「フフッ かわいい駒ちゃんはこうして使うのよ」
CV:遠藤綾
概要
ノットレイダーの女性幹部。初登場は第2話だがこの時点では声のみで、同話にて地球に出向いていたカッパードに状況説明を求めていた。
赤を基調とした、セクシーで露出度の高いへそ出しハイレグレオタード型コスチュームを纏っており、天狗をイメージさせる髪型と仮面が特徴。また、天狗の団扇のようなものを所持しており軍配として使用している。
その名の通り、プライドが高い自信家であり、部下をただの「駒」としか観ていない冷徹な策略家。無茶で危険な内容であっても何の躊躇もなく部下に命じるタイプ。
しかし自分の「駒」を適当に使うことはせず最大限効率的に使うことを目指していることもあり、部下達の中には自分がテンジョウの「駒」であることに誇りを持って彼女のシンパとなる者も多い。
また、第10話にて追撃を断念した理由にノットレイ達が疲弊していた事をあげており、見た目の印象ほど部下を消耗品の様に無下には扱っていない。
プリキュアたちの事は「お子ちゃま」として見下しているが、これはプリキュアたちがいかに恵まれた環境にいるのかを自覚していない事へのある種の苛立ちでもある。
そもそもノットレイダーは母星での居場所を理不尽に追われて失った挙句に闇に追いやられ、誰からも見捨てられた悲劇の難民たちを起源とする集団である。生きる場所を奪われた者たちにとっては誰かから奪うことでしか生きていけない。その現実を肌感覚で理解することができないプリキュアたちのことを「親からの愛情を当たり前と思い込んでいる小さい子供と同じようなもの」とテンジョウは看破しているのだ。
(なので、ノットレイダーの立場を理解できるくらいの苦難を歩んだキュアコスモに対してだけはお子ちゃま扱いはしていない。但しその代わりに彼女の裏切りの経緯から偽善者と嘲ってはいる)
「守るべき物が多いほど弱点が増える」という持論を持ち、実際に守りたい大切なものを多く抱えるプリキュアに対してはそれらを利用することで苦戦させている。プリキュアはそれすら力に換えて困難を突破してしまうのだが、彼女自身は「持たざる者」の立場にいる故か、この持論を取り下げる気配は一向に無い。
実は仮面の下はテングのように鼻が長いわけではなく、普通の地球人と同じ鼻をしている。
戦闘能力
知略に長けた軍師であり、統率した兵士を使う戦術を行使する。データに基づく陣形を構成させる手腕は確かだが、予測と異なる変速技は苦手と推測される。プリキュアと直接拳を交えることは避けており、個人としての戦闘能力は未知数。但し幹部級ではあるのでそれなりの実力はあるものと思われる。
毎回の戦闘では撤退判断が早い傾向があり「その時々の勝ち負け」にはこだわらない。勝敗は兵家の常というところか。
ダークネストによる強化後
「あおれ団扇よ! 膨れろ、歪んだイマジネーション!」
また、第12話でノットレイダーの首領であるダークネストより力を与えられた事により、軍配として使用している天狗の団扇がパワーアップ。
ネガティブな思いに囚われている人間の「歪んだイマジネーション」を増強させることで、対象の人物を巨人型のノットレイに変貌させることができるようになった。(なおこれは相手がネガティブな思いを持っている事が前提でありアイワーンのダークペンのような「ポジティブな思いを強制的に闇に染めてネガティブにする」ことはできない)。
ただし、素体となった人間のネガティブな思いが深いと半ば暴走して攻撃してしまうようになり(天宮とうま、星名春吉など)、テンジョウの指示も聞かなくなる。
ノットレイを素体にすることも可能で、この場合は単にノットレイが巨大化するだけで特別な能力は付与されない。しかしながらこの場合は複数体を一度に巨大化させることが可能である上に、暴走をせずテンジョウの指示に忠実に動く。
