「帝王剣は、いただいた!」(第42話)
「ダイナレッド! 闇の使者ダークナイトと勝負しろ!」(同上)
スーツアクター:辻井啓嗣
登場話数:第42話「挑戦ダークナイト」~第50話「よみがえった強敵」
概要
物語終盤より登場する謎の剣士で、本作における第三勢力に相当する。記事冒頭に示した台詞にもあるように「闇の使者」を自称しており、それを反映したかのような黒を基調としたシャープな装いや、赤い左目を備えた仮面といった特徴的な出で立ちが特徴である。
初登場早々、帝王アトンから王の証たる「帝王剣」を強奪するという鮮烈なデビューを飾り、その後もジャシンカ帝国を翻弄するかのような行動を続ける一方、ダイナマンに対しても前出の帝王剣を利用して混乱をもたらしたり、自身も幾度となく干戈を交えつつ彼等とジャシンカの潰し合いを狙う等、その行動にはとかく謎の多い部分が目立つ。
剣士としての実力はかなりのもので、鍔の無い細身の長剣「ダークソード」を武器とし、額に備わったクリスタルの働きによって周囲を闇に包み、相手を幻惑しつつ攻撃を加えるという戦法を得意とする。
中でも、刀身を光らせた状態のダークソードを、繰り返し円弧を描くように振り回して撹乱する「ダークナイト闇の舞」と、そこから相手の喉元へ必殺の刺突を繰り出す「ダークハリケーン」のコンボは、凶悪なまでの威力を発揮しダイナレッドをも追い詰めたほどである。
この他、隻眼の謎の老人に化けたり、コンピュータードラゴンの意思を奪う機械を作製する等、直接の戦闘に関わる部分以外でもその才能をいかんなく発揮している。
正体
「ジャシンカの王位を狙ったほどの女将軍が、今の地位に甘んじているとは、とても思えないのだがな?」(第47話)
このように、敵味方双方に様々な波乱を巻き起こす格好となったダークナイトの存在であるが、物語も最終盤に至り、有尾人の尻尾を増やすとされる「レトロ遺伝子」の存在が明るみに出ると、ダークナイトはそれをも利用してさらなる暗躍を続け、ジャシンカの幹部の一人である女将軍ゼノビアを唆して結託すると、カー将軍を罠にはめて死に追いやるとともに、かつてレトロ遺伝子を作り出した夢野博士を捕らえ、彼に再びレトロ遺伝子を作らせることで、ゼノビアが十本尻尾になるよう仕向けてみせた。
かくして、目論見通りゼノビアが十本尻尾になろうとする中、それを察知して地上に現れたアトンに対し堂々と彼の敗北を宣言したダークナイトは、壮絶な一騎討ちの末にアトンを下し、さらには結託していたはずのゼノビアまでも、十本尻尾になった副作用による老化で死に至らしめることに成功する。
しかし、アトンとの対峙の中で度々尻尾の数にこだわる有尾人の姿勢を否定したこと、そして死にゆくゼノビアに対する憎悪たっぷりの言動は、事態を遠巻きに窺っていた弾北斗がダークナイトの正体を看破することにも繋がった。そしてダイナレッドに変身した彼との対決の末に、割られた仮面の下から現れたのは・・・かつてゼノビアの謀略によって追放の憂き目に遭ったあのメギド王子であった。
「いかにも四本尻尾の王子・・・いや! もはや尻尾などないメギドである!
ダークナイトを名乗って、お前達に千年洞窟に閉じ込められた仇を討ったのだ!」
王子としての地位を失い、千年洞窟にて幽閉の身にあったメギドは、そこで見つけた古文書から十本尻尾にまつわる真実を知った後、自身を幽閉の身に追いやった者達や宿敵ダイナマンへの復讐を期して自力で洞窟を脱し、鍛え上げた自らの実力と前述した真実を知らしめるべく、ダークナイトに扮して暗躍を続けていたのである。
「生まれつきの尻尾の数ではなく、自分を鍛え己を磨くことこそが大事である」――これをダークナイトに扮し、奸計をもってゼノビアを始末し親であるアトンをも超えることで自ら体現してみせたメギドは、自らがこれからのジャシンカ、ひいては世界を支配することを宣言。そしてこれに敗れる格好となったアトンもまた、その成長を認め若き後継者に自らの悲願を託したのであった・・・。
備考
デザインは出渕裕が担当。2011年刊行のデザイン画集『百化繚乱』では、後に出渕が手掛けたバイオハンター・シルバやマグネ戦士(いずれも『超電子バイオマン』)にもつながる、スマートなデザインが人気を博したと編者より評されている。
正体であるメギドが既に鎧姿である上に、正体を伏せる必要があったことから、一般的に「ナイト」という名称から想起される鎧騎士ではなく、ジャシンカとは異なる方向性を狙って若干のヒーロー色を含めた形とされている。また、仮面の目の部分については左側を赤、右側を黒とすることで、メギドを踏襲して隻眼であることを表現している。いずれも作中には未登場に終わったものの、デザイン画稿からは銃とブーツに隠した伸縮可能なナイフが、専用武器として考案されていたことも確認できる。
出渕はダークナイトのデザインについて、ハカイダー(『人造人間キカイダー』)からの影響も若干あると前置きしつつ、「ダークヒーローのカッコよさとは何か?」という部分を自分なりに盛り込んでいることを、後年のインタビューにて語っている。
関連イラスト
関連タグ
シュゴ仮面:『王様戦隊キングオージャー』の登場人物の一人。元は高貴な身分にあった人物が、仮面でその素性を隠していたという点で共通項を有しており、Twitterの「スーパー戦隊オフィシャル」アカウントでも、初登場回に際してダークナイトによる言及という体裁でその存在に触れていたりもする(参考リンク)