「やあやあこんにちは諸君!今日も楽しく生きているかい?」
「秋の森の妖精王、花と平和と童話の伝道師、騒がしきオベロン、お邪魔するよ!」
プロフィール
真名 | オベロン |
---|---|
クラス | プリテンダー |
性別 | 男性 |
身長 | 174cm(人間時)/ 17cm(妖精時) |
体重 | 56kg(人間時)/ 6kg(妖精時) |
出典 | ゲルマン民間伝承、『夏の夜の夢』 |
地域 | 妖精國ブリテン |
属性 | 混沌・悪・地 |
好きなもの | 多すぎて一言では言えない |
苦手なもの | 貸りたものの取り立て |
設定担当 | 奈須きのこ |
ILLUST | 羽海野チカ |
CV | 豊永利行 |
概要
『Fate/Grand Order』に登場するサーヴァントで、第2部第六章『妖精円卓領域アヴァロン・ル・フェ』において主要人物の一人を務める。
数ヶ月前に "地球を殺そうとしている、自分がいない妖精が人を統べる世界" にただひとり召喚され、目的を同じとする主人公達のナビゲーターを買って出る事になる。
本人は人理の英霊を自称しているが、出自上、アラヤの抑止力よりもガイアの抑止力に近い英霊らしい。
なお、ゲストサーヴァントとして戦闘に登場する度にクラスが異なるという特徴を持ち、異聞帯ではライダー・アーチャー・キャスターとして戦闘に参加している。
第2部第六章完結記念ピックアップにて、新たなエクストラクラス「プリテンダー」として実装された。
なお、蘆屋道満と同様、シナリオクリア後に出現する特殊クエストをクリアしなければ第3再臨以降のイラストは見られない。
バレンタインイベントにおける個別シナリオ・お返し礼装の入手にも「2部6章クリア」という唯一の条件が課せられている。
真名
オベロン、またの名をオベローンやオーベロンとも。
「妖精王」の二つ名で知られる通り、欧州、とくにイギリスの伝承では妖精たちのリーダーとされている存在で、中世にシェイクスピアの戯曲「夏の夜の夢」で登場人物として取り上げられたのを機に、その知名度を大きく広める事となった。
妖精にしては珍しく"個体名"を持つ存在であり、その名は『ニーベルンゲンの歌』など中世ドイツの伝承に登場する「エルフを統べる者(王)」を意味したアルベリヒが源流と云われる。
グリモワールの一つ『精霊の職務の書』では、デーモンたちのように魔術師に知識を授けたり力を貸す存在として言及され、伝承によっては、人の心を読み、あらゆるものを移動させ、機嫌次第で望みを叶える事も災害を起こす事もあるという。
人物
童話の世界から抜け出した様なメルヘンな王子服に身を包み、アゲハ蝶の羽を背に生やす、子供というには大きく、大人というには幼い不思議な容貌の男性。
基本的にはより面白い事を好む享楽的な性格で、傍観者の立ち位置からドラマチックな展開を求め、相手を間接的に振り回すイタズラ好きな食わせ者。
加えて危険や敗北、挫折に対するリスクマネジメントも相当に高い思慮深さも合わせ持ち、自前の能力で方々からこっそり情報を集める事に長けるなど抜け目がない。
伝承通り、妖精のトップでありながら人間社会に対する理解も深く、人間そっくりな文化が根強いブリテン異聞帯にも速攻で多数のコネを築く程に順応してみせた。
情報収集など時は目立たない用にお忍び用の外套(2枚目のイラスト)を着ている他、任意でマスコットのような妖精形態(3枚目のイラスト)になる事もでき、雌蛾ブランカに乗って偵察していた。
一方、目的のためなら黙秘や詭弁も忌憚しない冷徹な一面もあり、一時の結果が絶望であろうと最後に円満な結末に向かうなら、味方に火中の栗を拾わせることも厭わない。
アルトリア・キャスターからは「雰囲気がマーリンに似ていると」度々指摘されているが、その胡散臭さや「小事より大事」を重んじる合理性は確かに合致する。
だが、内心ではそんな自分を恥じている様な描写もあり、彼なりにアルトリア達に余計な重荷を背負わせたくない想いもあった模様。
その点ではマーリンより人情的とも言え、合理的な判断に基づき諦めた状況でも、ある理由で奮い立ち突っ走った主人公の判断を最後には信じる等、良い意味で案外泥臭い面もある。
