「ジャクド、つまらぬ星ならさっさと破壊しておいで。何せ次の遊び場が、記念すべき100個目の星になるのだから……」(第1話)
「“おもちゃ”だよ。諸君等のような下等生物にこれ以上の価値など無い。この私を楽しませたまえ」(第10話)
データ
身長 | 288cm(ブーストコンティニュー身長:103.7m) |
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体重 | 389kg(ブーストコンティニュー体重:1400.4t) |
対応機種 | サジタリアーク |
ジャンル | イエローダイヤモンド |
CV | 井上和彦 |
スーツアクター | 神尾直子(上半身)、藤田洋平(下半身)※シン・ジニス状態は日下秀昭 |
概要
部下達を目的の星へと送り込み、その星の生命を遊び感覚で甚振る史上最悪のゲーム「ブラッドゲーム」の考案者であり、これまでに99もの惑星を滅ぼしてきた。
そして、第1話で丁度100個目の星となる地球に目をつけ、ゲームを開始する。
全体は白く、機械的な外見を持つ。上半身は鋭角的な突起を各所から伸ばした細身の魔人の様な姿で、その上半身の倍以上に大きい下半身を持つ。一見台座の様にも見える形をしているが、一応歩行する事は可能な模様である。拠点であるサジタリアークから一歩も動かず、秘書のナリアが代わりに行動している。
酒好きで、ブラッドゲームで苦しむ人々の様子を肴に杯を傾けるのが何よりも楽しみ。
穏やかな口調で話すが、本性は生きとし生きる存在を遊び感覚で甚振る行為を好む冷酷非情な性格で、自身を「最強生物」と称し、自分以外の生物を「下等生物」と見下す傲慢さを持つ。
自身が「下等生物」と見なした者は「おもちゃ」「自身を楽しませる道具以上の価値は無い」等と断言している。
しかし、今までの悪の組織の首領と違い、あくまで 『侵略』ではなく『ブラッドゲームの観戦』が目的 である為、プレイヤーが敗れてゲームが頓挫してもその過程で楽しめたのなら、ボッコワウスのように怒って癇癪を起したり、10サイのロボゴーグのようにプレイヤーのリーダーであるアザルド並びクバルを責めたり折檻する様な真似は一切しない。
突如他組織の怪人が現れても、驚くどころか興味を示した上で「ゲームに組み込めないか?」と考えたり、倒された怪人を見て「この戦いの続きを見たい」が為にナリアにコンティニューを命じる等、彼にとっては全ての生き物がゲームの駒なのである(劇場版では戦闘員を作るメダルを盗んだ宇宙人を狙うどころか、メダルの奪還や報復等を考えずに観戦しようとしていた)。
アザルドの特性を熟知しており、コンティニューしようと赴くナリアを呼び止める等、どんな状況でも冷静に見極める余裕と高い洞察力の持ち主で、ブラッドゲーム用に開発した殺戮マシーン・ギフト(及びその改良機)を作り出す頭脳を持つ。
尚、アザルドとの付き合いはかなり長いらしく、かつて “酷い状態” で宇宙を彷徨っていたアザルドを助けて以来の関係らしい。
また、自身の配下が反逆を企てた際も目立った対策も講じない所か、逆に相手がどんな行動をするか楽しみに思う等不敵に構える。この態度は “自分自身で如何なる危機も自分の力で捻じ伏せられる” 絶対的な確信がある為で、実際の戦闘でも巨体に似合わない敏捷さで敵の攻撃をかわし、数発で建物を粉々に出来る威力の電撃を武器として放つ。
しかし、この確信は根本的に自身しか信用せず、その場の感覚で部下の切り捨てへの躊躇が無い冷酷・自分勝手さの裏返しでもある。
体の細胞から『コンティニューメダル』と呼ばれる金色のメダルの生成が可能で、これにより部下を復活・巨大化させられる他、エネルギーを込める『メーバメダル』はジニスの近くに大量に積まれている模様。
主な動向
チームリーダーの1人ジャグドがジュウオウジャーに倒されたのを切っ掛けに、ジュウオウジャーに強い興味を抱いており、当初は障害として見做してはいなかった。