作中では、第25話と第30話でノットレイが素体にされている。
巨人ノットレイに変えられた人物
話数 | 対象 | 能力 |
---|---|---|
第14話 | 天宮とうま | いつもくわえているロリポップをハンマーに変えて攻撃する |
第18話 | 星奈輝美 | 左腕に装備された三角定規による打撃、持っているペンによるインクを使った様々な攻撃 |
第22話 | 星奈春吉 | メガネからビームを発射して攻撃する |
第24話 | イルマ | 両肩の砲台から雪玉で攻撃する |
第30話 | クク | 頭の触覚から電撃を放って攻撃する |
第34話 | サボロー | 身体中のトゲをミサイルのように飛ばして攻撃する |
第36話 | ドン・オクトー | 墨を吐き出し動きを封じて触手で搦めとる |
第39話 | 観星中学校の校長 | 教鞭による打撃 |
第42話 | 天宮かえで | 肩につけられた双発エンジンによる風撃 |
第43話 | テンジョウ本人 | 団扇による風撃 |
偶然だと思われるが、テンジョウがノットレイに変える人物にはプリキュアの家族が多い。
これは(メタな話ではあるが)テンジョウは思考を塗りつぶす能力を持っていない故に、家族の本音を引き出しやすいという脚本上の理由が大きい。
過去
第39話でテンジョウが自分の過去を回想するシーンが描かれている。
その内容は非常に断片的ではあったが、きらびやかなネオンが輝く、文明が進化しているらしき都市で人々が笑い合う中、少し若い頃のテンジョウが、人々から離れた暗がりの中からその光景を険しい表情で睨み付け、踵を返して立ち去るというものであった。
その人々の声や、シルエットで描かれた笑い顔は侮蔑を帯びた様子があり、テンジョウの「人は結局うわべだけ。この宇宙には上か下かしかないのよ」という台詞からすると、何らかの差別があったらしき事が窺えるが、それ以上の説明はなかった。
そして第43話にて、彼女の過去が明らかになった。
テンジョウの故郷であるグーテン星は、科学技術が特に進歩した惑星とあって、住民は皆プライドが非常に高く、異星人に対しては上から目線で接する。さらに、自身の鼻の高さを誇りに思う種族でもあり、鼻が低い(若しくは鼻が無い)者に対しては半ば嘲るような憐み方をする。
実はテンジョウは生まれつき鼻が低く、グーテン星人の価値基準としては明らかに劣った容姿であった。また彼女自身もそのことで自らにコンプレックスを抱いていた。テンジョウがが幼いころは周りの大人たちは彼女を優しくかまってくれ、「鼻が低くても気にするな」と笑顔で諭していたが、成長するに連れてテンジョウがは大人たちの笑顔は偽りで本心では鼻が低い自分を嘲笑していると感じるようになる。
勿論、テンジョウの周りの大人たちが実際に彼女を嘲笑していたかどうかはわからない。というか、大人たちは自分たちがテンジョウを嘲笑っているという自覚などなかっただろう。なぜなら彼らは鼻が低い者に対して憎悪や嫌悪を感じているわけではなく、「可哀想」だと善意から憐れんでいるだけだからだ。
話中におけるグーテン星人の男性が鼻の無いプルンスに対して心からの同情をしながら自分がそうではないことに幸福感を得ていたことからすると、グーテン星人は自分たちの種族の中でのマイノリティ(=生まれつき鼻が低い者たち)を可哀想だと憐れむことで「他人を可哀想と思える自分は優しく立派な人間」との充足感を得る生き方をしているようだ。そうであれば鼻の高いグーテン星人には「鼻の低い可哀想な子供」は自分の心の安寧のために必要な存在であり、だから大人たちは幼い頃のテンジョウをかまってくれたとも言えるだろう。
