両面宿儺(呪術廻戦)
りょうめんすくな
「存外 人間の味は多種多様で刹那的でな
死ぬ前の暇つぶしとして啜る分には丁度いい」
※この項目は単行本未収録のネタバレ情報を含む場合があります。 |
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プロフィール
概要
千年前の呪術師で、死後もなお現世を脅かす呪いの王と恐れられる男。呪術全盛の時代、術師が総力をもって勝てなかったとされる史上最強の呪術師。
その力のあまりの強大さに、死後もなお計20本の指の屍蝋が特級呪物として残されたが、当時の術師達は封印することしかできず後に散逸。一部は呪術高専の保管庫で保管されている。そのうちの1本を虎杖悠仁が取り込み、彼を器に受肉する形で復活を遂げる。
人物
人物像
天上天下唯我独尊、己の快・不快のみが生きる指針としている非常に奔放で残忍な性格。
弱肉強食主義者で「強者」と認めた相手には強く興味を持つが、逆に「弱者」とみなした相手は一方的に痛めつけて楽しむ。人間の特に弱い女子供を殺すことを悦楽としている他、特に人間を食すことを最大の喜びにして趣味嗜好としている。
弱者に大しては傲岸不遜な面が目立つが、強者に対しては慢心することはないほか、やたら口数が増え気さくな面を見せる。
普段は虎杖に意識抑え込まれているため、意識は表層に出てこない。宿儺が肉体の主導権を握ると、爪が黒くなって尖り、顔を含めた全身に紋様が浮かび上がり、両眼の下にもう一対の眼が開眼する。精神世界である生得領域内でも生前の容姿に戻ることはない。また肉体の主導権を握っている間は、本人曰く、心臓を抜き取っても生き続ける事ができるとのこと。
独特の哲学と生死観の持ち主であり、相手に対する洞察も深く、時に相手の悩みを的確に見抜き、問答をすることもある。
呪術に対する豊富な知識量から、初見の能力ですら高度な予測を立てて対処し、たやすく模倣するなど戦闘面では冷静な一面も見せる、頭の回転が早く、分析力や状況判断力も高い。
羂索とは協力関係にあるが、「縛り」抜きにしても互いに軽口を叩き合っているため、どのような関係を持っているのか不明な点がある。
生い立ちについては不明。本人もわかっていないようだが、生まれつきの強者ではなく『忌み子』だったのではないかと示唆されている。
虎杖との関係
器である虎杖に対しては、自身を閉じ込める存在として疎ましく思っている一方で興味を抱かず冷淡な態度をとる。。受肉して以降は虎杖の顔に自身の口や目などに表情を浮かべて彼を嗤い、彼の友人の死に様とそれに打ちひしがれな際は彼の様を腹の底から嗤い、宿儺の指のを取り込んだことで起こった惨劇をわざわざ「お前のせいだ」と嗤うなど非常に悪辣な態度を見せた。
特級呪物「両面宿儺」
宿儺の死蝋は全20本の指として現代まで特級呪物として残り続け、強大な呪力が込められている。
強力な呪物があると他の呪いが寄り付かなくなるという性質であるため毒をもって毒を制する形で魔除けとして使用される。通常の特級呪物は「封印中は他に害を成さない」という縛りにより、破壊不可能な耐久性を持つが、宿儺の指の場合は強大な呪力から、その縛りの上でも周囲に呪いを寄せ付けるようになった。
校舎内で巻き起こった呪霊達との戦闘の末、伏黒を救うという目的のため、虎杖が指を取り込んでしまう。
本来。宿儺の指を取り込んで呪力を得られるのは呪霊のみであり、人間にとっては猛毒に等しく、虎杖は即死するかと思われたが、千年に一人と言われる程の圧倒的な器としての耐久力を持っていたため、虎杖の肉体に受肉して現世に顕現した。