しかし、ジューマンの存在を知っている上に王者の資格に似たキューブを所持し、捕らえたジューマンのジューマンパワーを強制的に引き出す等、アザルドやクバルすら知らない秘密を有しており、何故キューブを使えるのかは第16話時点では不明だった。
第10話で、抵抗ぶりを見せるジュウオウジャーに更なる興味を持ち、自ら主催する特別ゲームを開始。
自身がブラッドゲーム用に開発した殺戮マシーンを投入、触れた生物を消滅させるバリアを町中で展開・縮小する中、バリアの解除装置を探すブラッドゲームでジュウオウジャー達を追い詰め、更に追い討ちをかけるように解除装置に偽装した、ギフトの起動スイッチをジュウオウジャーに操作させた上「ご褒美」と評してギフトによる破壊活動を行い、ジュウオウジャーを一度敗北に追い込み地球を滅ぼす寸前に追い込んだ。
しかし、第11話でジュウオウキングとジュウオウワイルドが合体した新たな力によりギフトが敗北・破壊されるが、意外な力を見せるジュウオウジャーの戦いぶりに満足したのか、自身のゲームが失敗したにもかかわらず、動揺も見せずに終始楽しんでいた。
第16話で、更にゲームを盛り上げる為にナリアに『ジューマンの捕獲』を命じ、ナリアとマントールの活躍でサイ、オオカミ、ワニの3人のジューマンを捕獲に成功、同じく捕らえた地球人門藤操に自身が持つ謎のキューブの力で3人のジューマンからジューマンパワーを強制的に引き出して送り込み、恐るべき存在ザワールドを作り出した。
第17話の終盤でエクストラプレイヤーとしてザワールドを出撃させるとジュウオウジャーを圧倒するが、第18話でジュウオウイーグルとの戦闘中に不具合を起こし元の姿に戻ってしまうとナリアに回収させ大量のメダルを注入して再調整する。
第19話で再度ザワールドをジュウオウジャーに差し向けるが、ジュウオウジャーの説得により正気に戻ってしまい、第20話で「ジュウオウザワールド」と名乗りジュウオウジャー側に就いてしまった。
ジニスからして見れば、自分が作った玩具をジュウオウジャーに奪われる形となってしまい、これには流石に怒りを覚えたのか、第20話の次回予告でワイングラスを握りつぶして憤慨するシーンを見せている(但し、本編ではカットされている)。
エクストラプレイヤーがいなくなり、またいつもと同じブラッドゲームに戻ってしまった現状に興ざめたのか、その後、しばらくはブラッドゲームの内容を聞いていない(第22・23話)等のやや拗ねた様な態度を見せていた。
結局、ザワールドを「出来損ない」としてあっさり見限ったジニスは、それに代わる新たなゲームの新要素として、第23話において突如としてジュウオウジャーとプレイヤーの戦闘に乱入した外部の巨獣ハンター・バングレイに目を着け、ナリアを介してバングレイをサジタリアークへ招き入れる。
そして、オーナー権限でバングレイにブラッドゲームへ参加する誘いを持ち掛けたところ、その高い能力と暴れぶりを見せた為に彼を気に入り、ジニスは「『プレイヤー』ではなく『アザルド・クバルと同等のチームリーダー』として、デスガリアンに迎え入れよう」とする破格の条件を持ち掛けた。
しかし、バングレイ自身は「ジニスを喜ばせる」のが目的のブラッドゲームを気に入らず、ジニスの持ち掛けた条件を蹴り、あくまでも自身の目的の為に単独で行動。
この為、彼の言動や態度に反感を抱いたナリア達とバングレイの間に不和調音が生じるが、ジニス自身は「勝手に動く向こうも計算したゲームをすればいい」「バングレイの活動で自分が楽しめるならそれでもいい」等の妥協案を挙げて、一先ずこのスタンスで黙認した。
また、不遜な態度を取るバングレイに対しても「あんなものは侮辱の内に入らんよ」と冷静に語ったが、その言葉に続いて「本当の侮辱というのは……」と意味深に呟いている。
……と思われたが、実はバングレイが狙う “伝説の巨獣” キューブホエールを最初から狙っていた胸中が第31話で明らかになり、ナリアにギフトカスタムを渡し、ジュウオウジャーとバングレイが争ってる間に横取りしようと企む。
