概要
地球連合加盟国の1つ、ユーラシア連邦が保有する宇宙要塞。C.E.35年にL3宙域にて建造が開始され、C.E.74年までは同宙域に存在していたが、C.E.75年にはL1宙域へ移動した。ちなみに、建造が開始された年には大西洋連邦のプトレマイオス基地の建造が発覚して国際問題に発展したが、こちらはL3宙域というラグランジュポイント内でも特に辺境な宙域なためか問題になることは無かった。
構造としては小惑星ないし資源衛星の中身をくり抜いて軍事施設とした代物(ヘリオポリスをはじめL3宙域の建造物はそのような構造が多い)であり、外壁には全方位光波防御帯「アルテミスの傘」と呼ばれる(オペレーターは「リフレクター」とも呼んでいる)防御システムが完備され、展開することで多面体状のエネルギー防御帯にその周囲ごと要塞全体が覆われて鉄壁と化す。この「アルテミスの傘」はC.E.75年5月下旬(『FREEDOM』)時点でも正面突破が困難なほど鉄壁の防御だが、エネルギー消費の問題か常時展開し続けることはできず周辺に敵影が無い場合は展開していない。また、要塞からの出撃時にも部分的に解除する必要がある。
この「アルテミスの傘」はC.E.71年後半にモビルスーツへ搭載可能なほど改良・小型化された「アルミューレ・リュミエール」へ発展し、C.E.73年末には更に小型化されて「ビームシールド」となった。さらに、アルミューレ・リュミエールと枝分かれする形にてモビルアーマーや艦船用に小型化された「陽電子リフレクター」へ発展した。
前述したように立地的にもザフトからすればL4宙域に存在して戦略的要地となっていた東アジア共和国の『新星』と比べて、地球を挟んで月やプラントの反対側に位置する本要塞は攻略してでも手に入れる価値が無く、プラントを直接攻める際の拠点にもなりえない。このためかC.E.71年1月27日にアークエンジェルが逃げ込むまでは放置され続けており、「アルテミスの傘」の高い防御力に対する過信もあって内部の士気は散漫になっていた。
登場する度に『鉄壁の要塞は陥落させられるのが仕事』だとばかりに悲運な目に遭い続けており、最終的にはユーラシア連邦以外の組織により占拠、解放、占拠を繰り返す凋落を辿る。
C.E.73年代(『DESTINY』)においても位置的問題から戦略的な価値無しと判断されてしまったのか出番が無かった。しかし、第二次連合・プラント大戦が終戦を迎えた後の世界では「デスティニープランを施行するための拠点」として本要塞の防御システムが理想的だったためか、様々な勢力の手により修復されることになる。そして、その度に要塞攻略によって破壊される。
劇中での活躍(?)
