概要
スタジオジブリ『千と千尋の神隠し』に登場する重要物(キーアイテム)の一つ。
名前通りに凄まじい苦味だが、食べる事で神妙な効力を発揮する代物。
主人公の少女・千尋(千)が初めて世話係を務めたお客様「河の主(河の神)」から、篤い接待への感謝で贈られた団子。
物語後半、薬学にも精通する老人・釜爺の発言で名前が判明。聴き取りだけだと「苦団子」と思うが、公式映像媒体の日本語字幕では仮名文字「ニガダンゴ」で表記される。
神様からの贈り物
主人公の少女・千尋(千)が油屋で初めて世話係を務めたお客様、腐れ神・オクサレ様みたいな姿になってしまった「河の主(河の神)」から、元の姿に戻れる程な接待への感謝として贈られた御団子。
「河の主(河の神)」は油屋へ追加料金で大量の砂金を支払ったが、一番の功労者である娘にはそっと手に持たせた代物。
何も言わずに贈られた感謝の品。始め名前や効力は分からなかったが、千尋(千)にとって初めての世話係を務め、そのお客様・由緒ある神様がくれた物。
千尋(千)の様子から、匂いは特に問題なし。色合いは苔みたいな深緑、手にした感じから食べれそうな物と判断し彼女は少しだけ齧ると・・・
ちょっと口にするだけでも、にっが~~い御団子であったと、少女の苦悶した表情からありありと分かる。すかさず、もう一方の手にあった巨大饅頭(あんまん?)を猛烈な勢いで齧りつき、無理やり飲み込むのだった(つらそう)。
一口目は苦ーいものだったが、これが後の騒動で重要な役割を果たす。
その苦味が”薬”を想起させるものだったのか、あるいは理屈を越えた直感なのか、
千尋はこれは何かの大きな助けになる代物であると思い至った。
清めの団子
千尋が相対した騒動で、神様からの贈り物「ニガダンゴ(苦団子)」を数回に分けて食べ与えた様子から、この団子は不浄・不純の事物を吐き出させる力があることが窺える。
作中では―
そして最初の一口を食べた千尋には、僅かながらの変化が起きたのか、はたまた彼女自身の成長なのかは、視聴者の解釈に委ねるような曖昧な描写となっている。
強いて観察すれば、穢れを落とす≒本質を現すで解釈してみれば、千尋にかけられた湯婆婆の魔法「名前(命)を縛り、本物の自分を見失わせる」を薄れさせ、更に本当の自分≒本来あった出来事を呼び起こすような心情変化が窺える・・・かもしれない。
先述したように、荻野千尋が「ニガダンゴ(苦団子)」を食べた後の様子は、団子に関係なく彼女自身の精神的成長とも考えられる様子なので、あくまで本項は参考に留め、どういった関わりなのかは今の貴方自身が解する得心次第である。
確かなことは、魔法で豚になってしまった両親を助けるためだが、千尋は純粋に真摯に誰かを思う心からの行動から、巡り巡って出会えた縁で成せた事実であろう。
余談・考察
丸薬「ニガダンゴ(苦団子)」を授けた「河の主(河の神)」が、自身の汚れ(穢れ)を落とせなかったのは分からないが、考察として「ニガダンゴ(苦団子)」のような神通力を発揮できない程に弱体化していたと察せられる。
その状態異常で油屋に来店し千尋と邂逅して、薬湯の効能・湯屋一同の尽力、何より汚物まみれの姿になった自身へ誠実な接待をしてくれた少女の功労で、本体の姿・力を取り戻せたからこそ生成できた代物なのかもしれませんね。