アマゴワクチン
あまごわくちん
作中の異名:「三冠相続人」「不屈の闘将」「ペースのマジシャン」
二冠馬(皐月賞・日本ダービー)ピーターⅡは両親を同じくする兄で、函館記念で骨折し引退。兄が果たせなかった三冠の夢と白いシャドーロールを受け継いだ。
作中においてミドリマキバオー、カスケードとレースで何度もぶつかりしのぎを削っている「3強」の一角。馬名はオーナー(馬主)の尼子氏(元ネタは戦国大名の尼子家。マキバオーの人間側の登場人物名の多くは戦国武将に由来している)からの冠名とカスケード(cascade:滝)がコンピュータウイルスの1種の名前である事に対応してワクチンからである。デビュー時に自分の力に自信が持てていなかったワクチンに対し兄のピーターは「尼子さんはお前にこそ期待しているからアマゴの冠名を付けた」と奮起を促した。
普段は冷静沈着で、マキバオーともよく談笑するなど割合親しみやすい性格だが、モーリアローの妨害に巻き込まれた際には、真夜中に人知れず壁に頭を叩きつけて悔しがるなど、実際のところは熱い闘志を秘めた熱血漢である。
長距離適性とスタミナを活かし、レースでは逃げをとることが多い。
また策を取ることが多く、ペースのコントロールを自身だけでなく他馬を利用するなどしてマキバオーや数多の競走馬を欺いており、それらを生かした展開からペースのマジシャンという別名を持つ。この戦法を活かして兄が獲れなかった菊花賞を勝っている。
ライバルのカスケードが病気によって物語の中盤で引退する中、マキバオーと共に終盤まで現役を続けた。マキバオー達と共にドバイに遠征。ここでマキバオーが両脚骨折という重傷を負って長期療養を強いられる中、アマゴワクチンは帰国後も春の天皇賞1着など戦績を挙げている。最終話では引退式が描かれた。
続編の『たいようのマキバオー』でほとんど名前すら出てこなかったため動向不明だったが、第二部となる『たいようのマキバオーW』で旅行客がガイドブックを見ながら「アマゴワクチンの墓」の存在に触れているという衝撃の展開となった。どうやら、モデルの競走馬同様、引退後、そう時間をおかずに病気、もしくは事故によって不運にも早世してしまったようである。
ワクチンの兄のピーターⅡ、ライバルの一角であるカスケード、ワクチンが1着だった菊花賞で2着のサトミアマゾン、同じく菊花賞で3着だったプレミア、有馬記念でワクチン達と激闘を演じ、共にドバイ遠征も行ったトゥーカッターとニトロニクス、更には上述のモーリアローなども『みどりのマキバオー』最終盤や続編に産駒が登場している中、ワクチンの産駒は全く登場しておらず、(恐らくはあまりにも早く亡くなってしまったため)種牡馬としてあまり成功できなかったようであり、つくづくその不運さが窺われる。
もっとも八冠馬という作中最強クラスの競走馬かつ主人公マキバオーの弟(『たいようのマキバオー』の主人公のヒノデマキバオーの叔父)で、『みどりのマキバオー』の終幕を飾ったブリッツですら、その後の動向は全く触れられないなど、本作で物語からフェードアウトしてしまった競走馬は数多い。一応はその最期だけでも明かされたワクチンはまだマシ、・・・なのかもしれない。