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タグとしては、「シャルンホルスト級」もほぼ同様の使われ方をしている。ただし、シャルンホルスト級という艦級には第一次世界大戦時の装甲巡洋艦と、第二次世界大戦時の戦艦があるが、本項では戦艦について解説する。
装甲巡洋艦のものについてはシャルンホルスト級の記事を参照。
概要
第二次世界大戦時のドイツ海軍が保有した戦艦の艦級で、イギリス海軍は自国の戦艦より優速なことから巡洋戦艦に類別したが、ドイツ海軍に於いてはあくまでも「戦艦」である。
ドイツ海軍の計画艦名は、Aがドイッチュラント、Bがアドミラル・グラーフ・シュペー、Cがアドミラル・シェーア、Dがシャルンホルスト、Eがグナイゼナウ、Fがビスマルク、Gがティルピッツで、H(未成)~と続く。
当初は、ポケット戦艦を拡大し速力・防御力を改善したもので、主砲28cm砲連装2基6門・排水量2万tの計画であった。
ポケット戦艦の出現に刺激され、フランス海軍がダンケルク級を建造したため、一旦起工したのを取りやめて更に拡大、主砲28cm砲3連装3基9門・排水量3万tとなった。速力は30ノット以上と優速である。
主砲である54.5口径28cm砲はドイッチュラント級の主砲である52口径28cm砲に長砲身化などの改良を行ったものである。高初速で射程は40,000mに及んだが(大和型の46センチ砲で42,000m)、威力はライバルのダンケルク級に対して不安が残るものであった。このため、ビスマルク級と同じ47口径38cm砲(連装砲塔で搭載)に換装する計画も立てられていた。
ドイッチュラント級と同じ15cm副砲の内、8門は連装砲塔に収められているが、残り4門は単装砲架となっている。このため発射速度や荒天時操作性に差異が生じ、成功した配置と言い難い。
対空火器としては10.5cm高角砲連装7基14門、3.7cm高角砲連装8基16門、2cm高射機関砲連装5基10門を搭載し、大戦時のドイツ戦艦として標準的なものであった。
主装甲帯は350mmの厚さで、仮想敵であるダンケルク級の33cm砲には23km、フッド等の38.1cm砲には18kmまで接近されなければ耐えられる計算であった。
しかし、主装甲帯の上下幅は狭く、舷側の大部分は45mm装甲で、駆逐艦の砲に対してすら不安の残るものとなった。
また、砲の射程距離延伸で砲戦距離が伸びた第二次大戦では、敵の砲弾は当初の想定と違い高所より降り注ぐものとなっており、シャルンホルスト級は実戦で装甲45mmの部分に砲弾を浴び、大損害を負っている。
主機として採用されたワグナー式高温高圧缶は高性能を発揮したが、その代わりにこまめなメンテナンスが必要だった。
なお、このボイラーは同名の客船「シャルンホルスト」に試験的に搭載されていた物である。
竣工時は艦首が垂直に切り立っていたため凌波性が劣り、公試後に艦首を強く傾斜させたアトランティック・バウに改装した。それでも凌波性の問題は解決されず、錨鎖穴から波が噴き上がって艦橋にまで達したため錨鎖穴を埋め、代わりにフェア・リーダーが設けられた。
その後もA砲塔に波が飛んで、測距儀が使用不能となる問題などに悩まされた。
シルエットは後発のビスマルク級戦艦、アドミラル・ヒッパー級重巡洋艦も似ており、遠くから見た時の誤認を狙っていた。
第二次世界大戦では、戦争初期には主力艦を分散して使用する事の多かったドイツ海軍の中で姉妹艦揃って戦隊を組んで作戦に使用される事が多く、ノルウェー侵攻作戦・北大西洋通商破壊戦・ドーバー海峡突破作戦などに参加し、姉妹で空母一隻、駆逐艦二隻、仮装巡洋艦一隻を撃沈。輸送船二十二隻を撃沈・拿捕する戦果をあげている。
ドーバー海峡突破で両艦とも機雷によって損傷し、更に空襲でも大損害を受けたグナイゼナウは修理と主砲塔交換のための工事に入ったが、バレンツ海海戦の結果に激怒したヒトラーが大型艦廃艦命令を出し、そのまま廃艦になってしまった。
シャルンホルストは修理後ノルウェーに配備されたが、北岬沖海戦でイギリス海軍に撃沈された。
グナイゼナウは廃艦後、砲塔が要塞線“大西洋の壁”に利用され、一部がノルウェーやデンマーク、オランダなどに現存する。