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ハイリーセンシティブパーソン

はいりーせんしてぃぶぱーそん

生まれながら特に感受性が豊かな人・繊細な人のこと。略称として「HSP」や、特に日本では比喩として「繊細さん」とも言われる。
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曖昧さ回避編集

  • 同じく「HSP」という略称を用いるプログラミング言語、「ホットスーププロセッサー」についてはHSPを参照のこと。

pixivにて本記事で説明しているHSPを描いた作品を投稿・タグ付け・検索する際は、ハイリーセンシティブパーソンを用いるほか、関連タグとして繊細さんhighly_sensitive_personなどを併用すること。


注意編集

ピクシブ百科事典は自由度の高い編集が可能である一方、その特性上主観や客観が混合しやすく、また知識の深浅に差異がある複数のユーザーが編集・閲覧するものです。このため、学術的な根拠たりえず、また医療における診断に活用できるものではありません。


本項で紹介されているのは関連書籍やサイト等からの引用に加え、個人の経験や主観に基づく内容も含まれます。このため、後述の事柄はあくまで参考に留め、実際には専門の書籍・サイトといった情報源を活用されることを推奨します。


概要編集

ハイリー・センシティブ・パーソン(Highly Sensitive Person)とは、ごく簡単に言えば生まれつき特に感受性が豊かで、刺激に敏感繊細な人のこと。

子供の場合は「HSC(Highly Sensitive Child)」と称する。


1990年代アメリカの心理学者、エレイン・アーロン博士によって提唱された。

アーロンはアメリカで数千人を対象にした調査を行い、「繊細さ」は後天的に形作られる性格によるものではなく生まれ持った気質の可能性が高いこと、そして「生まれつき繊細な人」が5人に1人の割合で存在することなどを発表した。


2000年代後半からは日本でもHSPの概念が広まってきており、和訳として「敏感すぎる人」「とても敏感な人」などと翻訳され、関連書籍や体験談(エッセイ)も複数発表されている。

また日本では、HSPの特徴を紹介する書籍で、比喩的に用いられていた「繊細さん」の名称でも広まっている。


HSPは現状心理学上の概念であり、たとえばうつ病発達障害などの精神医学上の概念ではない。具体的には精神疾患などの診断に広く用いられる、アメリカ精神医学会による「精神障害の診断と統計マニュアル」にも記載されていない。

あくまで「ある傾向の気質の持ち主たち」のことを形容した用語であり、その特性そのものは障碍や疾患という扱いではない。また、実際の障碍や疾患を持つ事でHSPに似ているように見える(もしくは、併発している)状況になる事はあり得るが、基本的に別の概念である。

ただし、明治大学子どものこころクリニックのコラムページではHSPおよびHSCと呼ばれる人たちについて「しかし、ここでいう「繊細さ」は発達障害の症状の一部、いわゆる知覚過敏によく似ています。」「私たち精神科医からすると、HSPは発達障害の症状を部分的に切り出したもの、あるいはごく軽度の発達障害を指すものと考えることもできます。」とも紹介されており、発達障害については実際に類似した症状が見られる場合が多く、インターネット上で公開されているようなHSP/HSCのチェックリストも、それがHSP(生まれ持った性格や気質で、精神疾患などではない)なのか、発達障害なのかを鑑別することができないと指摘している。

このため、生まれ持った繊細さがHSPであることに由来するのか、他に原因があるのかは、当事者だけで判断することはできないといえる。→参考


HSPの人は、周囲の環境からの刺激(例えば、音や匂いなど感覚的な刺激)に過剰に反応してしまったり、他者の感情の起伏をまるで自分のことのように捉えてしまったりといった特徴が見られる。他の多くの人にとって些細なことでも気にし過ぎてしまい、またそれが本人の中でプレッシャーとなっていると訴える人も少なくない。

これは、扁桃体(※側頭葉内側の奥に存在する、アーモンド形の神経細胞の集まり)という部位の、「自分にとって危険かどうかを判断する働き」が生まれつき強く、不安恐怖を感じる神経回路敏感に働きやすいためと考えられている。また、扁桃体に加え感情の理解を司る島皮質という部位の活動が活発であるという調査結果も存在する。→参考


精神的な不安や疲れから睡眠障害など健康的な問題や、適応障害などの二次障害へ陥ることもある。


前述のように、HSPは病気ではなくその人が生まれ持った特性のひとつであり、これに気づかず公私の生活で困難を感じている人、またそのような人が周りにいる場合、HSPを正しく知り・向き合う事で、環境やその人への接し方などを改善させる事が重要とされる。


HSPという概念が広まったこともあり「自身が悩んでいたのはHSPであることが原因なのかもしれない」と自覚、納得できるような人も増えている一方、現状では医学的に確実な診断ができないことからセルフチェックによる「自称」に留まるケースが大半である。