能力
本人は戦わないサーヴァントを自称しているが、レイピアを用い風の様に素早い剣技を振るうなど、白兵戦もある程度こなせる模様。
その他、眷属である蛾たちを偵察に駆り出したり、自身も小さくなって搭乗する等、未だ多くの要素を隠し持っている。
ちなみに、羽は生えているものの飛行することはできず、移動はもっぱら相棒の蛾・ブランカに搭乗して行う。
ステータス
筋力 | 耐久 | 俊敏 | 魔力 | 幸運 | 宝具 |
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D | D | A+ | A | EX | EX |
保有スキル
陣地作成(E-) | 魔術師として自分の工房・陣地を作る能力。かつては『妖精の森』の王であったが、時の流れとともに領地を失い、物語の上を放浪するだけの存在となってしまった。その結果、陣地作成スキルは最低ランクとなり、逆説的に彼が「今では名前だけの王」である事を示す形になっている。オベロン本人はその事を秘密にしており、陣地作成能力の低さを他者に明かす事を極力避けている。 |
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道具作成(A+) | 道具を生み出す能力。特に心を惑わす物については最高位の腕前を持つ。彼が花の汁から調合した『三色草の露』は妖精王妃ティターニアにすら呪いをかけた。 |
騎乗(A) | イギリスの妖精観では、妖精は虫に乗って移動するとされる。オベロン本人は王である為、基本的に自らの翅で優雅に移動するが、人目がないところでは最高時速130kmを誇るススメガに騎乗し、あらゆる場所に飛んで行き、人々の心を導いていく。 |
夜のとばり(EX) | 夜の訪れとともに、自軍パーティに多大な成功体験、現実逃避による戦意向上をもたらす。マーリンの『夢幻のカリスマ』とほぼ同じスキル。 |
朝のひばり(EX) | 朝の始まりとともに、自軍パーティに多大な精神高揚、自己評価の増大をもたらす。いっときの強制ドーピング。対象の魔力をあげるが、それはいっときのもの。時が経つと失われるものなので、宝具の使用は計画的に… |
神性(-) | オベロンの妃であるティターニアは様々な妖精や女神(マヴ、ディアナ、ティターン)の複合体として創作された出自から神性を持つが、彼自身はそうした背景を持たない純然たる『妖精の王』である為、神性は有していない。 |
宝具
彼方にかざす夢の噺(ライ・ライム・グッドフェロー)
- ランク:E
- 種別:対人宝具
- レンジ:5〜40人
- 最大捕捉:7人
- 由来:生前保有していた夢を見せる能力
「暖かな夢の話を……」
「僕に出来ることなんて、この程度さ。童心の君、夏の夜の後。恋は触らず、懐かしむもの――『彼方にかざす夢の噺(ライ・ライム・グッドフェロー)』」
オベロンが語る、見果てぬ楽園の数え歌。固有結界と似て非なる大魔術であるらしい。
大きく広げられた翅から放たれる鱗粉の力によって相手の肉体や霊基を夢の世界の精神体に変える。
そうしてこの夢に落ちた者は無敵になるかわりに現実世界における実行力は失われ、現実世界への干渉もできなくなってしまう。
ゲームでの性能
ATKは最大11810、HPは最大13266。
カード配分は《Quick:2/Arts:1/Buster:2》のランサー型。クラススキルの「夏の夜の夢(EX)」により精神異常・呪い関連のバッドステータスにならない。
また、第2部第六章クリア後に真の名称が明かされるクラススキル「???」は自身がフィールドにいる場合控え含む味方全体に効果を及ぼすという絆礼装のような効果を持つ。
その内容はフォーリナークラス以外に対する弱体付加の成功確率を上げ、マーリンによる味方への強化成功率を下げる、というもの。
保有スキルの効果は変則的だが、爆発力に富んだものとなっている。
「夜のとばり(EX)」は味方全体の宝具威力を3ターン上げると共に、NPを20(固定値)配ることが出来る。