ギフトカスタムは破壊され、キューブホエールもジュウオウジャーの手に渡ったが、何故かギフトカスタムに記録させていた交戦データが取れただけで満足した。
その後バングレイが死に、その手を移植したクバルがとうとう、第41話で自身への反逆を決行する。
先んじてクバルが捕らえたナリアの記憶より創り出された、コピーのアザルドの言葉に乗って地球へ降り立ち、ジュウオウジャーと直に二度目の対面。直後「サジタリアークから離れると、エネルギー切れで弱体化する」秘密を掴み、ジュウオウジャーやナリアをも巻き込んでジニスを誘き出したクバルが、コピーの配下を引き連れてジニスを包囲する。
しかし、それでも態度を崩さないジニスは以前入手したキューブホエールの交戦データ入りのメモリーを取り出し、自分の体内に取り込む。
実はジニスが欲しがっていたのは、地球のパワーを取り込んで動くジュウオウキューブの能力であり、サジタリアークから動けない自分の弱点を克服する鍵を、さり気無い形で既に得ていたのだ。
そして想定外の事態に戦慄するクバルの前で、地球のパワーを吸収したジニスは新たな姿へ変貌する。
シン・ジニス
「似合うかな? この星のエネルギーもなかなか良い。キューブホエールのデータのおかげだ」
「楽しいゲームだよクバル。さあ、続けようじゃないか。自分の命が賭かれば、最高の恐怖が味わえるよ?」
(いずれも第41話)
身長/222cm
体重/200kg
原初のジュウオウキューブ・キューブホエールのデータが入ったメモリーディスプレイを使って地球のパワーを取り込み、より戦闘に適した姿へ変貌を遂げたジニスの姿。
下半身は上半身との釣り合いが取れたサイズになった上、背中には神々しいシルエットと禍々しい意匠を持った1対の翼が生え、強化前とは段違いの機動力を得ている(翼を必要に応じて背中への収納も可能)。
両腕を刃へ変化させ、翼で自由自在に飛び回りながら腕からの斬撃で敵を切り刻む、大量の光弾を撒き散らして爆撃する戦法を披露し、余裕かつ楽しげな態度で次々とクバルの作り出したコピーやジュウオウジャー達を圧倒。瞬く間にクバルを絶望と恐怖のどん底に陥れた(※考案者自身が示した、正真正銘のブラッドゲームの有様と言える)。
対象に直接、自らの細胞のエネルギーを取り込ませての巨大化も可能。
この姿でクバルの反逆を返り討ち、その精魂を折り伏せた後サジタリアークへ帰還。第42話ではそのクバルが恐怖で錯乱しながら破れかぶれで行うブラッドゲームを観戦、クバルの敗北・戦死時は「楽しめた」「面白かったよ、クバル……」と呟いた。
その後、アザルドに対し「クバルの反逆劇以上に面白い物を見せないとブラッドゲームの勝者とは認められない」と焚き付けて行動させるが、そのアザルドがジュウオウキューブをその身に取り込んでいた事実を知ると、これまでに全く見せていなかった “動揺” を現した。
ただこれは、かつて自分が拾い上げ、不完全な形で封印を解いたアザルドが真の姿に戻る未来への期待や喜びの混ざった物らしく、第45話でそれが果たされアザルド・レガシーへと変貌した際は、あからさまに動揺するナリアを傍らに心底嬉しそうな態度を見せた。
ところが、完全復活したアザルドは彼に対し、無遠慮を通り越して不遜な態度を取った挙げ句、「対等宣言」までする始末。
特に「俺を楽しませろ」と傲慢そのものの台詞に気を悪くしたジニスは、アザルドとジュウオウジャーの戦いを見物しつつ、その裏でナリアに命じ、バラバラにされて再生時に露出したアザルドのコアへメダル複数を投入、“チェーンコンティニュー”で意思と記憶を消して巨大化させると、前話での喜び方が嘘の様にアザルドをあっさり切り捨ててしまった。
全ての生命を見下して玩具扱いするジニスにとっては、『対等の遊び相手』が存在してはならないのであった。
そして、アザルドまでもがジュウオウジャーに敗北し、地球への来訪時に率いていたチームリーダーは全滅。「今回のブラッドゲームはドロー扱いにして地球から離れましょう」とナリアは進言するが、ジニスは「それではつまらないよ」と返し、遂に自ら本腰を入れてブラッドゲームを決行する。