また、HSPを自称する人の中には、繊細であることを美徳、配慮を受けるべき特性として、HSPとして周囲への理解を強く求める、とくに「自分は周りに気を遣ってしまう『繊細さん』なのだから、周りも同じように自分を気遣うべきだ」と考えるような「繊細チンピラ(ヤクザ)」も確認されている。もちろん、多くの(自称)HSPは繊細さや敏感さを盾にしないものの、HSPに限らず自身の持つ特性をある種の免罪符にしたがる人は一定数いる。


HSPの人の日常生活での例編集

これらは一例であり、人それぞれ事例は異なる。詳細を知りたい人は本記事のみではなく関連書籍やサイトなどを参照する他、医療機関などで相談すること。


  • 周囲は気にしてないようだが、友達上司など身近な人の不機嫌そうな感じに、自分もつられて気分を悪く感じてしまう。
  • 「相手の気分や周りの空気を悪くさせないこと」を優先し、つい周りに合わせてしまってなかなか自分の意見を言い出せない。
  • 喫茶店図書館といった静かで落ち着いた空間であっても、パソコンの動作音や周りの話し声・誰かの香水など、他の人にとっては微細匂いに気が逸れがちになる。
  • 打ち上げや食事会など複数の人と同じ空間でいる時、「周りの楽しい気分に水を差すかもしれないから」という考えで食器を配ったり料理の注文を代わりにしたり、裏方のような役回りをしがちである。
  • 細かい物事に気づきやすく、また一つの物事について丁寧に深く考えて処理する。このためミスが少なく、周囲への気配りも細やかである。一方で「鈍感」である周囲に対して「どうしてこんなことにも気がつかないんだろう」「○○したらいいのに」と不満を感じる。
  • 集中が切れやすい、または集中するのに時間がかかる。目についたちょっとしたことがひどく気になってしまい、なかなか本腰を入れられない。例えば「勉強しようと思ったら、目の前の本棚の本のナンバリングが揃っていないことが気になって整頓し始めてしまい、結局勉強に身が入らなかった」など。
  • 空気を読もうとしすぎて空回りしがち。例えば良かれと思ってした手助けでも、相手から「(そんなに細かな部分には)今手をつけるつもりはなかった」「(進行を妨げることになるから)勝手なことをしないで」と拒否・困惑されてしまうことがある。
    • また、何かについて断られたり否定されたりしたとき、たとえ相手は普通の言い方であったとしても「拒否されたこと」に自体に強く傷つき、深く落ち込んでしまう。

(参考:『わたしは繊細さん まんがでわかる! HSPが自分らしく生きる方法』など。)


対策……というより捉え方を変える編集

日本で「繊細さん」の概念を広めたカウンセラー武田友紀は、著書やメディア出演の際に「誰にでも繊細な部分があり、ここからはHSP(繊細さん)という境界線はないとされる概念」と紹介している。


あくまで病気や障害ではないが、自身の繊細さ、敏感さによって起こる心身の不調により生活に支障が出ているという場合は専門機関(精神科・心療内科などの医療機関や、カウンセリングなど)へ相談・受診することが望まれる。

また、HSPだと本人は思っていても、実は別の疾患の症状や障害の特性の可能性もある。上述の通り、HSPの症状とされるものには発達障害のそれと類似する部分が多々見られ、その区別も難しいものである。不安なことがある場合は相談したほうがいいだろう。気になる方はメンタルへ!


武田は【誰にでもある(繊細な)部分】という事で【捉え方の変化】に取り組むことで改善される可能性があるとも説明している。

人それぞれの現状によって対策≒捉え方は異なるため、ここでは具体的な手法については解説しないものとする。


(参考:よくあるご質問 - 繊細の森5人に1人?「繊細」すぎて疲れてしまうHSPって何? - 世界一受けたい授業|日本テレビより)


発達障害との違い編集

HSPとASD(※自閉症スペクトラム。ここでは主に知的障害を伴わないか軽度で、アスペルガー症候群高機能自閉症に分類される人のこと)、ADHDといった発達障害は、感覚過敏や情報の処理方法などに類似性があり、上述の日常生活での例についても同じような体験を持つ当事者同士が少なからずいる。

HSPは現状では精神医学的に不確定な存在であり、また知的障害を伴わない(成人以降の)発達障害の概念が広く認知されるようになってから歴史が浅いこともあって、HSPが発達障害(あるいは、その逆)と誤診・誤認されるケースもあるという。発達障害は人口の約10%、更に、明確に診断はついていないが発達障害の特性を示すグレーゾーンである人も含めると20%程になる可能性もあるとされているため、中にはHSPに近い形で特性を強く示す発達障害者、逆に発達障害の特性と近い部分が見受けられるHSPもいると考えられる。

さらに、併発している(例として、すでに発達障害の診断がついており、それとは別に当事者自身にHSPという自覚がある場合など)ケースも存在するという意見もある。


注視すれば各々の違いは確かにあるのだが、それを見分けるには当事者自身の受け止め方ではなく、周囲の人の評価や医師やカウンセラーといった第三者による冷静で客観的な判断が求められる(例えば、カウンセリングで「考えすぎかもしれないが、自分はいわゆるHSPだと思う」と曖昧な表現をする相談者と、実際の医師による所見には差異がある)。