つまり、テンジョウは社会から「可哀想」であることが求められていた存在であり、これはいうまでもなく差別であり、多様性という言葉の裏にある欺瞞でもある。しかも表向きには同情心という「優しさ」を建前にしているのでかなりたちが悪い。
同胞からこのような扱いを受け続けてきたテンジョウはいつしか鼻の高い天狗面をつけて素顔を隠すようになり、やがてグーテン星を捨ててノットレイダーの前身である難民キャンプへと足を運んだようである。カッパードの憎しみの根源は「異星人同士がわかりあえるはずがない」であったが、テンジョウの場合は「同じ種族であっても差別はある」という理由だったのだ。
上記の過去もあり、テンジョウは「笑顔で人と人がつながる」という天宮えれなの主張にかなり強い不快感を持っている。そんな理想を能天気に語られるのは現実を知らない「お子ちゃま」だけなのだ。
テンジョウが部下を「駒」と呼ぶのも、上に立つものは下のものを見下すのが当然でそれ以外の上下関係のあり方を知らないからと思われる。しかしノットレイ達を使役はするものの決して虐待などはせず、彼らが疲弊していたために撤退を選択した事もあるところからして、故郷に対する反発心ゆえに、必要以上に下の者を酷使するのは好まない性分なのかもしれない。
前述のとおり、ノットレイ達はひとりひとりが難民であり、スナッキーやチョイアークのように無限に量産できる雑魚というわけではなく、自由意志が存在し、マスクを外した時は普通に喋る。
そんな彼らと良好な関係を築けており、彼らの暴走を止めてくれたプリキュア達に礼を言うなどのあたりから、彼女の本来の性分が見て取れる。
人称・呼称・言葉遣い
本編での動向
地球へと侵攻(第3話~第11話)
第3話で正式に初登場。ガルオウガの指示でスタープリンセスの力を奪う為に地球に赴き、おうし座のプリンセススターカラーペンを奪取。しかし、連携したキュアスターとミルキーの技が直撃する寸前に撤退する。
第4話では高性能のレーダーをアイワーンから受け取ったカッパードを制して再び出撃し、プリキュアを煙幕で分断させてフワ奪取に挑む。しかし兵士がプリキュアにダメージを与えることもできず、さらにえれなに邪魔された上に3人目のプリキュア『キュアソレイユ』に覚醒され、大量の兵士が文字通り一蹴された。
第5話ではスターカラーペン捜索のため歩き回っていると、プリキュアたちに遭遇。フワを抱えたまどかが隠れていることに気付き、彼女の変身を阻止すべく指示するが失敗に終わった。
このように最序盤の話ではプリキュアたちの覚醒のきっかけを作る役回りを果たしている。
第6話からはアイワーンも現場出撃するようになり、ここからしばらくは地球を舞台にする話ではテンジョウとアイワーンがメイン、カッパードは宇宙を舞台にする話での登場がメインという形になる。
第7話では4人が修理した宇宙船の破壊と2本のスターカラ―ペン奪取のためにノットレイを差し向けるも、前の戦いよりも結束が強くなったプリキュアにやられたために切り札としてノットレイに30人31脚をさせて攻撃をしかけるが、結果的に全滅したため作戦を練り直すために撤退した。
第10〜11話はノットレイダーの幹部3人がチームを組んでプリキュアを追い詰めるエピソード。
ダークネストの力でカッパード、アイワーンとともにパワーアップし、クマリン星と地球でプリキュアと二話に渡って戦う。彼女の従えるノットレイ軍団もパワーアップしており、キュアソレイユとキュアセレーネを打ち破り、一度はプリキュアを敗走させたが、最終的にはプリキュアたちが手に入れた新たなる力トゥインクルステッキによって敗走する。
ダークネストによる強化(第14話~第38話)
第14話では天宮とうまの心にある「普通の家族がよかった」という闇を見いだし、さそり座のプリンセススターカラーペンを見せびらかしながら巨人ノットレイ化させた。パワーこそすさまじかったが、コントロールが効きにくいのとキュアソレイユの説得もあって浄化させられてしまう。完全な薮蛇である。
