『内ラチギリギリに黒い旋風が吹き荒れる!! そう!この風は見知らぬ風ではない!!
もう今年3度目だ!! その風の名は…
黒き帝王カスケードオオオオオ〜〜!! 』
声:玄田哲章
曖昧さ回避
カスケード(cascade)は英語で「滝」の意味。fallと異なり、連続した階段状の滝を指す。ここから「連続するもの」「次々と起こる現象」の意味でも使われる。
プロフィール
名前 | カスケード |
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欧字表記 | Cascade |
品種 | サラブレッド |
性別 | 牡 |
毛色 | 青鹿毛 |
誕生日 | 1993年(推定※) |
父 | サンデーサイデンス |
母 | ヒロポン |
母父 | ダンキチ |
産地 | 北海道 |
生産地 | 本多リッチファーム |
管理調教師 | 榊原康夫 |
主戦騎手 | 服部政人 |
馬主 | 本多平七郎 |
※『みどりのマキバオー』の登場馬たちは1996年にクラシック三冠戦線を戦っているため。
概要
作中の異名『黒い殺し屋』『黒い(黒き)帝王』『漆黒の帝王』
ミドリマキバオー(うんこたれ蔵)最大のライバルで、並外れた実力を持つ競走馬。
白い鼻梁に鋭い眼光を放つ青鹿毛の牡馬で、恵まれた体格にリーゼントのように逆立った長い鬣がその威容をより一層引き立てている。
生まれた直後に母ヒロポンが死んで以来感情を捨て去り、「母ヒロポンの血統こそ最強」であることを証明するため、ただ世界一を目指してターフを走り続ける。
マキバオーとはデビュー前にチュウ兵衛とコンビを組んでいたうんこたれ蔵時代に出会い、たれ蔵がミドリコの産駒と知ってチュウ兵衛の挑発に乗り、本気の数割も出さずに圧倒して一蹴する。
そして、マキバオーとの母仔2代に渡る因縁が作られていく。
当初はたれ蔵の未熟な走りを見て歯牙にもかけなかったが、ミドリマキバオーとなってアマゴワクチンを加えた「三強」として並べるようになったことで心を改めることになった。
脚質/特徴
走りは「追い込み型」で、常に先頭集団の後方に陣取り最終コーナーを回った直線で一気にまくり上げるスタイルで首位を恐怖のどん底に叩き落す。無理に競り合ってしまえば最後、「殺し屋」の異名をとるようにその競走馬は心身いずれかに傷を負ってレースに復帰困難な状態に陥ってしまう。
クールな天才肌に思われがちだが、前述の因縁やハードな連戦から培われた精神力と風格を持つ名馬でもある。そのためストイックに調教に打ち込み、ときに肋骨が浮くほど馬体重を減らしたことさえある。
デビューから引退となる有馬記念まで国内では無敗を誇ったが、実際は何度か敗北寸前に追い込まれたことも少なくない。特に公式のレースではないが、デビュー前に函館競馬場で行ったピーターⅡとのマッチレースでの敗北は、その後のカスケードの競走馬としての在り方に大きな影響を及ぼしている。
意外にも劇中では予想人気はマキバオーに抜かれることが多く、追い込み型ゆえにぶっちぎりで圧勝したことも少ない。
来歴
誕生・デビュー前
たれ蔵の母ミドリコのライバルだったヒロポンの初仔として受胎。エリザベス女王杯を制した名牝の初仔として期待を寄せられていた。
しかし出産当日は大変な難産となり、母子ともに危険な状態に陥る。ついに獣医師は母親だけでも確実に救うために堕胎剤の注射を手に取るが、ヒロポンは医師の腕に噛みつき抵抗、「何がなんでも産む」と目で訴える。周囲の関係者は母の強い覚悟に胸打たれ、出産は続行された。
こうしてカスケードは無事に誕生したが、ヒロポンは力尽きて死んでしまい、立ち上がったカスケードが生まれて初めてみたものは母の亡骸だった。
以後、命と引き換えに自分を産み落としてくれた母の血こそが最強であることを証明するため、ひたすらに速さと強さを追い求めていく。
たれ蔵と並走するも事実上騎手もおらず、無策かつ勢い任せに近いたれ蔵をスタミナでねじ伏せ、心臓の過負荷を起こしてしまう。