第47話で第10話以来の立体映像越しに姿を現し、全ての地球人に『最後のブラッドゲーム』を宣言。
その内容は「サジタリアークの中心を貫いていた矢を地球へ射出、それが大地に突き立てるや、その頂点についたケーブルから自身の細胞エネルギーを宇宙船を通して地球に注ぎ込み、地球を破壊する」とする史上最悪のゲームだった。
注いだエネルギーの余波で、矢周辺に激しい爆発が巻き起こり、一刻も早く止めなくては地球が吹き飛んでしまう。
それを止めようとするジュウオウジャーには、このゲームのためだけに大量生産した量産型ギフトを惜しみなく差し向け、更にはナリアまでもジュウオウジャーとの直接対決へ投入する。
しかし、自分達が「『王者』の集まり」であると確信して団結するジュウオウジャーには、最早数に任せた力押しは通用せず、それらをワイルドトウサイドデカキングであっさり一掃された上で、宇宙船と矢を繋ぐケーブルを攻撃される。
それでもケーブル自体は頑丈で、ワイルドトウサイドデカキングをもってしても壊せなかったが、ならばとジュウオウジャーはワイルドトウサイドデカキングでケーブルを掴み、コクピット内で野生解放してジューマンパワーを極限まで引き出し、ケーブルごとサジタリアークを地球へ引き摺り落とした。似たような行いを自分が作り出したジュウオウザワールドが行っていたが、まさか自分もやられるとはジニスも思わなかっただろう。
あまりに予想外過ぎるこの事態に、さしものジニスも動揺する中、地球へ引きずり落とされたサジタリアークは矢ごと大爆発。
「遂に勝った」と喜びかけたジュウオウジャーであったが、ジニスは無傷のまま爆炎の中から姿を現し、正真正銘の最後のゲームを開始する。
万物を見下し続けた傲慢な悪魔の正体とその最期(最終話)
「悪いね、ゲームのクリアはまだお預けだ。折角ここまで来たんだ。地球には私が直々に細胞を注ぎ込んであげるとしよう」
前話で無傷のまま現れたジニスは「地球に自身の細胞を直接送り込んで壊滅させよう」と宣言。
更にキューブホエールのデータの入ったメモリーデバイスを取り込んでいる以上、いくらでも地球のパワーを取り込める彼は、ジュウオウジャーに対し「私にとっても庭同然だよ。ジュウオウジャー……『この星をなめるなよ』」と意趣返し。
更なる力を得たジニスはその圧倒的な力で、野生解放したジュウオウジャーを蹂躙。加えて翼から放った黒煙で自身の作り出した空間へとジュウオウジャーを引きずり込む。
大和が突破口はないかを探るべく超視力を発揮すると、そこには「無数のメーバの姿」が写しだされた。
大和「あれは、メーバ……?まさか!」
「見たな……!」
それ見るや否や今まで冷静だったジニスの様子が一変。それまでジュウオウジャーをじわじわ痛め付けていた彼がいきなり光弾による容赦のない爆撃を放ち、更に「自分の秘密を知った」と激しい怒りと焦燥を露わにし、その正体を自ら明かした……。
「私の……私だけの秘密を……見てしまったのかぁぁっ!!」
ジニスの秘密……それは、彼の正体が「無数のメーバの集合体」であり、自身こそが今まで蔑み弄んできた「下等生物そのもの」と言う真実だった。
本人以外の他者が知るジニスの姿は、自身が下等生物であるコンプレックスから最強の生物になる強さを求め、遺伝子改造を繰り返した末の姿であり、操に目を着けたのも自身と操が『自分に対してコンプレックスを持つ』共通点を照らし合わせた為であった。
しかし、この時点ではまだ目撃したのが大和だけであった為「ただの戯言」と切って捨て秘密を守れただろうが、コンプレックスの大きさ故にそれに触れられるや否や冷静さを失ったジニスにはそれに気付けなかった。
結果、余裕のない攻撃を仕掛けて動揺している胸中を悟られてしまったばかりか、自ら「メーバの細胞片が正体である」と暴露、大和以外にも自身の秘密を晒してしまう。
「あんな醜く卑しい姿は本当の私ではない! 私は何よりも美しく、気高く、最強で最上の生物に生まれ変わったのだ!!」
