概要
『機動警察パトレイバー』に登場するレイバーの内の一機種。
注)「機動警察パトレイバー」はメディアミックス作品の為、作中での描写、設定資料全集、ムック、雑誌によって設定の相違点が非常に多い事にご注意下さい。
データ
機体名 | ハンニバル |
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制式名称 | 菱井AL-97B改 |
開発メーカー | 菱井インダストリー |
全高 | No Data |
全幅 | No Data |
全装備重量 | No Data |
最大起重 | No Data |
最小回転半径 | No Data |
装甲材質 | No Data |
装備 | 90mmチェーンガン、バルカン、スモークディスチャージャー、フレア&チャフディスペンサー |
主な乗員 | [[自衛隊員 |
機体について
四菱グループ菱井インダストリー製造。1999年、陸上自衛隊に採用された軍用レイバー。
「サムソン」を全面改修したレイバー、それがハンニバルである。
制式名称(型式番号)は<菱井AL-97B改>。
機体名は「ハンニバル」。「ハンニバル」とはフェニキア語で「バアルの恵み」や「慈悲深きバアル」という意味。バアル神は嵐と雷雨、山岳の神。旧約聖書では唯一神ヤハウェのライバル、対立する異教の神として書かれる。
ヤハウェ=帆場暎一とハンニバル、どちらも序盤で登場してすぐに退場してしまうが、物語の引き金となる存在。
メカデザインは出渕裕。
菱井インダストリー開発97式シリーズに連なる軍用レイバー。
1999年に柘植率いるPKOレイバー部隊に初配備、東南アジアで実戦を経験した。
「サムソン」の装甲配置の変更や追加、センサー関連の強化が行われた。操縦は完全に単座型となり、元々余裕があったわけではないが操縦席はより狭くなって操縦士が一部品のように嵌まり込んで搭乗する。
アトラスはキャノピーを上げて、サムソンは頭頂部のハッチから搭乗していたが再度変更され、搭乗席前方の装甲版を上方に開放する跳ね上げ式ハッチから搭乗する。ハッチには緊急時のイジェクト機能があり、機体の損傷や動力が失われた時に重い装甲ハッチを手動で開放できる、はずだった。
「イジェクト不能!脱出出来ません!」
機体形状は胴体部以外はサムソンとほぼ大差ない、サイズはさらに全体的にコンパクト化している。突き出た胸部、腰軸追加、三本指の形状と、作業レイバー「ブルドッグ」に似た要素が追加される。
胴体部の形状変化が顕著で、まず胴体の容積がかなり圧縮された。股関節と胴体が一体化していたのが分断され、腰に回転軸が追加、背部が小型化、肩幅、胴体の厚みもよりスリムとなり、腕の動きに干渉していた太ももが改善された。
背中が大きく盛り上がっていたアトラスは機体前面に操縦席があり、肩の上部に兵装を積んでいた。そのため巨体、前方投影面積が大きい、操縦席の被弾率が高い問題があった。背中と一体となっていた後頭部が縮小したことでで、開いた胴体上部スペースに操縦席を乗せる形となった。アトラス、サムソン、ハンニバルを見比べると、徐々に操縦席が後退し、前方投影面積が小さくなっていってるのがわかる。
操縦席は機体の中心軸線上より左側に移設され、広く開いた右側にセンサーヘッドが追加された。
股間と胴体部の開放部分(排気口かラジエーター?)が装甲化、膝には突起付きの装甲版が追加された。ペンチのようだった三本指は細くなり関節が増えている。
武装類はサムソンに準じたもので、同じ武装が使える。
主武装は90mmチェーンガンを股間に装備、両手で保持する。胴体部直下に小型の20mmバルカン砲を装着可能。操縦席横にスモークディスチャージャー、フレア&チャフディスペンサーを装備。左肩に赤外線サーチライト。その他、対戦車ミサイルやロケット弾を装備可能らしい。
センサーヘッド