発達障害の診断には幼少期のエピソードに加え知能検査などが用いられるが、ケースによっては、以下に挙げるような実例、あるいは以上に困難な状態・理解に苦心する事も十分に考えられる(うつ病など二次障害で苦闘しているなら、更に難度は上がるといえよう)。


冒頭で述べた通り、本記事はその特性上診断などの根拠とはなり得ないため、気になる症状がある場合は専門機関への相談・受診を行うこと。


発達障害の要因は諸説あり、またその特性についても個人によって千差万別のため、あくまで本記事で記述するものは一例である。


(状態・特徴についてはWikipedia「ハイリー・センシティブ・パーソン - Wikipedia」、講談社「大人の発達障害 生きづらさへの理解と対処」、NHK 発達障害プロジェクト「わたしのトリセツ」などから一部引用・要約)


の状態の差異編集

  • HSP:扁桃体の「自分にとって危険かどうかを判断する」働きが生まれつき強く、不安や恐怖を感じる神経回路が敏感に働きやすい。その他の脳機能は正常と言われている。
  • 発達障害:個人により脳機能の働きが異なる。例として眼窩前頭野にある状況を読む・人の気持ちを推測するなどの働きが特異といった特徴がある。

視点や発想のプロセス編集

  • HSP:周囲の環境からの刺激に敏感なため、些細なことに気が付きやすく、また影響を受けやすい。良くも悪くも共感性が高く、想像力豊かであるため、アイデアが思い浮かびやすい一方で些細なことで思い悩みやすい。
  • 発達障害:後述する感覚過敏もあるが、情報処理に特徴がある。例えばADHDは「優先順位の低い情報を忘れる能力」があまり高くないと考えられているため、常にさまざまな情報が整理されず頭の中に渦巻いている状態であり、これによって普通では思い浮かばない話題が繋がることがある。

社会的活動への取り組み編集

  • HSP:常識を重視し、社会的な物事に対する理解力や、非言語的なコミュニケーション能力は高いと言われている。
  • 発達障害:個人により社会的な物事に対する捉え方は差がある。例としてASDは得意分野に関しての高い理解力や知識・こだわりの強さを発揮するが、世間一般の常識を把握することや他の人の動きを観察してやるべきことを考えるような「空気を読む力」はあまり高くない。

他者の感情の捉え方編集

  • HSP:特性の一つ「共感力の高さ」から、人の気持ちを察知推測しすぎてしまい、日常的に他者に対する過剰な気遣いや周囲の言動に対するネガティヴな思い込みをしてしまう。些細な意見の衝突や少々強い言い回しなどにも敏感に反応し、一人で思い悩んで気疲れを起こしてしまう。
  • 発達障害:特にASDの場合、どちらかといえば人の気持ちを察することが苦手であり、声のトーンや表情など言葉以外のもの、あいまいな表現や言葉通りでない皮肉、隠された話の意図を読み取ることが困難などの特徴がある。また、自身の気持ちを伝えられないこと、相手の気持ちを読み取れない(と感じる)ことにも苦悩している。一方で極端に共感性が高く、周囲の様子を自分のことのように反応してしまう人もいる。

感覚過敏編集

  • HSP:音や光といった環境変化・刺激に繊細(デリケート)と言われている。
  • 発達障害:音や光などの環境変化・刺激に過敏(ナーバス)な場合もあれば、逆に鈍感(ダル)な場合もあるため、人それぞれに特徴が異なる。

などなど。



さいごに編集

これまで「気にし過ぎ」などと言われていた事柄が、実は生まれ持った特性で普遍的な事かもしれないという認知が広まっている。そのため、周囲に合わせる(あるいは合わせてもらう)よりも周囲の見方を変え、自分の行動や考え方をコントロールすることが重要とされる。


HSPはまだまだ歴史の浅く、精神医学上の概念ではない。

本来は先に挙げたような発達障害や他の精神疾患(パーソナリティ障害なども含む)、あるいは身体的な病気の症状であるものが、HSPと言われるような形で現れている可能性もあり、適切な治療から遠ざかることで悪化を招く恐れもあるため「自分はHSPなだけだから大丈夫」と決めつけてしまうのは危険である。


とにかく、繊細なことによる生きづらさを感じている場合は、精神科や心療内科への受診を推奨する。




関連動画編集

【公式漫画】「繊細さん」の本 #1


【公式漫画】「繊細さん」の本 #2


わたしは繊細さん#1【マンガ動画】


HSP気質の女性「人の想いに共感しすぎて疲れる」“SNS時代“過度な配慮で生きづらさも?《アベマTV》


「メール1通に30分悩む」5人に1人‥繊細すぎる!?〝HSP気質〟《アベマTV》


関連サイト(外部リンク)編集


関連項目編集

繊細 思考 心理学

繊細さん highly_sensitive_person

神経質 不安症不安障害


マンガで分かる心療内科(原作:ゆうきゆう、作画:ソウ):第17巻に「HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)」について取り上げた回が収録されている。

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