概要
第43話の舞台となる場所で、本編でひかる達が訪れる9番目の惑星。
星空界でも特に科学が発達した星らしく、その技術力の高さは惑星サマーンと良い勝負である。それが証拠にワープホール出現時に生じる磁場を解析出来る施設が本編には登場しており、其処からノットレイダーのアジトの星の手掛かりを得るのが今回ひかる達がこの星を訪れる理由となっている。
更にララのスターロケットや、ユニの携帯金庫等をキャリーモードと呼ばれる球体に変えて携行出来るマイクロ化の技術はこの星で開発された物である事も判明。研究施設内の装いもゲームセンターを思わせる。
おまけに地上もネオンの眩しい大都会の様相を呈しており、ゼニー星にも負けず劣らずの不夜城ぶりなのも見逃せない。
住民
この星の住民は皆肌が赤くて鼻も長い等、テンジョウに似て何処と無く天狗を思わせる外見的特徴をしているが、それもその筈テンジョウはグーテン星出身の宇宙人である。
プライドが高くて上から目線、そして鼻が長ければ長い程より優れた人物と見なされるのがグーテン星人の持つ性質であり、逆に鼻の短いか、或いはプルンスの様に持たない者は半ば嘲る様に哀れむ等、相手を見下す差別意識が彼等の言動には見え隠れしている。
更に劇中では街中を飛ぶ乗り物の先端も同じ様に長く、彼らの鼻の高さへの拘りは尋常ではない。
道行く人々も、口を開けば出て来るのは自分が如何に優れているかを誇示する様な自慢話。そしてそれを交わす者同士で鼻高々に笑い合う始末。一見他愛もない世間話に見えるが、上記の差別意識に加えて自分こそが最も価値の在る存在だと知らしめ、周りを劣っていると見下す選民思想が垣間見えるかの様だ。(実際の慣用句にも自慢ばかりする人や自惚れている人物を「天狗になっている」と表現する。彼らは正しくこの言葉通りの星人性である。)
何を隠そうテンジョウは実は生まれつき鼻の短いグーテン星人であり、その事にコンプレックスを抱いていた事が第43話にて判明。周りの大人達は幼少期の彼女に対し、「鼻が低くても気にするな」と優しい笑顔で諭していたが、実際の彼女自身はその笑顔が本当は偽りで本心では鼻が低い自分を嘲笑していると次第に感じる様になっていった。
これはテンジョウがそう感じたという話であって、本当に大人たちがテンジョウを嘲笑していたかは証明できない。しかし、上記の鼻が低いか持たない者への差別意識や傲慢な気質から、全く見下していないとは言い難いのは確かである。しかもグーテン星人の多くは鼻が低い者を嫌悪しているわけではなく、心の底から「可哀想」と同情している。その同情心を彼ら自身は「善意」や「優しさ」と認識して、善意溢れて優しい自分たちに酔っている。彼らは自分たちが相手を見下しているという自覚が極めて薄いのだ。自覚のないまま他者を見下し差別するというのは、悪意を持ってやるよりも厄介である。
そうした彼等の「上から目線」の嫌な笑顔に囲まれてテンジョウは育って来た。
誰も彼も顔では笑っていても心の底では相手を見下し、侮蔑している。そんな醜い感情を認めたくないから、笑顔の仮面で見えないふりをしているだけ—————テンジョウのこうした笑顔に否定的な考えや自分以外を「駒」と見下す姿勢は、自身が鼻の低い「持たざる者」として生まれて来たが故に、周囲から半ば差別され続けて来た過程で形成されて来た価値観に他ならない。そしてこうした背景から彼女は母星を捨て、ノットレイダーの前身とも言うべきガルオウガの星の残骸の難民キャンプへと赴き、現在に至る。
劇中
ノットレイダーのアジトの所在を突き止める為、彼らが発生させるワープホールの発生履歴のデータからヒントを得る。その為にプリキュア達はトッパー達宇宙星空連合と共に、星空界で最も科学の発達したグーテン星へと降り立った。
見渡す限りのメガロポリスが一行の視界に広がる中、プリキュア達は気付く。この星の住人達がテンジョウに似ている事に。そしてユニの言葉から、彼女がグーテン星人だと言う事実が明かされる。鼻の高さを何よりのステータスと考え、鼻の無いプルンスを蔑みと憐みの入り混じった目で見る一般人もそうだが、調査に訪れた研究所の者達もその上から目線で無駄にプライドの高い性質を隠そうともしない。顔ではどれだけ笑っていても、それは彼らが内包する醜い差別感情を隠す「仮面」に過ぎなかった。
折しもペンの反応を追って星空界を航行していたテンジョウは、プリキュア達が故郷の星にいると知り、珍しく「駒」のノットレイを置いて単身赴く。
用事が終わって思い思いに星を観光するひかる達だったが、前回の一件以来、えれなは心の迷いを断ち切れぬまま、気付けば仲間達とはぐれてしまった。其処へ現れたテンジョウがえれなの心の歪んだイマジネーションに付け入ろうとするも、飛び出して来たユニによって阻まれる。そして駆け付けて来たひかる達と共にプリキュアに変身し、テンジョウに立ち向かう。
最初はテンジョウの攻撃に苦戦するキュアソレイユだったが、5対1で配下のノットレイもいない状況の中、テンジョウはあっさりと蹴散らされた。だが、その拍子に彼女の仮面が剥がれ落ち、5人はテンジョウの隠された素顔を知る。
何と、テンジョウは生まれつき鼻の低いグーテン星人だったのだ。周囲の大人から鼻の低さを表立って否定される事は無いにしても、その実誰も彼もが自分の事を見下し、差別している――――そんな現実を目の当たりにしたテンジョウは、何時しか笑顔がうわべだけの仮面に過ぎないと悟る様になった。顔では笑っていても、腹の底では誰も彼も他者を見下し嘲笑っている――――そんな周囲の環境に耐えられなくなり、やがて彼女は逃げてノットレイダーに加入し、現在に至る。
自身の正体を知った以上、消えて貰うと言い、テンジョウは事もあろうに自らを巨大ノットレイ化し、街で暴れ回る。暴走を止めようとするキュアスター達を口から吐く球で拘束し、未だ迷いの中に在ったキュアソレイユも追い詰める。だが、まどかの激励を受けて「誰かの笑顔を見ると自分は幸せになれる」という自身の原点を思い出し、改めてテンジョウノットレイと対峙。ソレイユの言葉に猛反発するテンジョウノットレイに握り潰されかけるが、「みんなを笑顔にしたいという気持ちは、他人のためではなく、自分のため」という自らのエゴを受け止めたことにより、ソレイユのトゥインクルイマジネーションも覚醒。その力によって拘束を解かれた4人と共にテンジョウを浄化する。
テンジョウに手を差し伸べようとするえれなだったが、散々笑顔の信じられない環境で生きて来た手前、歪んでしまっていた彼女はその手を拒絶。「私を笑顔にできると?」と捨て台詞を吐いて撤退してしまった。
また何か分かったら連絡すると言うトッパーと別れ、一路地球へ戻るプリキュア一行。だが、えれなの心は未だ晴れなかった……。
関連タグ
ボアザン星人 有尾人一族ジャシンカ帝国:同じく体の特徴で同族の上下関係が決まる種族。グーテン星はこれらを緩くしたものかと。特に前者は元ネタと思われる。
テンジョウ(プリキュア):この星の出身者。