指の状態では滅することができない宿儺も、器である虎杖を殺せば同時に死ぬことから、虎杖の秘匿死刑が決定した。しかし、五条の進言によって、執行猶予として「20本の指を全て取り込ませる」という条件付きで呪術高専に入学することになる。
形態
虎杖受肉体
虎杖悠仁を器に受肉した姿。体を完全に乗っ取れておらず、虎杖と交わした契約の“縛り”等を除き、普段は虎杖に抑え込まれており、宿儺の意識は表層に出てくることはない。虎杖の精神世界内に展開されている彼の生得領域内では袖の広い女物を思わせる白い着物を着ている。これは彼には腕が4本ある為、大きめで作られている女物の着物の方が着やすいかららしい。
伏黒受肉体(伏黒宿儺)
伏黒恵を器に受肉した姿。虎杖に受肉していた時と違い意識を完全に乗っ取っている。宿儺本来の術式の他に伏黒の術式の「十種影法術」を使用可能。
身体を乗っ取った当初は仲間を傷付けることを嫌った伏黒の拒絶で身体の支配が不完全だったが、浴による身体の仕上げと万を受肉した津美紀を殺害することで伏黒の心を沈め身体の支配を完全なものとした。
完全体(生前宿儺)
宿儺の生前の姿。顔の右側は歪に変形しており、史実に違わぬ四本の腕と腹の口を持つ異形の姿をしている。現代で受肉した際は生前と違い上記の異形の姿ではなかったが、これは意図的に受肉を中断していた為であり、中断していた受肉の変身を再開することで、反転術式を使わず一度のみ肉体の修復を行うことが可能。四本の腕は掌印を結んだ状態で両手が空手、腹の口は心肺に負担を掛けず呪詞の詠唱を絶え間なく続けられることを可能としており、呪術師として大きな優位性をもつ。
活躍
上述の通り、虎杖が宿儺の指を取り込んだ事で、虎杖の体を乗っ取る形で千年ぶりに復活する。虎杖のことは己を抑え込む檻のような存在のため疎ましく思っており、他の指がある限り復活が容易なため、当初は隙あらば虎杖を殺そうとしていた。実際、一度心臓を抜いて殺してしまったが、伏黒恵のことを「唯一の好奇」として気に入ったことから、伏黒を傍で見守れる存在として虎杖のことを生かすことに決め、彼の心臓を治癒。
〝縛り〟を虎杖に結ばせる。
その際に「『契闊』と唱えたら一分間体を明け渡す」、「契約内容を忘れること」、「二つの条件で虎杖が自分に体を明け渡している間は誰も殺さないし傷つけない」という内容の縛りを結ぶ。
渋谷事変編
渋谷事変では漏瑚(とミミナナ)が脹相に敗北し気絶した虎杖に10本の指を一気に取り込ませたことで、彼の適応が追い付かず宿儺が一時的に肉体の主導権を得る。漏瑚に今のうちに肉体の主導権を永劫に独占するための〝縛り〟を虎杖と結べ、と言われるもそれを一蹴し、戯れに「俺に一撃でも入れられたら呪霊(オマエら)の下についてやる」と言う条件を付け漏瑚と交戦。指15本分の力で漏瑚を終始圧倒し、最終的に漏瑚の得意技である炎を使った戦いに持ち込んだ末に彼を祓う。その時、今際の彼に「千年前戦った中ではマシな方だった」「誇れ、お前は強い」と声を掛け、珍しく相手を称賛した。その後、千年前の知己である裏梅と再会し、嬉しそうな表情を見せる。
漏瑚殺害後は、自滅覚悟で自ら召喚した八握剣異戒神将魔虚羅に重傷を負わされた伏黒恵の救出のため、裏梅と別れて魔虚羅との交戦。「全ての事象への適応」の能力をもつ魔虚羅に対し圧倒的な火力と領域展開をもって対抗し討伐する。その後傍らにいた呪詛師重面春太を殺害。肉体の主導権が戻る事を察知した宿儺は伏黒を仮設本部に運んだ後、わざわざ自分と魔虚羅との戦闘で更地になった場所へ戻ってきた。「せいぜい噛み締めろ」という言葉を残し、虎杖に肉体の主導権を返還した。
さらなるネタバレ注意!!