1995年(3歳)
新馬戦
1995年10月。メインレース・天皇賞(秋)の数時間前の新馬戦に出走。
単勝オッズ1.1倍の圧倒的人気に応え、初陣を勝利で飾る。
しかし、勝利後もペースは落とさず、カスケードは2400mまで走り続けた。
500万下
その翌週、京都競馬場に殴り込みをかける(「連闘」という)。
前週での疲れもなんのその、ここでも他馬に格の違いを見せつけた。
前走に続き、決着が着いてからもスピードは落とさず3000mを走り抜けた。
つまり、前走は日本ダービー(東京優駿)、今回は菊花賞の予行演習であった。
朝日杯3歳ステークス(GⅠ)
当初はたれ蔵の闘志に見向きもかけず、打倒カスケードを目指すワクチンの執念に対し兄のピーターⅡに激励をかける形でいなし出走。
だが、ペースを一向に崩さないワクチンと心臓ごろしの坂にて超大外にて追い込みをかけたたれ蔵を加えた、「三強」が並ぶようになったレース展開に追い詰められるが突如として覚醒。極端な前傾姿勢によるストライド走法の二の足、のちの”地を這う走法”により逆転勝利を飾る。
同時にここにきて「勝利への渇望」も覚醒させ、「自分が最強であることを証明する」ために走り始める。
1996年(4歳)
皐月賞(GⅠ)
ドバイでの調教にてエルサレム、カントナと並び世界4歳馬の10傑に選ばれ、海外での活躍をエルサレムらに期待されるが、カスケードはたれ蔵との決着を選択し皐月賞の出馬を表明。その姿は-20kg減にギラギラした瞳というメディアから衰弱したとまで揶揄されるストイックな体に変貌していた。
レース終盤マキバオーにギリギリまで追いつめられるも、チュウ兵衛の落馬に救われるかたちで勝利。
これ以降、調子不良とたれ蔵の急成長に苦戦を強いられることが多くなり死闘の連続が始まる。
NHKマイルカップ(GⅠ)
初対戦のニトロニクスの自虐とも取れるジョークを軽くいなし、出走。
最終直線にてニトロのゴリ押しにも近い、二の足封じの策により競り合いの弱さを見せつけられたカスケードは再び覚醒。三の足で猛攻を振り切り、勝利を飾る。
東京優駿・日本ダービー(GⅠ)
ヒットマン・サトミアマゾンにマーキングされるが、レース中盤痺れを切らしたアマゾンが標的をたれ蔵に変更、難を逃れる。
最終直線にてベアナックルやアマゾンをちぎるが、陣営によるカスケードの名誉を死守するために指示した大外から抜きさる戦法を無視、きつつき走法で大逃げをキープするマキバオーと大接戦を繰り広げる。
文字通り命を賭けたチュウ兵衛の鼓舞によってマキバオーが空を切り、カスケードが地を這う形で同時にゴール。
その後長い時間をかけた審議が行われ、同着勝利と言う前代未聞の形となった。
だがチュウ兵衛の命を引き換えに導いた形の勝利、その騎手魂にカスケードは静かに感服と敬意の念を評してその死を悼んだ。
凱旋門賞(GⅠ)
海外に渡り、十傑の一頭エルサレムと再開。
終始猛進に一矢を報いろうとするも5着。
しかしその無謀とも言える挑戦には彼の焦りと日本ダービー後にある思念も芽生えたからであった。
有馬記念(GⅠ)
凱旋門賞挑戦の最中、さらに肢の筋肉が萎縮する難病「マリー病」に罹患する不幸にあってしまった。
それでもなお、「無敗で去る」栄光より「敗北を以て競走馬の魂を他の馬たちに遺す」信念に燃えて年末の有馬記念に強引に出馬。自身の病を知って本気を出せないマキバオーを「貴様は最低の競走馬だ」と罵りつつ、不調を押して先頭に立つ。
しかし生半可な優しさがカスケードを傷付けていると自覚したマキバオーが闘争心を復活させ、後方からごぼう抜きを仕掛けてカスケードを強襲。その姿を見て安堵すると力尽きて後退し、最終6着で競走馬人生に幕を引いた。