「朝のひばり(EX)」は味方単体のNPを50(スキルマ時)補充し、スターを最大20個生成するが、ターン終了時に配布対象のNPを20下げる。後述の第3スキルにBusterバフがある以上Buster宝具アタッカーと組ませるのが鉄板で、素のNPチャージ能力が皆無というBusterカードの性質上配られたターン中に宝具を使えばいいだけの話であるが、Arts宝具・Quick宝具アタッカーと組ませる際は注意が必要である。
「夢のおわり(EX)」はマーリンの「英雄作成(EX)」のようなBusterカード性能強化スキル。更に、スキルや宝具、概念礼装などによる宝具威力アップ効果を一度だけブーストさせる効果がある。このブースト倍率が驚異の1.5~2倍。重複不可能な状態だが当然の措置だろう。黒の聖杯を積んでブーストした上で宝具をぶっ放すとダメージがエラい事になる。
ただしターン終了後に強化解除され、耐性で防げず解除もできずオーダーチェンジで下げる事も生贄にも出来ないまま行動不能となる「永久睡眠」の状態となる。更に3ターンの間、ターゲット集中状態となるため、肉盾としては機能し、バーサーカーに確実に退場してもらいたい場合にはむしろ便利である。
また、ターン終了後にデメリットが付加される前ならアーラシュの自爆や陳宮の射出も有効となる。
そのままだと全体への攻撃力アップとNP配布、Busterカード性能強化のスキルを持つマーリンをはじめ、光のコヤンスカヤなどのサポーターとのシナジーがヤバい域に達するため、組み合わせ自体が封じられるのも納得の措置である。
とは言えそこは人類悪と揶揄されたマスターたちである、上手いことデメリットを処理するのはお手の物であり、すでに各種サポーターと組ませて目を疑いたくなるレベルのダメージを叩き出した事例が噴出しているとか(上述のアーラシュ(誰が呼んだか「夢捨テラ」)や陳宮がその好例)。
更には、第1,第2スキルの圧倒的なNPチャージ能力を利用し、Wオベロン+NPを50%チャージ可能なサポーター+カレイドスコープor魔道元帥装備によって、自力でNPを10%以上チャージ可能であるならば、問答無用で3T安定周回を可能とする編成が可能になった(※)。
無論条件に当てはまるスキルがなくても、「何らかの手段でNPを10%以上チャージ」出来れば良いため、周回以外の場面においては、追撃で賄えさえすれば3連射確定である。
(※)単純に、宝具を三連打するのに必要なNPは300%。オベロン2騎で140%、別サポーターで50%、カレイドスコープ/魔道元帥は無凸で80、完凸100%なので、合計最大290%分は供給可能なのである。よって、別途残りの10%を調達できれば、3連打が実現可能という理屈。なお、アペンドスキル・魔力装填で20%分は何とかなるので、ここさえクリア出来ればアタッカーに装備させる礼装は完凸させている必要がない(アペンドスキル・魔力装填のみに注力するならばそこまで非現実的でもなかったりするから恐ろしい)。
宝具の効果は敵全体への強力な秩序属性特攻攻撃。オーバーチャージで特攻効果が増大する。更に、敵全体を睡眠状態にして攻撃強化状態も解除するが、敵側に無敵状態を1ターンのあいだ付加するというデメリットがある。
とはいえ、睡眠状態は「ダメージを受けるまで続く特殊な行動不能状態」であり、こちら側が(補助宝具やデバフ宝具という例外はあるが)基本的に相手に攻撃しなければターンを回せないシステムの関係上、このデメリットもさして問題にはならないだろう。睡眠状態の恩恵を捨ててでも攻撃しなければならない状況であれば別だが。
総評すると、メリットとデメリットの両方を多く持ち合わせているためクセはとんでもなく強いが、きちんと理解してやれば凄まじいパワーを発揮するサポーター兼アタッカー、と言ったところか。
関連人物
戯曲では、オベロンの妻である妖精女王として語られし存在。
作中ではギリシャ神話のティターンを元に作られた存在ではないかと推測されている。
キングプロテアの構成元にも名前があるが「ティターニア(ティターン)」とあるため上記のギリシャ神話のティターンの方であると思われる。
オベロンの存在を世に広めた劇作家。
