創作のキャラクターは →ゲリュオン
概要
ゲリュオン、ゲーリュオネウス、ケルンとも呼ばれる1つ下半身に3つの上半身が生える重装歩兵の姿をした翼を持つ巨人(異説では三つ頭、六腕六脚の巨人とされる)。
海神ポセイドンとメデューサの間に生まれたクリュサオルと、オケアノスの娘カリエローの子とされ、エキドナとは兄弟、天馬ペガサスは叔父にあたる。
オーケアノス(大洋)の彼方にあるエリュテイアと言う島を、牧場として牛の群れを飼育していた。
その牧場では、エウリュティオーンと言う巨人が牧童として働き、牧場犬は双頭の魔犬オルトロスであった。
ハーデスの牛の飼育を担当している、メノイテースと言う知人らと暮らしていたのだが……。
第十の難行
「十二の功業」の十番目として、自らが飼っている牛の群れを獲りに来たヘラクレスを迎撃に向うも、ライオンの皮一枚(と言っても刃を通さないネメアの獅子の皮)の装備しかないヘラクレスを相手に、それなりに善戦するも敗れてしまう(但し、異説ではオルトロス、エウリュティオーン共々、いともたやすく敗北するものもある)。
最新鋭の装備で身を包んだ異形の戦士が、粗野な装備の男に敗れると言う題材は、ギリシャ美術で大いに好まれ、多くの作品が残されている。
その他の伝承
飼育していた牛の群れはポセイドンとガイアの娘・カリュブディスに食われてしまった事があり、その事で彼女はゼウスの怒りを買って海水を飲み干す怪物に変えられた。
野蛮なヘラクレスに対し優雅で高貴な人物であった、イベリア王クリュサオルの3人の息子であり、それぞれが強大な軍を率いていた等の解釈もされている。
ヘラクレスのヒュドラの毒矢で殺された後は冥界の住人となった。ダンテの『神曲』地獄編ではジェーリオンと言う名で登場し、三つ頭ではなく蛇の身体、獣の脚、二股の蠍の尾を持つ異形の姿に解釈され、ウェルギリウスとダンテを乗せて断崖絶壁から降りるのを手伝っている。
より古い伝承では『ゲーリュオーンは女神である』とされ、ヘラがゲーリュオーンの牛を奪うように命じたのは、ゲーリュオーンが持つ女神の力を奪い、凋落させる為と解釈する資料もある。