死滅回游編
「術式を消滅させる術式」を持った術師来栖華との接触。来栖に受肉している天使と呼ばれる1000年前の術師と、〝堕天〟と呼ばれる泳者を殺すことを条件に獄門疆の封印を解く、と約束した虎杖達だったが、実はその〝堕天〟が両面宿儺であることを、宿儺自身が明かす。
その後、伏黒津美紀が覚醒した呪術師ではなく、受肉した過去の術師であることを知り、伏黒の魂が折れかけた隙を付き、上記の契約で強制的に虎杖と入れ替わり、来栖を気絶させる。自身の小指を呪物化させて千切って(虎杖は「誰も傷つけない」という〝縛り〟に自分自身を含めていなかった)伏黒に飲み込ませ伏黒の身体を乗っ取り受肉を果たす。
その後、虎杖と駆け付けた真希と交戦。裏梅の介入で戦いが中断した後、身体を完全に乗っ取る為に禪院家に用意された“浴”で伏黒の魂を深く沈めた後は、より完全に身体を支配する為に、万を受肉した津美紀の殺害するべく、万がいる仙台結界に移動。遭遇した石流龍を瞬殺し、万と対峙し交戦する。「伏黒自らが姉を手にかけた」という傷を刻み、彼の魂の意志を削ぐ為に十種影法術のみで戦い、最終的には万を殺害し、伏黒の魂を深淵へと沈め、伏黒の身体の支配を完全なものにする。
能力
実力
指を全て取り込んでいない不完全な受肉の状態でも特級呪霊を体術のみで圧倒するなど超越した戦闘能力を有し、その実力は計り知れない。
ほぼ全ての指を取り込んだ状態での呪力量は五条を上回る乙骨の更に倍以上の呪力量と、六眼を持つ五条には劣るものの高い呪力効率を誇る。
呪術の才は極めて秀でており、反転術式は勿論、術式の高度な運用、後述する結界を閉じずに領域を展開する離れ技をやってのける他、一度見たことや経験したことをすぐに理解・習得する等、学習能力も非常に高い。作中では五条の反転術式による焼けきれた術式の治癒を一度見ただけで会得する、羂索の手を借りて自身の魂を呪物をと化し20本の指として切り分けられた一度の体験だけで、自らで呪物の成り方を学習している。
体質
受肉体の特性の応用で肉体の一部を変化させる能力を会得しており、渋谷事変でアニメでの八握剣異戒神将魔虚羅との戦闘では、首に口を出現させ、退魔の剣を噛み砕く、人外魔境新宿決戦では、意図的に中断させていた受肉の再開させることで肉体を修復している。
術式
御廚子(みずし)
術式の詳細は不明だが、不可視の斬撃を操る他、炎を操るなど未知数。
- 解(カイ)
通常の斬撃。手を構える動作だけで対象を細切れにしたり、ビルを真っ二つにするほどの威力。連射、形状の調節が可能。
- 捌(ハチ)
対象の呪力量・強度に応じて自動で最適な一太刀で相手を卸す斬撃。
派生技として捌を蜘蛛の巣の如く広範囲を切り裂く蜘蛛の糸という技がある。
- 炎の矢(仮称)
「■(アニメでは口が動いているが無音になっている)」「開(フーガ)」と唱えることで炎を顕現させ、矢の形にして放つ。一撃でビルの数倍もの高さの火柱が立つ程の広範囲かつ高火力を誇る。
伏黒を器に受肉したことで使用可能となった。本来の使い手である伏黒よりも高度な術式の運用を見せており、式神の完全/不完全/部分顕現の選択と式神本体を顕現させずにその式神の能力のみを行使している。また八握剣異戒神将魔虚羅を始めとしたまた伏黒がまだ調伏出来ていない式神を新たに調伏して扱っている。
その他の技
宿儺のそれは欠損した指や手、果ては臓器までもを一瞬にして再生してしまうなど極めて強力。
更には他者の治療も可能で「確定した死」でなければ蘇生レベルの治癒も行える
領域展延
簡易領域をより高度に昇華させたもの。術式を付与していない領域を自身に纏うことで空いた容量に相手の術式を流し込んで中和する技。欠点は領域における必中効果は薄まるうえ、生得術式との併用はできないが宿儺曰く「一度領域に付与した術式」は対象外なので宿儺は領域展開中でも展延を発動が可能。
装備
- 神武解(かむとけ)
生前の宿儺が所持していた金剛杵型の呪具。雷撃を放つ術式効果を持つ。現代では万が「絶命の縛り」を対価に構築された。
- 飛天(ひてん)
生前の宿儺が使用していた錫杖型の呪具。本編未登場。
伏魔御廚子
掌印は、インド神話の冥府神ヤマが日本に伝わり仏教の天部となった、運命と死と地獄の神閻魔天の印。様々な生物の頭骨に象られた寺のお堂が出現する。
宿儺は結界で空間を分断せずに生得領域を具現化する「閉じない領域」を展開可能。現代の術師・受肉した過去の術師からも、ありえない」と断言する離れ技。
領域内の呪力を帯びたモノには「捌」、呪力の無いモノには「解」が領域が消えるまで絶え間なく浴びせる。
「結界で相手を閉じ込めない」という性質を「相手に逃げ道を与える」という縛りにすることで、領域の効果範囲は指15本の時点で最大半径約200mにまで拡大されている。