勝手なイメージを押しつけられたと思う一方、自分という存在の厚みが増える事にもなった為、特に嫌ってはいない模様。
劇中で深く関わる者達。同じく妖精には不要な魔術に長ける変わり種で、妖精を統べる運命を持つ共通点もある。一説にはオベロンはカエサルとモルガンの息子だとも。
属性、在り方が似ている夢魔。地域も同じ事から面識はある模様。
何故かマーリンの強化成功率をダウンさせるパッシブスキルを保有しているようだが…。
マーリンのスキル『夢幻のカリスマ』の内容は彼のマテリアルでは説明がなく、オベロンの実装によりようやくその性質が明らかになった。
オベロン的にかなり嫌いな人種らしく、本人に向けてその悪性を真っ向から批判している。
しかしある場面では彼女の『獣』としての力を利用する為取り引きをしつつ、それでいて益の無い情報で動かす等非常にしたたかで柔軟な対応をしている。
使い魔の雌蛾。彼女自身は言葉を発しないものの、作中では小さくなったオベロンを乗せて偵察にいったりと、会話してるらしい様子が描写される。
アトラス院院長。旧名にオベロンの名が入っている。三田誠曰く、ちょっとした小噺程の関係があるらしいが、どのような関係なのかは現状不明。
無数の槍で貫く際の詠唱が「ヘラクレスの腰布」となっている。
ヘラクレスは浮気を恐れた妻によって腰布に毒を塗られて死んだという伝承があり、その故事が元ネタだと考えられる。
丸太で敵を薙ぎ払う際の詠唱が「ヒッポリュテの弓」となっており、Fateシリーズではヒッポリュテの主武装は弓である。なお、夏の夜の夢においてはテーセウスの婚約者である王女として登場する。
槍を投擲する際の詠唱が「テセウスの鎧」となっている。
なお、夏の夜の夢においてはアテネ公として登場する。
オベロンの原典は一説によればゲルマン民族の伝承に登場するアルベリヒという小人であり、このアルベリヒは「ニーベルンゲンの歌」ではジークフリートと因縁のある存在として語られている。
伝承においての父とされる人物で、カエサルのマテリアルでも触れられているが、実際のところは不明。
余談
羽海野チカ氏がゲームキャラをデザインするのは今回が初めてのことになる。
元々、奈須きのこ氏と武内崇氏は『ハチミツとクローバー』時代から羽海野氏のファンで、共通の知人であるマフィア梶田氏を介しての対面が実現し、その際にオファーをしていたとのこと。
なお、羽海野氏は梶田氏の勧めでFGOにハマっており、妖精円卓領域の設定を聞いた際には「可愛い女の子を描きたい」と話していたらしい(竹箒日記より)。
ちなみに、羽海野氏は個人で仕事をしていたため、FGO関連の仕事は梶田氏がマネジメント担当として間に入っていた。
羽海野氏は昆虫が非常に苦手なのだが、オベロンの依頼を受けた際に昆虫図鑑を取り寄せ懸命に勉強したらしい。その勉強の成果は作中の一枚絵等、随所で発揮されている。
また週刊ファミ通2021年8/19・26日号に載せられているインタビューによると「初めは6章は単純な話にする予定だったが、必要な部分を書くうちにプロットが倍になってしまい、羽海野先生にオベロンを描いていただけることにもなって、ストーリーを深堀りしていった」という経緯があったらしい。
このためなのか6章は、「Fateルートをプレイしていると思ったらHFルートに突入していた」と一部に言われるほどドロドロした展開へ進んでいく事になる。
彼のキャラはネット上で大きな話題となり、12月発表されたTwitterトレンド大賞2021にて「オベロン」がランキング8位に輝いた。
この記録は2019年にランクインしたバルバトスを超える記録となっている(バルバトスは17位)。
関連イラスト
関連タグ
Fate/GrandOrder 妖精円卓領域アヴァロン・ル・フェ 妖精
この先は「妖精円卓領域アヴァロン・ル・フェ」に関する重大なネタバレが含まれます。
よく『後の祭り』と言うだろう?
まったくもってその通りだ。
せめて終わるときくらいは、盛大に奉ってやるよ。
物語の終盤、彼の正体、そしてこの異聞帯に現れた本当の理由が明かされる。
詳細は、ネタバレ注意のリンク先を参照。