自分の秘密を知られてしまったジニスは怒りを爆発させ、ジニスの正体を知って尚も忠誠心を見せて助けようと駆けつけたナリアを「私にとって最大の侮辱は……『同情』だ」と、知る由もないコンプレックスを触れられた彼女をその場で斬殺。
その際に放ったエネルギー波で王者の資格とジュウオウザライトを破壊して変身不能へ至らしめ、生身の状態のジュウオウジャーに電撃を放つ等、秘密を知った全員を始末しようとする。
己のプライドを守る為だけに、自分を愛してくれた者を殺したジニス。あまりにも身勝手な行為にジュウオウジャー達は怒りに身を振るわせる。
レオ「おい、ジニス!ふざけんなよ!」
大和「お前はそうやって……寄り添ってくれる人を全部踏みにじってきたんだな!」
「私の秘密を知る者はこの世でただ1人……私だけだ。貴様等は存在してはならんのだよ! さらばだ、ジュウオウジャー!」
変身を解かれてもジュウオウジャー達は立ち上がり、生身の姿でも地球を守ろうとする。
向かってくるジュウオウジャーを切り裂こうとするも突如動きが止まり、地球のパワーが合わさった6人の一斉のパンチを受けて怯んでしまう。
するとジュウオウジャーに地球のパワーが送り込まれ、王者の資格とジュウオウザライトの力が復活。一方、ジニスは地球に拒否されて地球のパワーを取り込めなくなってしまう。
取り込めなくなってもジュウオウジャーだけでも始末しようと一度は追い詰めるも、野生大解放を遂げたイーグルに自身が追い込まれ、6人の力が合わさった「ジュウオウファイナル」を受けて爆散。その際に、体内の取り込んだキューブホエールのメモリーデバイスも破壊された。
しかし、ジュウオウファイナルを受けてもしぶとく生き延び、ブーストコンティニューで自身の細胞を活性化・巨大化を果たす。
「ありえん……こ、この私が……!」
だが、大幅に弱体化して元の姿に戻ってしまった上に、真の強さを手に入れたジュウオウジャーにはなす術なく圧倒され、ワイルドトウサイドデカキングの「ジュウオウドデカショット」を受けて怯み、最期は全てのパワーが詰まった『ジュウオウドデカグランドファイナルフィニッシュ』を受けて体を構成するメーバも1つ残らず消滅した。
自身のコンプレックス故に全てを踏み躙ってでも最上の強さを手に入れたジニスだが、「様々な繋がりを経て真の強さを得たジュウオウジャー」を倒すのは、最初からできはしなかったのだ。
余談
名前の由来は天頂(zenith)。天文学の概念で、天球上において観測者の真上に当たる点を指す。
オーナー→店長→天頂の変化だろう。
また同時に、あたかも天頂の位置から見つめるが如く、ゲーム全体を俯瞰出来る存在 “ゲームマスター” の意味も含まれていると思われる。
天頂の反対である天底(nadir)もナリアの名前の由来と推測される。
声を演じる井上氏はスーパー戦隊シリーズへの出演は初となり、東映の特撮作品の出演は『人造人間ハカイダー』のミカエル以来の出演となる。
このキャスティングを担当したのは、当時東映アニメーションから特撮に出向していた柴田宏明によるもの。
ジャンル名及び無機物モチーフのイエローダイヤモンドは、所有すれば周りが所有者を盛り立てて『王』にしてくれると称される最強のパワーストーンである。しかし同時に、「周りから物を得てもそれに頼らず自分へ自信を持つ者でなければその力を発揮しない石」ともされる。
元は弱い生物だった過去を克服し、凄まじいエネルギーを生み出す力を得てデスガリアンの頂点に立ったジニスだが、それでも弱い存在だった事実へのコンプレックスを乗り越えられず、折角の自身の力や自分に従う者達を、それ以外の他者を玩んで自身のコンプレックスを隠す為に使ってしまった。 そうしたジニスの愚かさと哀れさが、彼のモチーフに皮肉の形で込められていた模様である。