第18話では新作漫画をダメ出しされた星奈輝美の弱った心を巨人ノットレイに変え暴れさせる。また幼いひかるに描いた漫画を見て馬鹿にするが「誰になんと言われようと、好きなものは好き」というキュアスターの想いに押される。
惑星レインボーでキュアコスモが覚醒した第19〜21話の連作エピソードではノットレイダーのメンバーの中でテンジョウだけが登場しなかったが、コスモの変身者であるユニがプリキュアの仲間になって地球に滞在するようになってからしばらくは、テンジョウがメインの敵として登場するようになる。
第22話では地球に来たばかりのキュアコスモと初戦闘となる。かつては同じノットレイダー側のバケニャーンであった彼女を裏切り者呼ばわりしつつ、家族とのすれ違いに苦悩していた星奈春吉を巨人ノットレイに変え対峙。しかしキュアスターが近づくや暴走したため困惑する羽目に。
第24話ではアイスノー星でみずがめ座のペンの争奪戦がプリキュアたちと行われる。
第25話ではユニがプリキュア仲間と心を通わせつつあることに自分で戸惑いを見せて心が不安定になっているところに、テンジョウがユニが1人で行動していたところを狙って襲撃。この時にノットレイを直接巨大化する作戦を初めて行った。
彼女の深層心理にある新たな仲間たちから嫌われたくないという思いを揺さぶるべく、所詮は裏切り者であるあなたのことなんて誰も助けには来ないと精神攻撃を仕掛けそれは功をなすが、なんとそこへ他のプリキュアたちが「ユニが帰ってこなくて心配だったから」と駆けつけてきてしまい、それがコスモに勇気の心を燃やし逆転されてしまう。
第26話から始まった連作エピソード・惑星サマーン編ではクライマックスとなる第29〜30話で登場。第29話ではかに座のペンを保管していた惑星サマーンの研究施設を襲い、ララの上司であるククを巨人ノットレイと化す。プリキュアとしての活動に迷いを感じていたキュアミルキーはこの時の戦いで自分が故郷であるサマーンのみんなを助けるために戦ったという気持ちは本物だとして戦う意思を取り戻す。しかし自分がプリキュアであることを話す訳にいかなかったララは、かに座のペンを取り返して自分が持っている理由を説明することができず、結果的にララがペンを奪った犯人として指名手配されてしまうことになった。
第30話ではサマーン人たちが(自らの誤解で)プリキュアたちを追い詰めていく様子を面白そうに傍観していたテンジョウの前に、組織を脱退したアイワーンが現れる。キュアコスモへの復讐のために協力したいというアイワーンの言葉を受け、彼女と共同戦線を張ることに。
サマーンを管理するマザーAIを乗っ取り追われるプリキュアたちをさらに追い詰めるも、ララのパーソナルAIが心を獲得し身を呈してマザーAIに反逆したことでアイワーンの計画は破綻。テンジョウは嘆息してアイワーンをお子ちゃま呼ばわりして、ノットレイを直接巨大化させてプリキュアたちに実力行使で襲いかかる。第25話でノットレイを直接巨大化した時よりも強力であることをテンジョウは自慢しており(見た目もマッシブで胸にXLの記号がついていた)、一種の切り札であったようだが、ララのパーソナルAIの気持ちを受け取ったプリキュアたちのモチベーションはいつもよりも高く、結果敗走することに。撤退時はテンジョウとアイワーンは互いに責任をなすりつけていた。
第34話では地球にやってきていた宇宙人の旅人・サボローの歪んだイマジネーションを感じ取って巨人ノットレイにしてしまう。このエピソードではサボローは言葉を話せないため彼が何を感じているかは誰にも証明できないという独特の構図があったのだが、この時点でサボローが「歪んだイマジネーション」を抱えてしまっていたということだけは客観的事実である。そしてこの事実は彼を傷つけたかも知れないと不安になっていたキュアソレイユの心をより苦しめることになった。