引退後はその血統と優秀な成績から種牡馬として余生を過ごす。ちなみに原作漫画では交配の仕事での姿も事後の形で少し描かれており、仕事が終わって引き上げていく牝馬とその付き人の後ろで、首にタオルをかけながら座して一息つきつつ、労うスタッフと言葉を交わしているなどAV男優を思わせる演出となっている(人間のような動作が劇中で少ないカスケードでは珍しいシーンでもある)。
続編「たいようのマキバオー」では
種牡馬として成功しており、彼の産駒が多数登場する。
図らずもミドリマキバオーの甥で瓜二つの主人公・ヒノデマキバオーの指南役となり、厳しく接していく。
また、親の愛情は本物であり、産駒の一頭であるファムファタールのペースには乗らず、表面上冷酷かつ厳しい言葉でしごくものの彼女の出走したレースを全て見ており、ヒノデマキバオーや同じくカスケードの仔であるダイナスティのレースもしばしば一緒に見ている。
現役時代と比べると角が取れたのかややのんびりした性格になっておりファムファタールのジョークにも付き合っている。
余談
父サンデーサイデンスの良血馬、白い流星で三冠を狙い手始めに朝日杯をとる、という戦績は幻の三冠馬フジキセキを彷彿させ作者つの丸自身も断言している。無敗のまま駆け上がるという構図はシンボリルドルフから着想をえたと思われ、二つ名の帝王もルドルフの皇帝を思わせる。対して母ヒロポンが「外国産故に(当時のルールがネックになって)いいレースに出させてもらえなかった」というエピソードはヒシアマゾンをモチーフにしていると思われる。
また、現実の競馬においてカスケードが行ったNHKマイルカップ→日本ダービーというローテーションは松田国英調教師の管理馬が行ったことで「松国ローテ」の通称がついているが、どちらも1着になった馬は同厩舎の管理馬では2004年のキングカメハメハのみで、別の厩舎も含めると2008年のディープスカイのたった2頭のみである。しかし、このローテを走り切った馬は負担が強く、後に悉く故障するというジンクスがあり、どの馬も競走馬としては短命に終わってしまっている。(唯一、テレグノシスのみがこのローテで故障しなかったが、その後の成績は悲惨なことになっている。)
また、2002年のタニノギムレットは皐月賞→NHKマイルカップ→日本ダービーというカスケードと同一のローテーションをこなし、ダービー馬の称号を手にしている。しかし、無理なローテが祟ってかダービー後に屈腱炎を発症しリタイア。引退となってしまっている。
ただ、引退後に種牡馬入りした後は産駒成績が軒並み好調で、上記のキングカメハメハやクロフネなどを代表に産駒がG1級のレースを勝っている。
外見的コンセプトは明らかに矢吹丈や花形満のような印象的な髪型を踏襲しているが、作中の役回りは力石徹に近く、ドバイ遠征では金竜飛戦よろしく話の引き合いに出された。
これらが示すようにスポコンものライバルの集大成としてコンセプトを固められており、その完成度の高さゆえか未だに「正当ライバルキャラの完成形」と呼ぶ声もある。
本来本馬の毛色である「青鹿毛」とは部分的に褐色を帯びた、ほぼ全身黒色の毛色の事を言うが、アニメ版では演出上の都合から文字通りやや青みがかった色となっている、しかし原作では実際の青鹿毛らしくほぼ全身黒色である。
2006年にニンテンドーDSで発売されたゲームソフト『ジャンプアルティメットスターズ』にも登場した。
サポートコマとしての登場で、2コマはスピードアップ+デッキ内HP回復、3コマが突進して攻撃。
カスケードのコマの隣に『北斗の拳』のラオウのバトルコマを置くとラオウに補正が入り、その際カスケードが「黒王号… 一度勝負してみてぇな…」と言う。
2018年のジャンプ第33号で「連載陣が過去のジャンプ作品の好きなキャラを描く」という企画が開催された際に、『ハイキュー!!』の作者・古舘春一はカスケードを主人公の日向翔陽と共に描いている。
ウマ娘プリティーダービー三期一話のスタッフロールに撮影協力の中にカスケードが存在した。また、同エピソード内では登場人物がカスタード味の大判焼きを注文しようとして「カスケー…」と言いかけるシーンがある。