概要
学名「Tullimonstrum」は、化石を発見したフランス人のターリーさんに因み「ターリーさんの怪獣」の意味。そのため「タリーモンスター」(Tully monster)とも通称される。
全長はおよそ10cmで、長く突き出た口吻と柄の先端についた眼が特徴。尾部は上下に鰭となっている。
食性は不明だが、口のつくり的に硬いものを食べたり吸血したりという行動は困難だったと思われるため、おそらく柔らかい生物を食べていたのではないかと考えられる。
分類
奇怪な見た目から分類が困難な生物(プロブレマティカ)である。左右相称動物(海綿やクラゲ等以外の動物)であることまでは分かるが、それ以降の分類は諸説紛々で、未だに決着が付いていない。
かつてはやや見た目の近い軟体動物のゾウクラゲに近縁ではないかという説が挙げられたが、2016年3月に脊椎らしき組織など新たな証拠が発見され、無顎類に分類される脊椎動物、つまり広い意味での魚であると分類された。
さらに、様々な体構造から独特の進化を遂げたヤツメウナギの仲間ではないかという説が浮上し、一時期主流な説となっていた。
しかし2023年4月になり、東京大学において化石を3Dデータ化したものを形態解析したところ、頭部に脊椎動物には無い分節構造が見られ、無顎類と異なり鰭を支持する構造を持たないことが分かったと発表された。また今回発見された基部隆起型の歯は、ヤツメウナギのものとは異なる形状であったという。
そのため今回の発見から、脊椎動物以外の脊索動物か前口動物(節足動物や軟体動物など数多くの動物門が属する大グループ)であるという可能性が考察されている。