概要
作品を低評価する視聴者が次第に離れることで、当初は不評か賛否両論だった作品でも、好評意見ばかり見られるようになる現象を指す。
明確な基準こそ設けられていないが、一般的には以下のパターンに当てはまる。
端的に言えば「低評価の作品を限られた視聴者のみが観続け、絶賛している状態」。
背景
アニメ『伝説の勇者の伝説』が発端にして名称由来。
本作は長編ライトノベルを原作にしている関係上、アニメ版も2クールにわたって放映されたものの、物語全般において説明不足かつ急なストーリー展開が目立った。さらに序盤はキャラクターの入退場が激しく、それらの点が視聴者をあまり引き付けなかった。作画は綺麗なので部外者にはまともなコンテンツのように見えた。
所謂ノイジー・マイノリティのような現象だが、木を見て森を見ずのほうが的確である。
成立と拡散
こうした状況は有史以来から各種コンテンツで幾度か発生してきたと思われる。中には特に意識されないまま歴史の狭間に埋もれていった事例も多かったであろう。
だが、2010年に放送された当該アニメの「事前の期待値」と「放送後の絶賛と酷評が飛び交う賛否両論」、そして最終的には上記にもある「ユーザー界隈の縮小」と残ったファンのみがアニメを絶賛しているというある意味異様な状況がネット社会の昨今の事情ゆえにほぼリアルタイムで観測されたことがきっかけでこの現象がクローズアップされてしまった。
現在ではコンテンツにおける生存バイアスの限界値として特にアニメ史に異彩を放つ事例になっている。
これとは反対に、“放送当初は絶賛および称賛の空気で評価が占められていたのが、放送が終わってからしばらくしてブームが落ち着いてくると、これまでそんな空気のせいで埋もれていた作品に対する不満や批判の声が目立つようになり、やがてはそっちの方が支配的になってその作品の全体的な評価が微妙なものとして認識される”という“逆でんでん現象”のような事例も見られたりする。
アニメ以外での例
テレビドラマなどでも話題になることがあり、2019年大河ドラマいだてんは放送開始当初はそれなりの視聴率があったが、中盤には半減。大河ドラマ最低視聴率を大幅に更新する一方でSNSでは好評だったため、これはでんでん現象によるものだと言われるようになった。スポーツ紙の記者が、視聴率とSNSの反応が解離している理由がこの言葉によって腑に落ちたと記事にしている。
作品タイトルが似ていることから、「いだてん現象」とも呼ばれた。