第36話ではオリーフィオの指輪を奪還するためにドン・オクトーのアジトに潜入したプリキュアたちと戦う。この話ではユニが再びブルーキャットとして指輪を盗もうとするが色々と迷いが生じているという話で、それを見透かしたテンジョウは「バケニャーンの時は食えない相手だったけど、プリキュアになってからは弱くなった」と煽りユニの心を揺さぶっている。だが、他の仲間たちがそれは弱くなったのではなく優しさに気づけただけだと反論した。
えれなとの因縁(第39話~第45話)
第39話にてダークネストから「手段を選ぶな」と釘を刺され、何らかの方法で手に入れたへんしんじゅを使いジョー・テングを名乗り観星中に教師として潜入。変身前のプリキュアに近づいてフワを奪い取ろうと策を練る。プリキュアたちはその正体に気づかずむしろ信頼を置くようになり、作戦はかなり順調に進んでいたのだが、笑顔を大切にするえれなと接し続けることにテンジョウが耐えられなくなり(このあたりは上述の「過去」の節も参照)、当初のフワを奪い取る策をそっちのけでえれなから笑顔を失わせようとする嫌がらせに固執してしまう。結果的にこのせいで正体もバレて作戦は台無しになってしまった。
姿を変えてプリキュア達を騙す作戦は他のシリーズにも見られるが、今作では比較してもかなり終盤になって行われている。
しかし、それまで人目につかないところで行われていた戦闘行為がこの回で直情的に行われた事で第三者の目に触れたため、フワとプルンスの存在やララの正体が露見する結果となり、翌週カッパードがそれを元にしたプリキュア達を貶める作戦に繋げて利用するという間接的な役割を果たしている。
第42話では、えれなの母であるかえでが歪んだイマジネーションを抱えているのに気づき、巨人ノットレイに変えてしまう。
当然、プリキュア達はそれを救出に向かうが、えれなはキュアソレイユに変身しても動きが鈍い。それもそのはず、かえでが抱えていた「歪み」とは、えれなの笑顔が偽物にしか見えなくて、娘の心が理解できないというものだったからだ。幼い頃に笑顔を大切にしようと思ったえれなは、いつも笑顔でいようと努力し続けた。そしていつしか、彼女はどんな時でも笑顔でいることが当たり前にできるようになってしまっていたのだ。辛い時や悲しい時も笑顔でいれば乗り越えられる。だがそれは、笑顔の仮面で本心を隠していることと何が違うのだろうか? 母であるかえではえれなが本当は無理しているのではないかということをずっと気にし続け、それは自分が母親失格なのではというコンプレックスを生み出していた。えれなとかえではいつも笑顔で明るく母と子の良好な関係を築けていたはずなのに…… ショックを隠しきれないえれなにテンジョウは勝ち誇ったように言う。
「剥がれたねえ、仮面が。笑顔なんて所詮うわべだけの仮面なのさ。言っただろう、笑顔なんかで人と人がつながるなんてあり得ないって。そんなくだらないものを守るって?それこそお笑い草よ。笑顔の意味なんてわかってないくせに!」と散々に罵倒するテンジョウ。巨人ノットレイの攻撃で吹き飛ばされたソレイユはダウンしてしまう。
だが、セレーネからのあなたが守ろうとしたものを信じているという激励の言葉を受け、自分の笑顔の意味はわからなくても、ただ「みんなの笑顔」を守ると言う気持ちだけは曲げられないとして、その気持ちだけで立ち上がり、どうにかノットレイを浄化して、その場ではテンジョウは撤退する。
続く43話では、プリキュア達は星空連合のトッパー代表を届けるためにスターロケットでグーテン星へ向かう。
