアマスター』などでその名を轟かせた西尾大介は格闘描写や、『金田一少年の事件簿』で見せた静的描写による類まれな演出力に定評があったが、女児物の経験が無いためこのオファーには困惑の極みだったらしい。しかし、最終的には鷲尾の三顧の礼に折れて「わかった。うまくいかなかったら、謝って逃げちゃおうか」と当たって砕けろの精神で引き受けることになる。本作は彼のこれまでの演出や感情表現における総決算的な作品とも言え、原作モノを手掛けてきた中での初のオリジナル作品となるプリキュアは西尾大介の思想そのものと言っても過言ではない。その他、性別によって観る人を限定するようなマーケティングに対する強い警戒心も見せており、総体としてこれまでの戦闘物や女児向け作品に対する強い批判性を含みながら今作に挑んだことが窺える。
キャラクターデザインは『ドラゴンボール』シリーズで活躍し、『夢のクレヨン王国』からこの枠の女児アニメ作品に作画スタッフとして参加し続けていた稲上晃がコンペで選ばれた。鷲尾天からの「目が大きくて顎の無い流行りの顔立ちに反発すること」、西尾大介からの「目元の鋭さや凛々しさ、服の着こなしや立ち居振る舞い、格闘に支障のない機能性ある服装、要所でリアリティのある骨格」を意識するという要望に応えたデザインと、総作画監督としての膨大な仕事量を抱えた。
シリーズ構成は川崎良。本業はバラエティ番組やドキュメントの構成を務める放送作家であり、それまでのTVアニメの経験が『釣りバカ日誌』(2003年アニメ版)のシリーズ構成であった。またもや女児アニメから遠い人材の一人であるが本作はそれ故の「規格外」の味が強く出ているとも言え、個性的なキャラクター像やアニメ的でない会話劇に良く特徴が出ている。『釣りバカ日誌』は鷲尾がプロデューサーであったため、やはり人脈をたどってのオファーであった。その他、舞台や映画の脚本で活躍する『フラガール』等の羽原大介は骨太なワードセンスとパスカルに影響を受けたような思考を特徴とした、強度の高いシナリオで各話脚本を務めた。
音楽は、ドラマや映画音楽で名を轟かせる『三丁目の夕日』『海猿』作曲の佐藤直紀。
(M63)静かに湧き上がる闘志~華麗に戦いへ/わき上がる闘志
(M88)登場~戦い 颯爽と/プリキュア登場
(M213)プリキュア新必殺技 力強く/プリキュア・マーブルスクリューマックス
(M224)三人の絆 守りたいもののために湧きおこる力~盛り上がって~一転して高揚感のある戦いへ/三人の絆
などが劇伴の中でも人気であり、作品の音楽的カラーを決定付けたと言っても過言ではない。
よくある勘違いやデマ
・シャイニールミナスがプリキュアかどうか→プリキュアでは無い事をコンセプトにデザイン、キャラクター像が確立されているため議論の余地が無い。ふたりはプリキュアMaxHeartビジュアルファンブックVOL.1 p.84
・劇場版2作との関係→制作ライン、座組がテレビ本編と異なり実質別作品となっているためパラレルと考えるのが無難。
・ターゲットに成人男性が含まれている画像の流布→インタビュー等で完膚なきまでに否定されており、画像の出典がそもそも不明/ https://prehyou2015.hatenablog.com/entry/taishou
・ダーティペアが元ネタ→主人公の二人が赤髪黒髪という事でサンライズのプロデューサーから問い詰められたそうだが、言いがかりである。これが罷り通るなら、エアマスターの相川摩季と皆口由紀から発想したとも言えてしまう。当然ダーティペアを元ネタにしたという証言は一切無い。キャラクターデザインの変遷は稲上晃東映アニメーションワークスで確認できる。/稲上晃東映アニメーションワークス P.118
・登場人物に男性がいないプリキュアの登場で日本の女性が異性恋愛をしなくなった→第一作目から異性恋愛は扱われている。登場人物の性別や年齢は偏らないようにバランスが取られている。/本編
・男性だけで作っているのではないか(どこか含みのある言い方)→女性のプロデューサー、脚本家、原画マン、作画監督も参加しており、特に作画監督では第一線で活躍する者もいる。
セクシャルであることを表現していいのかという強い抵抗がスタッフの中で強烈に生まれたため物語世界における戦闘の機能性で衣装デザインを決めた、と証言がある。/プリキュアシンドローム pp.110-112
・魔法少女なのかどうか→魔法は使わない、魔法少女では無いと明確な証言がある。実際使われていない。/ プリキュアシンドローム!p.106、p.165/ふたりはプリキュアMaxHeartビジュアルファンブックVOL.2 p.98/本編
ストーリー
ドツクゾーンの戦いで、メップル・ミップル・ポルンの3体の妖精は眠りにつき、美墨なぎさと雪城ほのかは進級して普通の生活を送っていた。