『SEED』
ヘリオポリスから脱出したアークエンジェルが補給を受けるべく『友軍』として救援を求めて辿り着く。しかし、要塞司令のジェラード・ガルシアは大西洋連邦が秘密裏に開発した新兵器であるLCAM-01XA アークエンジェルとGAT-X105 ストライクをユーラシア連邦上層部への手土産にすべく画策、アークエンジェルが『IFF登録をしてない不審な戦闘艦』である事を口実にザフトのスパイ疑惑を掛けて搭乗員を全員拘束、ID確認後も「この要塞は安全である」と言って軟禁を継続、ストライクもユーラシア連邦の戦力として接収するためにパイロットがOSに仕掛けた起動ロックを解除させようと脅しにかかる。
その最中、クルーゼ隊ではニコル・アマルフィがブリッツの特殊機能であるミラージュコロイド・ステルスを用いた潜入作戦を立案し、その大役に抜擢される。立案したもののぶっつけ本番であることに緊張しながら、熱探知されないように慣性航行しながら「アルテミスの傘」を展開されること無くビーム射撃兵器の射程内まで接近に成功する。
ブリッツによる攻撃により「アルテミスの傘」を展開する発生器を破壊され、防御が解かれた要塞へクルーゼ隊が侵攻を開始する。ユーラシア連邦の制止に対してザフトとの戦闘が起きていることを指摘し、ストライクを起動。近接戦装備のソードストライクでブリッツと交戦、この戦いによってアルテミス要塞は壊滅した。
結果だけ見ると、大西洋連邦の新兵器同士の戦闘で壊滅させられた形となる。
悲運の始まりである。
『ASTRAY』シリーズ
詳しくは基地司令だったジェラード・ガルシアの項目ではあるが、宇宙海賊に占拠される、創設されたMS部隊を預けられるも裏切られる等、登場する度に毎回壊滅させられる事と為った。
『天空の皇女』では本編が始まる前にユーラシアはアルテミスを破棄しており、それを本作の登場人物であるフェアネス・ツヴァイクレが正式に買い上げた。この際、内部に大規模のファクトリーを建造するなど改修された。現状では唯一、壊滅を免れている。
なお、同作の時系列は『DESTINY終了後のコズミック・イラ』としか明かされていなかったが、映画公開記念の読み切り漫画『機動戦士ガンダムSEED ASTRAY スペシャルエディション』にて『天空の皇女』が過去として扱われており、コンパスがテロリストと交戦している旨が報道されている。この事から、フェアネスが買い上げて改修したのが先の出来事と確認できる。
『FREEDOM ASTRAY』では、カナードから「ハイペリオン1号機の復元」を依頼されたロウ一行が、依頼のために予備パーツを求めて様々なツテを回っていた過程で、カナードとハイペリオンが元々ユーラシア連邦所属であったことを思い出してアルテミスに赴いている。この際にフェアネスは「ここを売却することになったので、倉庫のものを持っていくのは大助かりだよ」とアルテミスの倉庫にあったハイペリオンの予備パーツ譲渡を快諾している。なお、「売却することになった」と語っている事から、購入者の正体はボカされているがおおよそファウンデーション王国とされる。
『FREEDOM』
レクイエムを有するダイダロス基地共々ファウンデーション王国が占拠しており、軍事拠点としての改修を行っている。また、拠点とする上で位置的に問題があるからか、L3宙域からL1宙域まで大移動している。物語中盤にて、拉致したラクス・クラインを連れてシャトルで宇宙へと上がるなり、アルテミスの傘で籠城、ダイダロス基地のレクイエムを使い、ユーラシア連邦首都モスクワを『報復』として焼いてみせた。
さらに、地球圏全土とプラントへ『アコードに管理されるデスティニー・プラン』の施行を強要、反発すればレクイエムを撃つことを宣言した上でオーブの首都オロファトへ照準を向けた。キラ・ヤマト達が無所属の海賊部隊として抵抗、ファウンデーション王国を批難した事でオーブへ向けたレクイエムの照準はミレニアムに切り替わり、挙げ句そのミレニアムにレクイエムを回避されてしまう。また、L1宙域に移動していたことで同じくL1宙域に存在するターミナルの中継衛星「ファクトリー」の探索網に引っかかりラクスの居場所として特定、標的とされる。
その後、ラクス救出の為にアルテミスへ接近するストライクフリーダム弐式の対処は戦闘面に特化したシュラに任せる事になり、ブラックナイトスコード シヴァを出撃させる。しかし、ストライクフリーダム弐式こそが囮であり、シヴァか出撃する際にアルテミスの傘を一部解除した事でミラージュコロイド・ステルスを展開したアメイジングズゴックの潜入を許してしまった。
そして、メイリン・ホークがハッキングでアルテミスの全隔壁を強制閉鎖、ハロによる睡眠ガスの放出でイングリッド以外を眠らせて、キラ達はラクスを奪還して要塞を離脱する。
その後に爆発を起こされ、こうしてまたもや壊滅した。