元々、ダイヤモンドは高温・高圧な環境で結晶化した炭素であり、本来はジニスの正体であるメーバと同様に特に珍しくない、ごくありふれた存在が変化した物である。それであってもこの石へ高い価値が与えられているのは、『この石が自ら光り輝き地球1の硬度を持つ』為で、それに周りが価値を見出したが故である。……結局、これをモチーフとするジニスは既に“最強生物”と呼ぶに相応しい力を持っているのだが、皮肉にもそれを自らの劣等感で曇らせてしまった。
そうして、自分が自分を信じられない現状に気付かなかったジニスは、その上で周りを服従させるか玩ぶかの快感を覚えて求めた結果、救いようのない業を抱えてしまったのである。
スーツのデザインや演者からの考察
メーバメダル及びコンティニューメダルの生成過程等から、その正体が仄めかされていたジニスだが、実はその外見自体が彼の正体と本質を象徴するデザインとなっている。
まず、特徴的な台座の如き下半身だが、全体的によく見ると本来の姿であるメーバを豪華にしたようなデザインである。更にその上部からスマートかつ端正な上半身が生えているが、この上半身を『理想の姿』と仮称すると、「本来の姿を嫌悪し理想の姿を崇拝する」ジニスの精神構造のイメージをその外見に重ねて見れる。
また、デザインを俯瞰して見るとその外観は「ロングドレスを着た貴婦人」(頭部のデザインも婦人帽の一種・ボネ=ボンネットを連想出来る)なのだが、これは〈メーバの本体⇒生命を生み出す⇒女性的〉の連想から正体を仄めかす為だろう。演者をベテランのスーツアクトレス、神尾直子女史にしたのもここに因むと思われる。
一方、シン・ジニスは変貌前と打って変わり、『理想の姿』が本来の姿を模したアーマーを装着した、男性的なデザインとなった。だがこの姿でも、理想の姿の顔より下へ本来の姿の顔(胸部アーマーの意匠)があり、精神構造は変貌前とまるで変わっていない本性を覗わせる。
また、シン・ジニスを演じた日下秀昭氏はかつて、超獣戦隊ライブマンにおいて中田譲治氏が顔出しで演じた大教授ビアスの側近、ガードノイド・ガッシュの声を演じていた(※スーツアクターは大藤直樹氏)。一方、中田氏はジュウオウジャーでアザルドの声を演じており、その正体であるアザルド・レガシーの姿と記憶を取り戻した後でシン・ジニスと相対した。
……このシーンも含めた第46話は、ライブマンにおける中田氏と日下氏の演じたキャラがあらゆる意味で鏡映しになった回と見える。演者と声役・組織での上下関係が入れ替わっているのはもちろん、曲がりなりとも恩人である自身へ敬意を示した相手をあっさり切り捨てるジニスの姿は、主人に優しい噓を吐いてまで最期を共にしたガッシュとは正反対の姿勢であった。
デザインした篠原保氏曰く、ジニスのデザインイメージは “台座状の下半身内部にメーバが潜んで上半身を操演している” と答えている。そこから下半身が左右に割れて翼になり、中身のメーバと上半身が融合した姿がシン・ジニスなのである。
しかし、弱い存在から力を蓄えて進化したにもかかわらず、その弱い頃の姿が現在の自分に混じり切らない状態で反映された外見は、改めて見ると異質そのもので、「弱かった自分を受け入れず他者に投影、それを虐殺して得た優越感に溺れていた」ジニスの卑屈で歪み切った思考をこの上無く象徴したデザインでもあろう。
そして、本来の姿の上に理想の姿があり続けるジニスの外見は、弱者である限り虐げられる、強者になり虐げる側に回らなければ生きられないとする、極端に偏った価値観を信じてしまっているのも窺わせる。かつて弱い生物だった時に虐げられた故にこの価値観を植えつけられた過去は推測できるが、それから1人だけで抜け出そうとした結果、価値観を捨てるのではなく盲信してしまい、虐げる存在のイメージを心の中に定着させた上でそれに突き動かされ、かつての自分がされた仕打ちを他者に行う外道へ成り果てた推移は、最早不快な感情も通り過ぎて虚しさを感じさせる。
関連タグ
ロン、ダグデド・ドゥジャルダン:いずれもジニスと同じく己の遊びや快楽の為に他者の命等を奪う他のスーパー戦隊作品のラスボスに相当する存在だが『アクシデントが起こると激怒したり癇癪を起す』など、ジニスとは真逆な節がある。