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概要編集

頭の前後に二つの顔があり、四本の腕にもしくはを持った姿で象られる。

飛騨地方(岐阜県)では仏教を伝えた開基と伝承される。


日本書紀』では怪物として描かれ、仁徳天皇の御代に和邇氏の祖・武振熊命と争い敗れたとされる。

書紀では両腕と両足も前後に二対あったとされ、弓矢と剣をもって現れる。

魔神や大妖とされる一方、土着神として崇拝される側面も持つ。


解説編集

その正体については諸説あるが「大和朝廷に従わなかった日本列島東側地域の淘汰された地方豪族が神格化されたもの」という解釈が一般的とされており、後述の仏教の開祖伝承などからも、地元飛騨では英雄視されている。

しかし「仏教を伝えた」という説については、日本への仏教伝来が六世紀前半なのに対して、両面宿儺が討伐されたのは仁徳天皇の在位された四世紀末から五世紀前半であるため、矛盾がある。これについては、「朝敵」として斃された両面宿儺を崇拝する勢力がその後も隠れて信仰を続け、後世に「仏教の保護者」というありがたい肩書を与えて習合させることで、再びその存在を世間に認めさせようとしたためと考えられている。不思議なことにこの過程はゾロアスター教アフラ・マズダが紆余曲折を経て仏教の守護を司る多腕多頭の姿をもつ阿修羅へと習合するものと一致する。


多頭や多腕の異形というモチーフ自体は全世界に存在し、アジア圏では上記阿修羅千手観音、地中海世界ではヘカトンケイル等が挙げられ、その容姿から「多く益や知性を齎す者」であったり「武力の象徴、暴力性」を見出されたり御利益は様々である。子供でも容易に想像できる姿からして、かなり古い時代からいると思われる。

日本伝承における両面宿儺は多腕に剣や弓を持つという特徴から、中国神話における神農の子孫蚩尤との外見的関連性を指摘する説もある。この蚩尤も黄帝に叛逆する悪神だが、同時に農耕や農具を人々に伝えたという伝承も残されており、再度の神格化過程で影響を受けた可能性も否定できない。


また、「二つの顔を持つ」という姿で記録された理由としては、モデルとなった集団の長が、双子もしくは兄弟などの容姿がよく似た二人組だったからという説が有力とされるが、一部では伝説で描写された通りの姿を持つ結合双生児だったとする奇説も存在する。



創作での扱い編集

飛騨地方へのスキー合宿にて、御鬼輪の精巧な贋作を利用して封印されていた。

ぬ~べ~が御鬼輪に目が眩んで封印を解いてしまい、吹雪の中で死闘を演じることになる。

古代の武具を纏った双頭四臂の大妖怪として描かれ、古代の銅剣と弓矢を武器とする。


巨大怪獣の姿で登場する。


1巻「妖界大決戦」に登場する上級妖怪。妖界一の暴れ者。


主人公である虎杖悠仁が呑んだ呪物となった指の持ち主であり、全部で20本の指を遺し世を去った悪しき呪術師であり呪いの王。虎杖の体を乗っ取った際には身体に文様が浮く。

詳細は「宿儺(呪術廻戦)」「生前宿儺(リンク先ネタバレ注意!)」の項目を参照。


スレに関連する「実話系怪談」の一つに、結合双生児呪術の犠牲とした後ミイラとし、両面宿儺として祭り上げたものが怪異を呼ぶという一遍がある。


封印が解かれ、現代に蘇った二面鬼の妖怪。詳細は「宿那鬼」の項目を参照。


星晶獣として登場した。詳細は鬼滅の刃のコラボシナリオ「因果の匂い、果ての空」を参照。


淡海を隔てた日本の東半分、すなわち穢土(えど)に君臨する八柱の天魔夜都賀波岐の一柱。詳細は「天魔・宿儺」「遊佐司狼」を参照。



関連イラスト編集

両面宿儺-妖コレ-


関連項目編集

日本神話宿儺神道仏教ヤヌス妖怪多腕

円空彫刻を造った人物。

リョウメンスクナ:表記ゆれ。上述のグラブルでは、こちらの表記となっている。


土蜘蛛:両面宿儺同様、大和朝廷に敵対した豪族への蔑称であり、後に妖怪として伝えられた。

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