そんな2人は元ベローネ学院女子中等部の生徒の藤田アカネの従妹を名乗る少女九条ひかりという新入生と出会う。その上、ドツクゾーンが再度来襲して2人はピンチに陥るもそこへ眠りから覚めたメップルとミップルの協力が入り、ふたりは再びプリキュアに変身。
そして、光の園の長老とプリズムストーンの番人のウィズダムが虹の園に住む2人に光の園のクイーンが「12の意思(ハーティエル)」・「こころ」・「生命」に分散してしまったことを教え、なぎさとほのかはクイーンを復活させるために、再びドツクゾーンと戦う事となってしまう。
登場人物
※シャイニールミナスは厳密には“プリキュアではない”が、劇場版『プリキュアオールスターズ』ではプリキュアの一人としてカウントされている。
放送リスト
備考・個別タグはご自由に追記してください。
話 | サブタイトル | 備考・関連タグなど | |
---|---|---|---|
1 | やっぱりふたりはプリッキュア~! 伝説は続くよどこまでも! | なぎさとほのか、変身/九条ひかり登場 | |
2 | 新入生は摩訶不思議!? はっきりいって謎だらけ! | ||
3 | これって運命? ポルンとひかり接近遭遇!! | ||
4 | 独りじゃない! 二つの気持ちが重なる予感! | ||
5 | 颯爽登場! その名はシャイニールミナス! | ひかり初変身 | |
6 | 気をつけて! ひかりのお使い危険がいっぱい | ||
7 | ファイトだなぎさ! 火事で火事場の馬鹿力! | ||
8 | 悩みぶっ飛び! ひかりを結ぶみんなの絆 | ||
9 | 邪魔させない! ほのかの一番大切な日 | ||
10 | パニック寸前! 甘くて危険な見学実習 | ||
11 | 大ピンチ! ハートをつないで一発逆転!! | ||
12 | 商売繁盛! 高原のカフェへいらっしゃい | ||
13 | なぎさ親子で大バトル? 母のココロ子知らず!? | ||
14 | 藤P先輩ガンバ! なぎさ気合の応援旗 | ||
15 | あこがれの先輩は大親友!? | ||
16 | なぎさノリノリ! ラッキーカラーで絶好調!! | ||
17 | どうする!? 悩めるほのかの研究発表会 | ||
18 | キャンプだホイ! 頼りになるのはお父さん!? | ||
19 | ひかり困った! なぎさが転校ありえない!! | ||
20 | ナミダのお別れ!? 莉奈のポンポコ物語 | ||
21 | ど~なる? ど~する!? 禁じられた出会い | ||
22 | 恐怖のバルデス! 追いつめられたプリキュア | 中盤戦 | |
23 | 闇の力をはね返せ! 希望がくれた新たな力 | 中盤決戦 | |
24 | 青春全開!友華先輩となぎさの頂上決戦!! | ||
25 | ひかりの夏の日 さなえの思い出 | ||
26 | 負けるななぎさ! みんな悩んで大きくなった!! | ||
27 | 残った宿題片付けろ! 梨と嵐とザケンナー!! | ||
28 | ベローネパニック! わんぱく王女のお化け退治 | ルルン初登場 | |
29 | ウソマジホント? ポルンの子守り大作戦! | ||
30 | 頑張れルルン! 未来を紡ぐ光の力!! | ||
31 | バルデス復活! チームワークでギリギリ突破!! | ||
32 | 闇から守れ! この世で一番大事な笑顔!! | ||
33 | 勇気を出して! なぎさ波乱のバースデー!! | ||
34 | 旅だ仲間だ!修学旅行だザケンナー!? | ||
35 | マジヤバ修学旅行!思い出作りは危険な香り | ||
36 | おうちに返して~! ポルンとルルンの大冒険 | ||
37 | なぎさ飛ぶ! ほのか舞う! 志穂全力の大舞台! | ||
38 | さよならほのか!? 絆は固く永遠に! | ||
39 | 燃え尽きろ! 青春ラクロス決勝戦!! | ||
40 | ふたりは最高! 全開バリバリなぎさと亮太!! | ||
41 | 気迫で渡せ! ちょこっと勇気のプレゼント!! | ||
42 | 銀盤の恋人たち? 滑って転んで大ピンチ! | ||
43 | 最後の冬休み! 特別授業だザケンナー!? | ||
44 | ひかりが消えた日 明日を探す日! | 最終決戦開始 | |
45 | 無限の闇 永遠の光 | 最終変身 | |
46 | 捨て身の総攻撃! 闇の戦士マックスパワー!! | ||
47 | 扉を開けて! ここから始まる物語 | 最終回 |
小説
講談社キャラクター文庫から2017年10月19日に『小説ふたりはプリキュアマックスハート』として刊行された。執筆は井上亜樹子、表紙イラストに稲上晃。
関連タグ
ニチアサ同期:魔法戦隊マジレンジャー(1時間前)、仮面ライダー響鬼(30分前)
「プリキュアシリーズ」タグ
←1.ふたりはプリキュア | 2.ふたりはプリキュアMaxHeart | 3.ふたりはプリキュアSplash☆Star→ |