「天邪鬼作戦、敗れたり・・・」
データ
概要
本作に登場する妖怪の一体。妖怪軍団に属しているかまでは作中では言及されていないが、作中にて妖怪大魔王と連絡を取り合っているところから、少なくとも何らかの繋がりはあるものと見られる。
とある山寺に封印されていたが、そこで修行の身にあったサスケの従弟・コスケを騙して自由の身となり、封印されていた間自分を馬鹿にしていた人間達への復讐を目論む。
原典となった「天邪鬼」は、昔から捻くれた性格の持ち主であり、2度と悪いことができないように毘沙門天に踏み付けられたと伝わる。実際に封印されていた間も、山寺に安置されていた毘沙門天像に踏みつけられた姿であったが、現代に至ってもその本性は全く変わっていない。
黒光りした肌と、胸周りなどにあしらわれた矢印状の意匠、それに腕周りや足首などはキノコのような形となっているのが外見上の特徴。複数の矢印がでたらめな方向を向いた、特異な穂先を持つ槍を得物とし、火炎や光線を放って攻撃するほか、念力でサスケのカクレイザーを奪って攻撃する能力を持つ。
また、人間の性格を自身と同様に天邪鬼にしてしまう特殊なキノコを栽培し、これを山寺の和尚や村人達に食べさせることで彼等を変貌させ、村全体を乗っ取るといった行動にも及んでいる。
このように他人を天邪鬼に仕立てる能力の持ち主であるが、もちろんアマノジャク自身もその名に違わぬ天邪鬼ぶりを発揮しており、爽やかな声色で嘘を吐きつつ相手を騙し、油断を誘ったところで本性を現して騙し討ちに及ぶという狡猾な手口を得意とする。
作中での動向
前述の通り、長らく毘沙門天像に踏みつけにされる形で封印されていたアマノジャクは、ある時掃除中のコスケに「昔の悪事を悔いた」と語りかけ、彼を騙して毘沙門天像の鉄の棒を動かさせることで、まんまと封印を解かせることに成功。
アマノジャクは俺のことを誰にも言うなとコスケに言い含め、山寺から姿を消すと手始めに和尚になりすまし、さらに自身の栽培したキノコを村人達に振る舞うことで、彼らの性格を変貌させるという形で復讐を遂げようとする。
そんな折、松茸を食べに行こうと件の山寺へ向かっていたカクレンジャー一行は、変貌した村人達の差し金により本来の道から逸れて崖から落とされそうになったり、駐在所では甘い柿と称して振る舞われたのが実は非常に渋い柿だったりと、次々にひどい目に遭わされることとなる。
やがてコスケと合流した一行は、和尚に事の次第を問うものの「変な者は誰もいない」とあしらわれるばかりであったが、その後も松茸狩りに興じていたサイゾウ達4人がまたしても村人達に襲われる等、この村に異変が起きていることはまず明らかであった。
時同じくして、アマノジャクの襲撃を受けてこれを撃退したサスケは、彼が封印されているはずの毘沙門天像の下にその姿がないことを確認。
さらにコスケから前述の仔細を聞かされ、和尚が育てているというキノコの調査に着手。その過程でキノコを口にしてしまったジライヤが一時的に正気を失ったことで、このキノコこそが村人達をおかしくした原因であると突き止める。
一方、別行動をとっていてその事実を知らないセイカイとサイゾウは、危うく和尚に化けたアマノジャクにキノコを食わされそうになったが、事実を知ったコスケによって妨害された挙げ句に正体を暴かれ、後から駆けつけてきたカクレンジャーと干戈を交えることとなる。
アマノジャクは妖術で彼等を苦戦させつつ、コスケを人質に取るだけに飽き足らず、さらにはニンジャレッドに断崖へと追い詰められたところで「無益な争いはよそうぞ」とコスケを解放、その隙を突いて騙し討ちに及ぶ。
これでサスケを崖下に叩き落したかに見えたが、あっさりと崖を走って登って来られ失敗。
隠流・雷鳴斬を受けて膝をつく。
無論これで終わるはずもなく、巨大化したアマノジャクは和尚を返せと投石してきたコスケを崖から落とそうとするも、間一髪レッドが召喚したゴッドサルダーによって阻まれ、さらに後から駆けつけたスーパー隠大将軍が繰り出す「鉄拳フライングフィニッシュ・サルダースペシャル」、そして分離したゴッドサルダーの「ゴッドサルダー二刀斬り」の波状攻撃の前に敗れ、上記の台詞の直後に散っていった。
事件解決後、アマノジャクが「始末してやった」と嘯いていた本物の和尚も無事にコスケの元へと戻り、さらにカクレンジャーが山寺に向かう道中で拾った、紙袋に入っていた猫もコスケが可愛がっていたタマであると判明。山奥で起きた奇っ怪な騒動も落着し、コスケと和尚、そして元に戻った村人達から見送られたカクレンジャーは村を後にするのであった。
備考
講釈師が登場しない第2部では、基本的に妖怪軍団のメンバー(主にその妖怪自身)が妖怪解説をするようになったのだが、元ネタの天邪鬼を解説したのはサスケで、日常の天邪鬼についても説明していた。
デザインは篠原保が担当。モチーフである天邪鬼の他にも黒人のイメージを含んだものとなっているが、あまりモロに黒人っぽくしない方がいいだろうという判断から、「天邪鬼」故に普通の肌をネガポジ反転した色味である、という考えの元でデザインが起こされている。
また、各部の矢印状の意匠で「あべこべ」の要素を分かりやすくしつつ、腕周りのキノコ状の意匠については描いているうちにそれっぽく見えてきたことから、そのまま明確にキノコとされた。造形段階ではこれらに加えて、嘘をつく妖怪であるという点を強調する意味合いから、両足に牙を生やした口の意匠も追加されている。
CV担当の梁田は本作がスーパー戦隊シリーズ、並びに特撮テレビドラマへの初出演となった。
後年のシリーズ作品への出演時でも頻繁に聞かれる、渋く重厚感のある低音のボイスが持ち味の梁田であるが、本作への出演当時はそれ以前に得意としていたシャープでハイトーンなボイスから、前述した渋い声色への過渡期でもあり、アマノジャクを演じるに当たっても嘘をつく際にはハイトーンボイスでの喋り、そして本性を表す際には渋い声色といった具合に演じ分けを見せている。
アマノジャクが登場した第33話では、茨城県土浦市に所在する寺院や施設が複数ロケ地として登場しており、アマノジャクが封印されていた山寺には朝望山東城寺、ラストに登場した水車小屋には「小町の館」がそれぞれ使用されている。このうち前者は同話数の放送から数年後に焼失し後に再建されているが、後者は現在でもほぼ放送当時の姿を留めている。
関連タグ
ザシキワラシ(カクレンジャー):アマノジャクと同様に「キノコ」に関連した、本作の妖怪の一体。こちらは善玉キャラであるという点で相違している
他作品の関連項目
天邪鬼メギド:『仮面ライダーセイバー』のスピンオフに登場する敵怪人。同じ東映特撮における、天邪鬼をモチーフとした怪人の後輩と言うべき存在である