セロトニン
せろとにん
インドールアミンと呼ばれるグループに分類される有機化合物の一種。
化学式はC10H12N2O。
ヒトの体内では必須アミノ酸トリプトファンから5-ヒドロキシトリプトファンを経て生合成される。
この化合物は「快感ホルモン」といわれるドーパミンや不安・意欲を司るノルアドレナリンを制御するという、精神安定にとって重要な働きが知られるため、一般には「幸せホルモン」と呼ばれており、分泌されることでうつ病や慢性疲労症候群などを抑制し、睡眠などの生体リズムの調節作用を持つメラトニンの分泌にも、多少関係があることが知られている。
なお分泌を促すためには日光にあたる、適度な運動を行う、感情を動かす、十分な睡眠を取るなどの規則正しい生活を行うことが大切であるといわれる。
また動物全般では、ポジティブな出来事(食物や交尾相手の発見・自慰など)があるときに体内で合成されて分泌されることが知られている。
その他のホルモンとしても脳の中枢神経系を中心に働きかけ、生体リズム、神経内分泌、睡眠、体温調節などに関わっているが、それは体内に存在する中での10%(脳内に2%、血中に8%)であり、残りの90%は小腸で生合成され、腸蠕動を促すことで便通に大きな影響を与える。
この物質はある種のアメーバや植物が一定量含有しており、体内に取り込んだ生物に下痢を起こさせることで自身を伝播させていることが知られている。
なお再吸収を阻害する抗うつ薬の副作用などによって過剰に働いてしまうと、「セロトニン症候群」と呼ばれる自律神経や筋肉制御、精神活動の異常を伴う症状を呈する。
この症状はシロシビンという、中枢神経系の「セロトニン受容体」の再吸収を妨げることで、やはり過剰に働かせてしまう成分を含有する毒キノコ(所謂マジックマッシュルーム)の中毒症状および、幻覚剤LSDを摂取した状態と酷似するといわれる。
逆にセロトニンが不足すると、頭痛や不眠に悩まされる他、ストレス耐性が減る。また、セロトニンの分泌にエストロゲンが大きく関わっており、機能が低下すると精神安定の働きが足りない影響で、感情のコントロールが効かなくなり、癇癪を起こして暴力的になるとされる。これらの症状は更年期障害に多少類似する点がある。
イェール大学医学大学院の研究では、日本人はセロトニントランスポーターと呼ばれるタンパク質が低い傾向にあるとされている。これは日本が災害大国であり、不安を強く感じやすい性質が要因とされている。
セロトニン不足による不安感をドーパミンで書き換えて幸福感を得ようと、低レベルの尊重欲求を追い求めるか、正義を求めて依存してしまいやすいとされている。
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教えてタキオン!「セロトニン」~モルモットくんでもわかる私家版~
素人まとめ私家版。 参考文献 有田秀穂(2014),セロトニンの五つの働き:セルフケアの実践を踏まえて(会長講演)https://ci.nii.ac.jp/naid/110009804200 小西正良・吉田愛実(2011),セロトニン分泌に影響を及ぼす生活習慣と環境 https://ci.nii.ac.jp/naid/120006866960 村井俊哉監修・杉田尚子,諏訪太朗編集(2020),精神科の薬はや調べノート,メディカ出版. 姫井昭男(2014),精神科の薬がわかる第三版1,679文字pixiv小説作品