そこにプリキュア達を追ってきたテンジョウが現れる。前回のことをまだ引きずるえれなに対し、テンジョウは言いたい放題煽るが、他の仲間達はそんな暴言を許さずにテンジョウと臨戦態勢に。そのためにノットレイにするターゲットを見つけられないまま、肉弾戦でプリキュアと対峙する事が避けられない流れになってしまった。ある意味ではテンジョウが調子に乗ってたツケといえよう。
さすがに幹部級だけあって肉弾戦でもかなりの実力を見せるテンジョウだが、多勢に無勢でいつしか追い詰められ、ソレイユの蹴りを受けてつけていた仮面が取れてしまう。
仮面の下の素顔は、プリキュア達の側から見れば何の変哲もない顔だったが、「もうやめよう」と説得するソレイユの言葉に耳も貸さず、テンジョウは自分の過去を語り始める。この星に生まれたテンジョウは、鼻が低いと言うことで幼い頃は周りと違うことで苦しんでいた。周囲の大人達はそんなことは気にしないでいいと優しい笑顔を見せてくれたが、テンジョウはやがて大人たちの笑顔は同情や憐憫から出ているもので、つまりは我々はテンジョウよりも恵まれていると言うマウンティングの確認のための笑顔なのだと気づいてしまう。やがて彼女は自分を差別した故郷と、その差別の象徴とも言える笑顔を憎悪するようになったのだった。「誰にも知られたくなかった、わたしが捨てた過去…でもあなた達は知ってしまった。消えてもらうわ、わたしの過去と一緒にね!」そう言うとテンジョウは己の歪んだイマジネーションを膨らませ、自ら巨人ノットレイと化してしまった。
憎しみに任せ、大暴れするテンジョウ。笑顔が人を苦しめ歪めることもあるという事実にソレイユはショックを隠しきれない。だが、自分が幼い頃に周りと違うことで苦しんでいたとき、自分が家族の笑顔に救われたのも事実だ。テンジョウとえれなは幼い頃に同じような境遇を経験したのに、ここまで違ってしまった。一歩間違えばえれなもテンジョウのようになっていたかも知れない。
同情でも憐憫でもない本当の笑顔はあると自分は知っている。だからみんなの”本当の笑顔”を見たい。それがえれなの笑顔になる。えれなの笑顔は相手の笑顔の鏡像なのだ。それを「えれな自身の笑顔ではない、仮面の笑顔」というならそうなのかも知れない。それでも、みんなが笑顔になれないなら、自分は笑顔になれないのだ。だからテンジョウも笑顔になってほしい。それは同情でも憐憫でもなく、ただ自分が笑顔でいたいから。
そんな気持ちをぶつけてくるソレイユに、テンジョウは困惑する。そして自身のエゴを自覚したソレイユはトゥインクルイマジネーションに覚醒し、巨人ノットレイ化したテンジョウを浄化し元の姿に戻した。
戦意を失ったテンジョウに、いつもと違って笑顔を見せずに険しい表情で手を差し伸べるソレイユ。テンジョウが笑顔にならないなら、自分も笑顔にはならないという意思表明。
だが、テンジョウは憔悴した表情で「私を笑顔にできて・・・?」とつぶやくと、ガルオウガによってノットレイダーのアジトへ送還されるのであった。
そしてダークネストは、テンジョウにプリキュアへの追撃はもうよいとして、その代わりに「最終計画」の準備に入るように言いつけた。
最終決戦とその結末(第46話~第49話)
ダークネストの最終計画とは、構成員全員に自分と同じ鎧を着せることで強化し、スターパレスへ総攻撃をかけることであった。この鎧は着たものの「歪んだイマジネーション」を増幅し戦闘力を強化する力があるが、その歪みに飲み込まれてしまうと理性を失い暴走するリスクもある危険なものだった。
だがこの計画は、ノットレイダーの勝利のためではなく、用済みとなった彼らをここで自滅させるためのダークネストの卑劣な裏切りの計画だったのである。なぜなら、ダークネスト……いや、その正体である蛇遣い座のプリンセスの真の目的はこの宇宙を消滅させることであって、現在の宇宙を支配しようとするノットレイダーの野望とは本質的に噛み合わないものであったのだから。