この縛りにより領域の出入りは自由だが、領域が広い、絶え間なく斬撃が浴びせられるため、一度効果範囲内に捉えられると脱出するのは困難。さらに結界で閉じないために領域同士の押し合いになっても相手の領域の外側にも影響を及ぼせるため、相手の結界に斬撃を浴びせて結界を破壊する事で、閉じた領域相手なら領域の押し合いを無視出来る優位性を備える。
斬撃の威力は効果範囲の広さに反比例するらしく、領域の効果範囲を絞ることで威力を高めることが可能。さらに通常の閉じた領域にも切り替えられるなど、領域の構成要件を変える事が可能。
余談
- 『宿儺の興味』
ファンブックで宿儺の最大の喜びは「食べること」と説明されている。
宿儺の領域展開である『伏魔御廚子』だが、厨子とは仏具を収める物入全般を指し、広義には仏壇もこの厨子に入る。その「物入」と言う特徴と、宿儺自身が呪いの王であるという設定から、宿儺の術式とは『様々な術式を蒐集し、扱うことのできるもの』ではないか。と考察されていた。
また、130話で「領域展開後は肉体に刻まれた術式は一時的に焼き切れ使用困難になる」という情報が記述された事も宿儺の斬撃と炎は別の術式なのでは?という考察の裏付けとなった。
一方で、118話の煽りに『万死の厨房』と言う言葉が使われたことから、宿儺の術式が調理なのではないか?と言う考察が俄かに脚光を浴び始めた。実際、御厨子とは「台所」を意味する言葉でもあり、そもそも元ネタになった両面宿儺にも料理に関するエピソードがあり、日本一宿儺鍋と言う巨大な鍋も宿儺の地元には存在している。
何よりも『切断を多用し火も扱える』と言う特徴に加えて、宿儺の使う言葉の端々には、三枚おろし、味見、飢え等、食にまつわる言い廻しが多く、伏魔御廚子が発動した際にも、巨大な口と大量の獣の骨と言う、食事を想起させる描写がある。また、解や捌の発動時にイメージとして出刃包丁と中華包丁が描かれ、平安時代の新嘗祭(作物の豊穣を祈る祭り)では大人しく人々から祭られている。
更に、海外でのアニメ配信時には伏魔御廚子に『Malevolent Kitchen』という英訳がつけられたが、これは凶悪な厨房という意味であり、術式が調理に関連するという説をより後押ししている。
- 「■」について
宿儺は斬撃の術式以外に炎の術式も扱え、その直前「■ 開(フーガ)」と唱える。この「■」の読み方については初出以降ずっと明かされず、流用元となった過去の読切漫画『No.9』で主人公が「□(ボックス)」と呼んでいた事から、便宜上ボックスと読ぶ読者が多かった。
しかしTVアニメ第40話「霹靂」にて炎の術式がお披露目される時、「■」を唱える宿儺の口が映し出された。残念ながらここは無音で結局何を言ったのかは判明しなかったが、しかし宿儺の口の動きに注目してみると「はこ」や「ボックス」というよりは、「あ」と「う」の発音のようにも見える描写で表現されていた。もちろん確定情報ではないため注意。
- 『普段の様子』
普段の宿儺は、虎杖の中でボーっとしているらしい。作者曰く、「1000年ボーっとしていた暇つぶしの達人」。たまに虎杖を通じて外の世界をのぞいているらしく、映画修行の時も見たり見ていなかったりしたんだとか。
- 『生い立ちの謎』
生い立ちは不明だが、少なくとも「忌み子ではあった」ことは作中で示唆されている。生前から四本腕・四つ目という異形の容姿ではあるが、真人の術式による改造を除けばそのような異形になる事例は現実にもある。結合双生児あるいは畸形嚢腫のような、双子で生まれるはずの兄弟が一つの体として生まれる事例である。呪術において、一卵性双生児の双子は一人としてカウントされること、天上天下唯我独尊な性格である宿儺が自分の中に他人がいるというのはまず許すような性分ではないことも考えると、真依が意図的に己の存在を間引いたことで真希の天与呪縛が完成したように、双子の兄弟を殺害することで一本化して異常な強さを得た可能性がある。(真希の場合とは逆にフィジカルギフテッド側を殺害したのだろうか?)
- 伏黒に執着していたり、他とでは態度が違いすぎたりすることを読者にネタにされたりもしており、そのあまりの執着ぶりから、一部の読者には「宿儺P」と呼ばれている。また、アニメ版第六話で一部の視聴者が「契闊(けいかつ)」を「恵活(けいかつ)」と空耳し、ファンを笑いの渦に巻き込んだ。オタ活ならぬ恵活である。
- アニメ版「渋谷事変」篇のアニオリシーンにて、魔虚羅との戦闘で映画館まで吹っ飛ばされたが、なんとポップコーンとコーラを持ちながら復帰してくるという、何ともシュールな光景を見せた。恐らく虎杖が呪力について学ぶ為の映画鑑賞で食べていたのを彼の裡で見て興味を持ったのだろう。だが、宿儺には不評だったらしくポップコーンもコーラも口に入れた途端に不味いとすぐに吐き出している。