ハンニバル最大の特徴は右肩に新たに追加されたセンサーブロック。AH-64Dのアローヘッドに似た形状。カメラや熱源センサーといった各種センサー(アビオニクスモジュール)を集合させたヘッド(頭部)で情報処理能力も向上している。
直接視認式でもモニター式でもない、新たなは新たに開発された間接視認型となっている。操縦士は特殊なヘッドギアを装着、操縦士の首の動きと連動してセンサーヘッドが稼働し、収集したセンサー情報をゴーグルから網膜に投影する方式。この方式は死角を減らし、センサー操作を簡略化、操縦席内のモニターを少なくできる。カメラ映像、赤外線、熱源センサーで複合的に探知可能。草木の生い茂る熱帯雨林で数百メートル先の歩兵や、1.2㎞先の車両やミサイルを探知できる。
劇中における描写
劇場版第2作
東南アジアにて治安維持につく白い塗装のゴング01、02、03が登場。
任務中に反政府ゲリラ部隊の待ち伏せに会い、対戦車地雷原に追い込まれて逃げ道を塞がれ、政治的な理由から攻撃が出来ずシルカにRPGを撃ち込まれて一方的に攻撃されてレイバー部隊は壊滅した。
(補足:上記のRPGはRPG-7のことではなく、RPGと言う名のオリジナル対戦車ミサイル)
ハンニバルは高温多湿の熱帯雨林では従来の性能を発揮することができなかった、とされている。
レイバーの派遣は日本としてはレイバー技術の宣伝と、机上の計算上は隊員の安全性を重視した選択だったのかもしれない。レイバーによる威圧感で戦闘を回避する可能性もあり、仮に一方的に攻撃されても小火器や対人地雷であれば無効にできる。生身の歩兵や高機動車よりも丈夫で、人員も少なく済む。
しかし、政治的都合で交戦も許可されない状態では本当の戦争に抗しえなかった。本国の都合で部下を死なされた柘植行人は日本への耐えがたい思いを募らせることとなった。
ちなみに現実では、本部の指示なく現場の判断で交戦可能になったのは1998年に法律改正が行われてからである。
交戦は許可できない。全力で回避せよ。
劇場版第3作
廃棄物13号とそれを誘導する「りゅうじん」を引き離すための水門に配置された。水門を閉めるタイミングが合わず敢え無く失敗。
小説版
劇場版第2作と同様。小説版はカンボジアが舞台となっている。
バリエーション
ハンニバル(陸自仕様)
濃緑色に塗られたハンニバル。東京の治安維持任務にあたった。
「97式の時代は終わった」
作中ではヘルダイバーの登場によって「97式の時代は終わった」と評された。
イングラムの兄弟機であるヘルダイバーは空挺輸送が可能で、非常に高い高い運動性を持ち、イングラムを上回るパワーと装甲を誇る。
運動性に圧倒的な開きがあるため、ヘルダイバーのヒット&アウェイ戦法にサムソンはまったく対抗できず。何回かの演習ではほぼ完封されてしまったという。
しかし、ヘルダイバーも万能レイバーではない。
ヘルダイバーはイングラムを基礎とするため、同様の問題を抱えている。
・運動性が高いため激しい揺れによる劣悪な居住性で、搭乗には適性が必要となる。
・人型のデザインのため操縦席がかなり狭く、体格の大きい者は支障をきたす。
・整備性が低く、整備費用と人員が多数必要。
そしてヘルダイバー独自の特色として
・軽量化のため装甲が薄い。素材が金属ではなく炭素繊維強化プラスチック。
・空挺用の折り畳み機能があるため装甲配置に制限があり、武装と装甲の追加が容易ではない。
・単純なパワーと火力では97式シリーズに劣る。
97式シリーズはヘルダイバーに比べて運動性は勝負にならないほど劣悪だが、装甲と火力は上回り、フォーメーションがしっかりしていれば対戦車、対装甲車戦闘はヘルダイバーより優位とされ、安く整備性に優れた菱井インダストリー製であるといった別方向に利点があった。
そのため、97式シリーズは完全に入れ換わることはなく、ヘルダイバーより気軽に扱えるためかPKO派遣、治安維持、怪物退治といった実戦の機会が多く与えられている。