このあたりの真相と顛末は、蛇遣い座(プリキュア)の項目へ。
第47話では鎧の力をリンクさせることで蛇遣い座によって操り人形と化してしまったノットレイダーの構成員たちに対し、プリキュア立ちはその鎧のみ浄化することで解放させ自由の身にさせる。そして蛇遣い座から離反したノットレイダーの皆はプリキュア達と共闘を約束し、星空連合の艦船で蛇遣い座が居座るノットレイダーのアジトへと向かうことに。
艦船の整備ドックで部下のノットレイたちにUFOの修理を指揮していたテンジョウだが、そこにやってきたえれなを見つけると、自分達や幹部メンバーではなく「コマちゃん達」を助けてくれたことに素直に礼を述べた。
その時のテンジョウには本人も気づいていないだろう自然な笑顔が浮かんでいた。
同情と憐憫の視線に苛まれ自己肯定ができなかったテンジョウは、ノットレイダーという「擬似家族」で役割を与えられることで初めて自分の責任に誇りを持つことができた。彼女の「コマちゃん達」は何よりも大切な自分の弟妹たちなのである。
結局テンジョウはどこまでもえれなと同じだったのだ。
これによりテンジョウは自らのコンプレックスを克服することになり、以降は天狗面を外している。
蛇遣い座との決戦では、自慢の指揮能力でノットレイの軍勢を操り、プリキュア達に進軍の道を開いた。
最終話では、連合からノットレイダーに与えられた無人の惑星をわずか15年にして自然と水が豊かな惑星に開拓してのけたことを驚愕するララやトッパーに対し、「私たちのチームワークは完璧よ」とノットレイ達と共にその偉業を誇っていた。
余談
モチーフと名前の由来
名前の由来はモチーフと思われる「天狗」と空の上を意味する「天上」だと思われる。
ちなみに鞍馬天狗の『鞍馬』とはヒンドゥー教のサナトクマラから転じた言葉だと言う説があり、そのサナトクマラは神智学では金星から来たとされる。
それだと天狗(てんぐ)+令嬢(れいじょう)-グレイ(宇宙人のタイプ名)でこうゆうネーミングになったかもしれない。
また偶然だろうが、河童と同様に天狗も、前作で登場していた妖怪である(はぐたんの記事の「はぐたん成長・行動記録」第30話を参照)。
演者について
遠藤氏は本作の出演が決定した時「大切に作られている作品に参加できて、とても嬉しいです。プリキュア達に負けないチームワークで、敵チームも自分達の思いに正直に戦います!」とコメントしている。
完結後、本放送時は担当声優が不明だったさそり座のプリンセスの声も遠藤氏が兼役で演じていた事がオフィシャルコンプリートブックで判明した。
中の人ネタ
遠藤氏は某SFロボットアニメで某歌姫や某妖怪ゲームの女の子主人公を演じている事もあり、pixivではそれらを絡めたコラボイラストも投稿されている。
映画スター☆トゥインクルプリキュア_星のうたに想いをこめて
冒頭シーンのみだがノットレイを率いてプリキュアと対峙した。
単独映画にTV本編の敵幹部が声ありで登場するのは、お菓子の国のハッピーバースディ♪のブンビー以来となる。
なお、声なしも含めればマナ結婚!!?未来につなぐ希望のドレスのジコチュートリオ以来。
関連タグ
スター☆トゥインクルプリキュア ノットレイダー カッパード アイワーン ガルオウガ
プリキュアシリーズ内の関連キャラ
ベニーギョ:プリキュアシリーズにおける怪人系のデザイン、ピンクの肌、赤を基調とした露出度の高いコスチューム等の共通点がある敵女性幹部繋がり。
シャーキンス:天狗モチーフのプリキュア敵幹部。上記のベニーギョと同期でもある。
鴉天狗:天狗モチーフの敵キャラ。2年前のクロスオーバー映画に登場。
パップル:前作の団扇を得物とする女性幹部。こちらは本編前半で…。